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もうさようならの時間 (2)
2011.05.25 Wed
「あ、そうなんだ。コンビニ行ってたんだ」
一瞬にして睦月の嘘を見抜いた翔真は、自分が何気なく尋ねたことが、とんでもない爆弾だったことを悟り、何も気付かないふりで、話を終わらせようとした。
だって、睦月を見ていた亮の顔に、表情がなくなった。
亮も、睦月の嘘に気が付いたのだろう。そして昨日の夜、自分がバイトに行っている間、睦月が出掛けていたことを今知ったに違いない。
睦月の行動すべてを把握したいだなんて、馬鹿げた束縛をする男ではないが、嘘でごまかされても、何をしていたのか気にならないほど鈍感な男でもないのだ、亮は。
「ショウちゃん、タイミング悪かったねー」
なのに和衣は、のん気そうに、そんなことを言っている。
和衣の空気の読めない愚鈍な性格を、こんなにも羨ましく思ったのは、20年生きてきて今日が初めてかもしれない、と翔真は思った。
これくらい鈍感なら、今のこの気まずい雰囲気にだって、平気で耐えられるだろう(いや、和衣自身は何かに耐えている自覚などないのだろうが)。
「ねぇむっちゃん、ページ捲っていい?」
「えっ…」
「ん? ページ。先進んでいい?」
「あ、…………、…うん」
確かに、最初に爆弾を落としたのは、翔真だったかもしれない。
しかしその後、その被害を拡大させたのは間違いなく和衣だったのに、そんなことまるで気付いていないのか、手元の雑誌をパタパタさせている。
睦月は何とも言えない表情で亮と翔真を見た後、雑誌に視線を落とした。
…やはり、和衣の空気の読めなさは、少しも羨ましくない、と翔真は思った。
*****
土日を抜かすと、睦月と亮のバイトが重ならない日は木曜しかなく、それ以外は、必ずどちらかがバイトに行っているという状態だ。
それは睦月がバイトを始めたときからずっとそうだったから、今まで何も気に留めていなかったけれど、今日の翔真の話を聞いて、亮は少なからず気になり始めていた。
まさか睦月に限って、亮のいない間に何か疾しいことをしているとは思えないが、何もなければ、あんな下手くそな嘘でごまかす必要なんてないはずなのに。
元から束縛は、するのもされるのも好きじゃなくて、自分と一緒でないときの相手の行動を、すべて知り尽くしたいなんて思ったこともないし、思われたくもない。
それは、相手に関心がないわけではなくて、相手を信用しているから。
だから亮は、睦月が亮のバイト中にコンビニに行こうが、部屋にいようが、誰か他の人と一緒にいようが、それを追及する気はない。
なのになぜかショックを受けた気になるのは、やはり睦月が自分に嘘をついたからだろう。
いや、実際のところ、昨日の夜、睦月がコンビニに行ったというのが、嘘なのかどうかは分からない。
あのときの言い方や雰囲気から、嘘だろうなぁ、と亮が勝手に思っただけで、本当に睦月は言うとおり、翔真が部屋を訪れた時間、コンビニに行っていたのかもしれない。
しかしそれを確認しようにも、あの場は、さっぱり状況の分かっていない和衣によって、無理やり一段落させられてしまったので(もちろん、和衣はまったくの無自覚だが)、どうすることも出来ない。
直接睦月に聞き直そうにも、学校にいる間はみんなもいるし、バイトから帰って来た睦月は、『お風呂行ってくるねー』と部屋を出て行ってしまったし。
これで今さら聞くのは、完全にタイミングを外している。
back next
一瞬にして睦月の嘘を見抜いた翔真は、自分が何気なく尋ねたことが、とんでもない爆弾だったことを悟り、何も気付かないふりで、話を終わらせようとした。
だって、睦月を見ていた亮の顔に、表情がなくなった。
亮も、睦月の嘘に気が付いたのだろう。そして昨日の夜、自分がバイトに行っている間、睦月が出掛けていたことを今知ったに違いない。
睦月の行動すべてを把握したいだなんて、馬鹿げた束縛をする男ではないが、嘘でごまかされても、何をしていたのか気にならないほど鈍感な男でもないのだ、亮は。
「ショウちゃん、タイミング悪かったねー」
