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キャンディじゃなくてキスが欲しいよ (6)
2011.03.08 Tue
「…ごちそーさまでした」
和衣はやっぱりトマトを残したけれど、睦月は何も言わず、それを自分の口に放り込んだ。
「ゆっちが帰って来たかどうか、見て来てあげよっか?」
もうすぐ8時。
大学生が帰宅するのに遅いというほどの時間でもないけれど、今日ばかりは、何で帰って来ないんだ!? と睦月までイライラしてくる。
「…俺も行く。てかむっちゃん、ここ片付けないの?」
食事を終えたテーブルをそのままに、部屋を出て行こうとする睦月に、和衣は驚いて声を掛けたが、睦月は「後で」とか言っている。
「ダメむっちゃん。ご飯食べた後は、ちゃんと片付けなきゃ!」
けれど、亮のようには甘やかしてくれない和衣は、食事の終わった食器を丁寧に重ね、睦月に流しのほうへ持っていくように言い聞かせる。
睦月は渋々和衣の言うことを聞くが、流しの中に入れた後、これ、洗わなきゃダメ? と和衣のほうを見る。
「むっちゃん、食器洗ったことないの?」
「なー…きにしも、あらず…」
本当にごくたまーに、睦月も使った食器を運ぶ以外の後片付けに参戦するが、どうにもこうにも手付きが危なっかしくて、途中で、もういいよ、となってしまうのだ。
「もぉー、亮てば! そんなに甘やかしてたんじゃ、いつまで経っても、むっちゃん出来ないままじゃん!」
亮だって、最初は全然出来なかったのが、今日までいろいろとやって来たから、肉じゃがまで作れるようになったのだ。
睦月に何もさせないままだと、本当に何も出来ない子になってしまう。
「はい、洗って! 俺、お皿とか拭いてあげるから」
「えー。俺が拭く係りがいい」
「拭くのなら出来るの?」
「んー…多分」
実のところ、食器を拭くのも、あまりやったことがない。
えへへ、と笑う睦月に、和衣は溜め息を零した。
「これだけの量なんだから、さっさとやっちゃおう?」
結局は和衣だって睦月には甘くて、洗う係りと拭く係りを交代してやることに。この際、もうどっちがどっちでもいい。
手早く2人分の食器を片付けて、今度こそ祐介の部屋に向かう。
睦月はチラリと和衣を見てからノブを回してみるが、やはり鍵は掛かっている。睦月は念のためにノックしてみたり、ドアに耳を当てて中の様子を窺ってみたりするが、やはりいないようだ。
「チッ、何してんだよ、アイツ!」
最後に1発、ガツンとドアを殴って、睦月は吐き捨てた。
和衣はシュンとしつつも、申し訳なさそうな顔をしている。
「ゴメンね、むっちゃん…」
「え、何が?」
「何か…いろいろ巻き込んじゃって」
決して和衣に対して怒ったり苛付いたりしていたわけではない睦月は、急に和衣に謝られてキョトンとしたが、意味が分かって、平静さを取り戻した。
「別に、カズちゃんが謝んなくても。つか、やっぱメールしようよ。今どこいんの? て」
「でも…」
そうすれば事は簡単だということは和衣にも分かっているが、何となく踏ん切りが付かない。
そこまでして早く帰って来てもらわなくても、ホワイトデーのお返しなら、明日だって渡せるし…。
「じゃあ、明日にする?」
「んー…」
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和衣はやっぱりトマトを残したけれど、睦月は何も言わず、それを自分の口に放り込んだ。
「ゆっちが帰って来たかどうか、見て来てあげよっか?」
もうすぐ8時。
大学生が帰宅するのに遅いというほどの時間でもないけれど、今日ばかりは、何で帰って来ないんだ!? と睦月までイライラしてくる。
「…俺も行く。てかむっちゃん、ここ片付けないの?」
食事を終えたテーブルをそのままに、部屋を出て行こうとする睦月に、和衣は驚いて声を掛けたが、睦月は「後で」とか言っている。
「ダメむっちゃん。ご飯食べた後は、ちゃんと片付けなきゃ!」
けれど、亮のようには甘やかしてくれない和衣は、食事の終わった食器を丁寧に重ね、睦月に流しのほうへ持っていくように言い聞かせる。
睦月は渋々和衣の言うことを聞くが、流しの中に入れた後、これ、洗わなきゃダメ? と和衣のほうを見る。
「むっちゃん、食器洗ったことないの?」
「なー…きにしも、あらず…」
本当にごくたまーに、睦月も使った食器を運ぶ以外の後片付けに参戦するが、どうにもこうにも手付きが危なっかしくて、途中で、もういいよ、となってしまうのだ。
「もぉー、亮てば! そんなに甘やかしてたんじゃ、いつまで経っても、むっちゃん出来ないままじゃん!」
亮だって、最初は全然出来なかったのが、今日までいろいろとやって来たから、肉じゃがまで作れるようになったのだ。
睦月に何もさせないままだと、本当に何も出来ない子になってしまう。
「はい、洗って! 俺、お皿とか拭いてあげるから」
「えー。俺が拭く係りがいい」
「拭くのなら出来るの?」
「んー…多分」
実のところ、食器を拭くのも、あまりやったことがない。
えへへ、と笑う睦月に、和衣は溜め息を零した。
「これだけの量なんだから、さっさとやっちゃおう?」
結局は和衣だって睦月には甘くて、洗う係りと拭く係りを交代してやることに。この際、もうどっちがどっちでもいい。
手早く2人分の食器を片付けて、今度こそ祐介の部屋に向かう。
睦月はチラリと和衣を見てからノブを回してみるが、やはり鍵は掛かっている。睦月は念のためにノックしてみたり、ドアに耳を当てて中の様子を窺ってみたりするが、やはりいないようだ。
「チッ、何してんだよ、アイツ!」
最後に1発、ガツンとドアを殴って、睦月は吐き捨てた。
和衣はシュンとしつつも、申し訳なさそうな顔をしている。
「ゴメンね、むっちゃん…」
「え、何が?」
「何か…いろいろ巻き込んじゃって」
決して和衣に対して怒ったり苛付いたりしていたわけではない睦月は、急に和衣に謝られてキョトンとしたが、意味が分かって、平静さを取り戻した。
「別に、カズちゃんが謝んなくても。つか、やっぱメールしようよ。今どこいんの? て」
「でも…」
そうすれば事は簡単だということは和衣にも分かっているが、何となく踏ん切りが付かない。
そこまでして早く帰って来てもらわなくても、ホワイトデーのお返しなら、明日だって渡せるし…。
「じゃあ、明日にする?」
「んー…」
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