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バレンタインの魔法使い (4)
2013.02.18 Mon
「しょうがねぇじゃん。俺だって、好きで見たわけじゃねぇよ」
「大体さぁ、何その恋愛化学物質て。女の子とか、そういうの好きそうだけど、まさか隼人にそんな乙女思考があったとは…」
「違うんだよ! 俺、昨日テレビ点けたまま寝ちゃって、そんとき番組でそんなんやってたんだよ。テレビの内容が夢の中に出て来たんだな」
隼人はそう分析したけれど、テレビの内容が夢に出てくるのは、あり得なくないから別にいいとして、チョコレートに恋愛化学物質なんて、きっとバレンタイン特集の番組だろうに……そんな番組、見てるの?
「じゃあ隼人は、その魔法使いの俺のアドバイスに従って、湊にチョコ上げて告んの?」
「上げるかい」
「何で。そんな夢まで見といて! チョコ上げなよ! 上げて告んなよ!」
翔真が、箸を持ったままの手を、ブンと振り上げる。
…お行儀が悪い。しかしその姿は、まるで夢に出て来た魔法使いの翔真にそっくりだ。
「そんなこと言ったって。上げるためには、まず、チョコ買わなきゃなんねぇじゃん。俺が買うのか? この時期に? 無理だろ」
バレンタイン間近のこの時期に、男がチョコレートを買いに行くことへの抵抗感は、やはり隼人にもあるようで、大変渋い顔をしている。それは、去年翔真も経験しているから、よく分かる。
けれど、上げたら絶対に喜ばれることも、経験から知っている。そしてそれは、何ものにも代えがたい。
「上げたほうがいいのに~、隼人の意気地なし~」
「何でだよっ」
「だってそうじゃ~ん。違うんだったら、湊にチョコ上げて!」
隼人のことなのに、翔真は、プクッと頬を膨らませて怒り出す(そんな…ちょっとかわいい感じになっているのは、アルコールが入っているせいだろう)。
しかし、真剣に考えてくれているのだと考えれば、いい友だちだと思えるが、面倒くさいと言えば面倒くさい。
「嫌だ、恥ずい」
「店に行くのがってこと? だったらネットで買ったらイイじゃん」
「ショウ…、お前ホントに、俺にチョコ買わす気だな」
「うん。だって隼人、そんな夢見といて、渡さないつもり? じゃあ何でそんな夢見たんだよぉっ!」
「知るかっ。ちょっ、やめろよ!」
バシバシと翔真がテーブルを叩くので、先ほど届いたジョッキの中のビールが飛び散る。
翔真は特別酒が弱いわけではないが、今日は、人並み以上に強い隼人と同じくらいのペースで飲んでいたから、酔いがかなり回ってきているようだ。
結構クールだとか冷静だとか、そんな印象を持たれることが多い翔真だが、酔うとちょっと幼い感じになって、それが夢に出て来た魔法使いと重なるからおかしい。
「だから隼人っ、チョコ買って、湊に告りなさいっ! ねっ?」
夢の中同じく、お告げのようにそう言った翔真は、アイドル顔負けのとびきりの笑顔で、首をコテンとした。
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「大体さぁ、何その恋愛化学物質て。女の子とか、そういうの好きそうだけど、まさか隼人にそんな乙女思考があったとは…」
「違うんだよ! 俺、昨日テレビ点けたまま寝ちゃって、そんとき番組でそんなんやってたんだよ。テレビの内容が夢の中に出て来たんだな」
隼人はそう分析したけれど、テレビの内容が夢に出てくるのは、あり得なくないから別にいいとして、チョコレートに恋愛化学物質なんて、きっとバレンタイン特集の番組だろうに……そんな番組、見てるの?
「じゃあ隼人は、その魔法使いの俺のアドバイスに従って、湊にチョコ上げて告んの?」
「上げるかい」
「何で。そんな夢まで見といて! チョコ上げなよ! 上げて告んなよ!」
翔真が、箸を持ったままの手を、ブンと振り上げる。
…お行儀が悪い。しかしその姿は、まるで夢に出て来た魔法使いの翔真にそっくりだ。
「そんなこと言ったって。上げるためには、まず、チョコ買わなきゃなんねぇじゃん。俺が買うのか? この時期に? 無理だろ」
バレンタイン間近のこの時期に、男がチョコレートを買いに行くことへの抵抗感は、やはり隼人にもあるようで、大変渋い顔をしている。それは、去年翔真も経験しているから、よく分かる。
けれど、上げたら絶対に喜ばれることも、経験から知っている。そしてそれは、何ものにも代えがたい。
「上げたほうがいいのに~、隼人の意気地なし~」
「何でだよっ」
「だってそうじゃ~ん。違うんだったら、湊にチョコ上げて!」
隼人のことなのに、翔真は、プクッと頬を膨らませて怒り出す(そんな…ちょっとかわいい感じになっているのは、アルコールが入っているせいだろう)。
しかし、真剣に考えてくれているのだと考えれば、いい友だちだと思えるが、面倒くさいと言えば面倒くさい。
「嫌だ、恥ずい」
「店に行くのがってこと? だったらネットで買ったらイイじゃん」
「ショウ…、お前ホントに、俺にチョコ買わす気だな」
「うん。だって隼人、そんな夢見といて、渡さないつもり? じゃあ何でそんな夢見たんだよぉっ!」
「知るかっ。ちょっ、やめろよ!」
バシバシと翔真がテーブルを叩くので、先ほど届いたジョッキの中のビールが飛び散る。
翔真は特別酒が弱いわけではないが、今日は、人並み以上に強い隼人と同じくらいのペースで飲んでいたから、酔いがかなり回ってきているようだ。
結構クールだとか冷静だとか、そんな印象を持たれることが多い翔真だが、酔うとちょっと幼い感じになって、それが夢に出て来た魔法使いと重なるからおかしい。
「だから隼人っ、チョコ買って、湊に告りなさいっ! ねっ?」
夢の中同じく、お告げのようにそう言った翔真は、アイドル顔負けのとびきりの笑顔で、首をコテンとした。
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