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02. うん、可愛いよ (1)
2009.11.08 Sun
まったく上原睦月という人間は、不思議な子だと、つくづく思う。
かわいい外見に似合わずワイルドな性格をしているのはともかく、女の子に間違われるのは大嫌い、かわいいは褒め言葉じゃないと断言しながら、どうしていつも、こうかわいい洋服ばかり買いたがるのだろう…。
「亮ー、これど~ぉ?」
久々の買い物デート。
特に欲しいものがあるというわけでもなく、2人でブラブラと歩いては、よさそうな店に立ち寄っていたのだが、そのうちの1軒で、睦月はお気に入りの一着を見つけたのか、すぐにそれを手に取って鏡の前に向かった。
「亮ー?」
服を自分の前に宛がいながら、睦月が振り返る。
亮は言葉に詰まった。
確かに服は睦月の好きそうな雰囲気だし、似合っている。それは間違いない。しかし、それを形容する言葉が、『かわいい』しか思い浮かばないのだ。
ボキャブラリーが少ないだの、日本語できないだの、罵られても構わない。だって本当にかわいいとしか言いようがないのだから。
「亮ー? ねぇ、亮ー、ねぇーてば!」
「ぁい!?」
「これ、どう? 変? 変じゃない?」
「あ…あー……いいんじゃない?」
答えてから、この返答は不合格だな、と亮はすぐに悟った。
まず答え方が微妙だった。変な間があった。これじゃあ、思ってもいないことを言ったみたいに聞こえる。現に、睦月の表情は訝しげなものに変わってしまった。
「…亮、ホントのこと言え」
「ぐぇっ」
睦月はむくれたように唇を突き出しながら、片手で亮の胸元を掴み上げた。
デートに来ている恋人にするにはあまりの仕打ちだが、睦月が本気でないこと分かっているので、亮はそんな睦月を宥めつつ、胸元の手を解いた。
「ちが…ホントにいい、て思ってるって」
「そう? じゃあ買っちゃおっかな」
何だかんだ言っても、自分でも気に入っているらしく、睦月はもう1度鏡の前に立って確認してから、結局購入することに決めた。
「お客様、試着はされますか?」
「んー…一応してみよっかな」
買ってサイズが合わないのもヤダし…と、睦月は、店員に勧められるまま、フィッティングルームに向かった。
睦月は小柄で華奢だから、試着せずに買った服がキツくて入らない、なんてことはないだろうが、逆に大き過ぎて妙かも…という心配ならある。
亮は待っている間、自分の服を見ようともせず、フィッティングルームの前で、睦月が出てくるのを待っている。
友人たちとの買い物とは違う、この感覚がデートぽくて、何かいい。
「むっちゃ……っと、睦月、着替えた?」
何となく弾んだ気持ちのまま、"むっちゃん"と呼ぼうとして、そばに店員がいることを思い出した亮は、慌てて言い直す。
そっとそばにいた若い男性店員を窺ったが、特に気付いてはいないようで、ちょっとホッとした。
「お客様、いかがですか?」
「んー、ちょっと待ってー。…よし、オッケ!」
カーテンを開けて、睦月が登場する。
ふんわりとしたシルエットの、ドルマンスリーブのロングカーディガン。サイズはぴったりだし、店員もお世辞でなく褒めてくれるから、睦月は非常に満足げだ。
うん、やはり睦月に似合っているし、とってもかわいい。
ただこの服、レディースじゃないかなー…と、亮は思わずにいられない。
この店員さん、もしかして睦月のこと、女の子と間違えてる?
