スポンサーサイト
--.--.-- --
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
- BL小説ランキング参加中です。クリックいただけたら嬉しいです。
- コメントや拍手、ありがとうございます。拍手の公開コメントへのお返事はこちらから。それ以外は、コメントをいただいた記事に返信いたします。
- お題配布サイト「明日」はひっそりまったり更新中です。毎日更新しない日誌「遊び心がない」もよろしくね。
カテゴリー:スポンサー広告
もうさようならの時間 (5)
2011.05.28 Sat
「…亮、むっちゃんのこと、ちゃんと信じてよね」
「は? 何言ってんの、お前」
まるで亮の心を見透かしたようなことを言う和衣に、亮は少なからず動揺したが、それを悟られないように聞き返す。若干、早口にはなってしまったが。
「亮、ちょっと来て!」
和衣は、有無を言わさず、亮の腕を引いて、自分の部屋に入った。
廊下は誰が通るとも知れないし、他の部屋の人にまで話が聞こえかねないから(壁が薄いとはいえ、まだ室内のほうがマシなのだ)。
一応和衣も、そのくらいの気は遣えたらしい。
「そんで? 何だって?」
「…亮、むっちゃんが夜とか出掛けてんの、何か勘違いしてんでしょ? どうせ亮のことだから」
「おい」
随分とひどい言われようだ。
けれど、わざわざ亮を呼び止めてこんなことを言ってくるくらいだから、和衣が何か知っているのは間違いなくて。
そう思ったら、亮は和衣を無視して部屋を出ていくことが出来なかった。
「でも別に、全然そういうんじゃないから、むっちゃんのこと、ちゃんと信じてよね」
「は? お前、何知ってんの?」
「ッ…それは…別にどうでもいいじゃんっ」
「いいわけねぇだろ」
和衣に何か言われなくたって、睦月を信じようとは思っているけれど、自分の知らない何かを和衣が知っているのは嫌だ。
そう思って問い詰めようとしても、和衣はぷんっ! と顔を背けてしまった。
「カーズ、言えよ」
「言わないっ! だってそんなのっ…、むっちゃんが言わないの、内緒にしときたいからなのに…、俺が言ったらダメなんだもん」
「はぁ? じゃあ何で、そういうんじゃないとか、そーゆーのは言えるわけ? それって半分バラしてるようなもんじゃん」
「ッ…!」
亮の追及は鋭くも何ともなかったけれど、和衣は困ったように視線を彷徨わせた。和衣は、想定以上に質問を重ねられると、それだけでいっぱいいっぱいになってしまうのだ。
もちろん亮は、それを分かっていて言ったのだけれど、別に和衣を言い負かそうとか、追い詰めようとか、そんな気はなくて、ただ本当のことを知りたいだけ。
「…だって、言っちゃダメだけど、でも、そういうんじゃないよ、てこと亮が分かんなかったら、亮、ずっとむっちゃんのこと、疑ったままなんでしょ? そしたら亮、むっちゃんと別れちゃうかもじゃんっ…」
グズッ…と鼻を啜ったかと思ったら、和衣の目にはうっすら涙が浮かんでいた。
高校のころとか、亮がどういう状況で彼女と別れるに至ったか、それは亮自身だけでなく、ずっと一緒にいた和衣や翔真だって、よく知っていることで。
だから和衣は、今回もこんな状況の中で、睦月に対する気持ちが冷めていってしまうのではないかと心配になって、余計なことと分かっていながらも、亮に声を掛けずにはいられなかったのだ。
「俺だってこんなの言いたくない、だってむっちゃんのことだし…。でも亮、むっちゃんに聞きそうもないし、むっちゃんも自分からは何か言いそうもないし、そしたらずっと分かんないまんまで…」
「…」
和衣はギュッと眉間を寄せて、亮を睨んだ。
すごく怒っているような顔、けれど亮は分かった。和衣は怒っているんじゃなくて、泣くのを我慢しているのだ。
back next
「は? 何言ってんの、お前」
まるで亮の心を見透かしたようなことを言う和衣に、亮は少なからず動揺したが、それを悟られないように聞き返す。若干、早口にはなってしまったが。
「亮、ちょっと来て!」
和衣は、有無を言わさず、亮の腕を引いて、自分の部屋に入った。
廊下は誰が通るとも知れないし、他の部屋の人にまで話が聞こえかねないから(壁が薄いとはいえ、まだ室内のほうがマシなのだ)。
一応和衣も、そのくらいの気は遣えたらしい。
「そんで? 何だって?」
「…亮、むっちゃんが夜とか出掛けてんの、何か勘違いしてんでしょ? どうせ亮のことだから」
「おい」
随分とひどい言われようだ。
けれど、わざわざ亮を呼び止めてこんなことを言ってくるくらいだから、和衣が何か知っているのは間違いなくて。
そう思ったら、亮は和衣を無視して部屋を出ていくことが出来なかった。
「でも別に、全然そういうんじゃないから、むっちゃんのこと、ちゃんと信じてよね」
「は? お前、何知ってんの?」
「ッ…それは…別にどうでもいいじゃんっ」
「いいわけねぇだろ」
和衣に何か言われなくたって、睦月を信じようとは思っているけれど、自分の知らない何かを和衣が知っているのは嫌だ。
そう思って問い詰めようとしても、和衣はぷんっ! と顔を背けてしまった。
「カーズ、言えよ」
