恋三昧

【18禁】 BL小説取り扱い中。苦手なかた、「BL」という言葉に聞き覚えのないかた、18歳未満のかたはご遠慮ください。

2009年07月

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性格バトン


 「BL風味のさくらんぼ」の柚子季さんからいただきました、性格バトンです。
 答えて、自分の性格のあまりの悪さに、若干凹み気味ですが……どうぞー!

【性格バトン】

■何型?
 B型です。
 こないだも典型的なB型だって言われたし、同じB型の人には、一緒にされたくない、て言われた…orz

■何系?
 ???
 質問が短すぎて、よく分かんないんですが…。
 肉食系の文系かな。

■自己中?
 でしょうね。
 なるべく気を付けてますけど、わりと自分本位。

■長所は?
 仕事が早い。

■短所は?
 気が短くて、だらしない。 

■泣き虫?
 本とかテレビとかを見て泣くことはあるけど、自分自身のことで泣くことはないです。

■怒る?
 いや、絶対この質問、おかしいと思うんですが。 どの場面でのことを聞いてるんでしょうか??
 えーっと、まぁ人間ですから怒ることもありますけど、今現在は怒ってません。

■メンドくさがり?
 面倒くさがりです。
 基本的に何をするのも、面倒くさい。

■気分屋?
 そんなでもない気がします、自分では。
 腹が立てばしばらくは怒ってるし、楽しいことがあると、わりとずっと楽しい気分。
 でも人と比べたことないから、その周期が長いのか短いのか分かんない。

■八つ当たりする?
 物にはすぐ当たります。
 投げても壊れないものを投げ散らかしたり、後で片付けるのが面倒くないものを、わちゃわちゃする……のは、B型の特徴らしいですよ。あの本に書いてありました。

■怒鳴る?
 怒鳴らないです。
 でも声は大きい。

■命令する?
 誰に?
 しないですよ。

■優しい?
 あんまり優しくないと思います。
 仕事上、お客さんには優しく丁寧に接するようにしてますけど、本質的にはそんなに優しくないんじゃないかなー、て思う。
 自己中だし。

■毎日笑顔?
 どうですかね。
 1人でPCに向かって原稿書いてるときは、険しい顔してるんじゃないかなぁー。

■遠慮なく何でも言う?
 わりと言うほうです。
 何か、自分の中に留めておけない。

■わがまま?
 どうでしょう。
 でも、「あれ欲しい」とか「これしたい」みたいなのは、あんまない。

■おとなしい?
 1人で引き籠ってるときは、さすがに大人しいですけどね。
 でもそうじゃないときは、どうだろう。職場とか。
 うるさいって思われてるかな。

■恋してる?
 したりしなかったりです(とか言ってられる年でもない)。

■無愛想?
 無愛想ではないけど、そんなに社交的ではないです。
 基本、1人が好き。

■どちらかと言うと姫? 悪?
 もう、ますます質問の意味が分かんない。
 姫の反対語って、悪なの?
 悪は「あく」と読めばいいの? それとも「わる」?

■ズバリ性格良い? 悪い?
 たぶん悪いんじゃないかなぁ。
 まぁ何かしらいいところもあると思いますが。
 五分五分で。

■自分で思う性格
 大雑把で、気が早い。
 スーパーだらしない。

■人に言われること
 お前の考えてることはおかしい。
 思った以上に天然。

■男女関係なく友達の理想
 別に理想はないかなー。
 ないけど、結構いいヤツらが周りにいますよ。

■好きな異性の理想
 引っ張ってってくれる人がいい。でも、上から命令されるようなのは、頭に来るからダメ。
 年上なら、だいぶ上でもいい。
 あと、頭の回転が早い人は、尊敬の域で好きです。

 気が早いんで、グズグズしてるのは苦手です。苦手って言うか、早くしてよーオーラが出まくる。

■最近言われて嬉しかったこと
 ないです、全然。
 そんな喜ばしい出来事も特になかったし、いいことも別に言われてない。
 作品について褒めてもらえるのは、とっても嬉しいです。

■バトンの送り主の顔を見たことある?
 ないです。
 お会い出来そうなチャンスがあったんですが、自分の都合により叶わず…。
 いつか会いたいですね。

■送り主の印象は?
 元気で社交的。
 そしてマメだと思います。

■次に回す人
 バトンやってて何が大変て、この質問が一番大変。
 引き籠ってるんで、そんなに回せる人、いないんですよ~。
 なので、やりたいかたは、ご自由にお持ちください。

 多分、回す人がいる場合は、↓のそれぞれに当てはめるようにするんだと思います。
 残しておきますんで、バトンに答える場合はコピーしてってください。

姉貴にするなら 
兄貴にするなら 
妹にするなら 
弟にするなら 
双子にするなら 
残酷 
クール 
可愛い 
癒し 
かっこいい 
面白い 
楽しい 
頭がいい 
大人っぽい 
彼氏 



 柚子季さん、回してくださって、ありがとうございました~!
 すっごい根暗な性悪女、て感じですよね、私。
 こんななのに、いつもお付き合いくださって、ありがとうございます。
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2月 たまには甘いのあげようか、って。 (6)


「おいし~。ヤバイ、超楽しい」

 初めてのチョコフォンデュに興奮気味の和衣は、口元を拭うと、そのままその店へと入っていった。
 まったく宣伝効果の影響を受けやすい子なのだ。

「あんなのさ、ウチでもやれたら楽しいのに」
「あの機械買ってか? うは、すげぇ間抜けなんだけど」

 狭い寮の部屋、1mほどの高さのチョコレートファウンテンの機械が入れば、自分の居場所がなくなる。

「祐介にもやらせてあげたいな。甘いもの好きだし、イチゴも好きだし」
「一緒に来ればいいじゃん」
「でもさ、祐介、こういうとこで、そういうのするの恥ずかしがるし…」

 そう言って和衣は目を伏せるが、そんな理由、亮は何だか納得できない。
 だって今、亮だって十分恥ずかしかったのに。

(俺が恥ずかしいのは、お構いなし…!?)

 それでも恋した相手には気を遣えるようになったのだから、まだましなのか。

「あっ、これかわいい」
「え、お前、大人っぽい感じのとか言ってなかった?」

 和衣が手にしたチョコは、確かにかわいいが、当初言っていたような大人っぽさはない。
 亮に突っ込まれ、和衣は「あっ」とそのチョコを棚に戻した。

「別にいいじゃん、お前のやりたいヤツで」
「でもぉ…」
「このケーキみたいのは?」

 亮に言われて隣のコーナーを覗けば、ガトーショコラやザッハトルテが並べられている。
 チョコレートの専門店だけあって、それ以外にもいろいろな種類のチョコレートが置かれていて、ただでさえ迷いやすい和衣は、うーうー唸りながら、店内をキョロキョロ見回している。

「こんだけあんだから、ここで決められるだろ?」
「ん、がんばる!」

 和衣はコブシを握ったが、そんなに意気込むほどのことだろうか。
 とりあえずがんばって早く決めてもらえれば、それに越したことはないが。

「あ、マカロン! おいしそー」
「お前が食いたいのを選ぶな!」
「エヘヘ」

 まったくこれだから、和衣との買い物は疲れるのだ。
 遊びに出かけて、単にブラブラ店を覗くだけならいいのだが、今日みたいに買いたいものがあるときは、そのことだけに集中してもらいたい。

「んーんー、これっ……あー、やっぱこっち! これにする!」

 ボンボンの詰め合わせが各種置いてある棚で、女の子に交じっていろいろ手に取っては真剣に選んでいた和衣は、ようやく買いたいものが見つかったらしく、ジャン! と間抜けな効果音を付けながら、亮にそれを見せた。


Fortune Fate

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2月 たまには甘いのあげようか、って。 (7)


「はいはい、さっさと買って来い」
「うん。亮は何見てんの?」
「これうまそうじゃね?」

 亮が指し示したのは、チョコレートタルト。小さいサイズのものがいくつか入っているものだった。

「亮だって自分の食べたいの見てんじゃん!」
「俺はもう、自分の上げるヤツ、買ってっから」
「ぅぐ…」

 そう言われれば、返す言葉はない。
 和衣はようやく決めたバレンタインのチョコを持って、レジへ向かおうとした。

「あ、亮。俺会計してくるから、外出て待ってて」
「あ?」
「先帰っちゃダメだからね!」

 確かに出来ることなら、この女の子だらけの店舗の中よりは、まだ店の外のほうがいい。
 亮はそのお言葉に甘え、さっさと店を出た。




 あとは会計をするだけだから、すぐに出てくると思ったのに、いくら待っても和衣は出て来ない。
 かと言って、また店の中に戻って、和衣の様子を見るのもちょっと…。

「はぁ」

 仕方なく店の前で、チョコレートファウンテンでフォンデュを楽しんでいるカップルやら女の子たちを眺める。
 そういえば先ほど、自分もここに和衣と並んだのだ。
 ――――気が遠くなりそう…。

「亮、お待たせ!」

 ようやく店から出て来た和衣は、もちろん亮の心境など知る由もなく、お目当てのものを購入できて、満足そうに亮のところへ駆け寄ってきた。

「お前、袋デカくね?」
「え、」

 ボンボンの詰め合わせを1つ買ったにしては、和衣が手にしている紙袋はやけに大きい。
 袋を覗き込まれそうになって、和衣はそれを背後に隠した。

「、と…マカロンも買ったの!」
「何だよ、結局自分も食いてぇんじゃん」
「いいじゃん、おいしそうだったんだから」

 和衣がマカロンの魅力を語り始めると、亮は「分かった分かった」と宥めすかして、話をストップさせた。
 和衣からそんな講義を受けるほどまで、亮はお菓子になんか興味はない。

「むふ、祐介に上げるの、楽しみー」

 幸せそうにうっとりする和衣に、こちらまで何だかひどく楽しみなことに思えて来た。
 去年、睦月に上げたときの、あの照れた感じもかわいかったし、何より睦月からも思い掛けずチョコを貰ったのだ。
 こんな幸せなことってない。

「早く渡したいねー」
「あー…うん」


Fortune Fate

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2月 たまには甘いのあげようか、って。 (8)


 バレンタイン前日。
 バイト先のコンビニでのチョコの売り上げは、今年も好調だった。
 バレンタインコーナーのレイアウトを担当した和衣は大変満足げで、チョコを買っていくお客さんを、満面の笑みで見送った。

「ご機嫌だね、カズちゃん」
「あったりまえじゃん。むっちゃんも素直になって、チョコ買ってったら~?」
「…別にー」

 妙に誇らしげに言われ、睦月はおもしろくなさそうに返した。
 確かに男2人でチョコを買いに行くなんて、恥ずかしすぎるけれど、1人で買いに行ったって、恥ずかしいものは恥ずかしい。
 だったらいっそ、和衣と一緒に行って、去年のように会計をお願いしてしまえばよかったのかも…。

 またしても売れていくチョコを会計しながら、睦月は密かに溜め息をついた。



*****

 寮に帰ると、和衣は、部屋に入ろうとする睦月を引き止めて、自分の部屋に連れて行った。

「何カズちゃん、お風呂行こうよー」

 冷えた体を早く温めたい。
 和衣の部屋は同室者も不在で、部屋の中は冷え切っている。

「はい、これ」

 和衣はベッドの下に隠しておいた紙袋を取り出すと、その中から小さな包みを出した。

「え、何? 俺にくれんの? カズちゃん、ありがとー」
「違ーう! 亮に上げるヤツ!」
「え?」
「むっちゃん、どうせ買ってないんでしょ? さっきだって買わなかったし。上げなよ。亮、すごい楽しみにしてるし」

 一緒にチョコを選んでいるとき、亮は口には出さなかったけれど、睦月から貰えることを少なからず期待しているって、和衣には分かっていた。
 だから自分の分を会計するとき、亮を外で待たせて、睦月が上げる分も一緒に購入したのだ。亮に袋が大きいと指摘されたときは相当焦ったけれど、自分なりにはうまくごまかしたつもりだ。

「カズちゃん…」
「しょうがないじゃん。ホントは買うつもりなかったけど、むっちゃんは意地っ張りだし、亮は何か期待してるし」
「……ゴメン、ありがと…」

 去年チョコを上げたとき、亮がすごく喜んでくれたことを、睦月だって忘れたわけではない。
 一時の恥ずかしさだが、チョコを渡したときに得られる幸せは、かけがえのないものだった。
 睦月もそれを分かっていたはずなのに。

「ゴメンね、カズちゃん」
「もういいってば。じゃ、お風呂行こっか。あ、その前にショウちゃんトコ寄って、感謝されて来よ~」

 そう言って笑った和衣の手には、紙袋から取り出した別のチョコレートの包み。
 もう1人の素直になれない友人に渡すつもりらしい。

「俺も感謝されに行く!」
「むっちゃんは何もしてないでしょ!」


Fortune Fate

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2月 たまには甘いのあげようか、って。 (9)


