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「さっきはごめん」と謝るところ (7)
2013.03.18 Mon
何だか、泣きたい気分だった。
でも睦月は男だから、人前では泣かない。大体、こんなところでいきなり泣くのは意味不明だし、亮とケンカしているという状況を合わせて考えたら、睦月が泣くのは卑怯だ。
睦月はごまかすように鼻を啜って、カバンを開ける。自分で施錠しなくても、鍵ならいつも財布の中に入っている。
でもやっぱり手袋をしたままだとうまくいかなくて、睦月がモゾモゾと四苦八苦していたら、背後から腕が伸びて来て、亮が黙って鍵を開けてくれていた。
ドアが開いて…………でも足が進まない。だって、入ってしまえば。
「…寒いから、中入ろ?」
亮はそう言って、背中を押してくれる。怒ったような声では、もうない。
でも、部屋の中に入ってしまえば。
「…さっきはゴメン」
「えっ!?」
睦月は足を止めたまま、亮のほうを見ることもなくそう言った。
あぁ、ちゃんと顔を見て言えばよかった。こういうところがダメなんだ。分かっている。睦月はいつだって子どもで、いろいろ全然うまく出来なくて、でも亮は、呆れずに側にいてくれる。
こんな俺でも、本当にずっと好きでいてくれるの? 俺、亮に嫌われたくない。
「どういう格好がいいのか、何かよく分かんないけど、こういうのダメなら、もっと勉強してちゃんとするし。…だから亮、俺のこと嫌になんないで?」
「睦月…」
「今着替える、から……もっかい出掛けよ? 亮、もうヤダ? 俺、男に声掛けられるから?」
泣いたらダメだと思うのに、涙が零れそうになって、睦月はいっぱい瞬きをしながら、亮の横をすり抜けて部屋に入る。
クロゼットに向かおうとしたところで、亮に肩を掴まれた。
「…何?」
「このままでいいから、このままの睦月がいいから、だから、もっかい出掛けよ?」
「でも、」
「俺は、今のままの睦月が好きなの。睦月が寒いの嫌じゃないなら、もっかい外行こ?」
「…寒いのは、ヤダ」
亮と出掛けるのはいいけれど、ついさっき、いろいろ反省はしたけれど、でもやっぱり、寒いのは嫌だ。
そう思って言ったら、亮は嫌な顔をするんではなく、笑みを漏らした。
「じゃあ、あったかいところ、行こっか。それならいいでしょ? むっちゃん」
「うん」
睦月は、差し出された手を掴んだ。
back next
*end*
でも睦月は男だから、人前では泣かない。大体、こんなところでいきなり泣くのは意味不明だし、亮とケンカしているという状況を合わせて考えたら、睦月が泣くのは卑怯だ。
睦月はごまかすように鼻を啜って、カバンを開ける。自分で施錠しなくても、鍵ならいつも財布の中に入っている。
でもやっぱり手袋をしたままだとうまくいかなくて、睦月がモゾモゾと四苦八苦していたら、背後から腕が伸びて来て、亮が黙って鍵を開けてくれていた。
ドアが開いて…………でも足が進まない。だって、入ってしまえば。
「…寒いから、中入ろ?」
亮はそう言って、背中を押してくれる。怒ったような声では、もうない。
でも、部屋の中に入ってしまえば。
「…さっきはゴメン」
「えっ!?」
睦月は足を止めたまま、亮のほうを見ることもなくそう言った。
あぁ、ちゃんと顔を見て言えばよかった。こういうところがダメなんだ。分かっている。睦月はいつだって子どもで、いろいろ全然うまく出来なくて、でも亮は、呆れずに側にいてくれる。
こんな俺でも、本当にずっと好きでいてくれるの? 俺、亮に嫌われたくない。
「どういう格好がいいのか、何かよく分かんないけど、こういうのダメなら、もっと勉強してちゃんとするし。…だから亮、俺のこと嫌になんないで?」
「睦月…」
「今着替える、から……もっかい出掛けよ? 亮、もうヤダ? 俺、男に声掛けられるから?」
泣いたらダメだと思うのに、涙が零れそうになって、睦月はいっぱい瞬きをしながら、亮の横をすり抜けて部屋に入る。
クロゼットに向かおうとしたところで、亮に肩を掴まれた。
「…何?」
「このままでいいから、このままの睦月がいいから、だから、もっかい出掛けよ?」
「でも、」
「俺は、今のままの睦月が好きなの。睦月が寒いの嫌じゃないなら、もっかい外行こ?」
「…寒いのは、ヤダ」
亮と出掛けるのはいいけれど、ついさっき、いろいろ反省はしたけれど、でもやっぱり、寒いのは嫌だ。
そう思って言ったら、亮は嫌な顔をするんではなく、笑みを漏らした。
「じゃあ、あったかいところ、行こっか。それならいいでしょ? むっちゃん」
「うん」
睦月は、差し出された手を掴んだ。
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ちよ ⇒
黙って鍵を開けてくれて、
あったかいところへ出掛けようって言ってくれて、
そのままのむっちゃんが好きだと言ってくれて、
亮タンの優しさにウルウルです。(>ω<、)
亮タンはむっちゃんのこと、よーくわかってくれてます。
直ぐにごめんなさいが言えなくても、
呆れたり、嫌いになんかなったりしないよ!!
むっちゃんが亮タンのこと、嫌いになれないのと同じくね!!
だから、無問題でッス!! d(゚∀゚d)
あったかいところへ出掛けようって言ってくれて、
そのままのむっちゃんが好きだと言ってくれて、
亮タンの優しさにウルウルです。(>ω<、)
亮タンはむっちゃんのこと、よーくわかってくれてます。
直ぐにごめんなさいが言えなくても、
呆れたり、嫌いになんかなったりしないよ!!
むっちゃんが亮タンのこと、嫌いになれないのと同じくね!!
だから、無問題でッス!! d(゚∀゚d)
- |2013.03.18
- |Mon
- |07:50
- |URL
- |EDIT|
如月久美子 ⇒ >ちよさん
亮タン、やっぱりただのお母さんではありませんでしたね。
お母さんのような優しさを持ち合わせてはいるけれど、ちゃんと恋人。
ちよさんの仰るとおり、むっちゃんがどんなに腹を立てても亮タンのことを嫌いになれないのと同じですよね。
きっと、すぐにゴメンナサイが言えない、素直になれないところがかわいいんですよね(*^_^*)
コメントありがとうございました!
お母さんのような優しさを持ち合わせてはいるけれど、ちゃんと恋人。
ちよさんの仰るとおり、むっちゃんがどんなに腹を立てても亮タンのことを嫌いになれないのと同じですよね。
きっと、すぐにゴメンナサイが言えない、素直になれないところがかわいいんですよね(*^_^*)
コメントありがとうございました!
- |2013.03.18
- |Mon
- |22:17
- |URL
- |EDIT|