スポンサーサイト
--.--.-- --
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
- BL小説ランキング参加中です。クリックいただけたら嬉しいです。
- コメントや拍手、ありがとうございます。拍手の公開コメントへのお返事はこちらから。それ以外は、コメントをいただいた記事に返信いたします。
- お題配布サイト「明日」はひっそりまったり更新中です。毎日更新しない日誌「遊び心がない」もよろしくね。
カテゴリー:スポンサー広告
僕らの青春に明日はない (67)
2010.05.09 Sun
「こっち、こっち」
まだ戸惑っている和衣の腕を引いて、真大は奥へと連れていく。
「真大…ホントにいいの? 外行くって…」
「エヘへ、翔真くんと一緒に行くって約束してあるんだー」
とっても嬉しそうに真大はそう打ち明けてくれるが、女装した格好で、恋人と一緒に外を回るって……そんなに嬉しいの? と和衣は密かに思う。
何となく、お互いに恥ずかしい気がする…。
「カズ、おはよ」
「ショウちゃん…」
もうおはようの時間ではないけれど、真大が準備するのに使っていた場所に行けば、女の子たちが後片付けをしている傍らに翔真がいた。
「次ここ、カズくんたちに譲ってもいいよね?」
「ウチらはもう終わったからいいけど」
メイク道具をしまい終えた女の子が、「どうぞ」と和衣たちに場所を譲ってくれる。
「じゃ、俺ら、ちょっと行ってくるね?」
「いいけど、時間までにちゃんと戻って来てね?」
「大丈夫、大丈夫。翔真くん、行こ?」
女子高生になり切っているのか、この格好でこのノリなら誰にも怪しまれないと分かってやっているのか、真大は翔真と腕を組むと、首を傾げてその肩に頭を置いた。
完全に女子高生と、その彼氏。
(そっか、女の子の格好してると、人前でこういうことしても、変に思われないんだ…)
羨ましいような、寂しいような、複雑な気持ち。
要は、その隣に並ぶのが本当に女の子だったら、誰も何も思わないのだ。
でも自分は男で、そのままの姿でやれば何となく変に見られるし、人前で腕が組みたいからって女の子の格好をしても、こうしたイベントでもなければ、そんな格好をすること自体、ちょっと不審に思われてしまうわけで。
「だから、今のうちに楽しんどけばいいじゃん?」
和衣の気持ちを見透かしたように、睦月がポツリと言った。
愛菜と眞織はすでに支度を始めているし、翔真は真大に腕を引かれて出ていってしまっていたから、和衣以外にその言葉が聞こえた人はいなかった。
「普段は出来ないんだから、女装しても変に思われない今のうちに、ゆっちと腕組むなり、手繋ぐなり、いろいろしとけばいいじゃん?」
「むっちゃん…」
もしかしたら真大も、ずっとそんな思いだったのだろう。
いくら真大が、無邪気で無鉄砲な性格でも、人前で男同士イチャイチャしていたら変に思われかねないことくらい、分かっているはずで。
だからこそ、今このチャンスを生かしているのかもしれない。
「…そだね。がんばる」
和衣は睦月に笑い掛け、受け取った衣装に着替え始めた。
真大から譲ってもらったスペースも、そんなに広いわけではない。睦月は邪魔にならないように端のほうによけて、おにぎりを広げた。
はっきり言って、一緒に来たからといって、睦月に何が出来るわけでもない。第一、着替えたりメイクされたりするところを見ているだけで、和衣に『見ないでよ~』と言われるのだ。
一体何のために、付いて来させたのか。
まだ戸惑っている和衣の腕を引いて、真大は奥へと連れていく。
「真大…ホントにいいの? 外行くって…」
「エヘへ、翔真くんと一緒に行くって約束してあるんだー」
とっても嬉しそうに真大はそう打ち明けてくれるが、女装した格好で、恋人と一緒に外を回るって……そんなに嬉しいの? と和衣は密かに思う。
何となく、お互いに恥ずかしい気がする…。
「カズ、おはよ」
「ショウちゃん…」
もうおはようの時間ではないけれど、真大が準備するのに使っていた場所に行けば、女の子たちが後片付けをしている傍らに翔真がいた。
「次ここ、カズくんたちに譲ってもいいよね?」
「ウチらはもう終わったからいいけど」
メイク道具をしまい終えた女の子が、「どうぞ」と和衣たちに場所を譲ってくれる。
「じゃ、俺ら、ちょっと行ってくるね?」
「いいけど、時間までにちゃんと戻って来てね?」
「大丈夫、大丈夫。翔真くん、行こ?」
女子高生になり切っているのか、この格好でこのノリなら誰にも怪しまれないと分かってやっているのか、真大は翔真と腕を組むと、首を傾げてその肩に頭を置いた。
完全に女子高生と、その彼氏。
(そっか、女の子の格好してると、人前でこういうことしても、変に思われないんだ…)
羨ましいような、寂しいような、複雑な気持ち。
要は、その隣に並ぶのが本当に女の子だったら、誰も何も思わないのだ。
でも自分は男で、そのままの姿でやれば何となく変に見られるし、人前で腕が組みたいからって女の子の格好をしても、こうしたイベントでもなければ、そんな格好をすること自体、ちょっと不審に思われてしまうわけで。
「だから、今のうちに楽しんどけばいいじゃん?」
和衣の気持ちを見透かしたように、睦月がポツリと言った。
愛菜と眞織はすでに支度を始めているし、翔真は真大に腕を引かれて出ていってしまっていたから、和衣以外にその言葉が聞こえた人はいなかった。
「普段は出来ないんだから、女装しても変に思われない今のうちに、ゆっちと腕組むなり、手繋ぐなり、いろいろしとけばいいじゃん?」
「むっちゃん…」
もしかしたら真大も、ずっとそんな思いだったのだろう。
いくら真大が、無邪気で無鉄砲な性格でも、人前で男同士イチャイチャしていたら変に思われかねないことくらい、分かっているはずで。
だからこそ、今このチャンスを生かしているのかもしれない。
「…そだね。がんばる」
和衣は睦月に笑い掛け、受け取った衣装に着替え始めた。
真大から譲ってもらったスペースも、そんなに広いわけではない。睦月は邪魔にならないように端のほうによけて、おにぎりを広げた。
はっきり言って、一緒に来たからといって、睦月に何が出来るわけでもない。第一、着替えたりメイクされたりするところを見ているだけで、和衣に『見ないでよ~』と言われるのだ。
一体何のために、付いて来させたのか。
- 関連記事
-
- 僕らの青春に明日はない (68) (2010/05/10)
- 僕らの青春に明日はない (67) (2010/05/09)
- 僕らの青春に明日はない (66) (2010/05/08)
- BL小説ランキング参加中です。クリックいただけたら嬉しいです。
- コメントや拍手、ありがとうございます。拍手の公開コメントへのお返事はこちらから。それ以外は、コメントをいただいた記事に返信いたします。
- お題配布サイト「明日」はひっそりまったり更新中です。毎日更新しない日誌「遊び心がない」もよろしくね。
カテゴリー:Baby Baby Baby Love
テーマ:自作BL小説 ジャンル:小説・文学