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ホラー映画にはご用心 (3)
2011.02.24 Thu
翔真と真大は、最初に平気だと言っていただけあって、わりとおとなしく画面を見つめている。
でも真大が、チャンスとばかりに翔真と手を繋いでいるのを、実は睦月は見逃していなかった。
『ッ…キャーーーーー!!!!』
絹を裂くような、とはよく言ったもので、画面では若い女性が悲痛なほどの悲鳴を上げた。
顔が半分崩れた怨霊が、突然現れたのだ。
しかし、その怨霊の登場に声を上げたのは、画面の中の女性だけではなかった。
「あだだだだだ! ちょっ、カズちゃん痛い!」
睦月の手を握っていた和衣が、恐怖のあまり、思い切りその手に力を籠めてしまったので、その痛みに睦月も思わず大きな声を上げたのだ。
見た目やその性格と違い、結構体力も腕力も、そして握力もある和衣だ。そんな力いっぱい手を握られれば、声を出さずにはいられない。
「だって…だって…」
睦月に手を振り解かれた和衣は、もう1度手を繋ごうとするが、睦月が手を貸してくれない。
「むっちゃんっ」
「何、もぉ。痛いんだってば」
「怖いのー! 痛くしないからっ、ねっ!?」
必死な様子の和衣に、仕方なく睦月は手を差し出した。
まさか恋人同士で一緒にいる翔真か真大に手を繋いでもらえ、とは、さすがに睦月でも言えないから。
(もーカズちゃん、大げさ…。そんな怖くないじゃん)
静かだった画面に、大きな音を伴って突然怨霊やらゾンビやらが登場すれば、確かにその瞬間はビックリするものの、基本的に睦月は、ホラー映画を端から作り話、作り物だと思っているので、こういう映画自体を怖いとは思わないのだ。
「でもこういうのって時々、ホントの霊が映ってるとか、あるよね…」
「ヒッ…」
よせばいいのに、翔真がこんなタイミングでそんなことを言い出すから、和衣の顔色がまた悪くなる。
またギュッと手を強く握られ、睦月は嫌そうに眉を寄せた。
「もぉショウちゃん、あんまカズちゃんのこと怖がらせないでよねー」
「むっちゃんに言われたくないんだけどー」
最初に和衣を怖がらせたのは、紛れもなく睦月だ。
その罪までなすり付けないでほしい、と翔真が睦月を小突いた瞬間。
「ひぅっ…!」
「うわっ、いだだだだ」
和衣の息を飲むような悲鳴と、睦月の痛みを訴える悲鳴。
部屋の蛍光灯がチカチカしたと思った瞬間、突然室内が少し薄暗くなったのだ。
もちろんそれだけなら、睦月は何も痛い思いをせずに済んだのだが、驚いて竦み上がった和衣が、クッションを投げ出して力いっぱい睦月に抱き付いたものだから、睦月がまた痛みに声を上げたというわけだ。
「なっなっ何? 何で!?」
しかしそれどころではない和衣は、パニックに陥り掛けながら部屋の中を見回せば、丸い蛍光灯の内側の電気が消えていた。
誰もスイッチなど構っていないのに、何でこのタイミング?
やっぱり何か霊的なものが…。
「あー…そういえば電気、切れ掛かってたんだっけ」
まさか…と、すっかり蒼褪めた和衣に、翔真がのん気にそう言った。
数日前から、部屋の蛍光灯が時々消えては不便な思いをしていたのだ。
タイミングとしては最悪だったが、何か幽霊のようなものがやって来て、いたずらにこの部屋の電気を消したわけではないらしい。
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でも真大が、チャンスとばかりに翔真と手を繋いでいるのを、実は睦月は見逃していなかった。
『ッ…キャーーーーー!!!!』
絹を裂くような、とはよく言ったもので、画面では若い女性が悲痛なほどの悲鳴を上げた。
顔が半分崩れた怨霊が、突然現れたのだ。
しかし、その怨霊の登場に声を上げたのは、画面の中の女性だけではなかった。
「あだだだだだ! ちょっ、カズちゃん痛い!」
睦月の手を握っていた和衣が、恐怖のあまり、思い切りその手に力を籠めてしまったので、その痛みに睦月も思わず大きな声を上げたのだ。
見た目やその性格と違い、結構体力も腕力も、そして握力もある和衣だ。そんな力いっぱい手を握られれば、声を出さずにはいられない。
「だって…だって…」
睦月に手を振り解かれた和衣は、もう1度手を繋ごうとするが、睦月が手を貸してくれない。
「むっちゃんっ」
「何、もぉ。痛いんだってば」
「怖いのー! 痛くしないからっ、ねっ!?」
必死な様子の和衣に、仕方なく睦月は手を差し出した。
まさか恋人同士で一緒にいる翔真か真大に手を繋いでもらえ、とは、さすがに睦月でも言えないから。
(もーカズちゃん、大げさ…。そんな怖くないじゃん)
静かだった画面に、大きな音を伴って突然怨霊やらゾンビやらが登場すれば、確かにその瞬間はビックリするものの、基本的に睦月は、ホラー映画を端から作り話、作り物だと思っているので、こういう映画自体を怖いとは思わないのだ。
「でもこういうのって時々、ホントの霊が映ってるとか、あるよね…」
「ヒッ…」
よせばいいのに、翔真がこんなタイミングでそんなことを言い出すから、和衣の顔色がまた悪くなる。
またギュッと手を強く握られ、睦月は嫌そうに眉を寄せた。
「もぉショウちゃん、あんまカズちゃんのこと怖がらせないでよねー」
「むっちゃんに言われたくないんだけどー」
最初に和衣を怖がらせたのは、紛れもなく睦月だ。
その罪までなすり付けないでほしい、と翔真が睦月を小突いた瞬間。
「ひぅっ…!」
「うわっ、いだだだだ」
和衣の息を飲むような悲鳴と、睦月の痛みを訴える悲鳴。
部屋の蛍光灯がチカチカしたと思った瞬間、突然室内が少し薄暗くなったのだ。
もちろんそれだけなら、睦月は何も痛い思いをせずに済んだのだが、驚いて竦み上がった和衣が、クッションを投げ出して力いっぱい睦月に抱き付いたものだから、睦月がまた痛みに声を上げたというわけだ。
「なっなっ何? 何で!?」
しかしそれどころではない和衣は、パニックに陥り掛けながら部屋の中を見回せば、丸い蛍光灯の内側の電気が消えていた。
誰もスイッチなど構っていないのに、何でこのタイミング?
やっぱり何か霊的なものが…。
「あー…そういえば電気、切れ掛かってたんだっけ」
まさか…と、すっかり蒼褪めた和衣に、翔真がのん気にそう言った。
数日前から、部屋の蛍光灯が時々消えては不便な思いをしていたのだ。
タイミングとしては最悪だったが、何か幽霊のようなものがやって来て、いたずらにこの部屋の電気を消したわけではないらしい。
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