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世界はやさしい (9)
2010.11.26 Fri
「カズ、ベッドまで歩けるか?」
「…え?」
「俺のベッド向こうだから。ホラ、立てよ」
別に睦月のベッドで寝かせてもいいけれど、睦月は狭いベッドいっぱいに、文字どおり大の字になって寝ているから、それをまた動かすのは面倒くさい。
まさかこの年になって、和衣と1つのベッドに寝るはめになるとは思ってもみなかったが、この際だから仕方がない。
「俺ここでいー…」
「アホか、早くしろ」
ズルズルと床に倒れて、そのまま寝てしまいそうになっている和衣を立たせて、亮は自分のベッドへと和衣を放った。
別に嫌で乱暴に扱っているわけではない。
いくら和衣が小柄で華奢でも、女の子と違って骨格のしっかりした男子だから、完全に力を抜いて体を預けられると結構重たいので、床に倒れないうちにベッドに乗せたのだ。
「ん、んー…」
酔っ払っているせいか、和衣はちょっとばかし乱暴な扱いを受けても、天地が逆転したのも分からないようで、何も文句を言わずにベッドに身を沈めている。
「亮ー…」
「あ?」
部屋の明かりを消して亮がベッドに潜り込めば、壁際に身を寄せていた和衣が、目を閉じたまま亮を呼んだ。
まだ寝てなかったのかと、亮は面倒くさそうに返事をした。
「昔さぁ、亮とー、ショウちゃんとー、一緒に寝たよねー…」
幼馴染みの亮と和衣と翔真は、子どものころからお互いの家を行き来していて、しょっちゅう誰かの家に泊まっては、3人一緒に寝ていた。
さすがに中学生くらいからは別々だったが、小さいころは同じふとんに並んで寝ていたし、そういうときは大抵、和衣が寂しがって真ん中になることが殆どだった。
きっとあのころなら、このベッドだって十分な大きさだろうけど、今は2人で並んだだけで、もう窮屈になってしまう。
「久し振りに、亮と寝…」
隣で和衣がモゾリと動いて、ふとんの端に抱き付いたが、寝苦しいのか、小さな声でウンウン唸っている。
仕方がないから、もう1度水を飲ませようか。確か冷蔵庫にもう1本水が……と思ったところで、和衣が亮を呼んだ。
「…亮、むっちゃんと手、繋いじゃって、ゴメンね…」
「だから別に、」
「ん…」
「…………、カズ? …………寝てる…」
ずっとがんばって亮に話し掛けていた和衣だったが、とうとう睡魔に耐え切れなくなったのか、ふとんに抱き付いたまま眠りに落ちてしまっていた。
「ったく…」
別に謝ることはないと、何度言ったら和衣には伝わるのだろうか。
酔っ払った睦月を心配して手を繋いだことに、亮は何か言うつもりはないし、亮だって一緒に飲んでいた友だちがそんな状態になれば、手は繋がなくても、腕ぐらいは貸す。
どちらかと言えば、酔った女の子に腕を組まれた亮のほうが、責められても仕方がないと思ったが、和衣はあまり何も言って来なかった。
(ま、相当気にはしてたみたいだけど…)
分かりやすい和衣の性格は、酒が回っても相変わらずで、きっとあそこで亮と会って、いろいろ考えてしまったに違いない。
(はぁ~面倒くさっ…)
けれど、面倒くさくても嫌いになれないのが、幼馴染みであり、親友だ。
亮は、眉を寄せて眠っている和衣の隣で目を閉じた。
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「…え?」
「俺のベッド向こうだから。ホラ、立てよ」
別に睦月のベッドで寝かせてもいいけれど、睦月は狭いベッドいっぱいに、文字どおり大の字になって寝ているから、それをまた動かすのは面倒くさい。
まさかこの年になって、和衣と1つのベッドに寝るはめになるとは思ってもみなかったが、この際だから仕方がない。
「俺ここでいー…」
「アホか、早くしろ」
ズルズルと床に倒れて、そのまま寝てしまいそうになっている和衣を立たせて、亮は自分のベッドへと和衣を放った。
別に嫌で乱暴に扱っているわけではない。
いくら和衣が小柄で華奢でも、女の子と違って骨格のしっかりした男子だから、完全に力を抜いて体を預けられると結構重たいので、床に倒れないうちにベッドに乗せたのだ。
