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キャンディじゃなくてキスが欲しいよ (13)
2011.03.18 Fri
「由里ちゃん、行こー」
自分がいないところでいろいろ言われているなんて思ってもいないだろう、睦月が完全防備で戻って来た。
「むっちゃん、厚着過ぎ!」
「だって寒いもんっ」
ダウンジャケットにマフラーはもちろん、手袋とニットキャップも装備した睦月に、由里は笑い出す。
春物のコートにミニスカート姿の由里とは、本当に対照的な格好をしている睦月は、寒いのは大の苦手のくせに、どうして由里を送っていく役を買って出たのだろう。
「由里ちゃんこそ、寒くないの? スカート」
「平気。慣れてるもん」
由里は祐介から荷物を受け取って立ち上がった。
やっぱこういうときって、荷物持ってあげたほうがいいのかなぁ、と睦月は思ったけれど、荷物が多いの苦手だし…とも思う。それで結局、半分だけ持ってあげることにした。
それがいかにも睦月ぽくて、笑ってしまう。
「じゃーねー」
睦月は祐介と和衣に手を振った後、和衣の背中をバシンと叩いてから、由里と一緒に部屋を出て行った。
そして和衣は、そこで初めて、睦月が由里を送っていくことを申し出たのか気が付いた。睦月は、和衣たちを2人きりにさせてあげたかったのだ。
その証拠に、お風呂に行くときに部屋に置いて行った、祐介に上げるためのクッキーの包みを持って来てくれた。
(…ありがと、むっちゃん)
いろいろと面倒くさがるけれど、睦月はやはり和衣に対して優しいのだ。
「ねぇ祐介」
ようやく2人きりになれて、和衣は少し祐介のほうへずり寄る。
祐介は、「ん?」と和衣の顔を覗き込んだが、和衣が寄り掛かると、その肩を抱き寄せてくれた。
ふと見れば、祐介の頬は、まだほんのり赤い。…引っ叩くどころでない、本当にぶっ飛ばしていたのだから、当たり前だ。
「…むっちゃんのこと、怒んないでね?」
「まぁ、…うん」
和衣に言われなくても、もうあのまったく何も悪びれた様子のない、というか、殴ったこと自体忘れてしまっているのではないかという睦月に、今さら怒る気力も起きない。
それでも和衣がひどく気にしているようなので、「怒んないよ」と伝えた。
「祐介てさ、いいお兄ちゃんだね。優しくて」
「何急に。つか、どの辺が?」
優しいと言うよりは、単に由里に振り回されていただけなのでは? と祐介自身は思うのだが。
昔から、気の強い妹2人に、祐介はずっと振り回されっ放しなのだ。
「俺の兄ちゃん、超怖いよ? 全然優しくない」
「全然?」
「…まぁ、ちょっとは優しいけど」
一番上の兄は、年が離れているせいかそうでもなかったけれど、和衣が小さいころ聞かん坊だったからか、2つ上の二番目の兄とはケンカばかりしていたし、和衣にとっては結構怖い存在だった。
「それは男兄弟だからじゃない? さすがに妹相手じゃ」
「ホラ、優しいー」
「そうか?」
和衣が微笑ましそうに笑っていて、祐介は、そうかなぁ? と思うけれど、少し気恥ずかしくて頭を掻いた。
そんな祐介は、何となくかわいいようにも思える。
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自分がいないところでいろいろ言われているなんて思ってもいないだろう、睦月が完全防備で戻って来た。
「むっちゃん、厚着過ぎ!」
「だって寒いもんっ」
ダウンジャケットにマフラーはもちろん、手袋とニットキャップも装備した睦月に、由里は笑い出す。
春物のコートにミニスカート姿の由里とは、本当に対照的な格好をしている睦月は、寒いのは大の苦手のくせに、どうして由里を送っていく役を買って出たのだろう。
「由里ちゃんこそ、寒くないの? スカート」
「平気。慣れてるもん」
由里は祐介から荷物を受け取って立ち上がった。
やっぱこういうときって、荷物持ってあげたほうがいいのかなぁ、と睦月は思ったけれど、荷物が多いの苦手だし…とも思う。それで結局、半分だけ持ってあげることにした。
それがいかにも睦月ぽくて、笑ってしまう。
「じゃーねー」
睦月は祐介と和衣に手を振った後、和衣の背中をバシンと叩いてから、由里と一緒に部屋を出て行った。
そして和衣は、そこで初めて、睦月が由里を送っていくことを申し出たのか気が付いた。睦月は、和衣たちを2人きりにさせてあげたかったのだ。
その証拠に、お風呂に行くときに部屋に置いて行った、祐介に上げるためのクッキーの包みを持って来てくれた。
(…ありがと、むっちゃん)
いろいろと面倒くさがるけれど、睦月はやはり和衣に対して優しいのだ。
「ねぇ祐介」
ようやく2人きりになれて、和衣は少し祐介のほうへずり寄る。
祐介は、「ん?」と和衣の顔を覗き込んだが、和衣が寄り掛かると、その肩を抱き寄せてくれた。
ふと見れば、祐介の頬は、まだほんのり赤い。…引っ叩くどころでない、本当にぶっ飛ばしていたのだから、当たり前だ。
「…むっちゃんのこと、怒んないでね?」
「まぁ、…うん」
和衣に言われなくても、もうあのまったく何も悪びれた様子のない、というか、殴ったこと自体忘れてしまっているのではないかという睦月に、今さら怒る気力も起きない。
それでも和衣がひどく気にしているようなので、「怒んないよ」と伝えた。
「祐介てさ、いいお兄ちゃんだね。優しくて」
「何急に。つか、どの辺が?」
優しいと言うよりは、単に由里に振り回されていただけなのでは? と祐介自身は思うのだが。
昔から、気の強い妹2人に、祐介はずっと振り回されっ放しなのだ。
「俺の兄ちゃん、超怖いよ? 全然優しくない」
「全然?」
「…まぁ、ちょっとは優しいけど」
一番上の兄は、年が離れているせいかそうでもなかったけれど、和衣が小さいころ聞かん坊だったからか、2つ上の二番目の兄とはケンカばかりしていたし、和衣にとっては結構怖い存在だった。
「それは男兄弟だからじゃない? さすがに妹相手じゃ」
「ホラ、優しいー」
「そうか?」
和衣が微笑ましそうに笑っていて、祐介は、そうかなぁ? と思うけれど、少し気恥ずかしくて頭を掻いた。
そんな祐介は、何となくかわいいようにも思える。
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