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ホラー映画にはご用心 (6)
2011.02.27 Sun
「やだぁ、見る!」
「何で」
「だって1人で部屋に戻るの怖い…」
和衣の本気の言葉に、睦月は大きく溜め息を零す。
どうやら和衣は、映画を最後まで見たいというよりは、1人でいるのが怖いから、誰かと一緒にいたいというだけらしい。
しかし、誰かと一緒にいるのはいいとして、今の時点で部屋に戻るのが怖い人が、最後まで映画を見たら一体どうなってしまうのだろうか。
「カズー。最後まで見たって、いつかは部屋には戻らなきゃなんだよ?」
パニックのせいで、いつもよりさらに冷静な判断が出来ていないであろう和衣に、翔真が一応言っておく。もしかしたら、これから先に、もっと怖いシーンがあるかもしれないのに。
すると和衣は、「ぅ…」と言葉を詰まらせ、顔色を悪くさせた。
「むっちゃん、部屋…」
「俺まだ戻んないよ?」
「何で? 眠いんでしょ? 一緒に寝よ?」
「もー起きたよ」
先ほどの頭突きで目が覚め、無理やりトイレにまで連れて行かされたのだ。
これで起きないはずがない。
「むっちゃ…」
「あ、始まった」
どうしよう…と顔を蒼褪めさせている和衣を無視して、睦月は先ほどまでの定位置(テレビの真ん前)に戻ってしまった。
「うー…」
和衣は睦月と、そして翔真と真大を交互に見た後、泣きそうな顔をしながら、睦月の隣に(あれだけ怖い思いをさせられたのに)座った。
翔真の言ったとおり、何だかんだ言って和衣は、怖がりつつも最後まで映画を見ることを選択したようだ。
しかし和衣は早速、画面の中の怨霊に身を竦ませて、睦月に縋り付いている。
「…………。…カズちゃん、ホラ。お食べ?」
「ぅ、む…」
ビクビクしている和衣の口に、睦月が(わりと無理やり)ポテトチップスを詰め込んだ。
和衣が、なすがまま口に入れられたそれを咀嚼すれば、睦月は次のポテトチップスを構えている。どうやらお菓子で和衣の気を紛らわそうという作戦らしい。
「うーうー」
「何? あ、」
ロクに和衣のほうを見ないまま、ずっとポテトチップスを差し出していたら、いつの間にか口の中がいっぱいになっていたようで、ハムスターの頬袋みたく、和衣の頬が膨らんでいた。
「キャハハ、カズちゃん、おもしろい顔!」
「んー!」
「イテッ」
自分でやったことなのに、睦月が笑い出すものだから、和衣は一生懸命ポテトチップスをモグモグさせながら、睦月の頭を叩いた。
「ゴメンてば。コーラ飲む?」
律儀に、差し出された分だけ口に入れていた和衣は、ようやくそれを飲み込むと、睦月からコーラのペットボトルを受け取って、ガブガブと半分ほど一気に飲んでしまった。
「カズちゃん、大丈夫。もうすぐ終わるから。あと30分くらい」
「30分…」
睦月に宥められ、和衣は部屋の時計に目をやる。
30分は、果たして『もうすぐ』なのだろうか。
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「何で」
「だって1人で部屋に戻るの怖い…」
和衣の本気の言葉に、睦月は大きく溜め息を零す。
どうやら和衣は、映画を最後まで見たいというよりは、1人でいるのが怖いから、誰かと一緒にいたいというだけらしい。
しかし、誰かと一緒にいるのはいいとして、今の時点で部屋に戻るのが怖い人が、最後まで映画を見たら一体どうなってしまうのだろうか。
「カズー。最後まで見たって、いつかは部屋には戻らなきゃなんだよ?」
パニックのせいで、いつもよりさらに冷静な判断が出来ていないであろう和衣に、翔真が一応言っておく。もしかしたら、これから先に、もっと怖いシーンがあるかもしれないのに。
すると和衣は、「ぅ…」と言葉を詰まらせ、顔色を悪くさせた。
「むっちゃん、部屋…」
「俺まだ戻んないよ?」
「何で? 眠いんでしょ? 一緒に寝よ?」
「もー起きたよ」
先ほどの頭突きで目が覚め、無理やりトイレにまで連れて行かされたのだ。
これで起きないはずがない。
「むっちゃ…」
「あ、始まった」
どうしよう…と顔を蒼褪めさせている和衣を無視して、睦月は先ほどまでの定位置(テレビの真ん前)に戻ってしまった。
「うー…」
和衣は睦月と、そして翔真と真大を交互に見た後、泣きそうな顔をしながら、睦月の隣に(あれだけ怖い思いをさせられたのに)座った。
翔真の言ったとおり、何だかんだ言って和衣は、怖がりつつも最後まで映画を見ることを選択したようだ。
しかし和衣は早速、画面の中の怨霊に身を竦ませて、睦月に縋り付いている。
「…………。…カズちゃん、ホラ。お食べ?」
「ぅ、む…」
ビクビクしている和衣の口に、睦月が(わりと無理やり)ポテトチップスを詰め込んだ。
和衣が、なすがまま口に入れられたそれを咀嚼すれば、睦月は次のポテトチップスを構えている。どうやらお菓子で和衣の気を紛らわそうという作戦らしい。
「うーうー」
「何? あ、」
ロクに和衣のほうを見ないまま、ずっとポテトチップスを差し出していたら、いつの間にか口の中がいっぱいになっていたようで、ハムスターの頬袋みたく、和衣の頬が膨らんでいた。
「キャハハ、カズちゃん、おもしろい顔!」
「んー!」
「イテッ」
自分でやったことなのに、睦月が笑い出すものだから、和衣は一生懸命ポテトチップスをモグモグさせながら、睦月の頭を叩いた。
「ゴメンてば。コーラ飲む?」
律儀に、差し出された分だけ口に入れていた和衣は、ようやくそれを飲み込むと、睦月からコーラのペットボトルを受け取って、ガブガブと半分ほど一気に飲んでしまった。
「カズちゃん、大丈夫。もうすぐ終わるから。あと30分くらい」
「30分…」
睦月に宥められ、和衣は部屋の時計に目をやる。
30分は、果たして『もうすぐ』なのだろうか。
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