「うぅ…」

 ――――体が重い…。

 バレンタインデー当日。
 夕べ部屋に乗り込んできた和衣から、真大に渡すためのチョコを受け取り、その後、散々悩んで、翔真が眠りに落ちたのは、日付が変わってだいぶ経ってからだった。
 どうせ春休みに入っているし、今日はゆっくり寝ていようと思っていたのに、何だか朝から妙に体が重たい。

(これが金縛り…? 体が…)

 体は重いが、頭の中は徐々に冴えて来て、翔真はまぶたを抉じ開けた。

「あ、おはよ、翔真くん」

 …………。

「…………」
「翔真くん?」
「……、……うわっ!」

 目を開けた先、視界に広がったのは真大の顔で、よくよくその状況を見てみれば、体が重たいはず、真大は寝ている翔真の上に跨って乗っていたのだ。
 あまりのことに驚いて翔真は跳ね上がったが、上に真大が乗っているせいで、身動きが取れなかった。

「なっ何してっ…」
「もうお昼になるよ。いつまで寝てんの?」

 上に乗っていることには、まったく何の罪悪感もないらしい。
 ようやく起きた翔真に、真大はニコニコと笑い掛ける。

「おま…いつから、え? は? 何して…」
「10分くらい前から。だってメールしても全然反応ないんだもん、来ちゃった。てか、そんなに無防備に寝てると、襲っちゃうぞ♪」
「バカ、下りろって、重いよ」

 笑顔のままとんでもないことを口走る真大に、翔真はその体を押し退けて、何とか真大の下から這い出ようとする。
 こんな真っ昼間から寝込みを教われるなんて冗談じゃないし、それ以前に、いくら真大が小柄とはいえ、大人の男だ。腹の上辺りにまともに乗っかられれば、重すぎる。

「真大、マジ重い」
「チューしてくれたら、下りてもいいよ」
「バッカじゃね?」
「…、やっぱ襲う」

 途端、表情を曇らせた真大の口からは、不穏なセリフ。
 真大の場合、何となく冗談に聞こえないのは、気のせいではないはず。

「まーひろ」

 ちょいちょいと翔真は手招きする。
 起き上がれない以上、真大のほうが顔を近づけてくれなければ、キスだって出来ない。
 素直に顔を近づけてくる真大の背中を抱いて、翔真はその唇にキスを落とした。


Fortune Fate

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Midnight Butterfly 出張中


(本日分のお話の更新は、1つ前の記事です)

 みなさん「Midnight Butterfly (R15)」というお話を覚えていらっしゃいますでしょうか。
 去年の読み切り短編まつりの途中くらいに、ふわっと登場したお話なんですが…。

 そんなさりげなく登場しただけのお話を、素敵なイラストサイト「@MK」のミツキさんが気に留めてくださっていまして、このたび、@MKさんのところへ出張することとなりました~!!!

 出張って何じゃい、と。
 読み切り短編のカテゴリの中に、Midnight~てあるやんけ、とお思いでしょうが、実は@MKさんのGUESTページに小説ごと掲載されてるんです。素敵なイラストとともに。

 はい、ここ重要です。
 確実にテストに出ます。

 何とミツキさんが素敵なイラストを付けてくださったんです。
 で、こちらにもそのイラストを紹介していいということだったので、さっそく紹介したいと思います――――ババン!



※ イラストの著作権は@MKのミツキさんにありますので、無断での持ち出しは厳禁です。


 イラストを描いていただく前に、登場人物2人はこんなイメージで書いたんですよ~、みたいなことはちょろっと言ったんですが、出来上がったイラストを見てビックリ。
 まさに私がイメージしたとおりの2人が…。

 私は常々、絵を描ける人は天才だと思ってるんですが、まさに天才ですよ、神ですよ。


 うちのブログは長編メインで、Midnight~も読み切り短編をいっぱい載せていた中の1つで、特別目立っていたわけでもないので、覚えていてくれただけでも嬉しいのに、イラスト付きで出張できるなんて、夢のようです。
 ミツキさん、本当にありがとうございました。


 ちなみにこの素敵なイラストとミツキさんのお名前に聞き覚えのあるかた……正解です。
 去年の年末にミツキさんとこのフリーイラストに、超間抜けなSSを付けてしまったのが私です。しかもその後に、超かわいいボイスまで付けていただいたという果報者なのです。
 ありがとうございました。


*Midnight Butterflyも出張している、ミツキさんのイラストサイト「@MK」はこちらです。
 [http://kirykiry.web.fc2.com/index.htm]


*恋三昧に掲載の「Midnight Butterfly」はこちらから。一応、R15です。
*年末のフリーイラストに付けたSS「君がニャンと鳴いたから」はこちらからどうぞ。ミツキさんのところに行くと、激カワボイスも聞けますよ♪
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カテゴリー:notes

2月 たまには甘いのあげようか、って。 (10)


「ん…」
「ちょっ…んん」

 翔真にしたら、ほんの軽いキスを思っていただけなのに、あろうことか真大は翔真の唇を割って、そのまま舌を滑り込ませて来た。
 逃げようとしても、体は膝で挟まれ、頭も押さえられて、翔真にはなす術がない。

「ん、んっ…」

 不意打ちの深いキスに戸惑うのは心だけで、体のほうは素直に反応し始める。
 だって朝だし。
 だって、気持ちいいし。

 翔真も女の子相手では、キスもその先も何度と経験して来たけれど、真大とのキスは、それとはまるで違う。
 うまい……というか、こんな攻められるようなキスを仕掛けられたことがないからだ。

「ん…はぁ…」

 長いキスから解放されて、翔真は大きく息をついた。
 まだ起き立ての頭、さらに酸欠状態で、ちっとも思考が働かない。

「…ん、翔真くん、かわい」
「アホ、死ね…」

 ニッコリ悠然と笑う真大に毒突いて、思い切り睨み付けるが、まったく効果なし。

「オラ、チューしたんだから、下りろ」
「えー、続きしたくない?」
「朝から何言ってんだ、下りろっつの!」

 言っても聞かない真大の体を押し退けて、翔真は無理やり起き上った。

「もー、翔真くん、もっと素直になればいいのに」
「お前にだけは言われたくねぇよ!」

 渋々と翔真の上から退いた真大のセリフに、翔真はすかさず突っ込む。
 以前のような剥き出しの嫌悪感はないものの、真大が素直に翔真に接したことなんて、きっと数えるほどしかない。いや、クリスマスイブのあの告白のとき以来、ないかもしれない。

「俺は素直だよ、――――自分の欲求に」
「ソーデスネ」

 よく分かってんじゃん…と、翔真は頭を掻きながら心の中で罵った。

「あ、そうだ、翔真くん」

 ベッドの翔真に背を向けて何かゴソゴソしていた真大が、笑顔でクルリと振り返った。
 え、また良からぬことを企んでる? と翔真が警戒した次の瞬間、真大がスッと近寄って来る。

「まひ――――ん、ぐ…」

 名前を呼び掛けたとき。
 口の中に広がる、甘い風味。舌の上で溶けていく、甘やかな感触。

「え…、…………チョコ…?」
「バレンタインだからね。素直でしょ?」

 してやったりな真大の顔。
 悔しい。
 でも、嬉しい。


Fortune Fate

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2月 たまには甘いのあげようか、って。 (11)


「ちょ、真大、退け」
「えーっ? 何、ちょっ翔真くんっ」

 何で? おいしくなかった? 何がダメ? と頭の中を???でいっぱいにしている真大から離れると、翔真は引き出しの中から包みを2つ取り出した。
 1つは夕べ和衣から受け取ったチョコレート。そしてもう1つは。

「ホラ」
「えっ、チョコ? でも何で2個? は?」

 ぶっきら棒に差し出された2つの包み。
 わけが分からないながらも、真大はとりあえず両方とも受け取ってみる。

「えっと…チョコ、…だよね? 何で2個なの?」
「1個は、カズから」
「え、カズくん!? 何で?」

 ますます意味が分からない、と真大は2つのチョコの包みと、翔真の顔を交互に見る。

 実は昨日、和衣から、真大に渡すようチョコを受け取った後、悩みに悩んだ末、翔真は近所のコンビニにダッシュした。時間的に、開いている店はもうコンビニくらいしかなかったから。
 翔真はバレンタインのコーナーで、インスピレーションでチョコを選んでレジへと向かった。
 深夜のコンビニバイトは、若い男が1人。翔真と同世代だろう、同じ大学の学生ではありませんように、なんて祈るような余裕はなかった。
 ロクに顔も上げられないまま会計を済ますと、全速力でコンビニを出た。

 真夜中のコンビニ。
 他の商品に目もくれず、一目散にバレンタインのコーナーへ行ってチョコを購入し、逃げるように去る。
 その行動の意味は、誤解されるまでもない。

「当分あのコンビニ行けねぇよ…」
「じゃあ、こっちは翔真くんが選んでくれたんだ?」
「…そうだよ」

 渡したら絶対喜ぶよ、上げたほうがいいよ、て、和衣に一生懸命に言われて、翔真はずっと考えていたのだ。
 和衣にここまでされて、自分は何もしないのか。
 そう思ったときに、足は自然と動いていたのだ。

「…ありがと」

 真大はその背中にキュウと抱き付いた。

「すっげー嬉しい…」

 …そんな声、ズルイ。
 こんなときに、そんなに素直になるなんて、反則だと思う。

「翔真くん、……好き」
「…………、俺も」

 体の向きを変えて、背中に貼り付いていた真大を腕の中に抱く。

「好き」


Fortune Fate

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2月 たまには甘いのあげようか、って。 (12)


「むーっちゃん」
「…亮がむっちゃんとか、キモイんだけど」
「ヒデェ」

 しかも何でそんなに上機嫌なの? と、まだ眠そうな睦月はあくび混じりに思う。

「まぁいいや、おいでおいで」

 自分のベッドの縁に背を預け、あぐらを掻いている亮が、手招きで睦月を呼ぶ。
 意味は分からないが逆らう理由もないので、睦月が言われるがまま亮のそばに行けば、後ろから抱き締めるようにして、膝の上に座らされた。
 背中は亮の胸に。
 何だかひどく甘えているような体勢で、少し恥ずかしい。

「はい、ハッピーバレンタイン」

 笑顔の亮は、枕の下から小さな包みを取り出すとと、それを睦月の手の上に乗せた。

「チョコ?」
「そう」
「生チョコだー」

 ベリベリと、丁寧さの欠けらもない手付きで包装紙を剥がして蓋を開ければ、キレイに並ぶ石畳のような生チョコ。

「ぐふ、うまっ」

 さっそく1つつまんで口に放った睦月は、その独特の触感に、嬉しそうに頬を緩ませた。

「食べたかったんでしょ?」
「うん。何で亮、知ってんの?」

 確かに生チョコを食べたいとは思っていたが、そんなこと、亮に話した覚えはない。
 というか、亮とチョコレートの話なんかしたことがない。

「ねぇ何で?」
「……カズから聞きました」

 睦月のことなら何でも分かるよ、とでも言いたかったけれど、そんなことで格好つけてもしょうがないので、本当のことを白状した。

「カズちゃん?」

 そういえば、和衣から一緒にチョコを買いに行こうと言われたときに、生チョコが食べたいとか言ったことを、睦月は思い出した。
 何だか今年のバレンタインは、最初から最後まで和衣の世話になりっ放しだ。

「あ、そーだ。亮、ちょっと離して」

 睦月は亮の腕の中からすり抜けると、なぜか床に這いつくばって、亮のベッドの下に手を伸ばした。

「睦月? え、何してんの?」

 出るときに頭をぶつけないでくれよ、と思うくらい、睦月はベッドの下に潜り込んで行ってしまう。
 そして亮の心配は見事に的中して、睦月は完全にベッドの下から抜け出る前に頭を上げてしまい、後頭部をベッドの縁にごっつんこしてしまった。


Fortune Fate

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2月 たまには甘いのあげようか、って。 (13)


「イッテー、もー!」
「あーもう、よしよし、大丈夫?」
「痛い」

 睦月は後ろ頭をさすりながら、ベッドの下から取り出した小さな紙袋を亮に渡した。

「チョコ。上げる」
「マジで!? ありがとー! …でも何で俺のベッドの下に?」
「俺のベッドの下に置いてたんじゃ、お前が寝るときふとんに入ったら見えるかもだろ! 他に置くトコもないし!」

