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世界はやさしい (21)
2010.12.08 Wed
もしかして祐介は何か用事があって和衣の部屋に来たのかもだけれど、ゴメンなさい、今はちょっと癒されたい。
突然抱き付かれた祐介は、少し驚いたふうだったけれど、和衣を引き剥がすこともせず、とりあえず立ったままなのも何だしと、和衣ごとクッションの上に座った。
「あ…髪…。祐介の服、濡れちゃ…」
「平気だよ」
和衣がめいっぱい祐介に癒されていたら、祐介は也が首に掛けっ放しにしていたタオルで、濡れたままの髪を拭いてくれた。
そういえば、髪も乾かさないとだったんだ。
というか、人に髪を拭いてもらうなんて、和衣にしたら、すっごく恥ずかしいのに、意外にも祐介は全然普通だ。
(…………、あ、むっちゃん…! …て、いやいやいや、別に、そんな)
どうして祐介が普通なのかといえば、今までの人生でずっと睦月に対してそうだったからに他ならなくて、それに気付いた和衣は、またつまらない嫉妬心を燃やしかけ、慌ててそれを打ち消した。
睦月は、和衣の嫉妬深さを今さらだししょうがないと言うけれど(和衣だって、もうしょうがないとは思っているけれど)、でもそれでも、出来ることならどうにかしたいとも思っているわけで。
(だってホント、こんなつまんないことで嫉妬するなんて、全然祐介のこと、信用してないみたい…)
祐介は誰に対しても優しい男だけれど、和衣のことを一番に大事にしてくれるし、俺も同じくらい祐介に返せてる? と思うくらいいっぱいの愛情をくれるのに。
「俺、祐介のこと、好き」
「ん? どうした、急に。俺も好きだよ?」
髪を拭く手が止まって、祐介が和衣の顔を覗き込んだ。
「何かね、急に言いたくなっちゃった」
「そっか」
祐介がまっすぐに見つめて来るから、和衣も目が逸らせない。
いつもだったら、こんな距離で見つめ合っていたら、ドキドキして恥ずかしくてどうにもならなくなるのに、今はそれよりも、もっとちゃんと自分の思いを伝えなきゃ、て気持ちになる。
「昨日ね、バイト先の送別会で、」
酔っ払った睦月が危なっかしくて、本当は不本意だったけれど睦月と手を繋いで帰っていたら、途中で亮と会って。
和衣は、人前で祐介と手を繋いだこともないのに、それより先に睦月と手を繋いでしまって、何だか切ない…て思っていたのに、亮は酔っ払った女の子に絡まれて、腕なんか組まれちゃって。
無理にでもその腕を解けば場が白けてしまうだろうし、亮だって不本意だっただろうに、和衣はその光景に、1人で勝手に気分を害してしまったのだ。
睦月はそのときのことを覚えているのかいないのか、さっき風呂場で話をしていても、全然気にする様子がない。
でも、もし睦月がそのことを気にしたとしても、それは亮と睦月の問題で、和衣の出る幕ではないのに、でもなぜかそのことを考えるとモヤモヤしてしまう。
そしてモヤモヤしつつも思うのは、それならば、酔っ払った睦月が危なっかしかったからとはいえ、睦月と手を繋いでしまった自分は? ということ。
亮も睦月も何も気にしていないのに、和衣は1人で、やっぱり悪かったよね…と後悔し続けている。
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突然抱き付かれた祐介は、少し驚いたふうだったけれど、和衣を引き剥がすこともせず、とりあえず立ったままなのも何だしと、和衣ごとクッションの上に座った。
「あ…髪…。祐介の服、濡れちゃ…」
「平気だよ」
和衣がめいっぱい祐介に癒されていたら、祐介は也が首に掛けっ放しにしていたタオルで、濡れたままの髪を拭いてくれた。
そういえば、髪も乾かさないとだったんだ。
というか、人に髪を拭いてもらうなんて、和衣にしたら、すっごく恥ずかしいのに、意外にも祐介は全然普通だ。
(…………、あ、むっちゃん…! …て、いやいやいや、別に、そんな)
どうして祐介が普通なのかといえば、今までの人生でずっと睦月に対してそうだったからに他ならなくて、それに気付いた和衣は、またつまらない嫉妬心を燃やしかけ、慌ててそれを打ち消した。
睦月は、和衣の嫉妬深さを今さらだししょうがないと言うけれど(和衣だって、もうしょうがないとは思っているけれど)、でもそれでも、出来ることならどうにかしたいとも思っているわけで。
(だってホント、こんなつまんないことで嫉妬するなんて、全然祐介のこと、信用してないみたい…)
祐介は誰に対しても優しい男だけれど、和衣のことを一番に大事にしてくれるし、俺も同じくらい祐介に返せてる? と思うくらいいっぱいの愛情をくれるのに。
「俺、祐介のこと、好き」
「ん? どうした、急に。俺も好きだよ?」
髪を拭く手が止まって、祐介が和衣の顔を覗き込んだ。
「何かね、急に言いたくなっちゃった」
「そっか」
祐介がまっすぐに見つめて来るから、和衣も目が逸らせない。
いつもだったら、こんな距離で見つめ合っていたら、ドキドキして恥ずかしくてどうにもならなくなるのに、今はそれよりも、もっとちゃんと自分の思いを伝えなきゃ、て気持ちになる。
「昨日ね、バイト先の送別会で、」
酔っ払った睦月が危なっかしくて、本当は不本意だったけれど睦月と手を繋いで帰っていたら、途中で亮と会って。
和衣は、人前で祐介と手を繋いだこともないのに、それより先に睦月と手を繋いでしまって、何だか切ない…て思っていたのに、亮は酔っ払った女の子に絡まれて、腕なんか組まれちゃって。
無理にでもその腕を解けば場が白けてしまうだろうし、亮だって不本意だっただろうに、和衣はその光景に、1人で勝手に気分を害してしまったのだ。
睦月はそのときのことを覚えているのかいないのか、さっき風呂場で話をしていても、全然気にする様子がない。
でも、もし睦月がそのことを気にしたとしても、それは亮と睦月の問題で、和衣の出る幕ではないのに、でもなぜかそのことを考えるとモヤモヤしてしまう。
そしてモヤモヤしつつも思うのは、それならば、酔っ払った睦月が危なっかしかったからとはいえ、睦月と手を繋いでしまった自分は? ということ。
亮も睦月も何も気にしていないのに、和衣は1人で、やっぱり悪かったよね…と後悔し続けている。
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