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嬉しいプレゼント (3)
2011.01.08 Sat
最後のお客を見送って、『close』の札を出した後、店内の片付けをして、一足先に亜沙美が帰る支度を整えた。
「それじゃー、てんちょー、譲さーん、お疲れ様でしたー…」
「お疲れ様」
「………………」
「…ん? どうしたの?」
朝の挨拶のときと同じよう深く頭を下げた亜沙美は、それで帰っていくのかと思いきや、頭を起してもまだ突っ立ったまま動かない。
朋文に不思議そうに声を掛けられ、しかし亜沙美は朋文ではなく譲のほうに向き直った。
「譲さーん」
「何だよ」
帰ろうとしない亜沙美を、一体どうしたものかと思っていたら、亜沙美は、とっても意味ありげな笑みを口元に浮かべた。
「譲さん。…………、さよぉならぁ~」
「うっせ!! さっさと帰れっ!」
そんなに広くない店内、2mと離れていない距離に立っている譲に向って、亜沙美は両腕を大きくブンブン振って別れの挨拶をする。
スローテンポなその動きは、何だか学生時代の応援団を思い起こさせたが、朋文が突っ込みを入れる前に、亜沙美は今度こそ2人に背を向けて帰って行った。
「ったく、アイツは…」
譲は閉じたドアを忌々しげに睨み付けたが、朋文にしたらハッキリ言ってそれどころではなかった。
今の、亜沙美の意味ありげな態度ももちろん気になるが、開店前、朋文がトイレの電球を換えに行っていたときの、譲と亜沙美の会話も、実はずっと気になっていた。
2人は朋文がいなくなった隙を狙って話をしていたようだけれど、声を潜めもせずに話していれば、会話くらい普通に聞こえる。
やはり譲はspicaを辞めたくて、それをいつ朋文に切り出そうか、ずっと考えていたに違いない。
(そうか…亜沙美ちゃんには、ずっと相談してたんだ…)
朋文はガクリと項垂れた。
「朋文、何してんだ、帰るぞ」
「あぁ…うん」
ひどくショックを受けて落ち込んでいる朋文を無視して、譲は帰り支度を始める。
朝のように何かを言おうという素振りはなくて、朋文はちょっとホッとしたような、拍子抜けしたような気持ちになった。
「寒っ」
ドアを開けて、まずそう言ったのは、ダウンジャケットにマフラー姿の譲だ。
ちょっとモコモコし過ぎじゃない? と朋文はいつも笑いそうになるが、本人はこれでもまだ寒くて仕方ないようなので、突っ込まないようにしている(ブーツで蹴られるのは、実は結構痛いから)。
「あのさ、譲…」
「あ?」
「えっと…」
ウチの店、辞めたいの? ――――直球で聞こうとして、しかし朋文は言葉を詰まらせた。
実際に譲がそう思ってるんだとしても、真正面から聞くには少しばかりでなく勇気がいる。
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「それじゃー、てんちょー、譲さーん、お疲れ様でしたー…」
「お疲れ様」
「………………」
「…ん? どうしたの?」
朝の挨拶のときと同じよう深く頭を下げた亜沙美は、それで帰っていくのかと思いきや、頭を起してもまだ突っ立ったまま動かない。
朋文に不思議そうに声を掛けられ、しかし亜沙美は朋文ではなく譲のほうに向き直った。
「譲さーん」
「何だよ」
帰ろうとしない亜沙美を、一体どうしたものかと思っていたら、亜沙美は、とっても意味ありげな笑みを口元に浮かべた。
「譲さん。…………、さよぉならぁ~」
「うっせ!! さっさと帰れっ!」
そんなに広くない店内、2mと離れていない距離に立っている譲に向って、亜沙美は両腕を大きくブンブン振って別れの挨拶をする。
スローテンポなその動きは、何だか学生時代の応援団を思い起こさせたが、朋文が突っ込みを入れる前に、亜沙美は今度こそ2人に背を向けて帰って行った。
「ったく、アイツは…」
譲は閉じたドアを忌々しげに睨み付けたが、朋文にしたらハッキリ言ってそれどころではなかった。
今の、亜沙美の意味ありげな態度ももちろん気になるが、開店前、朋文がトイレの電球を換えに行っていたときの、譲と亜沙美の会話も、実はずっと気になっていた。
2人は朋文がいなくなった隙を狙って話をしていたようだけれど、声を潜めもせずに話していれば、会話くらい普通に聞こえる。
やはり譲はspicaを辞めたくて、それをいつ朋文に切り出そうか、ずっと考えていたに違いない。
(そうか…亜沙美ちゃんには、ずっと相談してたんだ…)
朋文はガクリと項垂れた。
「朋文、何してんだ、帰るぞ」
「あぁ…うん」
ひどくショックを受けて落ち込んでいる朋文を無視して、譲は帰り支度を始める。
朝のように何かを言おうという素振りはなくて、朋文はちょっとホッとしたような、拍子抜けしたような気持ちになった。
「寒っ」
ドアを開けて、まずそう言ったのは、ダウンジャケットにマフラー姿の譲だ。
ちょっとモコモコし過ぎじゃない? と朋文はいつも笑いそうになるが、本人はこれでもまだ寒くて仕方ないようなので、突っ込まないようにしている(ブーツで蹴られるのは、実は結構痛いから)。
「あのさ、譲…」
「あ?」
「えっと…」
ウチの店、辞めたいの? ――――直球で聞こうとして、しかし朋文は言葉を詰まらせた。
実際に譲がそう思ってるんだとしても、真正面から聞くには少しばかりでなく勇気がいる。
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