 照れ隠しなのか、頭をぶつけたことへの憤慨が収まらないのか、睦月は声を荒げた。

「ありがと、睦月」

 さっそく亮が紙袋を開けてみると、中にはチョコレートのタルトレットがいくつか入っている。
 うまそー、とさっそく1つ取り出した亮は、ふと、これと同じものをどこかで見たような気がする、と思った。

「あ…カズ…」

 そうだ、あの日、チョコを買いに行ったら和衣と鉢合わせして、一緒に店を見て回ったとき、和衣がチョコを買った店で、これと同じものが売られていたのだ。
 なかなか買いたいものの決まらない和衣に付き合って、いろいろと見ているとき、うまそうだなって思った覚えがある。

「あー…うん、実はそうなんだ…」
「え?」

 タルトを手にしたまま口に運ぼうとしない亮に、睦月は歯切れ悪く口を開いた。

「実はそれ、カズちゃんが買ってきてくれたの…。俺、その、買いに行けなくて…」

 睦月は、亮がポツリと呟いた、『カズ』という言葉を聞き逃していなかった。
 亮が喜んでくれるのは嬉しいけれど、実は自分で買ってきたわけではなくて、しかも亮もそれを知っているようで、このまま隠してはおけない気持ちになった。

「そうなんだ…。でも嬉しいよ。睦月がくれようとしたって、その気持ちだけで嬉しい」

 シュンとしてしまった睦月を抱き締める。
 別に誰が買いに行こうと、自分に対して贈ってくれようとした、その気持ちが嬉しい。
 それに、あのときのほんの短い会話から、優柔不断な和衣がさっさとこれを選んで買ってきたのもの、大したものだと思う。

「すっげー嬉しいよ」

 愛情と友情を同時に確認できた、そんな最高のバレンタインだ。

「ありがと、大好き」
「お…俺も、好きだよ…」


Fortune Fate

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2月 たまには甘いのあげようか、って。 (14)


 祐介の同室者は、長期休暇になるとすぐに実家に帰ってしまうようで、今年の春休みも、祐介は早々に1人部屋状態となっていた。

「ゆーすけ、はい!」

 同じ寮の一室から別の部屋に来るだけなのに、カバンまで持って、お出掛けスタイルの和衣は、その中からキレイにラッピングされたチョコレートを取り出した。
 あの日、亮と一緒に行った店で、選び抜いた品だ。

「ありがと」

 部屋には他に誰もいないし、間違っても悪友が飛び込んで来ないように鍵も掛けたし、和衣は祐介に抱き付いて思い切り甘える。

「これは俺から」

 昨年の教訓を生かし、祐介は今年こそ自分で和衣のためにチョコを用意した。
 もちろん女の子に交じって買うには抵抗があったから、ネットでの購入。その代わり、同室者にチョコのサイトを見ていることがバレないように、相当気はすり減らしたが。

「開けていぃ? …………あ、わっ超かわいい!」

 かわいいもの好きの和衣は、箱の中に並ぶ宝石のようにかわいらしいボンボンに笑みを深くする。
 食べてもいい? と目で伺ってから、ホワイトチョコでコーティングされた1つをつまんだ。

「んふ、おいしー」

 口に広がるのは、甘いチョコと幸せの味。
 チョコ1つで、こんなに幸せになれるの。

「和衣も…チョコありがとう」
「んーん」

 自分の選んだチョコをおいしそうに食べてくれる祐介を見て、和衣はますます幸せになる。
 クリスマスのときも幸せだったし、誕生日のときも……こんなに幸せで、俺大丈夫なのかな? とか、間抜けなことを思ってしまうくらい、幸せなのだ。

「祐介、好き」
「…ん。…………でも」
「う?」
「亮とチョコフォンデュ、したんだって?」

 ………………。
 チョコ……フォンデュ…?

「……、あーっ!! なななな何で、それっ…」
「蒼一郎から聞いた。見掛けたって」
「ッッッ…!」

 蒼ちゃんのバカー!!
 あれを見られてたなんて全然気付かなかったけれど、何も言わなくたっていいのに!
 バカバカバカ~~~!! て、和衣が大きくショックを受けていると、祐介がおかしそうに声を上げて笑い出した。

「何…? 何で笑ってんの??」

 怒ってるんじゃないの?
 何で? 何で?

「ちょっと妬いちゃうな」
「うっ…ゴゴゴゴメン!! あのね、内緒にするとかじゃなくてね、あのね」

 あのときはチョコフォンデュ出来る~て単に嬉しくなっていただけだし、その後はチョコを買えたので満足しちゃって、それを祐介に話すなんて、これっぽっちも思わなかった。
 けれど、もし祐介が同じようなことを睦月としていたら、とんでもなくヤキモチを妬いてしまう。

「和衣」
「ゴメンね、ゴメンね」
「もう謝んないで。…じゃ、これからチョコフォンデュ、やりに行こっか?」
「…………、うん!」


Fortune Fate

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3月 さよならまた明日、嫌いじゃないよ。 (1)


「は? 寮出る?」

 長い春休み、なぜかバタバタしていてなかなか会えずにいた真大と、久々に出掛けて外で食事をしていたら、真大が思わぬことを口走った。

「うん。4月になったら、俺、寮出ようと思って」

 あまりに突然のことで、翔真の手は止まったままだ。
 真大が、寮を出る。
 もしかしてここ最近、ずっと慌しくしていたのは、そのせい?

「な…何で、とか聞いていい…?」

 驚きすぎて、変な声になった。
 すげぇカッコ悪ぃ…とか、そんなことを思う余裕は、翔真にはなかった。

「あはは、翔真くん、慌て過ぎ! 別に翔真くんのこと嫌になったからとか、そんなんじゃないから。てか、むしろ好きすぎるから」
「え…どういうこと?」

 わけが分からず、翔真は何度も瞬きをして、向かいに座る真大の顔を見た。

「だって寮だとなかなか2人でゆっくり会えないじゃん。いくら蒼ちゃんが郁んトコばっか行っていないってったって、いつ帰ってくるか分かんないし、俺の部屋も人いるし」
「あぁ、まぁ…」
「それに…………壁も薄いしね」
「、」

 急に声を潜めるからどうしたのかと思ったら、翔真の耳元で囁かれた言葉はそれ。
 今さらそんなことで照れるようなキャラではないのに、言った後、真大がフッと耳に息なんか掛けるもんだから、翔真はヒクッと肩を竦めて、顔を赤くした。

「この、バカッ…!」
「何で? 重要なことでしょ?」

 翔真が睨み付けても、真大は不敵な笑みを浮かべるだけ。
 やはりどうしても、真大には敵わない。

「もうね、アパート借りたし。寮からそんなに離れてないトコ。だからきっと前より会えるよ」

 確かに真大は、蒼一郎と仲直りしたとは言うが、それでも振られた相手が帰って来るかもしれない部屋では、心置きなく翔真と一緒にはいられない。
 それに先輩の翔真が真大の部屋に入り浸れば、同室者に気を遣わせてしまうから。
 とすれば、やはり1人暮らし出来るのが、ベストなのだろう。

「でも何で、何も言わないでそこまで決めたんだよ。お前が寮出るって……別に出るのは俺でもよかったのに」

 やはり寮に比べて、普通のアパートはそこそこの値段がする。
 真大の寮を出る理由がそういうことなら、真大だけに負担させないように、話をして、翔真が寮を出てもよかったのに。

「いいの。翔真くんがそう言うと思ったから、さっさと決めたの。それにやっぱ俺、1人暮らしのほうがいいな、て。2人部屋って、やっぱ気ぃ遣うし」

 マイペースにも程があるほどのマイペースな真大は、やはり寮での2人暮らしはいまいち向いていなかった。
 もちろん同室だった友人のことが嫌になったわけではないが、共同生活となれば、気は遣う。
 それに風呂もトイレも共同。
 1年生活してみて、やはりダメだと再認識した。

「それにさぁ、翔真くんを家に呼んだほうが、自分が遊びに行くより、いろいろ出来るじゃん?」
「なっ…いろいろって何だよ、何もしねぇよ!」
「うん、翔真くんは何もしなくていいよ。俺がいろいろしてあげる」

 満面の笑みでそう言われ、それはそれで遠慮したいなぁ…と翔真は密かに思う。
 ベッドに入る前のジャンケンはまだ行われていないが、隙あらば翔真を押し倒さんとする真大のそのセリフの、裏が読めないほど、翔真だって子どもではない。
 やはり寮は自分が出たほうがよかったのかも……いや、真大の場合、どちらにしても変わらなかったかもしれないが。

「来週引っ越しだから」
「…そうなんだ」
「だから、お手伝いよろしくね、翔真くん」
「えっ!?」


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3月 さよならまた明日、嫌いじゃないよ。 (2)


「亮、何で資料2個持ってんの?」

 新しく3年生になる学生向けに行われたオリエンテーションの後、睦月はやけに荷物の多い亮を見てみれば、なぜか同じ資料を2部ずつ手にしていた。

「あぁ、これショウの分」
「ぅん? ショウちゃん、いなかったね。どうしたの?」

 寮に戻る前、和衣や祐介も誘って、いつものカフェテリアに集まれば、そこに翔真の姿はなかった。

「真大の引っ越し、手伝ってる」

 週末には引っ越しをするという真大のため、翔真は(勝手に取り付けられた)約束どおり、真大の引っ越しの手伝いをしていた。
 広くもない部屋に2人で生活してるのだ、荷物はそれほど多くはないから、大した手間ではないかもしれないが、……それにしても翔真が、そんなにお人好しだったなんて、亮も驚いた。

「ショウちゃん優しいね」

 ねー、と睦月と和衣は頷き合っているが、(手伝わされているの間違いなんじゃ…?)と密かに思ったのは、隣にいた祐介だけだった。

「真大、1人暮らしかぁ…。いいなぁ」
「ぅん? カズちゃん、羨ましいの?」
「えーだって。むっちゃん、1人暮らししたくない?」
「だって無理だし」

 1年経っても相変わらず、包丁を握るどころか、1人で生活するための能力が一向に上がらない睦月にしたら、1人暮らしなんてとても無理だと自覚している。
 それなら2人部屋でも、今のままがいい。

(そりゃむっちゃんは、亮と一緒の部屋だもん…)

 寮の2人部屋で生活しているとはいえ、睦月は恋人と一緒だが、和衣は友人と同室だ。もしかしたら睦月は、亮と一緒の部屋で便利だなーくらいにしか思っていないのかもしれないが、この差は大きい。
 寛大な心を持っているなら、たとえ友人でも甲斐甲斐しく、睦月のような子の面倒を見てくれるかもしれないが、それとはわけが違う。
 やっぱり、いつ同室者が帰って来るかもしれないと心配しながらなんて、落ち着いて一緒にいられないし。

(そんな…亮とむっちゃんなんて、はっきり言って、同棲じゃん!)

 わざわざアパートを借りる手間もなく、自然の成り行きで、堂々と同棲だなんて――――羨ましすぎる!

