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その手なら離さないでね (4)
2016.07.25 Mon
睦月が目線を合わせてくれたことで、一瞬だけ泣き止んだものの、睦月の言葉に、母親がいないことを改めて実感したのか、今まで以上に大きな声で泣き出してしまった。
一体全体どうしたらいいものか、先ほど隣の通路にいた若い男、絶対にこの泣き声が聞こえているはずなのに、ちっとも助けに来てくれないし! と睦月は困ったり苛付いたりで忙しい。
「マーマァ、ママー!!」
とうとう子どもは地団太を踏むようにジタバタしながら泣き喚き出した。
ここでこの子が泣いていても、睦月がそれを眺めていても、事態は解決しない。一刻も早くお店の人がいるところまで連れて行くしかない。それは分かっている。
分かっているが、これだけ『ママ~!!』と泣き叫んでいる子を連れて歩いていたら、誘拐犯にでも間違われるんじゃないかと思って、ちょっと怖いんだけれど…。
とはいえ、このままでは埒が明かない。睦月は立ち上がって周囲を見回すと、その子を抱えてダッシュした。
誘拐犯に間違われたらどうしよう…などと思っていたくせに、その動きは周囲を警戒したようにも見えるし、何より手際の良さがちょっとした誘拐犯みたいだ。
もちろん、このまま連れ去るわけではない。レジの位置を示す表示を見つけたので、そこまでこの子を連れて行くのだ。レジなら店員がいないはずはなかったから。
子どもを抱き上げてダッシュしたのは、一刻も早くレジのところまでこの子を連れて行きたかったのと、手を引いたくらいでは梃子でも動きそうになかったからだ。
(早く! 早くレジのトコ行かないと!)
睦月はまったく何にも悪いことはしていないけれど、この姿を見た人に、誘拐犯だと思われたって仕方がなかったし、通報されたって、これまた仕方がないことだった。
だからとにかく、あらぬ誤解を受けないうちに、誘拐犯だと思われたって、すぐに誤解が解けるように、急いでレジのところまで行かなければならなかった。
「迷子っ!」
見事なコーナリングを決めてレジの前に飛び出した睦月は、店員がレジの最中であったにもかかわらず、腕に抱いていた子どもを見せ付けた。
店員も、会計中の客も、並んでいた客も、ギョッと睦月を見たが、誘拐犯だと思われるよりはマシだ。
「迷子が…」
睦月の唐突な登場にみんなポカンとなっていたが、睦月が改めてそう口にすると、レジの中にいたもう1人の店員が、慌ててカウンターの外に出て来てくれた。
睦月はホッとして、その子を店員さんに引き渡そうとした。
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一体全体どうしたらいいものか、先ほど隣の通路にいた若い男、絶対にこの泣き声が聞こえているはずなのに、ちっとも助けに来てくれないし! と睦月は困ったり苛付いたりで忙しい。
「マーマァ、ママー!!」
とうとう子どもは地団太を踏むようにジタバタしながら泣き喚き出した。
ここでこの子が泣いていても、睦月がそれを眺めていても、事態は解決しない。一刻も早くお店の人がいるところまで連れて行くしかない。それは分かっている。
分かっているが、これだけ『ママ~!!』と泣き叫んでいる子を連れて歩いていたら、誘拐犯にでも間違われるんじゃないかと思って、ちょっと怖いんだけれど…。
とはいえ、このままでは埒が明かない。睦月は立ち上がって周囲を見回すと、その子を抱えてダッシュした。
誘拐犯に間違われたらどうしよう…などと思っていたくせに、その動きは周囲を警戒したようにも見えるし、何より手際の良さがちょっとした誘拐犯みたいだ。
もちろん、このまま連れ去るわけではない。レジの位置を示す表示を見つけたので、そこまでこの子を連れて行くのだ。レジなら店員がいないはずはなかったから。
子どもを抱き上げてダッシュしたのは、一刻も早くレジのところまでこの子を連れて行きたかったのと、手を引いたくらいでは梃子でも動きそうになかったからだ。
(早く! 早くレジのトコ行かないと!)
睦月はまったく何にも悪いことはしていないけれど、この姿を見た人に、誘拐犯だと思われたって仕方がなかったし、通報されたって、これまた仕方がないことだった。
だからとにかく、あらぬ誤解を受けないうちに、誘拐犯だと思われたって、すぐに誤解が解けるように、急いでレジのところまで行かなければならなかった。
「迷子っ!」
見事なコーナリングを決めてレジの前に飛び出した睦月は、店員がレジの最中であったにもかかわらず、腕に抱いていた子どもを見せ付けた。
店員も、会計中の客も、並んでいた客も、ギョッと睦月を見たが、誘拐犯だと思われるよりはマシだ。
「迷子が…」
睦月の唐突な登場にみんなポカンとなっていたが、睦月が改めてそう口にすると、レジの中にいたもう1人の店員が、慌ててカウンターの外に出て来てくれた。
睦月はホッとして、その子を店員さんに引き渡そうとした。
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