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もしかしたら君は天使かもしれない。 (82)
2013.11.22 Fri
「だって亮、お化け屋敷嫌いなのに」
「まぁそうだけど…。でも今日は、そんなに怖くなかった……てか、怖がってる暇がなかったし、別にいいよ」
「ジェットコースターもヤなのに」
「1回だけなら平気だし」
「ティーカップもウェッてなっちゃうのに」
「それは……」
亮自身、あんなに具合が悪くなるとは思っていなかったのだが、十二分に楽しんでいた睦月に、その理由は絶対に分からないと思っていたから、正直ちょっと驚く。
睦月がどんな顔をしているのか見たくて、気付かれないように視線を送れば、睦月は亮のほうではなく、まっすぐ前を向いたまま、足を揺らしていた。
「ジェットコースター、亮が苦手なのにがんばって乗ってくれたから、後は亮を楽しませてあげようと思ったのに、結局俺が楽しんでしまった…」
「まぁ…、それはそうね」
ティーカップが動き出したときの、睦月のあの嬉しそうな顔と言ったら…!
お化け屋敷の中ではしゃぎまくっていたのと同じくらいのテンションで、『ギューン!』とか『ビューン!』とか言いながらハンドルを切っていた睦月の顔を思い出す。
まぁ、あんな運転をすれば、乗り物酔いの状態になるのも無理はない。
睦月は、姉と祐介に止められたおかげで、車の運転免許を持っていないらしいけれど、恐ろしくて絶対に車の運転などさせられないと思った瞬間だ。亮も絶対に反対する。
「俺、すぐ楽しくなっちゃうの」
「遊園地来ると?」
「うん。だって楽しいじゃん。俺、すぐに夢中になっちゃう」
亮のことが好きで、亮を喜ばせてあげたいとか、一緒に楽しみたいとか、そう思っているのに、楽しくなりすぎて、結局そのことが頭から抜け落ちてしまうのだ、と。
睦月は亮のほうを見ないまま、そう言った。
「だから、そもそも今日の行き先を遊園地にしたこと自体を謝りたい」
「いや、別にそれは…。結局は俺だって納得して一緒に来たわけだし。俺もむっちゃんと出掛けたかったし」
2人で浴衣を着て出かけたいと言い出したのは亮のほうだし、面倒くさがりで出不精の睦月が、わざわざどこに行くかを調べてくれたことは、素直に嬉しかった。
「でも、そもそも…」
「…むっちゃん、『そもそも』て言いたいだけになってるでしょ」
「………………」
「………………」
「「……フッ…」」
少しの沈黙の後、2人同時に吹き出していた。
恐らく、亮の指摘は図星だったのだろう。詫びる気持ちがあって謝ったはずなのに、笑ったらその信憑性も薄れてしまう。いやその前に、『そもそも』でふざけた時点で、ダメだ。
でも亮は、別にそれを許せないというふうには思わなかったし、どちらかと言うと、いつもの睦月らしさが戻って、ちょっと嬉しかったくらいだ。
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「まぁそうだけど…。でも今日は、そんなに怖くなかった……てか、怖がってる暇がなかったし、別にいいよ」
「ジェットコースターもヤなのに」
「1回だけなら平気だし」
「ティーカップもウェッてなっちゃうのに」
「それは……」
亮自身、あんなに具合が悪くなるとは思っていなかったのだが、十二分に楽しんでいた睦月に、その理由は絶対に分からないと思っていたから、正直ちょっと驚く。
睦月がどんな顔をしているのか見たくて、気付かれないように視線を送れば、睦月は亮のほうではなく、まっすぐ前を向いたまま、足を揺らしていた。
「ジェットコースター、亮が苦手なのにがんばって乗ってくれたから、後は亮を楽しませてあげようと思ったのに、結局俺が楽しんでしまった…」
「まぁ…、それはそうね」
ティーカップが動き出したときの、睦月のあの嬉しそうな顔と言ったら…!
お化け屋敷の中ではしゃぎまくっていたのと同じくらいのテンションで、『ギューン!』とか『ビューン!』とか言いながらハンドルを切っていた睦月の顔を思い出す。
まぁ、あんな運転をすれば、乗り物酔いの状態になるのも無理はない。
睦月は、姉と祐介に止められたおかげで、車の運転免許を持っていないらしいけれど、恐ろしくて絶対に車の運転などさせられないと思った瞬間だ。亮も絶対に反対する。
「俺、すぐ楽しくなっちゃうの」
「遊園地来ると?」
「うん。だって楽しいじゃん。俺、すぐに夢中になっちゃう」
亮のことが好きで、亮を喜ばせてあげたいとか、一緒に楽しみたいとか、そう思っているのに、楽しくなりすぎて、結局そのことが頭から抜け落ちてしまうのだ、と。
睦月は亮のほうを見ないまま、そう言った。
「だから、そもそも今日の行き先を遊園地にしたこと自体を謝りたい」
「いや、別にそれは…。結局は俺だって納得して一緒に来たわけだし。俺もむっちゃんと出掛けたかったし」
2人で浴衣を着て出かけたいと言い出したのは亮のほうだし、面倒くさがりで出不精の睦月が、わざわざどこに行くかを調べてくれたことは、素直に嬉しかった。
「でも、そもそも…」
「…むっちゃん、『そもそも』て言いたいだけになってるでしょ」
「………………」
「………………」
「「……フッ…」」
少しの沈黙の後、2人同時に吹き出していた。
恐らく、亮の指摘は図星だったのだろう。詫びる気持ちがあって謝ったはずなのに、笑ったらその信憑性も薄れてしまう。いやその前に、『そもそも』でふざけた時点で、ダメだ。
でも亮は、別にそれを許せないというふうには思わなかったし、どちらかと言うと、いつもの睦月らしさが戻って、ちょっと嬉しかったくらいだ。
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