「何カズちゃん、変な顔して」
「ふぇ?」

 睦月に顔を覗き込まれ、和衣はハッと我に返った。
 どうやら知らぬ間にトリップしてしまっていたらしい。

「いいじゃん、みんな寮で。便利だし」
「むっちゃん! 便利かどうかで判断しないの!」

 恋人同士の甘い雰囲気よりも、便利かどうかで物事を判断する睦月の癖は未だに治っていないようで。
 亮も祐介も苦笑するしかない。

「亮、お前、いい加減、睦月のご飯係は卒業したら?」
「だから最初っから、んなもんになった覚えねーし!」

 呆れ顔の祐介の言葉に、亮はすかさず突っ込む。
 だいたい、長いこと祐介が過ぎるくらい過保護に接して来たことが、今の睦月を形成したのだ。責任の一端なら、祐介にだってあると言ってもいい。

「俺が育て上げたみたいに言うなよ。俺は睦月の保護者じゃない」
「でもお前、手の掛かるの、好きだろ?」

 亮は意味ありげに祐介を見た後、和衣に視線を向ける。
 乙女まっしぐらで、気持ち一直線の、手の掛かるかわい子ちゃんは、猫のように睦月とじゃれ合っていた。

「…確かに」

 これで無意識に自分好みに育て上げていたのだとしたら、光源氏も真っ青だろう。
 祐介は苦笑しながら、冷めたコーヒーを飲み干した。

 それでもこの光景が、いつまでも続けばいいと思いながら。


Fortune Fate

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3月 さよならまた明日、嫌いじゃないよ。 (3)


 部屋が片付いたと連絡を貰った翔真は、引っ越しの日に荷物運びに来て以来、久々に真大の新居にやって来た。
 前は雑然と段ボール箱が積み上がっていただけの部屋も、キチンと片付けられている。

「うわっ、キレイに片付いてる!」
「だからそう言ったじゃん!」

 翔真の、部屋に上がって最初の感想に、真大は思わず突っ込む。部屋が片付いたから遊びに来てと呼んだのに、それってないと思う。
 けれど翔真にしたら、もしかしたら部屋の片付けを手伝わされるのかも…と、少なからず思っていたので、この状況はある意味予想外だった。

「はい、これ」
「え? 何、ケーキ?」
「一応、引っ越し祝い」

 何を買ったらいいかなんて全然思い浮かばなくて、真大は甘いものが好きだしと、来る途中のケーキ屋で購入してきたケーキを、照れ隠しでぶっきら棒に手渡した。

「ウッソ、翔真くん、カッケー」

 真大は無邪気に喜んで、さっそくケーキの入った箱を開けた。

「あ、翔真くん、そこ座ってよ。あーお茶とか出したいんだけどさ、まだ何にもなくて。…お湯でも飲む?」
「飲まねぇよ!」

 何でお茶の代わりがお湯?
 これならケーキだけでなく、ペットボトルでもいいから、何か飲み物を買ってくるべきだったと、来て早々に翔真は後悔し始める。

「だって昨日やっと片付け終わったばっかだもん。冷蔵庫の中も空っぽだし」
「マジで?」
「うん。ホントは全部ちゃんと終わらせてから呼ぼうと思ったんだけど、早く翔真くんに会いたかったから」
「、」

 普段は嫌になるくらい(いや、ならないけれど)生意気なくせに、時々こんなふうに素直な一面を見せるから、真大は本当にタチが悪いと思う。
 ズブズブと、深みにはまっていく気がする。

「後で一緒に買い物行こうよ」
「…まぁいいけど」
「んふふ、一緒に買い物とか、何か新婚さんみたい」
「アホか」

 仕方なく近くの自販機で買ってきたペットボトルの紅茶を飲みながら、引っ越し祝いのケーキをつつく。
 甘いものの苦手な翔真は、一体どんなケーキを買ったらいいか分からなくて、店員に選んでもらえば、どうやら女の子に上げるものだと勝手に勘違いされて、妙にかわいらしいケーキを買う羽目になってしまった。
 真大は、甘ーい、おいしー、と喜んでいるようだから、まぁいいけれど。

「翔真くん、はい」
「え、いいって」

 スポンジケーキの欠片と、たっぷりの生クリームが乗ったフォークを目の前に差し出され、翔真は思わず少し身を引いた。
 気持ちはありがたいが、それだけの量でも、翔真には食べ切れない。


Fortune Fate

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3月 さよならまた明日、嫌いじゃないよ。 (4)


「おいしいのに」
「それはよかった。マジで俺はいいから、真大、食べな」
「甘くておいしいのにー」
「だから、甘いの苦手なんだっ…て、んんっ…」

 翔真がケーキを食べないと知って、真大はそれを自分で食べてから、よそ見をしていた翔真の唇にキスを落とす。
 いきなりのことに驚く翔真の顎を押さえて、口の中に舌を滑り込ませる。

「ん、ふ、ぅ…」

 甘い。
 クリームの乗った舌。

「まひっ…」

 いくら翔真がその体を押し返しても、少しもビクともしない。
 こんなはずないのに。
 強く舌を吸われ、そちらに気を取られていたら、真大の手のひらが背中を撫で上げて行って、不覚にも体が震えた。

「翔真くん…」

 いったん唇が離れ、吐息のような囁きで名前を呼ばれ、再び口付けられる。
 何でこんなことになったのか、ついさっきまで買い物に行こうとか話していたじゃないか。なのに今はこんなに深いキス。
 どんどんと伸し掛かられ、ついに翔真はそのまま仰向けに押し倒される。

「イッテ…」

 変な格好で倒れたせいで、肘と肩甲骨の辺りが痛い。
 目を開ければ、思いのほか近くに真大の顔。
 視線が絡む。

「ゴメ……我慢できなかった…」

 唇に掛かる吐息。
 離れていこうとする真大に、翔真はゆっくりと瞬きした後、手を伸ばして、その背中を抱いた。

「お前が我慢したことなんか、あんのかよ」

 サラサラした真大の髪に指を絡ませながら、翔真はそのまま後頭部を押さえるようにして自分のほうへと引き寄せる。

「してるよ、いっぱい…。今だって翔真くんに、超キスしたい」
「すればいいじゃん」

 翔真の、挑発するようなセリフに、小さく喉が鳴ってしまった。
 押し倒して優位に立っているつもりでも、油断するとすぐに主導権を取られてしまいそう。
 だから、いつだって必死なんだよ?

「好き…。ね、翔真くん…もっかいキスしていい?」
「聞くなって」
「続きは?」
「調子乗んな」

 ペチッとおでこを叩けば、真大は唇を尖らせた。


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3月 さよならまた明日、嫌いじゃないよ。 (5)


「いい雰囲気なのに。翔真くんのバカ」
「雰囲気に乗じて、事を進めようとすんじゃねぇよ。まだ真っ昼間だ」
「じゃ、夜に備えて、今からジャンケンしとく?」
「ざけんな」

 睨み付けても真大は少しも怯まず、両膝で翔真の腰を挟んで顔を近付ける。

「ジャンケン嫌なら、翔真くんが下になる?」
「お前が下になるって選択肢はないわけ?」
「うん、ない」

 しれっと、あっさりきっぱりと真大は返事をした。
 最大限の譲歩がジャンケン。でも負ける気はないって言う。
 何てヤツだ。

「翔真くん?」

 振り回されるのは嫌。
 相手のペースにはまるも嫌。
 イチャイチャするのとか、メールや電話を頻繁にやり取りするのとか、本当はそんなに好きじゃない。
 恋は自分のペースで、自分の好きなようにやりたい。

 だから、真大なんて、絶対タイプじゃない。
 だって生意気だし、気分屋だし、マイペースで強引で、全然好みじゃない。

 けれど。

 それが真大相手だと、全部許せるし、嫌いになれない。
 むしろどんどん好きになっていく。

 タチの悪い、媚薬みたい。

「翔真くん、何考えてんの? ボーっとしてると、このままヤッちゃうよ?」
「――――……いいよ」
「えっ!?」

 冗談か本気か、自分で言っておいて、真大は翔真の返事にひどく驚いた顔をする。
 真大が自分のことを抱きたいと思うのなら、それに流されてみるのも悪くない。男なのにオカマ掘られるなんて、となけなしのプライドは警鐘を鳴らすけれど、相手が真大なら、それでもいいと思う。
 だって、好きだから。

「いいよ、ヤッても」
「な…何、急に」
「その気になったから。あ、でも床はヤダ。体痛ぇから」

 真大の顔は戸惑いに満ちている。
 もしかしたら、単に翔真とそんな言葉のやり取りを楽しんでいただけで、本気で昼間から事に及ぼうなんて、考えていなかったのかもしれない。
 でももうダメ。
 逃がさない。
 だって、その気にさせたんだから。

「…しよ?」

 翔真は起き上がって、上に乗っていた真大を抱き締めると、耳元で囁く。ついでに耳たぶを食めば、ピクリと真大の体が震えた。


Fortune Fate

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3月 さよならまた明日、嫌いじゃないよ。 (6) R18


*R18です。18歳未満のかた、そういったものが苦手なかたはご遠慮ください。
 男同士のセックスの知識は、和衣が蒼一郎師匠のもと、一生懸命お勉強していたのを小耳に挟んでいたこともあって、何となくは分かる。
 でもまさか自分がそれを実践することになろうとは(しかも受け入れる側になろうとは)、ゆめゆめ思っていなくて、生半可に聞いていたことを、今になって後悔はした。
 でも、今さら止められない。

 シャワー浴びて準備しなきゃって、でも今互いのぬくもりを手放すのは惜しくて、狭い風呂場に無理やり2人で入った。
 ユニットバスでないのがせめてもの救いだけれど、男2人で入るには十分な広さではなくて、2人密着しながらシャワーを被る。

「っ、ん…んはっ…」

 夢中でキスしていると、真大は翔真の体を押し付けて、さらにその唇を貪る。
 冷えたタイルに、体が震える。固くて、背中も痛いし。でも、キスをやめる気にはならなかった。

 このままここでヤるわけにはいかないって、いや、翔真的には風呂場でもよかったのだが(何しろ、初めてのエッチが中1のとき教室だったくらいだし)、真大がベッドがいいと言い出すので、先に風呂を上がらせた。
 翔真はシャワーで後ろをキレイにすると、1度頭から水を被って風呂場を出た。

「翔真くん、キレイ…」

 互い、何も身に着けていない体で抱き合う。
 キスして、肌を辿って、触れたところが熱い。

「ん、クッ、ぅ…」

 片手を恋人繋ぎみたいに指まで絡めて、真大のもう一方の手は、翔真の体のラインをなぞった後、胸の突起を押し潰すように掠めて行った。
 ヤバイ……ゾワゾワする。
 積極的な女の子とヤると、乳首とかも愛撫されるけれど、こんなに感じたことはない。
 きっと相手が真大だからなんだろうな、とか、和衣並みに乙女なことを思っている自分に気付く。

「、んぁっ」

 真大が真っ赤な舌をベロリと覗かせ、見せつけるように翔真の乳首を舐めた。
 ガクリと翔真の顎が上がった。翔真の空いている手が、真大の髪をクシャリと掻き混ぜた。
 ジュルリと音を立てて吸われ、舌で押し潰される。反対側は指先で刺激され、堪らなくなって翔真は下腹部を真大に押し付けた。
 すでに反応を見せてるソコ。
 真大の体も、ピクンと震えた。

「しょうっ…」

 さらに快感を得たくて腰を揺らめかせれば、真大が焦ったような声を出した。
 胸への愛撫が疎かになっているのがもどかしくて、翔真は繋いでいた手を解くと、真大の頭を押さえ、少し上体を起こして噛み付くようにキスをした。

「ん、んっ…」

 両手が自由になった真大は、キスに応えながら、片手で翔真の性器を刺激し、反対の手で筋肉の付いた柔らかくない翔真の尻たぶを揉み出した。
 こういう刺激は初めてかもしれない。
 翔真はキスを振り解いて、後頭部をシーツに擦り付けるようにしながら、その快感を逃がすように首を振る。

「翔真くん……俺のも触って…」
「…ん」

 このくらいの刺激でグズグズになるなんて何だか恥ずかしくて、翔真は平気なふりを装うように唇を舐めてから、真大の性器に指を絡めた。
 寮の風呂は共同だから、男の素っ裸なんて見慣れているけれど、こんなふうに反応して大きくなっているモノなんて見たことがないし、もちろん触ったこともない。


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3月 さよならまた明日、嫌いじゃないよ。 (7) R18


*R18です。18歳未満のかた、そういったものが苦手なかたはご遠慮ください。
(ヤベ…ドキドキする…)

 けれど、男の体に萎えるどころか、グチグチと先走りで濡れ始めた性器を互いに擦り合う行為は、想像以上にクる。
 翔真は夢中になって真大のそれを愛撫した。

「ま、ひろ…」
「気持ちい…ねっ…?」
「んっ、ぅん…!」

 翔真は自慰するときみたいに真大のモノを扱きながら、開けた目の前にあった真大の耳たぶに歯を立てた。真大の体が震え、手の中のモノが大きくなる。

「ァ、ッ…」

 負けじと真大の手の動きが早く複雑になって、その刺激に手だけでイキそうになって、翔真は唇を噛んで堪えた。
 くだらないプライドだけれど、こんなんでイクって、男としてどうなの? 情けなくね? て思うから。
 でもそんなバカみたいなこと、考えられなくなるくらいに気持ちいい。

「ね…ホントに最後までするよ…?」
「だから…いい、つってんだろ…」

 何度も言わせるなと、翔真は真大を睨んだ。
 上気した頬と、潤んだ瞳。
 本当に堪らない。
 思わず喉が鳴ってしまった自分に、真大は小さく苦笑した。思いのほか、余裕がない。

「このまま…ヤッてい…? それとも、1回イク…?」

 視界がぶれるくらい至近距離で顔を覗かれ、目を見たまま聞かれて、返事に困っていたら、真大が情けない顔で眉を下げた。

「ゴメ…俺のほうが持たない…。翔真くんかわいすぎて…」

 奥歯を噛んで、必死に耐えているようだったけれど、真大がもうイキたいんだということは、手の中で張り詰めた熱を感じれば分かる。
 翔真は真大のモノを刺激しながら、自分も素直に快感を追った。
 もうくだらないプライドにこだわるのはやめて、全部見せていく。

