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僕らの青春に明日はない (73)
2010.05.15 Sat
(うぅー…心臓痛い…)
亮と睦月が更衣室を出て、愛菜と眞織に見送られ、最後に祐介にがんばって、と声を掛けられた後、和衣はとうとう1人になってしまった。
ステージに上がるため、横の準備室には参加者が全員集めさせられていたが、知らない人ばかりだから、はっきり言って、すごく心細い。
なのに。
「カズくん、カズくん。もうすぐだね。お客さん、どのくらい来てるかな」
真大はそんなこと少しも気にならないのか、ドキドキしまくっている和衣に無邪気に話し掛けて来る。
それどころじゃないのに~~~!! と思っていても、和衣は言えない。
「翔真くん、どの辺に座ってるかな。手とか振ったら、怒られちゃうかな? …………カズくん?」
1人で勝手にベラベラ喋っていた真大は、ようやく和衣が何も言えずにガチガチになっていることに気が付いた。
「カズくん、大丈夫? 緊張してんの?」
「しっ…してな…」
声が裏返って、まともに返事も出来ない。
本番はこれから。まだステージにも上がっていないのに。
しっかりと閉じて立っていなさい、と言われていた足も、ガクガクと震え出す。
「カズくん?」
「や…やっぱ、緊張、するっ…!」
「大丈夫?」
真大の言葉に、和衣はブンブンと首を横に振る。
全然、大丈夫じゃない。
もうダッシュで逃げ出したい。
「カズくん、深呼吸、深呼吸。はい、吸って、吸って、吸って」
「はっ…く、んっ」
「吸って~」
「ッ、んっ、ふ…、――――て、いつ吐くの!?」
まったく素直に、真大の言葉どおりに、息を吸い続けていた和衣は、とうとう苦しくなって息を吐き出した。
ノリ突っ込みにもなっていない、本気のボケだ。
「じゃあね、手のひらに"人"て字、3回書いて、飲み込むのは?」
「人…」
「間違って"入る"て字、書かないでね?」
「書かないよ!」
それでも和衣は慎重に、手のひらに"人"という字を書き始める――――が、書いたところでピタリと止まった。
「どうしたの?」
「これってさ、1回書くごとに飲むの? それとも3回書き終えたら飲むの?」
「え…えー…」
人前で緊張なんてしないタイプの真大は、『手のひらに"人"という字を書いて飲み込む』という方法を、何となく世間一般的なこととして知っているだけで、実際に自分が試したことはない。
言われてみれば確かに、『手のひらに"人"という字を書いて飲み込む』というだけでは、どのタイミングで飲み込んでいいのか分からない。
分からないけれど、そんなに真剣に悩むようなことでもないと思う。
だが、和衣は本気で困っているようで、どっち? どっちなの? と真大に詰め寄って来る。
亮と睦月が更衣室を出て、愛菜と眞織に見送られ、最後に祐介にがんばって、と声を掛けられた後、和衣はとうとう1人になってしまった。
ステージに上がるため、横の準備室には参加者が全員集めさせられていたが、知らない人ばかりだから、はっきり言って、すごく心細い。
なのに。
「カズくん、カズくん。もうすぐだね。お客さん、どのくらい来てるかな」
真大はそんなこと少しも気にならないのか、ドキドキしまくっている和衣に無邪気に話し掛けて来る。
それどころじゃないのに~~~!! と思っていても、和衣は言えない。
「翔真くん、どの辺に座ってるかな。手とか振ったら、怒られちゃうかな? …………カズくん?」
1人で勝手にベラベラ喋っていた真大は、ようやく和衣が何も言えずにガチガチになっていることに気が付いた。
「カズくん、大丈夫? 緊張してんの?」
「しっ…してな…」
声が裏返って、まともに返事も出来ない。
本番はこれから。まだステージにも上がっていないのに。
しっかりと閉じて立っていなさい、と言われていた足も、ガクガクと震え出す。
「カズくん?」
「や…やっぱ、緊張、するっ…!」
「大丈夫?」
真大の言葉に、和衣はブンブンと首を横に振る。
全然、大丈夫じゃない。
もうダッシュで逃げ出したい。
「カズくん、深呼吸、深呼吸。はい、吸って、吸って、吸って」
「はっ…く、んっ」
「吸って~」
「ッ、んっ、ふ…、――――て、いつ吐くの!?」
まったく素直に、真大の言葉どおりに、息を吸い続けていた和衣は、とうとう苦しくなって息を吐き出した。
ノリ突っ込みにもなっていない、本気のボケだ。
「じゃあね、手のひらに"人"て字、3回書いて、飲み込むのは?」
「人…」
「間違って"入る"て字、書かないでね?」
「書かないよ!」
それでも和衣は慎重に、手のひらに"人"という字を書き始める――――が、書いたところでピタリと止まった。
「どうしたの?」
「これってさ、1回書くごとに飲むの? それとも3回書き終えたら飲むの?」
「え…えー…」
人前で緊張なんてしないタイプの真大は、『手のひらに"人"という字を書いて飲み込む』という方法を、何となく世間一般的なこととして知っているだけで、実際に自分が試したことはない。
言われてみれば確かに、『手のひらに"人"という字を書いて飲み込む』というだけでは、どのタイミングで飲み込んでいいのか分からない。
分からないけれど、そんなに真剣に悩むようなことでもないと思う。
だが、和衣は本気で困っているようで、どっち? どっちなの? と真大に詰め寄って来る。
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