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キャンディじゃなくてキスが欲しいよ (5)
2011.03.07 Mon
「何?」
「なーんかさぁ、そういうのって、ウザくない? 束縛みたいな?」
「えー…。超嫉妬深いカズちゃんが、今さら?」
電子レンジの中で温まっていく料理を見ながら、睦月は冷ややかな視線を向ける。
和衣のヤキモチ妬きは今に始まったことではないし、それは祐介だって、十分に分かっているのに。
「うぅ…何か今日、むっちゃん意地悪」
「そんなの知んない」
温まった料理を持って、睦月はさっさとテーブルのほうに行ってしまう。
もしかしたら、ここでグズっていても、睦月は本当に全然取り合ってくれないかも…。
「カズちゃん」
「ぅ?」
自分の部屋に戻るしかないか…と項垂れていた和衣が、呼ばれて顔を上げたら、睦月が、おいでおいでと手招きしていた。
「カズちゃん、ご飯食べてないでしょ? 一緒に食べよ?」
「…」
「食べよ?」
もう1度言われたら、観念するしかない。
和衣は、アヒルさんみたいに唇を突き出したまま、睦月のもとに行った。
「あ、箸忘れた」
「肉じゃが…」
箸を取りに行った睦月は、ついでに和衣の分のご飯もよそって来てくれた。
メニューは肉じゃがとサラダ。卵焼きは、朝の残りらしい。
これを全部亮が作ったのかと思うと、和衣は何だか笑ってしまう。だって、高校のころまでは、それこそ包丁を握るのも危なっかしかったのに。
「? カズちゃん、何ニヤニヤしてんの?」
「にっ…!? ニヤニヤしてたわけじゃないよ!」
「そう? いただきまーす」
プクッと頬を膨らます和衣は相手にしないで、睦月は律儀に手を合わせてから、箸を手に取った。
「で、むぐむぐ、結局、」
「飲み込んでから喋ってよ、むっちゃん」
じゃがいもを口いっぱいに入れたまま喋ろうとするから、お行儀は悪いし、何を言っているのか分からない。
和衣に咎められて、睦月は十分に咀嚼して飲み込んでから、再び口を開いた。
「結局さぁ、ゆっちはどこ行ってるわけ?」
「知らないよ、そんなの」
「メールしないの?」
「…しない」
ここでメールしないのが、ヤキモチ妬きを治す第1歩だとでも思っているのか、和衣は「絶対しないもん!」と意地になっている。
睦月的には、和衣が祐介にメールしようがするまいがどっちでもいいけれど、早く祐介が帰って来てくれて、このグズっている子を引き取ってくれたらいいのに、とは思う。
「…カズちゃん、トマト食べなよ」
「…」
1つの皿に盛り付けられているサラダを2人でつついていたのだが、どうしても和衣は嫌いなトマトに箸を付けない。
分かっていて睦月は言ってみたのだが、和衣は聞こえないふりで、モシャモシャとレタスを頬張っている。ウサギみたいだと、睦月は密かに思った。
(…ウサギは、寂しいと死ぬ)
箸の先をガジガジしながら、和衣はやはり唇を尖らせている。
和衣がメールしないんだったら、いっそ睦月がメールをして、祐介に早く帰って来るように伝えようか。でもそれも、和衣の気持ちとプライドを傷付けそう。
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「なーんかさぁ、そういうのって、ウザくない? 束縛みたいな?」
「えー…。超嫉妬深いカズちゃんが、今さら?」
電子レンジの中で温まっていく料理を見ながら、睦月は冷ややかな視線を向ける。
和衣のヤキモチ妬きは今に始まったことではないし、それは祐介だって、十分に分かっているのに。
「うぅ…何か今日、むっちゃん意地悪」
「そんなの知んない」
温まった料理を持って、睦月はさっさとテーブルのほうに行ってしまう。
もしかしたら、ここでグズっていても、睦月は本当に全然取り合ってくれないかも…。
「カズちゃん」
「ぅ?」
自分の部屋に戻るしかないか…と項垂れていた和衣が、呼ばれて顔を上げたら、睦月が、おいでおいでと手招きしていた。
「カズちゃん、ご飯食べてないでしょ? 一緒に食べよ?」
「…」
「食べよ?」
もう1度言われたら、観念するしかない。
和衣は、アヒルさんみたいに唇を突き出したまま、睦月のもとに行った。
「あ、箸忘れた」
「肉じゃが…」
箸を取りに行った睦月は、ついでに和衣の分のご飯もよそって来てくれた。
メニューは肉じゃがとサラダ。卵焼きは、朝の残りらしい。
これを全部亮が作ったのかと思うと、和衣は何だか笑ってしまう。だって、高校のころまでは、それこそ包丁を握るのも危なっかしかったのに。
「? カズちゃん、何ニヤニヤしてんの?」
「にっ…!? ニヤニヤしてたわけじゃないよ!」
「そう? いただきまーす」
プクッと頬を膨らます和衣は相手にしないで、睦月は律儀に手を合わせてから、箸を手に取った。
「で、むぐむぐ、結局、」
「飲み込んでから喋ってよ、むっちゃん」
じゃがいもを口いっぱいに入れたまま喋ろうとするから、お行儀は悪いし、何を言っているのか分からない。
和衣に咎められて、睦月は十分に咀嚼して飲み込んでから、再び口を開いた。
「結局さぁ、ゆっちはどこ行ってるわけ?」
「知らないよ、そんなの」
「メールしないの?」
「…しない」
ここでメールしないのが、ヤキモチ妬きを治す第1歩だとでも思っているのか、和衣は「絶対しないもん!」と意地になっている。
睦月的には、和衣が祐介にメールしようがするまいがどっちでもいいけれど、早く祐介が帰って来てくれて、このグズっている子を引き取ってくれたらいいのに、とは思う。
「…カズちゃん、トマト食べなよ」
「…」
1つの皿に盛り付けられているサラダを2人でつついていたのだが、どうしても和衣は嫌いなトマトに箸を付けない。
分かっていて睦月は言ってみたのだが、和衣は聞こえないふりで、モシャモシャとレタスを頬張っている。ウサギみたいだと、睦月は密かに思った。
(…ウサギは、寂しいと死ぬ)
箸の先をガジガジしながら、和衣はやはり唇を尖らせている。
和衣がメールしないんだったら、いっそ睦月がメールをして、祐介に早く帰って来るように伝えようか。でもそれも、和衣の気持ちとプライドを傷付けそう。
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