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精一杯返そうとするところ (7)
2013.03.25 Mon
「えーっと…、えっと、えっと…」
困り果てた睦月が部屋の中をウロウロしていたら、玄関のドアの開く音がして、ビクリと肩を竦ませた。
亮が帰って来た!
それまでには片付けまで全部終わる予定でいたのに、まったく計算違いだ。
「ただいまー」
「わぁー亮! 待って! 待って待ってー!」
睦月は慌てて玄関に駆けて行ったが、今一歩遅かった。
すでに亮は靴を脱いで部屋に上がり込み、そして台所の惨状を目の当たりにしていたのだ。
「え…、何これ…。睦月、台所で何したの? …ゆで卵?」
「あー…」
ボウルの中の不格好な塊がゆで卵だと見抜いた亮は、台所と睦月の顔を交互に見る。
ここが亮と睦月の部屋で、亮が身に覚えがないのなら、台所をこんなふうにしたのは、睦月に他ならないから。
「ゆで卵食べたかったの? 言ったら作ったのに。俺が帰って来るのも待てないくらい?」
「……」
コートをしまった亮は、台所に向かう。睦月がグチャグチャにしたのを片付けるつもりなのだろう。…そんなこと、亮にさせるつもりなんか、ないのに。
ゆで卵だって、そこまでして食べたかったわけではない。
亮に何かしてあげたくて、でも出来ることなんか何もなくて、ゆで卵くらいなら…と思っただけで、でもよく考えたら、亮がゆで卵を食べたいタイミングなんか分からないし、食べたくもないものを作ったってしょうがないのに。
(それ以前に、あれじゃ食べる気しない…)
睦月は、自分の作ったゆで卵らしきものを思い出し、溜め息を零した。
とりあえず、亮はあのゆで卵を、睦月が自分で食べたくて作ったものだと思っているようだから、もうそういうことにして、さっさと食べてしまおう。
「はい、落とさないでね?」
「……」
睦月が作ったゆで卵をお皿に乗せて、亮が渡してくれる。
きっと本当は『ありがとう』と言うべきなんだろうけど、睦月は何も言えずに、お皿を持ったまま、亮の背中を見つめる。…こんなはずじゃなかったのにな。
「…亮、ご飯は?」
「え? 俺? 食って来たよ?」
「ふぅん」
…そっか。なら、なおさらこんなのいらないのか。今日は練習で、本当に亮に食べさせるつもりで作ったわけではなかったから、別にいいんだけれど。
でもなぜか、ちょっと残念に思う自分がいるから、困る。
「どうした、睦月?」
「…お風呂、行く」
「あ? そう? え、食わないの? 卵」
「…………、後で」
不思議そうな顔をする亮の横をすり抜けて、睦月はパンツとタオルを手にすると、部屋を出て行った。
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困り果てた睦月が部屋の中をウロウロしていたら、玄関のドアの開く音がして、ビクリと肩を竦ませた。
亮が帰って来た!
それまでには片付けまで全部終わる予定でいたのに、まったく計算違いだ。
「ただいまー」
「わぁー亮! 待って! 待って待ってー!」
睦月は慌てて玄関に駆けて行ったが、今一歩遅かった。
すでに亮は靴を脱いで部屋に上がり込み、そして台所の惨状を目の当たりにしていたのだ。
「え…、何これ…。睦月、台所で何したの? …ゆで卵?」
「あー…」
ボウルの中の不格好な塊がゆで卵だと見抜いた亮は、台所と睦月の顔を交互に見る。
ここが亮と睦月の部屋で、亮が身に覚えがないのなら、台所をこんなふうにしたのは、睦月に他ならないから。
「ゆで卵食べたかったの? 言ったら作ったのに。俺が帰って来るのも待てないくらい?」
「……」
コートをしまった亮は、台所に向かう。睦月がグチャグチャにしたのを片付けるつもりなのだろう。…そんなこと、亮にさせるつもりなんか、ないのに。
ゆで卵だって、そこまでして食べたかったわけではない。
亮に何かしてあげたくて、でも出来ることなんか何もなくて、ゆで卵くらいなら…と思っただけで、でもよく考えたら、亮がゆで卵を食べたいタイミングなんか分からないし、食べたくもないものを作ったってしょうがないのに。
(それ以前に、あれじゃ食べる気しない…)
睦月は、自分の作ったゆで卵らしきものを思い出し、溜め息を零した。
とりあえず、亮はあのゆで卵を、睦月が自分で食べたくて作ったものだと思っているようだから、もうそういうことにして、さっさと食べてしまおう。
「はい、落とさないでね?」
「……」
睦月が作ったゆで卵をお皿に乗せて、亮が渡してくれる。
きっと本当は『ありがとう』と言うべきなんだろうけど、睦月は何も言えずに、お皿を持ったまま、亮の背中を見つめる。…こんなはずじゃなかったのにな。
「…亮、ご飯は?」
「え? 俺? 食って来たよ?」
「ふぅん」
…そっか。なら、なおさらこんなのいらないのか。今日は練習で、本当に亮に食べさせるつもりで作ったわけではなかったから、別にいいんだけれど。
でもなぜか、ちょっと残念に思う自分がいるから、困る。
「どうした、睦月?」
「…お風呂、行く」
「あ? そう? え、食わないの? 卵」
「…………、後で」
不思議そうな顔をする亮の横をすり抜けて、睦月はパンツとタオルを手にすると、部屋を出て行った。
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ちよ ⇒
台所は大変な状況のようですが、
意外にも直ぐにゆで卵のこと、
亮タンご理解いただいたようで…
むっちゃんが思っているより、
ゆで卵の出来映えはいいんじゃないの~!?
でも、亮タン…
もうちょびっと、察してあげて~!!
むっちゃん、亮タンのために、
頑張ってゆで卵作りました!!
ο(´・ω・`o)もォィィもン…。 お風呂行ってくる…
意外にも直ぐにゆで卵のこと、
亮タンご理解いただいたようで…
むっちゃんが思っているより、
ゆで卵の出来映えはいいんじゃないの~!?
でも、亮タン…
もうちょびっと、察してあげて~!!
むっちゃん、亮タンのために、
頑張ってゆで卵作りました!!
ο(´・ω・`o)もォィィもン…。 お風呂行ってくる…
- |2013.03.25
- |Mon
- |18:13
- |URL
- |EDIT|
如月久美子 ⇒ >ちよさん
亮タンが、ゆで卵だと見抜けたのは、ゆで卵の出来栄えが良かったからなのか、むっちゃんへの愛情故なのか……とにかく気付いてくれてよかったです(*^_^*)
でも、残念ながら、お腹を空かせたむっちゃんが自分のために作ったと思っているようで…………むっちゃんがそんなことするわけないのに(^_^;)
> ο(´・ω・`o)もォィィもン…。 お風呂行ってくる…
↑この、拗ね拗ねむっちゃん、かわゆす…。
けれど、拗ねたままじゃかわいそうだから、亮タン、早く気付いてあげないと!
コメントありがとうございました!
でも、残念ながら、お腹を空かせたむっちゃんが自分のために作ったと思っているようで…………むっちゃんがそんなことするわけないのに(^_^;)
> ο(´・ω・`o)もォィィもン…。 お風呂行ってくる…
↑この、拗ね拗ねむっちゃん、かわゆす…。
けれど、拗ねたままじゃかわいそうだから、亮タン、早く気付いてあげないと!
コメントありがとうございました!
- |2013.03.25
- |Mon
- |22:00
- |URL
- |EDIT|