なのに和衣は、のん気そうに、そんなことを言っている。
和衣の空気の読めない愚鈍な性格を、こんなにも羨ましく思ったのは、20年生きてきて今日が初めてかもしれない、と翔真は思った。
これくらい鈍感なら、今のこの気まずい雰囲気にだって、平気で耐えられるだろう(いや、和衣自身は何かに耐えている自覚などないのだろうが)。
「ねぇむっちゃん、ページ捲っていい?」
「えっ…」
「ん? ページ。先進んでいい?」
「あ、…………、…うん」
確かに、最初に爆弾を落としたのは、翔真だったかもしれない。
しかしその後、その被害を拡大させたのは間違いなく和衣だったのに、そんなことまるで気付いていないのか、手元の雑誌をパタパタさせている。
睦月は何とも言えない表情で亮と翔真を見た後、雑誌に視線を落とした。
…やはり、和衣の空気の読めなさは、少しも羨ましくない、と翔真は思った。
*****
土日を抜かすと、睦月と亮のバイトが重ならない日は木曜しかなく、それ以外は、必ずどちらかがバイトに行っているという状態だ。
それは睦月がバイトを始めたときからずっとそうだったから、今まで何も気に留めていなかったけれど、今日の翔真の話を聞いて、亮は少なからず気になり始めていた。
まさか睦月に限って、亮のいない間に何か疾しいことをしているとは思えないが、何もなければ、あんな下手くそな嘘でごまかす必要なんてないはずなのに。
元から束縛は、するのもされるのも好きじゃなくて、自分と一緒でないときの相手の行動を、すべて知り尽くしたいなんて思ったこともないし、思われたくもない。
それは、相手に関心がないわけではなくて、相手を信用しているから。
だから亮は、睦月が亮のバイト中にコンビニに行こうが、部屋にいようが、誰か他の人と一緒にいようが、それを追及する気はない。
なのになぜかショックを受けた気になるのは、やはり睦月が自分に嘘をついたからだろう。
いや、実際のところ、昨日の夜、睦月がコンビニに行ったというのが、嘘なのかどうかは分からない。
あのときの言い方や雰囲気から、嘘だろうなぁ、と亮が勝手に思っただけで、本当に睦月は言うとおり、翔真が部屋を訪れた時間、コンビニに行っていたのかもしれない。
しかしそれを確認しようにも、あの場は、さっぱり状況の分かっていない和衣によって、無理やり一段落させられてしまったので(もちろん、和衣はまったくの無自覚だが)、どうすることも出来ない。
直接睦月に聞き直そうにも、学校にいる間はみんなもいるし、バイトから帰って来た睦月は、『お風呂行ってくるねー』と部屋を出て行ってしまったし。
これで今さら聞くのは、完全にタイミングを外している。
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けいったん ⇒
和衣の無自覚な言葉は 靄となって 辺りを覆い隠してしまいましたね。
むっちゃんの嘘も 亮や翔真の疑いも全て!
亮の疑念も 今更 むっちゃんには ぶつけられないし...
小さな嘘が、些細な疑いが、大きな嵐を生みそうだなぁ~
むっちゃんは 何故 そんな嘘を吐いたのか...(。-`ω´-)ンーbyebye☆
むっちゃんの嘘も 亮や翔真の疑いも全て!
亮の疑念も 今更 むっちゃんには ぶつけられないし...
小さな嘘が、些細な疑いが、大きな嵐を生みそうだなぁ~
むっちゃんは 何故 そんな嘘を吐いたのか...(。-`ω´-)ンーbyebye☆
- |2011.05.25
- |Wed
- |11:18
- |URL
- |EDIT|
如月久美子 ⇒ >けいったんさん
KY代表カズちゃん(笑)
本人はまったく無自覚なんですが(^_^;)
何だかんだで、むっちゃんの嘘はうやむやにされてしまいましたが、亮タン、このもやもやをどうやって晴らしていくのか。
波乱万丈、まだまだ続くです~。
コメントありがとうございました!
本人はまったく無自覚なんですが(^_^;)
何だかんだで、むっちゃんの嘘はうやむやにされてしまいましたが、亮タン、このもやもやをどうやって晴らしていくのか。
波乱万丈、まだまだ続くです~。
コメントありがとうございました!