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明日死んでもいいなんて、嘘 (3)
2015.05.12 Tue
隼人は面倒くさそうに答えるが、内心はソワソワ、ドキドキ落ち着かない。同じ駅に向かうから、同じシフトのときは一緒に帰るんだけれど、相合傘なんて初めてだ。
ニヤニヤしているのにムカついてド突いたけれど、ありがとう、ショウ…!
「お待たせしました!」
「お、おぅ!」
湊なりに大急ぎで身支度を整えて、隼人のもとに駆け寄る。
何だか彼女と待ち合わせをしているみたいだ…と、くだらないことで心をときめかせているのを悟られないよう、隼人は素っ気なく返して顔を背けた。
「結構降ってますねー。はい、どーぞ」
「おっ…おうっ」
裏口の出先で湊が空を見遣りながら傘を広げ、半分隼人のほうに差し出すので、隼人はぶっきら棒に返事をして、傘の中に入った。
2人は雨の中を歩き出す。
「隼人くん、大丈夫ですか? そっち。ちゃんと傘入ってますか?」
「お、おぅ」
コンビニなどで売られている一般的なビニル傘なので、男性が持つには少し小さめなところに来て、今はそれに2人で入っているのだ、どうしたって互いに少しずつははみ出る。
気を遣って湊はだいぶ傘を隼人のほうに傾けてくれているが、そうすれば当然湊の半身はかなり濡れてしまうわけで。
湊がそこまでしてくれているというのに、返す言葉が『おぅ』だけとは…、隼人は表情にこそ出さないものの、心の中では相当の反省と後悔をしていた。
先ほどから返事が『おぅ』だけだということも、分かってはいる。少なくとも、傘を差し出されたときと、濡れていないか気を遣われたときは、『ありがとう』と言っておくべきだったことも。
しかし、そんなことを素直に言い出せないのが隼人である。
「お前、ちゃんと差せよ、傘!」
隼人はガシッと傘の柄を掴むと、自分のほうにかなり傾いているそれを、真っ直ぐに立て直した。
俺は大丈夫だから自分が濡れないようにしろ、とか、そんなに気を遣わなくても大丈夫だよ、ありがとう。という気持ちを、隼人なりの言葉と態度で表すと、こうなるのである。
思春期の中学生も真っ青の不器用さだ。
「あ、ゴメンなさい! やっぱり濡れてました?」
「違うわっ!」
これが経験値が高く、隼人のような性格の男でもうまく扱える女の子だったら、きっと隼人の行動の真意を的確に汲み取って、適切に対応しただろうが、しかし相手は、頭にどれだけ『超』を付けても足らないほど鈍感な湊なのだ。
やっぱりしっかりばっちり勘違いをして、せっかく隼人が真っ直ぐにした傘を、再び隼人のほうに傾けて来る。
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ニヤニヤしているのにムカついてド突いたけれど、ありがとう、ショウ…!
「お待たせしました!」
「お、おぅ!」
湊なりに大急ぎで身支度を整えて、隼人のもとに駆け寄る。
何だか彼女と待ち合わせをしているみたいだ…と、くだらないことで心をときめかせているのを悟られないよう、隼人は素っ気なく返して顔を背けた。
「結構降ってますねー。はい、どーぞ」
「おっ…おうっ」
裏口の出先で湊が空を見遣りながら傘を広げ、半分隼人のほうに差し出すので、隼人はぶっきら棒に返事をして、傘の中に入った。
2人は雨の中を歩き出す。
「隼人くん、大丈夫ですか? そっち。ちゃんと傘入ってますか?」
「お、おぅ」
コンビニなどで売られている一般的なビニル傘なので、男性が持つには少し小さめなところに来て、今はそれに2人で入っているのだ、どうしたって互いに少しずつははみ出る。
気を遣って湊はだいぶ傘を隼人のほうに傾けてくれているが、そうすれば当然湊の半身はかなり濡れてしまうわけで。
湊がそこまでしてくれているというのに、返す言葉が『おぅ』だけとは…、隼人は表情にこそ出さないものの、心の中では相当の反省と後悔をしていた。
先ほどから返事が『おぅ』だけだということも、分かってはいる。少なくとも、傘を差し出されたときと、濡れていないか気を遣われたときは、『ありがとう』と言っておくべきだったことも。
しかし、そんなことを素直に言い出せないのが隼人である。
「お前、ちゃんと差せよ、傘!」
隼人はガシッと傘の柄を掴むと、自分のほうにかなり傾いているそれを、真っ直ぐに立て直した。
俺は大丈夫だから自分が濡れないようにしろ、とか、そんなに気を遣わなくても大丈夫だよ、ありがとう。という気持ちを、隼人なりの言葉と態度で表すと、こうなるのである。
思春期の中学生も真っ青の不器用さだ。
「あ、ゴメンなさい! やっぱり濡れてました?」
「違うわっ!」
これが経験値が高く、隼人のような性格の男でもうまく扱える女の子だったら、きっと隼人の行動の真意を的確に汲み取って、適切に対応しただろうが、しかし相手は、頭にどれだけ『超』を付けても足らないほど鈍感な湊なのだ。
やっぱりしっかりばっちり勘違いをして、せっかく隼人が真っ直ぐにした傘を、再び隼人のほうに傾けて来る。
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