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Sweet Morning (後編)
2009.03.03 Tue
「ねぇ、拓海、風呂!」
「はぁっ!?」
「風呂入りたい! ねぇ、風呂!」
「あのねぇ…」
拓海は大げさに溜め息をつくが、悠也はクスクス笑っているばかりだ。
「眠いんじゃなかったの?」
「目、覚めた」
「はいはい。今、お湯入れてきますよ。ちょっと行ってきてもいいですか?」
「ダメ!」
「ダメって…」
ここにいて、どうやって風呂の用意をしろというのだ。
「拓海ー、お腹空いたぁ~」
しかし悠也はシーツに包まりながら、さらに拓海にわがままを言う。
「だからさっき買ってきてやるっつったでしょ!」
「お腹空いた~、何か食いたい~」
拓海が困っているのを楽しんでいる様子で、悠也は足をバタつかせながら、声を立てて笑っている。
まったく、どうして今日に限ってこんなにわがままを言い出すのか。
拓海は溜め息をつきながらタバコに手を伸ばしたが、それはとうになくなっていて、潰れたボックスをゴミ箱に放った。
「拓海、タバコ」
拓海の脇に細い腕が伸びてくる。
「買いに行かせなかったのは悠ちゃんでしょ?」
拓海はパチンとその手のひらを叩いてやる。
だいたい滅多に吸わないくせに、何でこんなときに限って吸いたがるのだ。
「チェッ」
手を引っ込めた悠也は、モゾモゾとシーツの中に戻った。
「どうしの、悠ちゃん。今日はずいぶんわがままばっか言うね。ん?」
「……拓海、またテスト始まるんでしょ?」
そう尋ねる悠也の声のトーンは、先ほどとは変わって暗いものだ。拓海は体をずらしてその顔を覗き込もうとするが、悠也はさらにシーツの中に潜ってしまった。
「そうだけど?」
それは前々から悠也伝えてあることで、今さら確認されることでもないような気がするのだが。
「何かレポートとかも書かなきゃで忙しいんでしょ?」
「うん」
「今日、午後から学校行くんでしょ?」
「ん? あぁ」
そう答えたとき、拓海はすべてを悟った気がした。今日に限って、どうして悠也がこんなにわがままを言うのか。
「何だ~、悠ちゃん、俺に会えなくて寂しいの~?」
つい顔がにやけてしまうのを隠せずに、拓海はシーツからはみ出している悠也の髪を、くしゃくしゃと撫で付けてやる。
『そんなんじゃねぇーよ!』と撥ね付けられると思ったその手を、しかし悠也はされるがままになっている。
「悠ちゃん?」
からかい過ぎたかな? と思って手を止めると、悠也がシーツに包まったままモゾリと動いた。
「……寂しいよ。拓海に会えなくなるの、チョー寂しい…」
悠也はシーツから顔半分くらい出して拓海を見つめていた。
「…ッ、もう! 悠ちゃん、ホント素直じゃないんだから」
今日の午後から学校の拓海は、明日も朝から学校で、悠也とは会えない。
そうこしているうちにテスト期間が始まって、ますます2人の距離は離れてしまう。
3年生の拓海にとって、テストやレポートは本当に重要で、そちらに時間を費やさなければならないことを、悠也だって頭では分かっているけれど。
その寂しさを口に出せずに、悠也はつまらないわがままを言って拓海を困らせようとしたのだ。
「悠也ちゃん、もっとそっち詰めて?」
「へ? なっ…ちょっと!」
慌てる悠也をよそに、拓海は悠也を壁際に押しやり、空いたスペースに自分の体を横たえる。そしてシーツごと悠也の体を抱き締めた。
「しょうがないから、今日は学校行くまで、悠ちゃんのわがままに付き合ってあげる」
「ちょっ…こんなことしろなんて言ってないっ…!」
拓海の腕の中でもがくが、シーツのせいで思うように体が動かせない。
「ほら、ジッとする」
子供に言って聞かせるようなその口調に多少引っ掛かる部分はあるが、でもその腕の中は暖かくて、心地よくて。
「……わがまま言って、ゴメンね」
いつもより少しだけ素直になって、悠也は目を閉じた。
*END*
「はぁっ!?」
「風呂入りたい! ねぇ、風呂!」
「あのねぇ…」
拓海は大げさに溜め息をつくが、悠也はクスクス笑っているばかりだ。
「眠いんじゃなかったの?」
「目、覚めた」
「はいはい。今、お湯入れてきますよ。ちょっと行ってきてもいいですか?」
「ダメ!」
「ダメって…」
ここにいて、どうやって風呂の用意をしろというのだ。
「拓海ー、お腹空いたぁ~」
しかし悠也はシーツに包まりながら、さらに拓海にわがままを言う。
「だからさっき買ってきてやるっつったでしょ!」
「お腹空いた~、何か食いたい~」
拓海が困っているのを楽しんでいる様子で、悠也は足をバタつかせながら、声を立てて笑っている。
まったく、どうして今日に限ってこんなにわがままを言い出すのか。
拓海は溜め息をつきながらタバコに手を伸ばしたが、それはとうになくなっていて、潰れたボックスをゴミ箱に放った。
「拓海、タバコ」
拓海の脇に細い腕が伸びてくる。
「買いに行かせなかったのは悠ちゃんでしょ?」
拓海はパチンとその手のひらを叩いてやる。
だいたい滅多に吸わないくせに、何でこんなときに限って吸いたがるのだ。
「チェッ」
手を引っ込めた悠也は、モゾモゾとシーツの中に戻った。
