スポンサーサイト
--.--.-- --
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
- BL小説ランキング参加中です。クリックいただけたら嬉しいです。
- コメントや拍手、ありがとうございます。拍手の公開コメントへのお返事はこちらから。それ以外は、コメントをいただいた記事に返信いたします。
- お題配布サイト「明日」はひっそりまったり更新中です。毎日更新しない日誌「遊び心がない」もよろしくね。
カテゴリー:スポンサー広告
僕らの青春に明日はない (84)
2010.05.26 Wed
「むっちゃん、俺の、半分上げるよ」
「え、カズちゃんの貰ったら、意味ないじゃん」
和衣が手元にある旅行券を睦月に渡そうとするから、睦月はギョッとした後、眉を寄せた。
一体和衣は、どこまでお人好しなんだろう。本気で、旅行券を取るのは愛菜と眞織のためだけだった、とでも言うつもりなのだろうか。
「じゃあ、やっぱカズちゃん3万で、あとは1万ずつ。これで決まり。いいでしょ?」
「やっ、それじゃ、俺だけ多い!」
「もーうるさい! 計算が面倒くさいから、もういいの!」
「そんなぁ~…」
ピシリと愛菜に言われ、和衣は言い返す術を失う。
だいたい、自分の取り分が少なくて文句を言うならまだしも、自分の分が多いから嫌だと嘆く人間なんて、そうそういるものではないが。
「あ、いいこと思い付いた! 俺2万円分貰うから、この1万……愛菜ちゃんと眞織ちゃんで分けてよ。ね、そうしよ?」
はい! と、今度は和衣が、有無を言わせずに1万円分の旅行券を愛菜に渡した。
つまりこれで、和衣は2万円、愛菜と眞織は1万5,000円ずつ、あとは1万円ずつという分け前になる。
一番がんばったのは和衣かもしれないが、愛菜と眞織だったそれに負けないくらいがんばって気合を入れていたから、人が好すぎると言われたとしても、和衣は彼女たちに旅行券を多く分けてあげたい。
全然乗り気になれない和衣に挫けることなく、全部用意してくれて、段取りもしてくれたのは、この2人なのだから。
「亮ー、はい」
「…は?」
貰った旅行券の裏も表もしっかりじっくり見た後、睦月は自分の旅行券を亮のほうに差し出した。
「何、どうしたの? 睦月?」
「持ってて」
「俺が?」
「そう」
え、何で? と不思議顔の亮に構わず、睦月は旅行券を亮に押し付けてしまった。
受け取った亮も、どうしていいのか分からない。だって睦月は、『持ってて』と言っただけで、『亮に上げる』とは言っていないわけで。
「睦月?」
「いいじゃん。だって旅行は、亮が連れてってくれるんでしょ?」
「…………。…ふはっ、もちろん」
本当に好きな人の前では素直になれない睦月の、精一杯のおねだり。
亮は、笑顔でOKの返事をするしかない。
「祐介、あの…」
愛菜と眞織が、どこ行くー? なんて話し始め、意識がこちらに向いていないことを確認すると、和衣は首を傾げて、ポテッと祐介の肩に頭を乗せた。
「…お疲れ様、和衣」
「ん…。あの…あのね、祐介、……旅行…」
旅行券貰えたし、一緒に旅行……と言おうとして、和衣は口を噤んだ。
愛菜と眞織に、『旅行券を取ったら、彼女と旅行に行けるよ~』と唆され(和衣の場合、厳密には"彼女"ではないが)、ステージ上で真大にも『旅行券ゲットして、彼氏と旅行!』と言われていたので、和衣はすっかりその気になっていたのだが、そう言えば祐介の気持ちを聞いていない。
ここで祐介を旅行に誘うのは、あまりにも唐突すぎるだろうか。
「え、カズちゃんの貰ったら、意味ないじゃん」
和衣が手元にある旅行券を睦月に渡そうとするから、睦月はギョッとした後、眉を寄せた。
一体和衣は、どこまでお人好しなんだろう。本気で、旅行券を取るのは愛菜と眞織のためだけだった、とでも言うつもりなのだろうか。
「じゃあ、やっぱカズちゃん3万で、あとは1万ずつ。これで決まり。いいでしょ?」
「やっ、それじゃ、俺だけ多い!」
「もーうるさい! 計算が面倒くさいから、もういいの!」
「そんなぁ~…」
ピシリと愛菜に言われ、和衣は言い返す術を失う。
だいたい、自分の取り分が少なくて文句を言うならまだしも、自分の分が多いから嫌だと嘆く人間なんて、そうそういるものではないが。
「あ、いいこと思い付いた! 俺2万円分貰うから、この1万……愛菜ちゃんと眞織ちゃんで分けてよ。ね、そうしよ?」
はい! と、今度は和衣が、有無を言わせずに1万円分の旅行券を愛菜に渡した。
つまりこれで、和衣は2万円、愛菜と眞織は1万5,000円ずつ、あとは1万円ずつという分け前になる。
一番がんばったのは和衣かもしれないが、愛菜と眞織だったそれに負けないくらいがんばって気合を入れていたから、人が好すぎると言われたとしても、和衣は彼女たちに旅行券を多く分けてあげたい。
全然乗り気になれない和衣に挫けることなく、全部用意してくれて、段取りもしてくれたのは、この2人なのだから。
「亮ー、はい」
「…は?」
貰った旅行券の裏も表もしっかりじっくり見た後、睦月は自分の旅行券を亮のほうに差し出した。
「何、どうしたの? 睦月?」
「持ってて」
「俺が?」
「そう」
え、何で? と不思議顔の亮に構わず、睦月は旅行券を亮に押し付けてしまった。
受け取った亮も、どうしていいのか分からない。だって睦月は、『持ってて』と言っただけで、『亮に上げる』とは言っていないわけで。
「睦月?」
「いいじゃん。だって旅行は、亮が連れてってくれるんでしょ?」
「…………。…ふはっ、もちろん」
本当に好きな人の前では素直になれない睦月の、精一杯のおねだり。
亮は、笑顔でOKの返事をするしかない。
「祐介、あの…」
愛菜と眞織が、どこ行くー? なんて話し始め、意識がこちらに向いていないことを確認すると、和衣は首を傾げて、ポテッと祐介の肩に頭を乗せた。
「…お疲れ様、和衣」
「ん…。あの…あのね、祐介、……旅行…」
旅行券貰えたし、一緒に旅行……と言おうとして、和衣は口を噤んだ。
愛菜と眞織に、『旅行券を取ったら、彼女と旅行に行けるよ~』と唆され(和衣の場合、厳密には"彼女"ではないが)、ステージ上で真大にも『旅行券ゲットして、彼氏と旅行!』と言われていたので、和衣はすっかりその気になっていたのだが、そう言えば祐介の気持ちを聞いていない。
ここで祐介を旅行に誘うのは、あまりにも唐突すぎるだろうか。
- 関連記事
-
- 僕らの青春に明日はない (85) (2010/05/27)
- 僕らの青春に明日はない (84) (2010/05/26)
- 僕らの青春に明日はない (83) (2010/05/25)
- BL小説ランキング参加中です。クリックいただけたら嬉しいです。
- コメントや拍手、ありがとうございます。拍手の公開コメントへのお返事はこちらから。それ以外は、コメントをいただいた記事に返信いたします。
- お題配布サイト「明日」はひっそりまったり更新中です。毎日更新しない日誌「遊び心がない」もよろしくね。
カテゴリー:Baby Baby Baby Love
テーマ:自作BL小説 ジャンル:小説・文学