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その手なら離さないでね (11)
2016.08.03 Wed
「えっと…、じゃあこれ…」
睦月は手にしていたジュースをお姉さんに差し出した。
ミズキから貰ったものではあるが、睦月がこのまま貰うのも何となく変な気がしたのだ。まだ封は切っていないし、また迷子がいたときに渡すのに使えるだろう。
「いえ、どうぞ、お持ちください。ミズキくんがどうしてもあげたかったみたいですし」
「はぁ…」
そう言われると、何だか返しにくくなる。睦月が一番好きな飲み物はコーラだが、こうしたジュースだって嫌いではないから、ではここは貰っておくとするか。
そういえば睦月は、最初に亮とはぐれたところに(いや、はぐれてないけど!)留まっていなければならなかったんだ、と思い出して、「じゃあ、どうも…」とお姉さんに頭を下げた。
「むっちゃ……睦月!」
「は?」
睦月が1歩も踏み出さないうちに名前を呼ばれて、その声は聞き覚えのあるもので、慌てている様子が伝わって来たのだけれど、サービスカウンターのお姉さんがそばにいる状況で、大きな声で名前を呼ばれたのが恥ずかしかったから、わざと『何だよ、うるせぇな』という雰囲気で返事をした。
「もー、何迷子になってんの!」
「は? なってねぇよ、何言ってんの亮」
別に睦月は迷子になんかなっていない。
睦月が食玩を見ているうちに亮が先に行っちゃって、睦月がスマホを持って来るのを忘れちゃったから、連絡が付かなくなっただけだ。迷子じゃない。
「あ、どうも、すみませんでした」
迷子じゃないと言っているのに、亮は勝手に睦月が迷子になったと決め付けて、サービスカウンターのお姉さんに頭を下げている。
バカ。本当に睦月が迷子で、亮が迎えに来たんだとしたら、亮は身分確認のための手続きとかしないといけないんだから。
「違う、つってんだろ!」
「何が違うの」
歩き出した亮を慌てて追い掛け、睦月は再度否定する。
だって、だって、違うもん!
「いなくなったと思ったら、サービスカウンター行って、ジュース貰って、それのどこが迷子じゃないんですかー? 電話も通じないし」
「ぅぐ…」
睦月は手の中のジュースを、サッと背後に隠した。
そんなことをしても、もう亮には見られているし、何の意味もないんだけれど。
でも。
「違うのっ!」
向きになって亮の足を蹴っ飛ばす睦月の後ろ姿を、サービスカウンターのお姉さんたちが微笑ましく見送っていた。
*END*
back
タイトルは明日からでした。
睦月は手にしていたジュースをお姉さんに差し出した。
ミズキから貰ったものではあるが、睦月がこのまま貰うのも何となく変な気がしたのだ。まだ封は切っていないし、また迷子がいたときに渡すのに使えるだろう。
「いえ、どうぞ、お持ちください。ミズキくんがどうしてもあげたかったみたいですし」
「はぁ…」
そう言われると、何だか返しにくくなる。睦月が一番好きな飲み物はコーラだが、こうしたジュースだって嫌いではないから、ではここは貰っておくとするか。
そういえば睦月は、最初に亮とはぐれたところに(いや、はぐれてないけど!)留まっていなければならなかったんだ、と思い出して、「じゃあ、どうも…」とお姉さんに頭を下げた。
「むっちゃ……睦月!」
「は?」
睦月が1歩も踏み出さないうちに名前を呼ばれて、その声は聞き覚えのあるもので、慌てている様子が伝わって来たのだけれど、サービスカウンターのお姉さんがそばにいる状況で、大きな声で名前を呼ばれたのが恥ずかしかったから、わざと『何だよ、うるせぇな』という雰囲気で返事をした。
「もー、何迷子になってんの!」
「は? なってねぇよ、何言ってんの亮」
別に睦月は迷子になんかなっていない。
睦月が食玩を見ているうちに亮が先に行っちゃって、睦月がスマホを持って来るのを忘れちゃったから、連絡が付かなくなっただけだ。迷子じゃない。
「あ、どうも、すみませんでした」
迷子じゃないと言っているのに、亮は勝手に睦月が迷子になったと決め付けて、サービスカウンターのお姉さんに頭を下げている。
バカ。本当に睦月が迷子で、亮が迎えに来たんだとしたら、亮は身分確認のための手続きとかしないといけないんだから。
「違う、つってんだろ!」
「何が違うの」
歩き出した亮を慌てて追い掛け、睦月は再度否定する。
だって、だって、違うもん!
「いなくなったと思ったら、サービスカウンター行って、ジュース貰って、それのどこが迷子じゃないんですかー? 電話も通じないし」
「ぅぐ…」
睦月は手の中のジュースを、サッと背後に隠した。
そんなことをしても、もう亮には見られているし、何の意味もないんだけれど。
でも。
「違うのっ!」
向きになって亮の足を蹴っ飛ばす睦月の後ろ姿を、サービスカウンターのお姉さんたちが微笑ましく見送っていた。
*END*
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タイトルは明日からでした。
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ちよ ⇒
あらら……‼
ENDマークを見逃していたので、
続きが気になっていたのでした~
オカン亮タン、
むっちゃんのこと お迎えっていうか、
ちゃんと見つけてくれたね。
磁石みたいにくっつく二人、
いいなぁ~(о´∀`о)
サービスカウンターのお姉さんたち、
亜沙美ちゃんみたいに見てたかな?
|ωΦ) ( ´艸`) (☆∀☆)
覗き見羨ましいです~
ステキなお話をありがとうございました!
ENDマークを見逃していたので、
続きが気になっていたのでした~
オカン亮タン、
むっちゃんのこと お迎えっていうか、
ちゃんと見つけてくれたね。
磁石みたいにくっつく二人、
いいなぁ~(о´∀`о)
サービスカウンターのお姉さんたち、
亜沙美ちゃんみたいに見てたかな?
|ωΦ) ( ´艸`) (☆∀☆)
覗き見羨ましいです~
ステキなお話をありがとうございました!
- |2016.08.04
- |Thu
- |23:08
- |URL
- |EDIT|
如月久美子 ⇒ >ちよさん
飽くまで、迷子ではないと言い張るむっちゃん。
さっきまでミズキくんの前でお兄ちゃんだったのに、亮タン来たら、途端に子ども扱いされてるむっちゃんを、後ろから眺めるお姉さまたち…。私も加わりたいです。
> 磁石みたいにくっつく二人、
> いいなぁ~(о´∀`о)
まさにこの2人はそんな感じですね(*^_^*)
コメントありがとうございました!
さっきまでミズキくんの前でお兄ちゃんだったのに、亮タン来たら、途端に子ども扱いされてるむっちゃんを、後ろから眺めるお姉さまたち…。私も加わりたいです。
> 磁石みたいにくっつく二人、
> いいなぁ~(о´∀`о)
まさにこの2人はそんな感じですね(*^_^*)
コメントありがとうございました!
- |2016.08.06
- |Sat
- |23:14
- |URL
- |EDIT|