「ハッ…あ、あ、ん…!」
「翔真く…ッ…」

 耳元を掠める真大の声に反応して、翔真は溜まった熱を放出する。
 他人の手でイかされるのは久々で、その感覚に酔っていれば、少しして真大も翔真の手の中でイッた。

「ふ、ぅー…、は、ぁ…」
「はぁ…翔真くん…かわい…」

 真大は軽いキスをすると、「へへ、ちょっと待ってて…」と翔真から離れた。翔真はぬくもりが離れたことに少し寂しさを覚えたけれど、真大はすぐに戻って来た。

「何…?」
「これ」

 笑顔の真大が見せ付けたのは、透明な液体の入った小さいボトル。
 シンプルな外見のボトルは、見覚えのある感じ。

「おま、それ…」
「えへへ。だってこういうの使わなきゃ、最後まで出来ないでしょ?」


Fortune Fate





 明日から不在となります。めっちゃ途中なのに、本当にすみません。
 続きは予約投稿でアップしていきますので、よろしくお願いいたします。
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3月 さよならまた明日、嫌いじゃないよ。 (8) R18


*R18です。18歳未満のかた、そういったものが苦手なかたはご遠慮ください。
 やっぱり。
 真大が持って来たのは、ラブローション。
 前に翔真も、女の子と使って、そんな感じのプレイをしたことがある。見覚えがあるわけだ。

「準備万端でしょ?」
「…何でかは、聞かねぇけどな」

 恥ずかしいから呆れたように返しても、真大は笑うだけで、何も言わずにローションのボトルを開けた。

「んぁっ…」

 ローションを垂らした手で自身を握られ、思わず体が仰け反る。さっきイッたばかりなのに、もう翔真のソコは熱を帯び始めている。
 真大は唇を舐めてから、翔真の尻の間に指を這わせた。

「うぅん…あ、はぁ…、あ、ん…」

 初めて触れられた場所に、翔真は無意識に身を捩って逃れようとする。

「大丈夫……平気だから、力抜いて、翔真くん…」
「ぁ…ヤ、入れないで…」

 真大の指が中へと滑り込んで来る。
 体格に見合った細い指だから、1本入れられてもそんなに痛いとかはないけれど、今までに感じたことのない違和はある。
 翔真は震えそうになる手で、真大の腕を押さえた。

「あぅっ」

 抜いてほしいて思うのに、真大の指が中で折り曲げるように動いて、ビクンと翔真の体が大きく跳ね上がった。

「痛い…?」
「ちが、ぁ…や…」
「気持ち悪い?」

 真大に問われ、悪いとは思ったが、翔真は正直にコクコクと頷いた。
 痛いわけではないが、体内を動く指の感触がリアルに分かって、これを決して気持ちいいとは思わなかった。

「もうちょっとローション足すね?」
「はぁっ…」

 真大は言葉どおり、翔真のソコにさらにローションを注ぎ足したうえ、グリッと指を動かした。

「ヤ、やめ…や、ぁっ…」

 今度は抜き差しするように指を動かされ、気持ち悪いだけだと思っていたはずなのに、腰の辺りからゾワゾワとしたものが這い上がっていって、堪らず翔真は身を捩った。
 上半身だけ伏せるような格好になって、シーツに顔をうずめた。

(ど、しよ…、何か中…)

 認めたくはないけれど、中を動く真大の指が気持ちいい。
 中の圧迫感が増して、指が増やされたのだと分かる。でももう痛みはない。

「翔真くん…」

 真大は背中から覆い被さるようにして、翔真の耳の後ろに口付けたり、項に舌を這わせたりする。
 完全に勃ち上がっている翔真自身もグチャグチャと扱かれて、気持ちいいけれど、何だか分からなくなって、翔真はもう喘ぐことしか出来ない。

「やぁ、あ…らめ…!」

 こんなふうに一方的に追い上げられる快感は知らない。
 けれど、真大にも施してあげたいけれど、もうどうしていいか分からなくて、必死にシーツにしがみ付くことくらいしか出来なくて。


Fortune Fate

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3月 さよならまた明日、嫌いじゃないよ。 (9) R18


*R18です。18歳未満のかた、そういったものが苦手なかたはご遠慮ください。
「あぁっ、あっ…」
「すご…もう3本入ったよ、…分かる?」

 コクコクと必死に頷く翔真に真大は嬉しくなって、さらに刺激を強める。
 指を引き抜こうとすれば、翔真の中はそれを拒むようにキツク締め付けてくる。

「も…入れるよ…?」
「ふぁあっ…」

 ズルリと指を引き抜かれ、翔真の体は大きく震えた。

「仰向けになって? 翔真くんの顔見ながらしたい…」

 言われるがまま、何とか体勢を変えると、真大は枕を翔真の腰の下に入れてくれた。
 膝の裏を掬われて、やはり緊張で体が硬くなる。

「大丈夫…………だと思うから…」
「ッ、あぁっ…!」

 思うかよ! と突っ込もうとするより先、真大に突っ込まれた。もちろん高ぶったナニを。

「ヤ、も…ヤ、無理…」
「もうちょっと…」
「はぁっ…あ、ぅ…痛、あ、ぁ…」

 もう無理だ、て翔真は真大の背中を叩くけれど、真大は止めてはくれなくて、ゆっくりだけれど着実に翔真の中に入っていく。

「クッ…」
「んぁっ」

 腰を押さえられたかと思うと、グッと真大のモノが一気に中に押し進んで来る。深く中を暴かれる感覚に、翔真は身を固くしたままピクリとも動けなかった。
 いくら指で慣らされたとは言っても、その質量はまるで違う。

「ヒッ…あ、まひ…」
「平気…? もう全部入ったよ…?」
「あ…?」

 額に貼り付いた前髪を掻き上げられ、翔真はゆっくりと目を開けた。

「痛い…?」
「ちが…ぁ、あ…中、いっぱぃ…」
「あぁん、もう! 翔真くん、かわいすぎ!」
「ぇ…? あぁっ――――んんっ…」

 一気に深くまで貫かれ、その衝撃に翔真は、思わず声を大きくしてしまったが、いくらここが壁の薄い寮の一室ではないにしたって、そんなに大きな声を上げられては、隣の部屋に聞こえかねない。
 焦って真大は翔真を口を手で塞いだが、理性が吹っ飛んでしまったらしい翔真は、首を振ってその手を払ってしまう。

「翔真く…」
「は、ぁ…、や…真大っ…」

 掠れた声で名前を呼ばれ、真大も思考回路が焼き切れそうになる。
 本当はもっと余裕を持って、翔真の体の負担にならないように…なんて思ってもいたけれど、もう無理。全然歯止めが効かない。

「翔真くん…好き…!」
「あ、ぅん…ッ、やっ…」


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3月 さよならまた明日、嫌いじゃないよ。 (10) R18


*R18です。18歳未満のかた、そういったものが苦手なかたはご遠慮ください。
 奥まで突き上げれば翔真は痛がるどころか、甘い声を上げるけれど、さすがに後ろだけではイケそうもなくて、真大は再び翔真の高ぶりに手を掛けた。
 挿入の痛みに萎えてしまったかと思ったソレも、意外なことにもう固く勃ち上がっている。
 あんなに嫌がっていたくせに、もしかしたら翔真は素質があるのではなかろうかと、言おうものなら何倍返しで文句を言われるか分からないようなことを、真大は内心思った。

「ぁ、ヤメ…まひろっ…」
「何で…? 気持ちい…でしょ…? スゲ、締め付けてくる…」
「んぁ…知らな、あ、あ…」

 前と後ろをいっぺんに刺激され、翔真の意識は混沌としてくる。
 痛くはないけれど、真大が出たり入ったりする後ろは熱いし、中も痺れたみたくジンジンしているし、勃ち上がった自身もあとちょっとの刺激で解放できるのに。
 でもまだ終わらせたくないような気持ちもある。
 この快感ともつかないグチャグチャの中を彷徨っていたい。

「ヤバ…俺もう…」

 先に根を上げたのは、真大のほうだった。
 翔真の足を抱え直し、腰の動きを速くする。中にある真大自身がさらに大きくなったのが分かる。

(真大、イキそうなんだ、俺の中で…)

 もうドロドロに溶けてしまった頭の片隅で、冷静な翔真がそれを悟った。
 ほんの1時間かそこら前までは、どちらが入れる入れないかで言い合っていて、自分も出来れば入れる側のほうがいいとか思っていたのに、今では、本来受け入れるべき器官ではないそこで、真大のことを気持ちよくさせている。
 その事実が、ひどく翔真の胸を満たした。

「真大、イッて……俺の中で…」
「ッ…」

 もうこれ以上は無理だというところまで深く刺し込まれ、翔真はもがくように宙に手を彷徨わせた後、シーツをキュッと握り締めた。

「ぁっ…」

 薄い被膜越しに感じる、真大の熱。
 その感覚と前を弄られる直接的な刺激に、翔真もとうとう自身を解放した。

「はぁっ…」

 挿入する側でないからと、コンドームを付けていなかった翔真の放った精液は、腹部から、体勢のせいで顎の辺りにまで飛び散っている。
 翔真は意識ごとぶっ飛んでいるらしく、真大が抱えていた足を下ろして体を離しても、肩を上下させて荒い呼吸を繰り返すだけで、反応が薄い。

「翔真くん、平気…?」
「は、ぁ…?」

 ティシューで顔に掛かった精液を拭ってやると、ようやく翔真の目の焦点が合って来る。

「真大…」
「ん?」
「すげぇ好き…」
「ッ、」

 トロリとした瞳に、疲労のせいか舌足らずの甘い口調。
 そして極め付けのセリフ。
 真大は再び暴走しそうになった自身に何とか歯止めを掛けて、愛しい人をギュッと抱き締める。

「俺もだよ。俺も翔真くんのこと、すげぇ好き!」
「…ん」

 その言葉に、翔真は嬉しそうに微笑んだ。

 ねぇ、知らなかったんだよ。
 本当に好きな人と1つになることが、こんなに幸せだなんて。
 好きだと告げられることが、こんなに嬉しいだなんて。

「翔真くん?」
「んはは…すっげぇ好き」

 今さら顔を赤くしている真大に、翔真は唇を寄せた。


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3月 さよならまた明日、嫌いじゃないよ。 (11)


 ローションやら精液やらが飛び散った汗まみれのシーツを洗濯機に放り投げ、真大が近くのコンビニで買ってきた弁当を2人で食べる。
 本当は一緒に買い物とか行きたかったけれど、翔真の足腰が立たなくて、それは諦めた。

「翔真くん、平気?」
「…何とか」

 食べ終わった弁当の空をゴミ箱に放り投げ、翔真はクッションを抱いて横になった。
 単にひどく疲れているから横になりたいだけなので、とりあえずいろいろ追及しないでもらいたい。恥ずかしいから。

「翔真くん」
「ん?」

 同じように床に寝そべった真大が、ズリズリと翔真のほうに近づいてくる。

「へへ…好き」
「うん」

 何となくぶっきらぼうな返事になったけれど、真大は構わず話を続ける。

「何かさー、すごく不思議な感じ。翔真くんのこと、大学入って最初に会ったとき、すっごく大嫌いだって思って…、でも今はこんなに大好き」
「…うん」

 真大の腕が伸びて来て、翔真の体を抱く。
 女の子を抱き締めるような柔らかさはなくて、真大の腕にも余るくらいの体格だけど、でもすごく愛おしい。

「翔真くんに好きって言われて、でも終わりにするって言われたとき、すっごいショックで……自分が好きかどうかもまだ分かってなかったのに、でももう終わっちゃうんだって思ったら、死ぬほど悲しかった」
「でもお前だって、『嫌いじゃない』て言って、言い逃げしようとしたじゃん」
「…………。そんなの知らない」
「おい!」
「んふふ」

 あのころ、どうしてあんなにも嫌いだったのかって、あのときからずっと心を開いていたら、あんなにツライ思いもしないで済んだんじゃないかって、そんなことも思うけれど。
 でもそのときのことがあったから、今がこんなにも大切で、愛おしいのだと思う。

 あなたといられるなら、どんなツライことにも耐えられるくらい、強くなれる。

「嫌いじゃないよ。大好き!」



 全部。全部大好き。






*END*


Fortune Fate








 えーっと…書いてる本人が不在の間に、連載終了とか……ホントに私って、何でこうなの…orz

 不在の間も多分読みに来てくださっているかたがいると信じて、予約投稿ながら、この記事にて、今までお話を読みに来てくださったかた、コメントを下さったかた、拍手やランキングをクリックしてくださったかたに感謝申し上げます。
 みなさんからの反応が、本当に書く励みになっています。
 ありがとうございました。

 ちなみにサードシーズンを書く予定はありません。
 …というと語弊があるかもしれませんが、ファースト・セカンドシーズンのように、1年12か月を追った書き方はしないということです。

 大学生で、寮に入ってて……という設定で書き続けたいので、サザエさん方式に、永遠の大学生でいさせようかと。
 もし、サードシーズンも…! いやむしろ卒業してからが…! と思っていてくださったかたがいたら、ごめんなさい。

 これからは、本編では書けなかったエピソードに重点を置いて、書いていこうと思います。
 その中で、3年生になったみんなが登場するかもしれません(…し、登場しないかもしれません)。
 そんな感じでこれからも、むっちゃんたちのこと、かわいがってあげてください。

 ちなみに明日もう1日いないので、番外編は明後日からアップします。
 明日は、お久しぶりです、メインカプの登場です。
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カテゴリー:恋するカレンダー12題
テーマ:自作BL小説  ジャンル:小説・文学

ささやかな独占欲


「―――……ッ…」

 頭からシャワーを被っていた拓海は、ピリッとした肩口の痛みに、一瞬だけ眉を寄せた。

(……コレ、)

 湯気で曇った鏡にお湯を掛けて自分の背中を映すと、そこには予想どおりの赤い傷跡。
 少しだけ口の端を上げ、拓海は手早くシャワーを済ませた。


 寝室からテレビの音が漏れてくるので、てっきり悠也が起きているのかと思ったら、リモコンを手にしたまま枕に顔をうずめて熟睡していた。

(息、苦しくないのかな…?)