今の時代、スカートを穿く男子もいるそうだから、このくらいはまだまだメンズファッションと言っても、差し支えはないのだろうか。
「亮、どぉ?」
「、ッ、…う、んっ、すごいいい…」
あどけない表情で尋ねられ、人前だというのに、亮は思い切り心拍数を上げてしまい、ドキドキしているのがばれるのも恥ずかしいので、亮はそそくさと目を逸らした。
だから、睦月が無表情になってフィッティングルームに戻ったことに、亮は気が付かなかった。
かわいい外見に似合わずワイルドな性格をしているのはともかく、女の子に間違われるのは大嫌い、かわいいは褒め言葉じゃないと断言しながら、どうしていつも、こうかわいい洋服ばかり買いたがるのだろう…。
「亮ー、これど~ぉ?」
久々の買い物デート。
特に欲しいものがあるというわけでもなく、2人でブラブラと歩いては、よさそうな店に立ち寄っていたのだが、そのうちの1軒で、睦月はお気に入りの一着を見つけたのか、すぐにそれを手に取って鏡の前に向かった。
「亮ー?」
服を自分の前に宛がいながら、睦月が振り返る。
亮は言葉に詰まった。
確かに服は睦月の好きそうな雰囲気だし、似合っている。それは間違いない。しかし、それを形容する言葉が、『かわいい』しか思い浮かばないのだ。
ボキャブラリーが少ないだの、日本語できないだの、罵られても構わない。だって本当にかわいいとしか言いようがないのだから。
「亮ー? ねぇ、亮ー、ねぇーてば!」
「ぁい!?」
「これ、どう? 変? 変じゃない?」
「あ…あー……いいんじゃない?」
答えてから、この返答は不合格だな、と亮はすぐに悟った。
まず答え方が微妙だった。変な間があった。これじゃあ、思ってもいないことを言ったみたいに聞こえる。現に、睦月の表情は訝しげなものに変わってしまった。
「…亮、ホントのこと言え」
「ぐぇっ」
睦月はむくれたように唇を突き出しながら、片手で亮の胸元を掴み上げた。
デートに来ている恋人にするにはあまりの仕打ちだが、睦月が本気でないこと分かっているので、亮はそんな睦月を宥めつつ、胸元の手を解いた。
「ちが…ホントにいい、て思ってるって」
「そう? じゃあ買っちゃおっかな」
何だかんだ言っても、自分でも気に入っているらしく、睦月はもう1度鏡の前に立って確認してから、結局購入することに決めた。
「お客様、試着はされますか?」
「んー…一応してみよっかな」
買ってサイズが合わないのもヤダし…と、睦月は、店員に勧められるまま、フィッティングルームに向かった。
睦月は小柄で華奢だから、試着せずに買った服がキツくて入らない、なんてことはないだろうが、逆に大き過ぎて妙かも…という心配ならある。
亮は待っている間、自分の服を見ようともせず、フィッティングルームの前で、睦月が出てくるのを待っている。
友人たちとの買い物とは違う、この感覚がデートぽくて、何かいい。
「むっちゃ……っと、睦月、着替えた?」
何となく弾んだ気持ちのまま、"むっちゃん"と呼ぼうとして、そばに店員がいることを思い出した亮は、慌てて言い直す。
そっとそばにいた若い男性店員を窺ったが、特に気付いてはいないようで、ちょっとホッとした。
「お客様、いかがですか?」
「んー、ちょっと待ってー。…よし、オッケ!」
カーテンを開けて、睦月が登場する。
ふんわりとしたシルエットの、ドルマンスリーブのロングカーディガン。サイズはぴったりだし、店員もお世辞でなく褒めてくれるから、睦月は非常に満足げだ。
うん、やはり睦月に似合っているし、とってもかわいい。
ただこの服、レディースじゃないかなー…と、亮は思わずにいられない。
この店員さん、もしかして睦月のこと、女の子と間違えてる?
今の時代、スカートを穿く男子もいるそうだから、このくらいはまだまだメンズファッションと言っても、差し支えはないのだろうか。
「亮、どぉ?」
「、ッ、…う、んっ、すごいいい…」
あどけない表情で尋ねられ、人前だというのに、亮は思い切り心拍数を上げてしまい、ドキドキしているのがばれるのも恥ずかしいので、亮はそそくさと目を逸らした。
だから、睦月が無表情になってフィッティングルームに戻ったことに、亮は気が付かなかった。
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