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ハッピークリスマス (10)
2011.01.30 Sun
「さすがにカップルばっかりですねぇ~」
ランチタイムの喧騒が一段落したところで、のん気にそう言ったのは、同じくバイト店員の福原湊(フクハラ ミナト)。
その、カップルばかりの状況が、隼人の神経を苛立たせているとはゆめゆめ思っていないらしく、恋人たちの幸せそうな表情に、自分まで幸せな気分に浸っているようだ。
恋人たちが仲良くしている傍らで、それと同じぐらいの年ごろの男が、あくせく働いていて何も感じないわけはないと思うのだが、湊だけは例外らしい。
「…まぁ、イブだからな」
いっそコイツにも毒を吐いてやろうかと思ったが、湊の幸せそうな顔を見ていたらそれも出来ず、隼人は小さな声で答えた。
「でも隼人くん、よかったんですか?」
「何が」
「だってイブですよ? 彼女と約束…」
そこまで言い掛けたとき、いくらぼんやりポワンとしている湊でも、ハッと気付いて口を噤んだが、時はすでに遅かった。
「あ、いや、隼人くんっ、あのっ…」
話し掛けていた相手、隼人の顔が、接客業をしているとは思えない、鬼のような表情になっていたから。
もちろんそうさせた原因は、湊の言葉に他ならない。
「お前なぁ~。彼女と約束あるヤツが、こんな日にのん気に仕事なんかしてるかっ!」
「そそそそそーですよねっ、すみませんっ!!」
隼人の突っ込みに、湊は慌てて頭を下げる。
湊にしたら、隼人ほどのイケメンに彼女がいないほうが不思議なくらいだし、いやたとえ特定の子がいなくても、彼と一緒に過ごしたい女の子ならいくらでもいそうだから、単純に何で今日バイト? と思っただけなのだが。
でも確かに、そんなこといちいち湊に突っ込まれたくはないだろう。
「つか、そんなこと言ったら、お前だって仕事してんじゃねぇか。あぁ? 彼女との約束はいいのかよ」
目には目を、やられたらやり返すのが隼人流なので、同じ質問を湊に返してやる。
隼人はイケメンだが、どちらかと言うと、Vシネマとかに出て来るヤクザかチンピラのような顔付きだし、口も悪いほうなので、彼が凄むように湊に問い詰める姿は、一見すると高校生が絡まれているようにしか見えない。
しかしそんな隼人は、絡むように湊に質問をしておきながら、実際のところ、その内心はバクバクで全然穏やかではなかった。
だってもし湊の答えが、「彼女とは、バイトが終わったら、会う予定なんです」とかだったら、一生立ち直れない…!!
――――そうこの男。
安喜隼人は、まるで怖いものなしのような見てくれとは裏腹に、湊に対して、思春期の女子中学生のような片思いをしているのである。
「だって俺、別に…」
「ぁん?」
「彼女とか、いないですし…」
俯きがちに湊は、ボソボソと聞こえるか聞こえないかの声で呟くように言った。
質問する側のときは、わりと何の気なしに聞いていたが、答える立場になると、確かにされたくない質問だった。結構へこむ。
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ランチタイムの喧騒が一段落したところで、のん気にそう言ったのは、同じくバイト店員の福原湊(フクハラ ミナト)。
その、カップルばかりの状況が、隼人の神経を苛立たせているとはゆめゆめ思っていないらしく、恋人たちの幸せそうな表情に、自分まで幸せな気分に浸っているようだ。
恋人たちが仲良くしている傍らで、それと同じぐらいの年ごろの男が、あくせく働いていて何も感じないわけはないと思うのだが、湊だけは例外らしい。
「…まぁ、イブだからな」
いっそコイツにも毒を吐いてやろうかと思ったが、湊の幸せそうな顔を見ていたらそれも出来ず、隼人は小さな声で答えた。
「でも隼人くん、よかったんですか?」
「何が」
「だってイブですよ? 彼女と約束…」
そこまで言い掛けたとき、いくらぼんやりポワンとしている湊でも、ハッと気付いて口を噤んだが、時はすでに遅かった。
「あ、いや、隼人くんっ、あのっ…」
話し掛けていた相手、隼人の顔が、接客業をしているとは思えない、鬼のような表情になっていたから。
もちろんそうさせた原因は、湊の言葉に他ならない。
「お前なぁ~。彼女と約束あるヤツが、こんな日にのん気に仕事なんかしてるかっ!」
「そそそそそーですよねっ、すみませんっ!!」
隼人の突っ込みに、湊は慌てて頭を下げる。
湊にしたら、隼人ほどのイケメンに彼女がいないほうが不思議なくらいだし、いやたとえ特定の子がいなくても、彼と一緒に過ごしたい女の子ならいくらでもいそうだから、単純に何で今日バイト? と思っただけなのだが。
でも確かに、そんなこといちいち湊に突っ込まれたくはないだろう。
「つか、そんなこと言ったら、お前だって仕事してんじゃねぇか。あぁ? 彼女との約束はいいのかよ」
目には目を、やられたらやり返すのが隼人流なので、同じ質問を湊に返してやる。
隼人はイケメンだが、どちらかと言うと、Vシネマとかに出て来るヤクザかチンピラのような顔付きだし、口も悪いほうなので、彼が凄むように湊に問い詰める姿は、一見すると高校生が絡まれているようにしか見えない。
しかしそんな隼人は、絡むように湊に質問をしておきながら、実際のところ、その内心はバクバクで全然穏やかではなかった。
だってもし湊の答えが、「彼女とは、バイトが終わったら、会う予定なんです」とかだったら、一生立ち直れない…!!
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安喜隼人は、まるで怖いものなしのような見てくれとは裏腹に、湊に対して、思春期の女子中学生のような片思いをしているのである。
「だって俺、別に…」
「ぁん?」
「彼女とか、いないですし…」
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