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キャンディじゃなくてキスが欲しいよ (11)
2011.03.16 Wed
昨夜は静岡でも大きな地震があったそうで。一体地球はどうなってしまうんでしょうか。とにかくみなさまのご無事をお祈りいたします。
ところで昨日は、職場で取った電話が、いきなりのクレームでビビりました。県外の方で、ウチの職場に対するクレームというよりは、何か思い込みによるものだったのですが、その方もこの地震でいろいろなストレスを溜め込んでいるようでした。怖かったです。
早くみんなの心に平穏や平静さが戻りますように。
「大学合格したの? おめでとう。由里ちゃん、ゆっちに何か買ってもらった?」
「うん。欲しかったバッグがあって。それ買ってもらった」
「ふぅん」
「それ以外にもいろいろ買ってやっただろ! メシだって奢ったし!」
祐介は苛立たしげに、テーブルを指で叩いた。
引っ越しの手伝いはともかく、今日1日、由里に付き合わされた挙げ句、最後の最後に睦月に殴り飛ばされたのだ、機嫌だって悪くなる。
兄として妹の進学を祝う気持ちはあるし、それを形にして贈ろうとも思っていたが、まさかここまでいろいろと引っ張り回され、付き合わされることになるとは。
なのに由里は、「いいじゃん、どうせお兄ちゃん、暇だったんでしょ?」なんて、あっけらかんとしている。
「あの、祐介…」
不機嫌そうな祐介を前にして、和衣は何だか居心地が悪いような、何も悪くないけれど謝りたいような……むっちゃんか由里さん、もっとちゃんと祐介に謝らないかな…と思ってしまう。
しかし祐介とは長い付き合いの2人は、そんな様子まるで気にならないのか、久々の再会を喜んでいるだけだ。
「…祐介、あの…大丈夫?」
「え?」
そんな、思い切り殴られておいて、大丈夫なわけがないのに。
でも和衣は、何と言ったらいいかうまい言葉を見つけられなくて、結局そんなふうにしか尋ねることが出来ない。
「あの…ほっぺ…」
「え? あぁ、まぁあの…、痛い、けど…」
そりゃそうだろう、としか言いようのない返事を貰って、和衣はシュンとして俯いた。
度が過ぎているとはいえ、睦月が自分のためにやったことだと分かるから、和衣は申し訳なくて仕方がない。
しかし、そんな事情を知らない祐介は、なぜ和衣が落ち込むのか分からないし、実のところ、単に聞かれたことに答えただけで、和衣に対してぶっきら棒に答えたつもりもなかった。
「あ、そういえばさぁ、むっちゃん、さっき何でお兄ちゃんのことぶっ飛ばしたの? いきなり」
和衣がへどもどしていたら、睦月とベラベラ喋りまくっていた由里が、思い出したように、祐介が殴り飛ばされてからずっと思っていた疑問を、睦月にぶつけた。
和衣は、祐介の反応が気になって、チラリと視線を向けた。
「いや、何か…勢い余って?」
「えー何それ」
祐介をぶっ飛ばすまでには、睦月と和衣の間でもいろいろなことがあって、まぁそれはいろいろと大変だったんだよ、とは、説明するのも面倒くさかったので、睦月は適当にごまかした。
その答えに由里はおもしろがって笑っているが、祐介には通用するわけもなく、「何の勢いだよっ」と突っ込まれてしまう。
「あ、あの、ゴメ…祐介…」
「え? え、何が?」
我慢できずに和衣が謝れば、突然の謝罪に祐介は首を傾げた。
睦月には、本気で謝られても謝り足りないくらいのことをされたが、和衣からは何かされた覚えはないのだが。
「あの、何か……あの…」
本当のことを話そうにも、よく考えたら今は由里もいるから、言い出せないことに気が付いた。
まさか実の妹を彼女と勘違いして、ヤキモチを妬くどころか、ショックでフリーズしてしまっていたなんて、言えるわけがない。
「つーか由里、もういい加減、帰れって。ここには泊めらんないんだから。これ以上遅くなったら危な…」
「もーお兄ちゃん、相変わらず過保護! まだ9時過ぎたばっかじゃん」
由里はケラケラ笑っていたが、祐介の言葉は、由里の相手が面倒くさくなったからではなくて、本気で妹のことを心配してのものだということが分かる。