「どうしの、悠ちゃん。今日はずいぶんわがままばっか言うね。ん?」
「……拓海、またテスト始まるんでしょ?」
そう尋ねる悠也の声のトーンは、先ほどとは変わって暗いものだ。拓海は体をずらしてその顔を覗き込もうとするが、悠也はさらにシーツの中に潜ってしまった。
「そうだけど?」
それは前々から悠也伝えてあることで、今さら確認されることでもないような気がするのだが。
「何かレポートとかも書かなきゃで忙しいんでしょ?」
「うん」
「今日、午後から学校行くんでしょ?」
「ん? あぁ」
そう答えたとき、拓海はすべてを悟った気がした。今日に限って、どうして悠也がこんなにわがままを言うのか。
「何だ~、悠ちゃん、俺に会えなくて寂しいの~?」
つい顔がにやけてしまうのを隠せずに、拓海はシーツからはみ出している悠也の髪を、くしゃくしゃと撫で付けてやる。
『そんなんじゃねぇーよ!』と撥ね付けられると思ったその手を、しかし悠也はされるがままになっている。
「悠ちゃん?」
からかい過ぎたかな? と思って手を止めると、悠也がシーツに包まったままモゾリと動いた。
「……寂しいよ。拓海に会えなくなるの、チョー寂しい…」
悠也はシーツから顔半分くらい出して拓海を見つめていた。
「…ッ、もう! 悠ちゃん、ホント素直じゃないんだから」
今日の午後から学校の拓海は、明日も朝から学校で、悠也とは会えない。
そうこしているうちにテスト期間が始まって、ますます2人の距離は離れてしまう。
3年生の拓海にとって、テストやレポートは本当に重要で、そちらに時間を費やさなければならないことを、悠也だって頭では分かっているけれど。
その寂しさを口に出せずに、悠也はつまらないわがままを言って拓海を困らせようとしたのだ。
「悠也ちゃん、もっとそっち詰めて?」
「へ? なっ…ちょっと!」
慌てる悠也をよそに、拓海は悠也を壁際に押しやり、空いたスペースに自分の体を横たえる。そしてシーツごと悠也の体を抱き締めた。
「しょうがないから、今日は学校行くまで、悠ちゃんのわがままに付き合ってあげる」
「ちょっ…こんなことしろなんて言ってないっ…!」
拓海の腕の中でもがくが、シーツのせいで思うように体が動かせない。
「ほら、ジッとする」
子供に言って聞かせるようなその口調に多少引っ掛かる部分はあるが、でもその腕の中は暖かくて、心地よくて。
「……わがまま言って、ゴメンね」
いつもより少しだけ素直になって、悠也は目を閉じた。
*END*
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COMMENT-FORM
伽羅 ⇒ 甘ぁ~~~い!!
可愛ぃ~~~♪
しばらく合えなくなるってわかっていると1分でも1秒でも離しらくないですよねっ!!
悠ちゃんの気持ちよぉ~~く解ります!
拓海くんも優しいし!
甘い朝をありがとうございましたっ♪
しばらく合えなくなるってわかっていると1分でも1秒でも離しらくないですよねっ!!
悠ちゃんの気持ちよぉ~~く解ります!
拓海くんも優しいし!
甘い朝をありがとうございましたっ♪
- |2009.03.03
- |Tue
- |08:41
- |URL
- |EDIT|
りり ⇒ きゃ~~~
悠ちゃん可愛い~~!!!
寂しいのに寂しいって言えなくてごねていたんですね。
乙女心だ…。
それを分かってあげられる拓海くんだからこそ悠ちゃんの彼氏が
つとまっているんですよね。
最後の悠ちゃんのゴメンねにきゅんです!
またこの子達のお話読みたいです。
寂しいのに寂しいって言えなくてごねていたんですね。
乙女心だ…。
それを分かってあげられる拓海くんだからこそ悠ちゃんの彼氏が
つとまっているんですよね。
最後の悠ちゃんのゴメンねにきゅんです!
またこの子達のお話読みたいです。
如月久美子 ⇒ >伽羅さん
離したくないし、離れたくないのに、それを素直には言えない悠ちゃん。
でも最後は素直になりました。
まさにツンデレの神様です。
> 甘い朝をありがとうございましたっ♪
朝から胸やけするくらい、甘い感じに仕上がってしまいましたが(^_^;)
コメントありがとうございました!
でも最後は素直になりました。
まさにツンデレの神様です。
> 甘い朝をありがとうございましたっ♪
朝から胸やけするくらい、甘い感じに仕上がってしまいましたが(^_^;)
コメントありがとうございました!
如月久美子 ⇒ >りりさん
> 寂しいのに寂しいって言えなくてごねていたんですね。
素直になれないツンデレの神様、悠ちゃんです。
拓海さん、ちゃんと分かってるし、甘やかしてるし……どっちが年上なんだか…です。
> またこの子達のお話読みたいです。
ありがとうございます~!!
彼らが、このブログ初登場のカプなんで、いつまでもかわいがってもらっていて、嬉しいです。
コメントありがとうございました!
素直になれないツンデレの神様、悠ちゃんです。
拓海さん、ちゃんと分かってるし、甘やかしてるし……どっちが年上なんだか…です。
> またこの子達のお話読みたいです。
ありがとうございます~!!
彼らが、このブログ初登場のカプなんで、いつまでもかわいがってもらっていて、嬉しいです。
コメントありがとうございました!