 そういえば悠也は、うつ伏せになって、枕に顔を押し付けて寝ていることが多い。
 少しだけ長くなった襟足の毛に指を絡ませながら、拓海は悠也の手からリモコンを取ってボリュームを下げた。
 ベッドの端に腰を下ろすとスプリングがかすかに軋んだが、悠也に起きる気配はない。
 ふと、視界に入った、悠也の指先。その爪は、確かに短く切ってあるとは言い難い長さ。

「…ふっ」

 バスルームで見つけた小さな傷跡を思い出し、拓海はわずかに口元に笑みを乗せた。
 普段、愛だの恋だの口にしない彼の、ささやかな独占欲を垣間見たようで、何だか心地よくてくすぐったい。
 1人でぼんやりそんなことを考えていると、

「何1人で笑ってんの、気持ち悪ぃ~」
「―――ッッッ!!」

 テレビの中からではないその声に、ビクリと拓海の肩が震えた。ゆっくりとその声のほうを見てみれば、ぐっすりと眠っていたはずの悠也が、しっかりとこちらを見ていた。

「……起きてたの?」
「思い出し笑い? やらしいなぁ~、お前」

 枕を抱いて体をコロリと返した悠也は、ニヤニヤ笑いながら足先で拓海の背中を突付いた。

「そんなんじゃないから」
「じゃあ何だよー」
「別にいいじゃん、もう」

 本当のことを言ってしまうのは、思い出し笑いをしていたと思われるよりも、もっと恥ずかしい気がして、拓海は適当にごまかした。
 悠也は拓海をからかうのがおもしろくて仕方がないのか、「うひゃひゃひゃ」と笑い声を響かせながら、足の裏を上半身裸の拓海の背中にペタリと貼り付けた。

「何してんの」

 振り返りざま、拓海は悠也のその細い足首を掴んだ。

「ひゃっひゃっ」

 何がツボにはまったのか知らないが、悠也の笑いは止まらない。何を1人で笑っているのかとは、まさしくこちらのセリフだ。

「悠ちゃん、何が…」
「なぁ、それ、痛くねぇの?」
「え?」

 掴まれているほうの足先で、悠也が何かを指した。拓海が意味を図り損ねていると、悠也は足を自ら自由にして体を起こした。

「コレ、」
「ッ…」

 悠也が体を近づけてきたと思った次の瞬間、拓海は肩に走った小さな痛みにわずかに声を洩らした。

「俺だろ、コレ」

 見ると、悠也の赤い舌先が、拓海の肩の小さな傷を辿っていた。

「傷になってる」
「平気だよ、こんなの」
「爪、ちょっと伸びてるもんな」
「だから平気だって」

 っていうか、もっと付けてくれてもいいくらい。
 こんな傷の1つや2つで、心も体もぜんぶ悠也のものになるとは思わないけれど、でも、もっと見せ付けてほしい、その独占欲。

「……好きだよ、悠ちゃん」
「何だよ、急に。変なヤツだなぁ、お前。1人で笑ってたかと思うと、これだし」
「言いたかったんだもん」
「あっそ」

 素っ気なくそう言って、悠也は再びベッドに転がった。

「愛してる、愛してる、愛してる」
「何だよ、お前は!」

 甘い囁きというよりは、まるで呪文のように3回繰り返した拓海の背中を、悠也は突っ込みとともに蹴っ飛ばした。

「いいんだよ」
「だから何がだよ!」
「いいの」
「わけ分かんねぇ!」

 自分には理解不能な思考回路を持った恋人の背中に足を押し付けながら、悠也は渋い表情をする。

「悠ちゃんの爪と一緒」
「はぁ!?」

 どうしてそこに爪の話が出てくるのかと、しかしそれでも悠也は自分の手の爪を見遣るが、少し伸びかけているだけで、それは普段と何も変わらない。

「やっぱわけ分かんねぇ!」
「いいの」

 悠也の残した爪あとと同じ、ほんのささやかな拓海の独占欲。
 一生このまま縛り付けておけるほどの力もなくて。この背中の傷が消えてしまうように、きっと消えてなくなってしまうだろうけど。

「悠ちゃん、愛してる」
「うるせぇ、知ってるよ」

 腕を回してきた悠也の爪の先が、そっと傷跡をなぞった。





 お久しぶりでした。みなさん、悠ちゃんたちのこと、覚えててくれました?
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カテゴリー:拓海×悠也
テーマ:自作BL小説  ジャンル:小説・文学

Baby Baby Baby Love


 「君といる~」はセカンドシーズンで本編が終了し、これからは番外編をいろいろアップして行く予定です。本編を読まなくても話は通じるとは思いますが、カップリング等のネタバレにはなりますので、ご注意ください。

↑OLD ↓NEW

【ファーストシーズン :: 君といる十二か月】
【セカンドシーズン :: 恋するカレンダー12題】


【シーズン番外編 :: Baby Baby Baby Love】

■初体験で10のお題 (title:minuitさま) :: ゆっち&カズちゃん 初体験編 〔2nd 9月〕
 01. 思い描いて (1) (2) (3) (4) (5)
 02. 理性と欲望の葛藤 (1) (2) (3) (4) (5) (6)
 03. 誰のもの? (1) (2) (3) (4)
 04. ずっと、こうしたかった (1) (2) (3) (4) (5)
 05. 嫌だ、怖い (1) (2) (3) (4)
 06. 余裕はないけど (1) (2) (3)
 07. 止まれない衝動 (1) (2) (3)
 08. 大事に壊して (1) (2) (3)
 09. 愛ゆえに。 (1) (2) (3) (4)
 10. こんな気持ちは知らなかったよ (1) (2) (3) (4) (5)

■落下星 :: 亮タン&むっちゃん 初体験編 〔2nd 6月〕
 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10) (11) (12) (13) (14) (15)
 (16) (17) (18) (19) (20) (21) (22) (23) (24) (25)
 (26) (27) (28) (29) (30)
 (31) (32) (33) (34) (35)
 (36) (37) (38) (39) (40)
 (41) (42) (43) (44) (45) (46) (47) (48) (49) (50)
 (51) (52) (53)

みんなのセックスを勝手に考察してみる :: レギュラーメンバーのセックスについて、私が勝手に考察です。

■ラブラブデートで10のお題 (title:heaven'sさま) :: ラブラブデート編
 01. 決まらない服 (1) (2) (3) (4) (5) :: ゆっち&カズちゃん
 02. うん、可愛いよ (1) (2) (3) (4) :: 亮タン&むっちゃん
 03. プラチナ・リング (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) :: カズちゃん&むっちゃん
 04. どっちが似合う? (1) (2) (3) (4) :: 朋文さん&譲さん
 05. アフタヌーン・ティー (1) (2) (3) :: 真大タン&ゆっちさん & etc.
 06. 並んですわる? (1) (2) (3) (4) :: 蒼ちゃん&郁タン
 07. つないだ小指 (1) (2) (3) (4) (5) (6) :: ゆっちさん&カズちゃん
 08. じゃあ買ってあげる (1) (2) (3) (4) :: 亮タン&むっちゃん
 09. 同じもの2つ下さい (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) :: 真大タン&翔ちゃん
 10. 次の約束 (1) (2) :: 亮タン&むっちゃん (3) :: ゆっちさん&カズちゃん

星が死んだ (※注) :: むっちゃんの例の事件のこと。記事内の注意書きをお読みください。

■愛してほしい日々(title:約30の嘘さま)
  :: 亮タン&カズちゃん&翔ちゃん&真大タン 初詣編 〔3nd 1月〕

 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10)

■恋せよ乙女 ~レッスン編 :: カズちゃん ステップアップ編 〔3rd〕
 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9)

■恋せよ乙女 ~実践編 :: カズちゃん ステップアップ編 〔3rd〕
 (1) (2) (3) (4) (5)*R15 (6) (7) (8) (9) (10)
 (11) (12) (13) (14) (15) (16)

■僕らの青春に明日はない :: 学園祭編 〔3rd 11月〕
 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10)
 (11) (12) (13) (14) (15) (16) (17) (18) (19) (20)
 (21) (22) (23) (24) (25) (26) (27) (28) (29) (30)
 (31) (32) (33) (34) (35) (36) (37) (38) (39)*R15 (40)
 (41) (42) (43) (44) (45) (46)
 (47) (48) (49) (50) (51) (52) (53) (54) (55) (56) (57) (58) (59) (60)
 (61) (62) (63) (64) (65) (66) (67) (68) (69) (70)
 (71) (72) (73) (74) (75) (76) (77) (78) (79) (80)
 (81) (82) (83) (84) (85) (86) (87) (88) (89) (90)
 (91) (92) (93) (94) (95) (96)
 *サプライズプレゼントいただきました。2010.5.7記事「サプライズ三昧」

■おでこ体温計 :: むっちゃん 風邪引き編 〔3rd〕 (前編) (後編)

■ボクたち男の子! *R15 *性的な表現はありませんが、全体的にずっと下ネタです。
  :: カズちゃん・亮タン・翔ちゃん 「僕らの青春に~」後日談編 〔3rd〕 (前編) (中編) (後編)

■touch me! :: むっちゃん お腹冷たい編 〔3rd〕 (前編) (後編)

■secret love? :: カズちゃん バレちゃった編 〔3rd〕 (1) (2) (3) (4) (5) (6)

ラブホバトン *R15 :: カズちゃん・むっちゃん・翔ちゃん 〔3rd〕

■世界はやさしい :: むっちゃん&カズちゃん 酔っ払い編 〔3rd〕
 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10) (11) (12) (13)
 (14) (15) (16) (17) (18) (19) (20) (21) (22) (23) (24)

■冬の恋人10のお題 (title:Neptuneさま) :: 冬のラブラブ編 〔3rd〕
 ふたりでひとつのマフラー (1) (2) (3) :: ゆっちさん&カズちゃん
 片手はてぶくろ、片手は繋ぐ (1) (2) (3) (4) (5) :: 真大タン&翔ちゃん、隼人くん
 同意の返事 (1) (2) :: 亮タン&むっちゃん
 部屋でまったり (1) (2) (3) (4) (5) :: 蒼ちゃん&郁タン
 ひっついて (1) (2) (3) :: 朋文さん&譲さん
 寒いけどあったかい (1) (2) (3) :: 亮タン&むっちゃん
 嬉しいプレゼント (1) (2) (3) (4) (5) (6) :: 朋文さん&譲さん
 ぬくぬくお風呂 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) :: 寮のみんな
 ずっと一緒にいたいから (1) (2) :: 蒼ちゃん&郁雅
 ハッピークリスマス :: all members
  (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10)
  (11) (12) (13) (14) (15) (16) (17) (18) (19)

大好きな親友について徹底的に答えよう! :: むっちゃん&カズちゃん

受け攻め固定で新境地シチュエーションバトン :: 年末年始企画。レギュラーメンバーで新境地


■ホラー映画にはご用心 :: むっちゃん・カズちゃん・翔ちゃん・真大タン and more 〔3rd〕
 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9)

■キャンディじゃなくてキスが欲しいよ (title:LUCY28さま) :: カズちゃんホワイトデー編 〔3rd〕
 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10)
 (11) (12) (13) (14) (15) (16)

■溺れてしまえ :: 翔ちゃんムラムラ編 〔3rd〕
 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10) (11)