「言わないっ! だってそんなのっ…、むっちゃんが言わないの、内緒にしときたいからなのに…、俺が言ったらダメなんだもん」
「はぁ? じゃあ何で、そういうんじゃないとか、そーゆーのは言えるわけ? それって半分バラしてるようなもんじゃん」
「ッ…!」
亮の追及は鋭くも何ともなかったけれど、和衣は困ったように視線を彷徨わせた。和衣は、想定以上に質問を重ねられると、それだけでいっぱいいっぱいになってしまうのだ。
もちろん亮は、それを分かっていて言ったのだけれど、別に和衣を言い負かそうとか、追い詰めようとか、そんな気はなくて、ただ本当のことを知りたいだけ。
「…だって、言っちゃダメだけど、でも、そういうんじゃないよ、てこと亮が分かんなかったら、亮、ずっとむっちゃんのこと、疑ったままなんでしょ? そしたら亮、むっちゃんと別れちゃうかもじゃんっ…」
グズッ…と鼻を啜ったかと思ったら、和衣の目にはうっすら涙が浮かんでいた。
高校のころとか、亮がどういう状況で彼女と別れるに至ったか、それは亮自身だけでなく、ずっと一緒にいた和衣や翔真だって、よく知っていることで。
だから和衣は、今回もこんな状況の中で、睦月に対する気持ちが冷めていってしまうのではないかと心配になって、余計なことと分かっていながらも、亮に声を掛けずにはいられなかったのだ。
「俺だってこんなの言いたくない、だってむっちゃんのことだし…。でも亮、むっちゃんに聞きそうもないし、むっちゃんも自分からは何か言いそうもないし、そしたらずっと分かんないまんまで…」
「…」
和衣はギュッと眉間を寄せて、亮を睨んだ。
すごく怒っているような顔、けれど亮は分かった。和衣は怒っているんじゃなくて、泣くのを我慢しているのだ。
back next
- 関連記事
-
- もうさようならの時間 (6) (2011/05/29)
- もうさようならの時間 (5) (2011/05/28)
- もうさようならの時間 (4) (2011/05/27)
- BL小説ランキング参加中です。クリックいただけたら嬉しいです。
- コメントや拍手、ありがとうございます。拍手の公開コメントへのお返事はこちらから。それ以外は、コメントをいただいた記事に返信いたします。
- お題配布サイト「明日」はひっそりまったり更新中です。毎日更新しない日誌「遊び心がない」もよろしくね。
カテゴリー:Baby Baby Baby Love
コメントの投稿はこちらから ♥
COMMENT-FORM
けいったん ⇒
むっちゃんの行動に 疑いを持ち始めた亮を 心配して カズちゃんが 乗り出した!
でも 亮が知りたい肝心な事は言わないけど 匂わす事は 言うんだもんなぁ~
さすが カズちゃん!・・・中途半端 ♪
余計に モヤモヤしちゃうじゃなーーい!
ズゥ―(´゚д゚`;)―ン...byebye☆
でも 亮が知りたい肝心な事は言わないけど 匂わす事は 言うんだもんなぁ~
さすが カズちゃん!・・・中途半端 ♪
余計に モヤモヤしちゃうじゃなーーい!
ズゥ―(´゚д゚`;)―ン...byebye☆
- |2011.05.28
- |Sat
- |19:48
- |URL
- |EDIT|
如月久美子 ⇒ >拍手コメ→Kさん
カズちゃん、自分のことじゃなくても、いつでも真剣で本気。
やっぱり、むっちゃんのことも、亮タンのことも大好きなんで。
「かわいい」て言ってもらえると、ホントに嬉しいです~。
お話のタイトル、私が自分で考えると、大体いつも湿っぽい感じです(根暗なんで)。
自分で考えたタイトルもいくつかストックがあるんですが、どうしてもお話の内容に合うヤツがなくて、あんまり使わないんですが、今回はどうにか。
それにしても、偶然とはいえ、こんなタイミング…(苦笑)
寂しい思いをさせて、すみません~。
拍手&コメントありがとうございました!
やっぱり、むっちゃんのことも、亮タンのことも大好きなんで。
「かわいい」て言ってもらえると、ホントに嬉しいです~。
お話のタイトル、私が自分で考えると、大体いつも湿っぽい感じです(根暗なんで)。
自分で考えたタイトルもいくつかストックがあるんですが、どうしてもお話の内容に合うヤツがなくて、あんまり使わないんですが、今回はどうにか。
それにしても、偶然とはいえ、こんなタイミング…(苦笑)
寂しい思いをさせて、すみません~。
拍手&コメントありがとうございました!
如月久美子 ⇒ >けいったんさん
カズちゃん、2人の仲が心配で飛び出してきちゃったはいいけど、むっちゃんのこと勝手に喋っちゃっていいの? と気が付いちゃったもんだから、こんな中途半端に…。
…にしても、亮タンが気付かないこと、カズちゃんが気付くなんて…? ですよね。
さすがカズちゃん(笑)
ズゥ―(´゚д゚`;)―ン...な気持ちにさせちゃって、ゴメンナサイ!
コメントありがとうございました!
…にしても、亮タンが気付かないこと、カズちゃんが気付くなんて…? ですよね。
さすがカズちゃん(笑)
ズゥ―(´゚д゚`;)―ン...な気持ちにさせちゃって、ゴメンナサイ!
コメントありがとうございました!