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キャンディじゃなくてキスが欲しいよ (9)
2011.03.11 Fri
いつもは長風呂の和衣に付き合い切れず、先に上がってしまう睦月だったが、さすがに今は和衣を1人にしておけなくて、我慢してずっと一緒にお風呂にいた。
和衣もそんな睦月に気を遣ったのか、いつもよりもずっと早くお風呂から上がった。
「別に、もっと長く入ってたって平気だったのに、俺」
「…俺だって、1人でお風呂、平気だったのに」
逆上せかけの赤い顔で睦月が言えば、和衣も強がって、そんなかわいくないことを口走ってしまう。
言ってから和衣は、嫌な言い方をしたと反省したが、今さら謝ることも出来なかった。
脱衣場でしっかりと頭を乾かした後、2人して、トボトボと部屋に戻る。
祐介の部屋の前を通り過ぎようとしたとき、和衣がグズッと鼻を啜ったので、睦月はよしよしと頭を撫でてあげる。
果たして祐介はもう帰って来ているのだろうか。だとしたら、今すぐにこのドアを蹴破って、祐介を殴り飛ばしてやりたい!
「カズちゃん…」
ゆっちが部屋にいるか、確かめてみる? と尋ねても、和衣は首を横に振るだけだった。
まさか寮まで彼女を連れては来ていないだろうけど、今はとても祐介に会える精神状態ではないから。
「じゃ、部屋行こ? あ、今日一緒に寝る?」
「え、むっちゃんと?」
「大丈夫、カズちゃんなら蹴っ飛ばさないから」
睦月の寝相が悪いことは、今までにも散々話題に上っているから和衣も知っているが、何の根拠もないうえに、寝ている間のこと、よくそんなに自信たっぷりに言えたものだ。
「前に一緒に寝たときも、蹴らなかったでしょ?」
「まぁ…」
学園祭の女装コンテストに出場する和衣が、その前日、眠れなくて亮と睦月の部屋を訪れた際、寝惚けた睦月に引き連れられて、同じベッドで寝たことならある。
確かにあのときは、蹴られた覚えはない。
「なら、亮のベッドで寝る?」
「えーヤダよ」
睦月の突拍子のない提案に、和衣はようやく少し笑顔を見せた。
「とにかく俺の部屋来てよ! まだ亮帰って来てないし。ね?」
和衣の返事を聞く前に、睦月はその手を掴んで引っ張る。
いつまでも祐介の部屋の前で、グズグズしていたくない――――睦月がそう思ったときだった。
「へぇ、こういうとこ住んでんだぁ。結構おっきいね」
この寮内では滅多に聞けない、女の子の声。
睦月はハッとして声のするほうを振り返った。和衣も呆然とそちらを見つめる。階段のほう。
「もう住んでるトコ見たんだから、気が済んだろ? 帰れば?」
「ヤダ~。部屋も見る!」
「見たって、何もおもしろいことないから。普通だから」
「普通でもいいよー。お茶くらい飲ませてくれるんでしょ? 今日、歩きっ放しで疲れちゃった」
「それはこっちのセリフ」
女の子と、男の子の会話。
女の子の声に聞き覚えはなかったけれど、男のほうは。
「むっちゃん…」
和衣は呆然と、睦月のスウェットシャツの裾を掴んだ。
その声は、今日1日、和衣がずっと待ち続けていた、でももう会いたくないと思っていた人の声に違いない。まだ姿は見えないけれど、親しげに女の子と話しているのが分かる。
その姿を見ないうちに、部屋に戻ってしまいたい、いや、どこでもいいから逃げてしまいたい、でも足が動かない。
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和衣もそんな睦月に気を遣ったのか、いつもよりもずっと早くお風呂から上がった。
「別に、もっと長く入ってたって平気だったのに、俺」
「…俺だって、1人でお風呂、平気だったのに」
逆上せかけの赤い顔で睦月が言えば、和衣も強がって、そんなかわいくないことを口走ってしまう。
言ってから和衣は、嫌な言い方をしたと反省したが、今さら謝ることも出来なかった。
脱衣場でしっかりと頭を乾かした後、2人して、トボトボと部屋に戻る。
祐介の部屋の前を通り過ぎようとしたとき、和衣がグズッと鼻を啜ったので、睦月はよしよしと頭を撫でてあげる。
果たして祐介はもう帰って来ているのだろうか。だとしたら、今すぐにこのドアを蹴破って、祐介を殴り飛ばしてやりたい!
「カズちゃん…」
ゆっちが部屋にいるか、確かめてみる? と尋ねても、和衣は首を横に振るだけだった。
まさか寮まで彼女を連れては来ていないだろうけど、今はとても祐介に会える精神状態ではないから。
「じゃ、部屋行こ? あ、今日一緒に寝る?」
「え、むっちゃんと?」
「大丈夫、カズちゃんなら蹴っ飛ばさないから」
睦月の寝相が悪いことは、今までにも散々話題に上っているから和衣も知っているが、何の根拠もないうえに、寝ている間のこと、よくそんなに自信たっぷりに言えたものだ。
「前に一緒に寝たときも、蹴らなかったでしょ?」
「まぁ…」
学園祭の女装コンテストに出場する和衣が、その前日、眠れなくて亮と睦月の部屋を訪れた際、寝惚けた睦月に引き連れられて、同じベッドで寝たことならある。
確かにあのときは、蹴られた覚えはない。
「なら、亮のベッドで寝る?」
「えーヤダよ」
睦月の突拍子のない提案に、和衣はようやく少し笑顔を見せた。
「とにかく俺の部屋来てよ! まだ亮帰って来てないし。ね?」
和衣の返事を聞く前に、睦月はその手を掴んで引っ張る。
いつまでも祐介の部屋の前で、グズグズしていたくない――――睦月がそう思ったときだった。
「へぇ、こういうとこ住んでんだぁ。結構おっきいね」
この寮内では滅多に聞けない、女の子の声。
睦月はハッとして声のするほうを振り返った。和衣も呆然とそちらを見つめる。階段のほう。
「もう住んでるトコ見たんだから、気が済んだろ? 帰れば?」
「ヤダ~。部屋も見る!」
「見たって、何もおもしろいことないから。普通だから」
「普通でもいいよー。お茶くらい飲ませてくれるんでしょ? 今日、歩きっ放しで疲れちゃった」
「それはこっちのセリフ」
女の子と、男の子の会話。
女の子の声に聞き覚えはなかったけれど、男のほうは。
「むっちゃん…」
和衣は呆然と、睦月のスウェットシャツの裾を掴んだ。
その声は、今日1日、和衣がずっと待ち続けていた、でももう会いたくないと思っていた人の声に違いない。まだ姿は見えないけれど、親しげに女の子と話しているのが分かる。
その姿を見ないうちに、部屋に戻ってしまいたい、いや、どこでもいいから逃げてしまいたい、でも足が動かない。
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