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ベイビーネイビーブルー (4)
2014.04.28 Mon
亮に肩を揺さぶられ、もがいていた睦月は、ようやく大人しくなった。
何度か瞬き。亮が映るその瞳には涙が溜まっていて、瞬きとともに頬を伝い落ちる。いつもだったら、分かりやすく涙ぐんでいたって、泣いていないと言い張る睦月が、今はその零れる涙を拭うこともしない。
亮は睦月を抱き寄せた。
また暴れられたらどうしようと思ったけれど、睦月は亮の腕の中で静かにしている。
その様子にホッとしつつ、宥めるようにポンポンと背中を叩いたら、睦月は亮の胸にすり寄って来て、こんなふうに甘えられたら、いつもだったら、かわいくてメロメロになっちゃうんだけれど、今はそんなのんきなことを言っていられない。
「…むっちゃん」
「ん?」
声を掛ければ、睦月の反応はまるでいつもどおりで、だから亮は、どんなふうに話を続ければいいか、分からなくなる。
睦月はもぞもぞと動いて、亮の背中に腕を回した。
雨足は強くなったり弱くなったりしているのか、先ほどまでよりも、うんと雨音がうるさい。
「…………亮、」
「ぅん?」
「大丈夫だよ、俺」
「…そっか」
本当はちゃんと寝かせてあげなければいけないと分かっているけれど、それでも亮は、睦月を抱き締める腕を解かなかった。
思い出すのは、今も睦月を苦しめる忌まわしい過去。雨の夕方。季節はこんな春先ではなく、まだ蒸し暑さの残る秋のころだったと、亮は睦月から聞かされた話でしか知らないけれど。
――――雨。
普段は雨が降ったくらい、どうということもないのだ。台風とか、むしろワクワクしちゃうタイプだし。
なのに、今日に限って、こんなふうに気持ちが落ち着かなくなってしまったのは、熱を出して、気が弱くなったせいだろうか。
時間が解決してくれるなんて言葉もあるけれど、全部が全部、そういうわけにはいかなくて、でも、それで睦月が苦しんでいるの、亮が癒してあげられたらいいのに。
「別に俺、何でもないんだから」
「分かってるよ」
そうやって強がるところも。
心配を掛けまいとして、何でもないふりをするところも。
全部、包み込んであげたい。
「分かってる。むっちゃんが、何でもないこと」
「…うん」
むぎゅっと睦月が腕に力を籠めたから、亮も同じくらい強く、睦月のことを抱き締め返した。
きっとこんなこと、何でもない。2人一緒なら。
back next
何度か瞬き。亮が映るその瞳には涙が溜まっていて、瞬きとともに頬を伝い落ちる。いつもだったら、分かりやすく涙ぐんでいたって、泣いていないと言い張る睦月が、今はその零れる涙を拭うこともしない。
亮は睦月を抱き寄せた。
また暴れられたらどうしようと思ったけれど、睦月は亮の腕の中で静かにしている。
その様子にホッとしつつ、宥めるようにポンポンと背中を叩いたら、睦月は亮の胸にすり寄って来て、こんなふうに甘えられたら、いつもだったら、かわいくてメロメロになっちゃうんだけれど、今はそんなのんきなことを言っていられない。
「…むっちゃん」
「ん?」
声を掛ければ、睦月の反応はまるでいつもどおりで、だから亮は、どんなふうに話を続ければいいか、分からなくなる。
睦月はもぞもぞと動いて、亮の背中に腕を回した。
雨足は強くなったり弱くなったりしているのか、先ほどまでよりも、うんと雨音がうるさい。
「…………亮、」
「ぅん?」
「大丈夫だよ、俺」
「…そっか」
本当はちゃんと寝かせてあげなければいけないと分かっているけれど、それでも亮は、睦月を抱き締める腕を解かなかった。
思い出すのは、今も睦月を苦しめる忌まわしい過去。雨の夕方。季節はこんな春先ではなく、まだ蒸し暑さの残る秋のころだったと、亮は睦月から聞かされた話でしか知らないけれど。
――――雨。
普段は雨が降ったくらい、どうということもないのだ。台風とか、むしろワクワクしちゃうタイプだし。
なのに、今日に限って、こんなふうに気持ちが落ち着かなくなってしまったのは、熱を出して、気が弱くなったせいだろうか。
時間が解決してくれるなんて言葉もあるけれど、全部が全部、そういうわけにはいかなくて、でも、それで睦月が苦しんでいるの、亮が癒してあげられたらいいのに。
「別に俺、何でもないんだから」
「分かってるよ」
そうやって強がるところも。
心配を掛けまいとして、何でもないふりをするところも。
全部、包み込んであげたい。
「分かってる。むっちゃんが、何でもないこと」
「…うん」
むぎゅっと睦月が腕に力を籠めたから、亮も同じくらい強く、睦月のことを抱き締め返した。
きっとこんなこと、何でもない。2人一緒なら。
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カテゴリー:Baby Baby Baby Love
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ちよ ⇒
どんよりとした雨の日は、
何となく思い出してしまうよね…
今もむっちゃんを苦しめてしまう
忌まわしい過去。
あの時は、冷静沈着マンのゆっちさんが
そばにいてくれたけれど、
今は、亮タンがいてくれる。
強がっちゃうむっちゃんだけど、
確実に強くなっているのも確かです。
亮タンがそばにいてくれるから、
癒されているのも確かだと思います。
だって、いつも のぞき見しちゃっているから、
みんな知っているよ~ ( ´゚д゚)(゚д゚` )ネー
何となく思い出してしまうよね…
今もむっちゃんを苦しめてしまう
忌まわしい過去。
あの時は、冷静沈着マンのゆっちさんが
そばにいてくれたけれど、
今は、亮タンがいてくれる。
強がっちゃうむっちゃんだけど、
確実に強くなっているのも確かです。
亮タンがそばにいてくれるから、
癒されているのも確かだと思います。
だって、いつも のぞき見しちゃっているから、
みんな知っているよ~ ( ´゚д゚)(゚д゚` )ネー
- |2014.04.28
- |Mon
- |18:26
- |URL
- |EDIT|
如月久美子 ⇒ >ちよさん
普段ははしゃいでるむっちゃんですが、こういうことは、ふとしたときに思い出して、苦しめるんだろうなぁ、と思います。
むっちゃんは、すぐに何でもないふりをしちゃうんですけどね。
そんなに強がらなくても、亮タンが受け入れてくれると思います。
あと、亮タンだけでなく、いつもこっそり覗き見してるみんなもね!
コメントありがとうございました!
むっちゃんは、すぐに何でもないふりをしちゃうんですけどね。
そんなに強がらなくても、亮タンが受け入れてくれると思います。
あと、亮タンだけでなく、いつもこっそり覗き見してるみんなもね!
コメントありがとうございました!
- |2014.04.28
- |Mon
- |22:05
- |URL
- |EDIT|