■one night in heaven :: むっちゃん旅行編 〔3rd〕
 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10)
 (11) (12) (13) (14) (15) (16) (17) (18) (19) (20)
 (21) (22) (23) (24) (25)
 (26) (27) (28) (29) (30)

■もうさようならの時間 :: むっちゃん浮気疑惑!? 編 〔3rd〕
 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10)
 (11) (12) (13) (14) (15) (16) (17) (18) (19)

■あいつとのヤバイ15題 (title:TOYさま)
 1. ヤバい! もしかして、今の見られた!? (1) (2) (3) (4) (5) (6) :: ゆっちさん&カズちゃん

■腐女子の妄想
 in the train :: 亮タン&むっちゃん編 (前編) (後編)
 in the train :: ゆっちさん&カズちゃん編 (前編) (中編) (後編)

■君を覆うやさしい銀河 (title:約30の嘘さま) :: クリスマス企画パラレル編
 (1) (2) (3) (4) (5)

SM度チェック! :: むっちゃん&カズちゃん&真大タン

■Honey Bunny Baby! :: 2011年好きカプアンケ1位 ゆっちさん&カズちゃん
 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10)
 (11) (12) (13) (14) (15)
 (16) (17) (18) (19) (20)
 (21) (22) (23) (24)

■お馬鹿な君の可愛いところ七題 (title:jachinさま) :: 2011年好きカプアンケ2位 亮タン&むっちゃん
 1. 目を離せば問題行動するところ (1) (2) (3)
 2. テンションが上がると奇声を発するところ (1) (2) (3) (4) (5) (6)
 3. 悪気は無いこと『だけ』は伝わってくるところ (1) (2) (3) (4) (5)
 4. いい匂いにつられてふらふらと消えるところ (1) (2) (3) (4) (5)
 5. 叱る気も失せる笑顔を持っているところ (1) (2) (3)
 6. 慌てて裸足で追っかけてくるところ (1) (2)
 7. 理由もなく体を突っついてくるところ (1) (2)

■タピオカミルクティ :: 亮タン&むっちゃん 〔3rd〕 (前編) (後編)

■一応説明させてもらうと (title:as far as I knowさま) :: むっちゃんの好きなところ編 〔3rd〕
 意地っ張りなところ (1) (2) (3) (4) (5)
 小さいのに大きいところ (1) (2) (3) (4) (5) (6)
 大人しいと思ったら寝てるところ (1) (2) (3)
 嘘つきで照れ屋なところ (1) (2) (3) (4)
 背中を向けられるのが苦手なところ (1) (2) (3) (4) (5)
 爪先立ちで無理してるところ (1) (2) (3)
 「目の中にゴミが」なんて言うところ (1) (2)
 イラつくとやつあたってくるところ (1) (2) (3) (4)
 「さっきはごめん」と謝るところ (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7)
 精一杯返そうとするところ (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10)
 手がいつも冷たいところ (1) (2) (3) (4) (5)
 もどかしいくらい無欲なところ (1) (2) (3) (4) (5)
 楽をするのが下手なところ (1) (2)
 嬉しそうに見つめてくれるところ (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9)
 ......とりあえずこんなところかな。

■バレンタインの魔法使い :: 隼人くん&湊くん バレンタイン編
 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10) (11) (12)

■愛には逆らえない :: 朋文さん&譲さん バレンタイン編
 (1) (2) (3) (4)

■オー!マイ・シュールラヴァー!夢の中で待っていて頂戴 (title:ロレンシーさま) :: みんなで部屋飲み編
 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10) (11) (12) (13) (14) (15)

■キャラメル・シュガーの王子様 (title:少年の唄。さま) :: バケツプリンパーティー!
 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10) (11) (12) (13) (14) (15) (16) (17)

■もしかしたら君は天使かもしれない。 (title:少年の唄。さま) :: 浴衣スペシャル!
 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10)
 (11) (12) (13) (14) (15) (16) (17) (18) (19) (20)
 (21) (22) (23) (24) (25) (26) (27) (28) (29) (30)
 (31) (32) (33) (34) (35) (36) (37) (38) (39) (40)
 (41) (42) (43) (44) (45) (46) (47) (48) (49) (50)
 (51) (52) (53) (54) (55) (56) (57) (58) (59) (60)
 (61) (62) (63) (64) (65) (66) (67) (68) (69) (70)
 (71) (72) (73) (74) (75) (76) (77) (78) (79) (80)
 (81) (82) (83) (84) (85)

■柔らかい夜に魔法はいらない (title:ロレンシーさま) :: むっちゃん里帰り編
 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10)
 (11) (12) (13) (14) (15)

童話配役バトン :: 年末年始企画。レギュラーメンバーで童話配役!

3人で仲良くしてみる? バトン :: 年末年始企画。カズちゃん&亮タン&ショウちゃんで、仲良くしよう!

■気まぐれシュガー (title:majolicaさま) :: 亮タン&むっちゃん冬恋編
 (1) (2) (3) (4) (5)

■チェックメイトで逃げられない (title:operettaさま) :: 譲さん&朋文さん冬恋編 (前編) (後編)

■桜舞 :: ゆっちさん&カズちゃん春恋編
 (1) (2) (3)

■ベイビーネービーブルー (title:明日) :: むっちゃんお熱編
 (1) (2) (3) (4) (5) (6)

■世界はほんの少しの溜め息で出来ている (title:明日) :: むっちゃんカズちゃん&翔ちゃん 記念日覚えてる? 編
 (1) (2) (3) (4) (5) (6)

それが恋の歌 (title:明日) :: 亮タン&むっちゃん イヤホン編

■明日死んでもいいなんて、嘘 (title:明日) :: 隼人くん&湊くん 相合傘編
 (1) (2) (3) (4) (5) (6)

■心臓だけを狙っている (title:明日) :: みんなで壁ドン編
 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10)
 (11) (12) (13) (14) (15) (16) (17) (18) (19) (20)
 (21) (22) (23) (24) (25) (26) (27) (28) (29) (30)
 (31) (32) (33) (34) (35) (36) (37) (38) (39)

■どうしたって、君には敵わない (title:明日) :: 真大タン&翔ちゃん 翔ちゃん泥酔編
 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10) (11)

■その手なら離さないでね (title:明日) :: むっちゃん迷子編
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01. 思い描いて (1)


 今回のお話は、「君といる十二か月」「恋するカレンダー12題」の番外編となります。本編を読んでいなくても多分通じると思いますが、カップリング等のネタバレにはなりますので、ご注意ください。

 自分はもしかしたら、とんでもない変態なのではなかろうかと、最近の和衣は密かに心配している。

 祐介と付き合うようになったのが去年のクリスマス。季節は夏になり、あれから半年以上が経ったというのに、2人の関係は相変わらず、キス止まりの清い仲。

 付き合ってどのくらいでキスの先まで進むとか、そんなの人それぞれで、何が正しいかなんてないはずなのに、このごろの和衣はずっと、このままじゃいけない! と思い続けている。
 もう半年以上経つのだから、キスのその先まで進みたい! とずっと思っていて。

 そして、そんなことばかり考えているなんて、俺って欲求不満? それともやっぱ変態? と、我に返った瞬間に落ち込んでしまうのだった。

(祐介は、何とも思ってないのかな…)

 学校では殆どずっと一緒にいるし、週末もよく一緒に出掛けるけれど、祐介からはそんな雰囲気も空気も伝わって来ない。
 昼間はもちろんそうだけど、夜も外でご飯を食べたって、それなりの時間には寮に帰って来てしまう。

(何で? 何で?)

 和衣はボフボフと枕を殴った後、そこに顔をうずめた。

 祐介だって男なんだから、性欲くらいはあると思う。
 なのに2人でいてそんな雰囲気にならないということは、やはり自分には祐介をその気にさせるだけの魅力や色気がないのだろうか。

(ないのかなー。…………ないよねー、男の体だし…)

 寮の風呂は共同だから、和衣も男の素っ裸ならいくらでも見ているが、かといってそれで変な気分になったことは1度もない。それが祐介の裸だとしても。

 たぶん他にも人がいるし、和衣が考えているようなシチュエーションと掛け離れているからだと思うが、でもいざというとき、祐介の裸を見ても自分の体が思うような反応をしなかったら、どうしようと思い悩んでしまう。

 しかもそれが自分だけならまだしも、祐介もそうだったら、きっともうどうしようもない。
 もしそうだったら、和衣がいろんなテクニックを駆使して、いろいろしてあげたら、うまくいくだろうか。
 生憎、そこまでのスキルは持ち合わせていないけれど…。

(だいたい、男同士のエッチって、どうすんの?)

 和衣は、女の子とはシたことがあるけれど、男とは経験がない。
 しかも女の子との経験値も、高校のころに付き合っていた彼女だけ。1回だけというわけではないが、同世代の男の子と比べたら、決して多いとは言えない回数で。

 このところ祐介とキス以上の関係に進みたいとばかり考えている和衣だが、実際にそこまで漕ぎ着けるには問題が山積みなのだと再認識して、溜め息を零した。




 はい。ということで、本編ではズバッと端折った、ゆっちさん&カズちゃんの初体験編です。本編でいうところの、セカンドシーズン9月くらいです。
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01. 思い描いて (2)


 とりあえず分からないことは、分かる人に聞けばいい。

 ということで和衣が向かった先は、翔真の部屋。
 亮か睦月に聞こうかとも思ったが、2人がそこまで進んでいるのか分からないから、とりあえず経験豊富な翔真を頼りにしようと思った。

 亮も女の子との経験なら多いけれど、睦月に内緒でこっそりとは聞き出せそうもないし、睦月がいるのに、亮に過去の経験を聞くのはあんまりだから。

 そして翔真の部屋に押し掛けた和衣は、嫌がる翔真を無理やり説得して、ネットでそれっぽいサイトを探してもらった…………はいいが、内容が内容なだけに、画像も文章も際どく露骨なわけで。

(ッ…!!!!)

 なぜこの人は縛られているの?
 この目隠しのマッチョの人は一体何者?
 そしてこの、いかんとも表現し難い2人の体勢は…!?

「カズ?」
「こ…こんなの、無理! 無理無理無理! 俺、こんなの出来ないっ!」
「いや、でもこれ、エロビの紹介だしさ、大げさに書いてあるって」

 男同士って、こんなことしなきゃいけないの?
 俺、祐介と、こういうことすんの? どどどどっちが俺? 縛られるほう? それともあれが祐介?
 そんなの絶対に無理…!!

「いやいやいや、これはないだろ! 絶対しないって!」

 翔真が慌てて宥めるも、和衣は真っ青な顔で固まったまま動けない。
 だって表示されているDVDのどのパッケージを見ても、男の子は縛られていたり、目を覆いたくなるような体位をさせられたりしているし、タイトルも煽り文も、とても口に出せないような言葉ばかりが並んでいる。
 これでは翔真の言う、これはないとか、絶対しないとか、そっちのほうが信じられない。

「他の…、他の見よ!」

 そう言って翔真が別のサイトを展開させると、和衣たちと同世代と思われる男の子たちが表示された。
 半裸で抱き合ったりキスをしたりしているが、2人とも笑顔で写っているだけ、先ほどのみんなが辛そうな表情をしているものよりは、抵抗感が少ない。

 けれど。
 やはりジャンルはアダルトだから、その紹介文はそれなりに生々しい。

(お尻……お尻に入れるんだ…。…………、そうだよね、他に入れるとこないもんね。てか、入るの? 俺の……祐介のお尻に? それとも祐介のが、俺の中に…)

 ゴクリ。
 その行為が妙にくっきりと頭の中に浮かんで、和衣の喉が思わず鳴った。

 先ほどまでの、体中を縛ったり目隠しをされたりというものよりは、こちらのほうが現実味がある。おそらく祐介と事に及ぶとなれば、こういうことをするのだろう。
 けれど他にも見ていけば、単に抱き合ったり、いわゆる正常位でやったりするだけではなく、前戯も体位もいろいろあって。

「カズ?」
「は…や、ヤバ…、鼻血出そ…」
「えぇー!? ちょちょっと! カズ! カズ、大丈夫!?」
「無理…」

 鼻血が出そうなほどのぼせてしまった和衣は、鼻を手で押さえたまま体の力が抜けてしまって、ズルリと椅子の上を滑り落ちてしまった。
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01. 思い描いて (3)


「は、ぁ…ショウちゃーん…」
「よしよし、もう大丈夫だから」

 床に落ちる前に受け止めてくれた翔真に縋り付けば、よしよしと宥められた。

 万が一、祐介が和衣の体を見てもその気になってくれなかったときは、テクニックでカバーしなければ! と思っていたのだが、今見たことを実際に自分がしなければならないのだとしたら、ハードルはかなり高い。
 翔真は、祐介と一緒に勉強すれば大丈夫だと言うが、そんなのただの言葉だけの慰めとしか思えない。

