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ハッピークリスマス (7)
2011.01.27 Thu
郁雅は、そのお粥の味と同じくらいにごく普通な感想を漏らすが、何も蒼一郎は、味について思うところがあって、食べるのを躊躇っていたわけではない。
年相応の男子として、単純に『あーん』が恥ずかしかっただけだ。
しかし郁雅は、そうするのが当たり前と思っているのか、レンゲにもう一掬いして差し出してくるから、変に意識する必要もないと、蒼一郎は素直にそれを受け入れた。
「普通だろ?」
「…ん。でもゴメン、あんま味分かんない…」
「あぁ、風邪引くと口がまずくなるよな。もっと食えそう?」
せっかく準備してくれたのに、殆ど味も分からない状態なのが申し訳なくて、蒼一郎は謝るが、郁雅はあまり気にしていないようだ。
でも蒼一郎にしたら、これがレトルトのお粥でよかったと、心底思う。もしこれが、郁雅の作ってくれたものだとしたら、味が分からないなんて、最悪だ。
「…よし、じゃ薬飲んで、寝…………あれ、熱測ったっけ?」
お粥を全部食べさせた後、薬を飲ませて、蒼一郎を寝かしつけようとした郁雅は、枕元の体温計にふと気が付いた。
医者が来てくれたときに1度測ったきりのような…。
「でもメシ食った後だし、いま測ってもアレなのかな?」
「分かんね…」
今まで親から看病されることはあっても、ここまでしっかりと自分で他人の世話なんてしたことはないから、その辺のところが2人ともいまいち分からない。
でも、今薬を飲んだばかりで、効いて来るのもこれからだろうから、先に寝かし付けようか。
「あ、イク」
「ん?」
お粥の入っていた器やらグラスやらを片付けるため、ベッドから離れていた郁雅を呼び止める。
「ちょっとお願いあんだけど」
「何?」
「引き出し……俺の机の、脇のヤツ、の一番下」
「え、どれ?」
たどたどしい蒼一郎の説明に、郁雅は眉を寄せつつ、引き出しに手を掛ける。
「ここ?」
「…ん。開けて?」
よく分からないけれど、とりあえず言われるがまま、引き出しを開けてみる。
中は、蒼一郎の性格をよく表しているというか……とっても雑然としている。
「中にさぁ、何か箱…てか、何かそんなの、ない?」
「箱? どれ? つか蒼、机ん中、汚すぎ!」
「ゴメ…」
「で、これ?」
「…ん、それ。ちょっと持って来て?」
今は具合が悪いから見逃してやるが、後で絶対に片付けさせてやる! と心に決め、郁雅は言われたとおりの箱……というか、かわいくラッピングされた包みを持っていく。
「はい、これでいいの?」
「ん、ありがと…、…………、…はい、イク」
「はい?」
蒼一郎はなぜか、受け取った包みを、そのまま郁雅の手に乗せた。
熱のせいだろうか、今日の蒼一郎の行動は何だかとっても不可解だ。
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年相応の男子として、単純に『あーん』が恥ずかしかっただけだ。
しかし郁雅は、そうするのが当たり前と思っているのか、レンゲにもう一掬いして差し出してくるから、変に意識する必要もないと、蒼一郎は素直にそれを受け入れた。
「普通だろ?」
「…ん。でもゴメン、あんま味分かんない…」
「あぁ、風邪引くと口がまずくなるよな。もっと食えそう?」
せっかく準備してくれたのに、殆ど味も分からない状態なのが申し訳なくて、蒼一郎は謝るが、郁雅はあまり気にしていないようだ。
でも蒼一郎にしたら、これがレトルトのお粥でよかったと、心底思う。もしこれが、郁雅の作ってくれたものだとしたら、味が分からないなんて、最悪だ。
「…よし、じゃ薬飲んで、寝…………あれ、熱測ったっけ?」
お粥を全部食べさせた後、薬を飲ませて、蒼一郎を寝かしつけようとした郁雅は、枕元の体温計にふと気が付いた。
医者が来てくれたときに1度測ったきりのような…。
「でもメシ食った後だし、いま測ってもアレなのかな?」
「分かんね…」
今まで親から看病されることはあっても、ここまでしっかりと自分で他人の世話なんてしたことはないから、その辺のところが2人ともいまいち分からない。
でも、今薬を飲んだばかりで、効いて来るのもこれからだろうから、先に寝かし付けようか。
「あ、イク」
「ん?」
お粥の入っていた器やらグラスやらを片付けるため、ベッドから離れていた郁雅を呼び止める。
「ちょっとお願いあんだけど」
「何?」
「引き出し……俺の机の、脇のヤツ、の一番下」
「え、どれ?」
たどたどしい蒼一郎の説明に、郁雅は眉を寄せつつ、引き出しに手を掛ける。
「ここ?」
「…ん。開けて?」
よく分からないけれど、とりあえず言われるがまま、引き出しを開けてみる。
中は、蒼一郎の性格をよく表しているというか……とっても雑然としている。
「中にさぁ、何か箱…てか、何かそんなの、ない?」
「箱? どれ? つか蒼、机ん中、汚すぎ!」
「ゴメ…」
「で、これ?」
「…ん、それ。ちょっと持って来て?」
今は具合が悪いから見逃してやるが、後で絶対に片付けさせてやる! と心に決め、郁雅は言われたとおりの箱……というか、かわいくラッピングされた包みを持っていく。
「はい、これでいいの?」
「ん、ありがと…、…………、…はい、イク」
「はい?」
蒼一郎はなぜか、受け取った包みを、そのまま郁雅の手に乗せた。
熱のせいだろうか、今日の蒼一郎の行動は何だかとっても不可解だ。
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