「ん、んー…」
酔っ払っているせいか、和衣はちょっとばかし乱暴な扱いを受けても、天地が逆転したのも分からないようで、何も文句を言わずにベッドに身を沈めている。
「亮ー…」
「あ?」
部屋の明かりを消して亮がベッドに潜り込めば、壁際に身を寄せていた和衣が、目を閉じたまま亮を呼んだ。
まだ寝てなかったのかと、亮は面倒くさそうに返事をした。
「昔さぁ、亮とー、ショウちゃんとー、一緒に寝たよねー…」
幼馴染みの亮と和衣と翔真は、子どものころからお互いの家を行き来していて、しょっちゅう誰かの家に泊まっては、3人一緒に寝ていた。
さすがに中学生くらいからは別々だったが、小さいころは同じふとんに並んで寝ていたし、そういうときは大抵、和衣が寂しがって真ん中になることが殆どだった。
きっとあのころなら、このベッドだって十分な大きさだろうけど、今は2人で並んだだけで、もう窮屈になってしまう。
「久し振りに、亮と寝…」
隣で和衣がモゾリと動いて、ふとんの端に抱き付いたが、寝苦しいのか、小さな声でウンウン唸っている。
仕方がないから、もう1度水を飲ませようか。確か冷蔵庫にもう1本水が……と思ったところで、和衣が亮を呼んだ。
「…亮、むっちゃんと手、繋いじゃって、ゴメンね…」
「だから別に、」
「ん…」
「…………、カズ? …………寝てる…」
ずっとがんばって亮に話し掛けていた和衣だったが、とうとう睡魔に耐え切れなくなったのか、ふとんに抱き付いたまま眠りに落ちてしまっていた。
「ったく…」
別に謝ることはないと、何度言ったら和衣には伝わるのだろうか。
酔っ払った睦月を心配して手を繋いだことに、亮は何か言うつもりはないし、亮だって一緒に飲んでいた友だちがそんな状態になれば、手は繋がなくても、腕ぐらいは貸す。
どちらかと言えば、酔った女の子に腕を組まれた亮のほうが、責められても仕方がないと思ったが、和衣はあまり何も言って来なかった。
(ま、相当気にはしてたみたいだけど…)
分かりやすい和衣の性格は、酒が回っても相変わらずで、きっとあそこで亮と会って、いろいろ考えてしまったに違いない。
(はぁ~面倒くさっ…)
けれど、面倒くさくても嫌いになれないのが、幼馴染みであり、親友だ。
亮は、眉を寄せて眠っている和衣の隣で目を閉じた。
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カテゴリー:Baby Baby Baby Love
テーマ:自作BL小説 ジャンル:小説・文学
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COMMENT-FORM
音夜 ⇒
リアルタイムまで読み終えましたw
幼なじみはいいですよね。ときにはうざい存在に感じつつも、やっぱり素が出せる相手がいるのは安心します。全て言わなくても、ちゃんと気持ちが判ってるというか。亮くんもカズくんの思うとことろは知ってんですよね。昔から幼なじみ3人の間柄は全然変わって無いんでしょうね。
幼なじみはいいですよね。ときにはうざい存在に感じつつも、やっぱり素が出せる相手がいるのは安心します。全て言わなくても、ちゃんと気持ちが判ってるというか。亮くんもカズくんの思うとことろは知ってんですよね。昔から幼なじみ3人の間柄は全然変わって無いんでしょうね。
- |2010.11.26
- |Fri
- |21:41
- |URL
- |EDIT|
如月久美子 ⇒ >音夜さん
友情カプを書くときは、楽しくて、いつもノリノリで書いてます。
カズちゃん、むっちゃんにももちろん心を許してますが、やっぱ幼馴染みには、何だかんだで甘えちゃうんでしょうね。
酔っ払ったカズちゃんはだいぶウザそうですが(笑)、こんな子が一緒にいたら、毎日楽しそうですよね(*^_^*)
コメントありがとうございました!
カズちゃん、むっちゃんにももちろん心を許してますが、やっぱ幼馴染みには、何だかんだで甘えちゃうんでしょうね。
酔っ払ったカズちゃんはだいぶウザそうですが(笑)、こんな子が一緒にいたら、毎日楽しそうですよね(*^_^*)
コメントありがとうございました!