過保護なのは睦月だけにだと思っていたが、どうやら妹にもこの調子のようだ。
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ところで昨日は、職場で取った電話が、いきなりのクレームでビビりました。県外の方で、ウチの職場に対するクレームというよりは、何か思い込みによるものだったのですが、その方もこの地震でいろいろなストレスを溜め込んでいるようでした。怖かったです。
早くみんなの心に平穏や平静さが戻りますように。
「大学合格したの? おめでとう。由里ちゃん、ゆっちに何か買ってもらった?」
「うん。欲しかったバッグがあって。それ買ってもらった」
「ふぅん」
「それ以外にもいろいろ買ってやっただろ! メシだって奢ったし!」
祐介は苛立たしげに、テーブルを指で叩いた。
引っ越しの手伝いはともかく、今日1日、由里に付き合わされた挙げ句、最後の最後に睦月に殴り飛ばされたのだ、機嫌だって悪くなる。
兄として妹の進学を祝う気持ちはあるし、それを形にして贈ろうとも思っていたが、まさかここまでいろいろと引っ張り回され、付き合わされることになるとは。
なのに由里は、「いいじゃん、どうせお兄ちゃん、暇だったんでしょ?」なんて、あっけらかんとしている。
「あの、祐介…」
不機嫌そうな祐介を前にして、和衣は何だか居心地が悪いような、何も悪くないけれど謝りたいような……むっちゃんか由里さん、もっとちゃんと祐介に謝らないかな…と思ってしまう。
しかし祐介とは長い付き合いの2人は、そんな様子まるで気にならないのか、久々の再会を喜んでいるだけだ。
「…祐介、あの…大丈夫?」
「え?」
そんな、思い切り殴られておいて、大丈夫なわけがないのに。
でも和衣は、何と言ったらいいかうまい言葉を見つけられなくて、結局そんなふうにしか尋ねることが出来ない。
「あの…ほっぺ…」
「え? あぁ、まぁあの…、痛い、けど…」
そりゃそうだろう、としか言いようのない返事を貰って、和衣はシュンとして俯いた。
度が過ぎているとはいえ、睦月が自分のためにやったことだと分かるから、和衣は申し訳なくて仕方がない。
しかし、そんな事情を知らない祐介は、なぜ和衣が落ち込むのか分からないし、実のところ、単に聞かれたことに答えただけで、和衣に対してぶっきら棒に答えたつもりもなかった。
「あ、そういえばさぁ、むっちゃん、さっき何でお兄ちゃんのことぶっ飛ばしたの? いきなり」
和衣がへどもどしていたら、睦月とベラベラ喋りまくっていた由里が、思い出したように、祐介が殴り飛ばされてからずっと思っていた疑問を、睦月にぶつけた。
和衣は、祐介の反応が気になって、チラリと視線を向けた。
「いや、何か…勢い余って?」
「えー何それ」
祐介をぶっ飛ばすまでには、睦月と和衣の間でもいろいろなことがあって、まぁそれはいろいろと大変だったんだよ、とは、説明するのも面倒くさかったので、睦月は適当にごまかした。
その答えに由里はおもしろがって笑っているが、祐介には通用するわけもなく、「何の勢いだよっ」と突っ込まれてしまう。
「あ、あの、ゴメ…祐介…」
「え? え、何が?」
我慢できずに和衣が謝れば、突然の謝罪に祐介は首を傾げた。
睦月には、本気で謝られても謝り足りないくらいのことをされたが、和衣からは何かされた覚えはないのだが。
「あの、何か……あの…」
本当のことを話そうにも、よく考えたら今は由里もいるから、言い出せないことに気が付いた。
まさか実の妹を彼女と勘違いして、ヤキモチを妬くどころか、ショックでフリーズしてしまっていたなんて、言えるわけがない。
「つーか由里、もういい加減、帰れって。ここには泊めらんないんだから。これ以上遅くなったら危な…」
「もーお兄ちゃん、相変わらず過保護! まだ9時過ぎたばっかじゃん」
由里はケラケラ笑っていたが、祐介の言葉は、由里の相手が面倒くさくなったからではなくて、本気で妹のことを心配してのものだということが分かる。
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