 しかも、もう無理! 絶対無理! て和衣が翔真に泣き付いていたら、蒼一郎がデートから帰って来て、おまけにゲイサイトを見ていたことも、祐介と付き合っていることもバレてしまって。

「カズ、この際だから、言っちゃったら? こればっかりは、俺より蒼のほうが頼りになると思うけど」

 実は蒼一郎が郁雅と付き合っているという事実を聞かされ、翔真からも実際に経験のある人から教わったほうがいいと言われて、和衣はようやく意を決した。

「……あぅ…。えっと…あのね、あのー……蒼ちゃんは、郁雅とエッチしたことある?」
「えっ」

 ストレートすぎる言葉に蒼一郎が固まるのも構わず、和衣は、祐介と次のステップに進むためにはどうしたらいいのか教えてほしいと、切に頼み込む。

「師匠、お願いしますっ!」

 口元を引き攣らせている蒼一郎に、和衣は深々と頭を下げた。



*****

 後学のために翔真も一緒に話を聞けばいいと思ったのに、絶対イヤ! とすげなく断られ、和衣は蒼一郎師匠と2人でお勉強することになった。

 やはり、あのとき翔真と一緒に見たゲイサイトやDVDのサイトにあったとおり、男同士の場合、お尻を使うらしい。
 中には挿入までしないカップルもいるらしいけれど、出来ることなら祐介と1つになりたいし、しつこく食い下がって蒼一郎から聞き出せば、郁雅とは挿入ありのセックスをしているようだから、自分たちだって無理ではない気がする。

「でもさぁ蒼ちゃん、お尻って、ホントに気持ちいいの?」
「ブハッ!」

 翔真が不在の部屋、勝手にパソコンを構うのも悪いので、蒼一郎のパソコンでゲイサイトを見させてもらいながら、和衣はふと湧いた疑問をぶつけてみた。
 サイトを見る限り、挿入しているほうも、それを受け入れているほうも、すごく気持ちよさそうな顔をしているが、和衣にしたら、本当にこんなところに入るの? 本当に気持ちいいの? と思わずにはいられない。

 好きな人とするセックスなんだから、気持ちいいには決まっているだろうけれど、肉体的にちゃんと快感を得られるのだろうか。どんなに触れ合っていたくとも、痛くて苦しかったら、絶対に続かないと思う。
 けれどネットからの情報は、カメラの向こうの世界だったり、知らない誰かの書き込みであったりと、生の声を聞けているようで何も聞けていない。だとしたら、この1番身近にいる実体験者から聞くしかないと思うのだ。
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01. 思い描いて (4)


「どうなの? 気持ちいい?」

 真っ昼間から、とんでもないことを真顔で聞いて来る和衣に蒼一郎はたじろぐが、そんなことお構いなしに和衣は詰め寄って来る。

「てか、蒼ちゃんはどっちなの? 入れるほうなの? 入れられるほうなの?」
「え? えー?」

 この子は、一体何を聞いて来るのだろう。
 しかも、冗談や興味本位ではなく、本気だ。

 答えるまでは決して引き下がりそうもない和衣に根負けして、入れるほうだと答えれば、和衣は「で、それは気持ちいいの? 女の子とするのと違うの?」とさらに問い詰めてくる。

「えっと…まぁ、女の子とは違うけど、気持ちいいよ」
「じゃあ、入れられるほうは? 郁雅も気持ちいいのかな?」
「えー…多分、いいと思うけど…」

 欲目かもしれないが、最中の郁雅は気持ちよさそうな顔をしているし、素直にいいと言ってくれるから、蒼一郎もそうだと思っているが、何しろ受け入れる側は経験したことがないので、多分としか言いようがない。

「てか、その、入れるとか入れられるって、どうやって決めんの? 蒼ちゃんたち、どうやって決めたの?」
「どうやってって……何となく」
「えぇー。何となく決まるもんなの? ホント?」

 和衣は疑わしげな目で蒼一郎を見るが、何となくいつの間にかそうなっていたと言って、蒼一郎はそれ以上、教えてくれなかった。

「祐介はどっちがいいのかな」

 和衣的には、やはり自分は男だから、出来れば入れるほうがいいけれど、でも祐介も同じことを考えていたら、きっとうまくいかないだろうから、考え直さなければならない。
 蒼一郎は、何となく決まったなんて言うけれど、本当に何となく決まるようなことなのだろうか。

「んー…、とりあえず、どっちがどっちになっても分かるように、ちゃんと勉強しとかなきゃだよね!」
「あー……うん、そだね…。てか、祐介くんと一緒に勉強したら? だって2人とも男とヤるの初めてなんでしょ? カズちゃんだけ知っててもさ、うまくいかないと思うよ」
「う…やっぱそっかな? そうだよね。でも何て言えばいいのかな…。エッチがうまくいくように、一緒に勉強しよ? とか言ったら、引かれるよね?」
「確実にね」

 一緒に勉強したほうがいいと言ったのは蒼一郎のほうなのに、その誘い方はきっぱりと否定され、和衣はちょっと落ち込む。
 でも、回りくどい言い方をしても、こればかりは雰囲気で伝わるものではない気がする。
 とすれば、やはり和衣がいっぱい勉強をして、祐介に教えてあげたほうがいいのだろうか。

「ねぇ蒼ちゃん、これ何? 動画? どうやって見るの?」

 とりあえずいろいろなサイトを見て回るのが手っ取り早いと思ったのか、再び真剣にパソコンの画面に向かった和衣が見つけたのは、ゲイ関係の動画サイトらしい。
 勉強熱心なのはいいが、夢中になりすぎて、変なサイトを覗かなければいいと心配した蒼一郎は、念のために確認してから、再生用のボタンをクリックしてあげた――――が。

「ヒッ…!」

 再生が始まってすぐに、和衣は悲鳴のような声を上げて固まった。
 動画は、いきなり真っ最中の本番シーンを映し出したのだ。

 実のところ、和衣は今までにアダルトビデオを見たことがなくて、人のセックスシーン見るのは、正真正銘、これが初めてのことだったから、衝撃のあまり思考回路が完全にストップしてしまった。

「…カズちゃん、大丈夫?」

 心配になって蒼一郎が声を掛けるが、動画はDVDの紹介用だったらしく、和衣がフリーズしているうち、再生は終わってしまった。
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01. 思い描いて (5)


「ふ、わ…」
「カズちゃん……平気? ……じゃないみたいだね…」

 それほど長いの動画でもないのに、和衣は顔を赤くしたまま、動けずにいる。
 先ほどまで、よくもそんなに大胆な質問が出来るものだと思っていたら、単に免疫がなさすぎて、事態をよく飲み込めないでいただけだったのだと、蒼一郎はようやく納得した。

「でも、カズちゃんがしたいって言ってんの、こういうことだよ?」
「う…」

 蒼一郎に釘を刺すように言われて、和衣は言葉に詰まった。

(い…今みたいのを、…………するんだよね…)

 ていうか、蒼一郎と郁雅は、こういうことをしてるんだよね。
 入れてるほうが蒼一郎で、入れられてるほうが郁雅…………

「…て、うわーーー!!!」
「えっ何!?」

 急に大きな声を上げて、椅子を蹴散らすように立ち上がった和衣に、隣の蒼一郎は驚いて椅子から転がり落ちそうになった。

「何、カズちゃん、どうした?」
「う…や…何でもない…」

 ほんの十数秒の動画だが、登場していた男の子たちを、和衣は頭の中で勝手に蒼一郎と郁雅に置き換えてしまって、慌ててそのイメージを振り払った。

「はぁ…」

 大きく息をついて、和衣は椅子にドサリと座った。
 いっぱい勉強してがんばろう! と意気込んではいたものの、こんな短い動画ですらまともに見れないなんて、こんなんじゃダメだ…と、和衣はますます落ち込んだ。

 高校生のころ、彼女と初めてエッチをしたときだって、ここまでテンパらなかった気がするのに、どうして今になって、たかがこれだけの動画でこんなになってしまうのだろう。
 しかも男の体なんて、嫌ってほど見慣れているのに。

「それはやっぱ、カズちゃんがゲイじゃないからでしょ? 女の子よりも男のほうがいいとか、男の体見て興奮するとかじゃなくて、祐介くんだから好きになったってだけで」
「…ん」

 確かに祐介のことは好きだけれど、だからと言って、女の子よりも男のほうがいいかと言えば、そうではなくて。
 蒼一郎の言うとおり、祐介という存在そのものを好きなのだ。

「だから、男同士でヤッてるの見るのに抵抗感があるんじゃない? その…何て言うかな、偏見とかそういうんじゃなくて、単純に男の裸に興味がないから、そういうの見てても、実際にイメージが湧いてないっていうか…」
「うー…うん…」
「で、それを自分たちに当てはめたときに、あまりのことにパニック、と」
「そうかもしんない…」

 だって和衣は、ほんの最近まで、男同士でどういうふうにセックスをするのかすら、知らなかったのだ。
 男女のことなら学校で性教育も受けるし、テクニック云々を抜きにすれば、アダルトビデオを見なくても、それなりに知識は入ってくるけれど、男同士は自分で知ろうとしなければ、縁のないこと。
 それなのに、ここに来て一気にいろいろな知識が入ってきたうえに、こんな動画まで見てしまって、完全に和衣のキャパを超えてしまった。

「無理しなくていいんじゃない? 誰でもいいから男とシたいってんなら、こういうの見れないようじゃアレかもだけど、そうじゃないんだし」
「でも…いざ祐介とするときに、うわっ! てなっちゃったらどうしよう…」
「いやいや、うわっ! はないでしょ、反応として。好きな人なんだから。そんなに心配なら、もっといろいろ見て、免疫付けるしかないんじゃないの?」

 蒼一郎のアドバイスに、和衣はチラリとパソコンに視線を向けた。
 ほんの数十秒の動画ではあったけれど、和衣の度肝を抜くには、十分すぎたのに。

「う~~~……でもがんばる!! だから蒼ちゃん、次の見よ!」
「え、俺も見るの!?」
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02. 理性と欲望の葛藤 (1)


 慣れというのは恐ろしいもので、ゲイDVDを紹介するほんの十数秒の動画すらまともに見れなかった和衣も、数をこなすうち、ノーマルなものであれば平気になって来ている。
 熱心なのはいいが、ゲイのエロ動画を見ること自体に、これ以上はまらなければいいがと蒼一郎は心配しているけれど、最近の和衣は、ネットで見れる無料の動画だけでは物足りなさを訴えるから困る。

「あとはもう、DVDとかしかないんじゃない? 借りて来れば?」
「誰に?」
「誰にって……いや、普通にビデオ屋行けば、あるっしょ。ゲイのだって」
「そうなの?」
「いや、知らないけど」

 実際、蒼一郎だって、郁雅以外の男に興味があるわけではないから、ゲイビデオを見ようだなんて今までに思ったこともなくて、どうすれば入手できるかなんて知らないし、知りたくもない。
 けれど和衣は、DVD見てみたい! 蒼ちゃんが言ったんだから、一緒に方法を探そうよ! と蒼一郎の服の袖を掴んで放さない。

「分かった、分かったから!」

 あぁ、何が悲しくて、ゲイビデオのことをこんなに詳しく調べなければならないんだろう。
 蒼一郎はガックリと肩を落としつつ、パソコンに向き合った。

「あーダメだわ、カズちゃん。ゲイのDVDとかって、レンタル禁止なんだって」
「え、ウッソ」

 蒼一郎が指し示す画面を覗けば、確かにゲイビデオやDVDはレンタル禁止の場合が多いと書かれていた。

「何で? 何でー? 借りれないなら、どうすればいいの?」

 せっかくDVDを見る気満々になって来たというのに、この盛り上がった気持ちを、どうすればいいというのか。

「…………、DVD買うとか?」

 恐らくそこまではしないだろうと思いつつ、蒼一郎がそう提案してみれば、和衣はすぐに「どこで買えんの?」と食い付いて来る。

「えっと…ネットとか? 多分、普通の店じゃ売ってないような気がする」
「俺、ネットで何か買ったことないんだけど」
「…………」

 自分のパソコンすら持っていないのだから、それも当然のことだとは思うが、この分だと、蒼一郎に買ってくれと言い出しかねない。
 いや、現にもうすでに和衣は、一緒にやってくれるよね? という目で、蒼一郎を見つめている。

「分かったから! カズちゃん、そんな目で俺を見ないで!」

 やはり最終的には蒼一郎が折れるハメになったのだった。





 このくだりを書き終えてから、念のために調べたら、ゲイのDVDはレンタル禁止が多いって知って、慌てて書き直した思い出のお話。やっぱ下調べって大切なんですねぇ…。
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