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寒いけどあったかい (1)
2011.01.03 Mon
「ッ…! 実家に帰らせていただきますっ!」
バシン!
睦月は力いっぱいローテーブルを叩いて立ち上がった。
「ちょっ…むっちゃん!」
引き止めようとする亮を振り切って、睦月はドアへと向かう。
亮は慌てて追い掛けようとしたが、壊れて動かないストーブに足の小指をぶつけてしまい、亮が痛みに悶えている隙に、睦月はさっさと部屋を出て行ってしまった。
「むっちゃぁ~ん…」
睦月の足音は、何の躊躇いもなく遠ざかっていく。
1人取り残されてしまった寒々しい部屋に、亮の声が空しく響いた。
…壊れて動かないストーブ。
そう。今、亮と睦月の部屋は、比喩でなく本当に冷え切っていて、そんな部屋を見限った睦月は、実家……もとい、暖かな誰かの部屋へと行ってしまったのである。
睦月は恋人といちゃつくことに照れがないので、普段、部屋の中では普通に亮にベッタリしているのだが、そんな恋人を取るか、暖かい部屋を取るかと迫られれば、迷うことなく暖かい部屋を選んでしまう現金な子でもあった。
だから、どんなにスイッチを押しても反応のないストーブに、「これって買い替えないとダメかも…。でもこの時間だと店閉まってるから、明日だな」という亮の言葉に愕然となり、部屋を出て行ったというわけだ。
しかし、寝るときは安全のためにいつもストーブを消している。
睦月はもともと早寝なんだから、今日だってさっさと寝てしまえばいいのでは? という気がしないでもないのだが、それでも睦月が部屋を出て行ってしまったのは、ストーブが壊れたという事実が、あまりにもショッキング過ぎたのかもしれない。
(まぁ…寒いもんな、部屋…)
1人になると、余計に寒さが身にしみる気がする。
ついた溜め息が寒さで白かったら、ますます凹みそうなので、亮は何とかそれを堪えた。
それにしても睦月は、一体どこに行ったのか。
ここよりもさらに寒い屋外には出ないだろうから(上着も持っていかなかったし)、寮内の誰かの部屋にいることは間違いない。
しかも、人見知りの睦月が、いきなり部屋に飛び込んで行ける部屋なんて、限られている。
(カズか、ショウか……祐介か)
片っ端から当たっても高が知れているので、亮は隣の隣にある和衣の部屋に行ってみるが、和衣は不在だし、睦月も来ていないと言われてしまった。
もしかしたら、祐介とデートなのかも。
それでも念のために祐介の部屋にも行ってみたが、やはり祐介も睦月もいなかった。
残るは翔真の部屋。
しかし今日、翔真はバイトのはずだが。
「睦月ー、いるー?」
『いないー』
「……」
亮も一応大人だし、いくら翔真の部屋とはいっても、勝手にドアは開けずにノックくらいはする。
入室の返事を貰う前に、睦月がいるかどうかドア越しに尋ねてみたら、不在の返事が返って来る――――睦月の声で。
「むっちゃん!」
亮が、今度こそ躊躇わずにドアを開けて部屋の中に踏み込めば、頭からすっぽり毛布を被った睦月が、部屋の真ん中に置いてあるストーブの前を陣取っていた。
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バシン!
睦月は力いっぱいローテーブルを叩いて立ち上がった。
「ちょっ…むっちゃん!」
引き止めようとする亮を振り切って、睦月はドアへと向かう。
亮は慌てて追い掛けようとしたが、壊れて動かないストーブに足の小指をぶつけてしまい、亮が痛みに悶えている隙に、睦月はさっさと部屋を出て行ってしまった。
「むっちゃぁ~ん…」
睦月の足音は、何の躊躇いもなく遠ざかっていく。
1人取り残されてしまった寒々しい部屋に、亮の声が空しく響いた。
…壊れて動かないストーブ。
そう。今、亮と睦月の部屋は、比喩でなく本当に冷え切っていて、そんな部屋を見限った睦月は、実家……もとい、暖かな誰かの部屋へと行ってしまったのである。
睦月は恋人といちゃつくことに照れがないので、普段、部屋の中では普通に亮にベッタリしているのだが、そんな恋人を取るか、暖かい部屋を取るかと迫られれば、迷うことなく暖かい部屋を選んでしまう現金な子でもあった。
だから、どんなにスイッチを押しても反応のないストーブに、「これって買い替えないとダメかも…。でもこの時間だと店閉まってるから、明日だな」という亮の言葉に愕然となり、部屋を出て行ったというわけだ。
しかし、寝るときは安全のためにいつもストーブを消している。
睦月はもともと早寝なんだから、今日だってさっさと寝てしまえばいいのでは? という気がしないでもないのだが、それでも睦月が部屋を出て行ってしまったのは、ストーブが壊れたという事実が、あまりにもショッキング過ぎたのかもしれない。
(まぁ…寒いもんな、部屋…)
1人になると、余計に寒さが身にしみる気がする。
ついた溜め息が寒さで白かったら、ますます凹みそうなので、亮は何とかそれを堪えた。
それにしても睦月は、一体どこに行ったのか。
ここよりもさらに寒い屋外には出ないだろうから(上着も持っていかなかったし)、寮内の誰かの部屋にいることは間違いない。
しかも、人見知りの睦月が、いきなり部屋に飛び込んで行ける部屋なんて、限られている。
(カズか、ショウか……祐介か)
片っ端から当たっても高が知れているので、亮は隣の隣にある和衣の部屋に行ってみるが、和衣は不在だし、睦月も来ていないと言われてしまった。
もしかしたら、祐介とデートなのかも。
それでも念のために祐介の部屋にも行ってみたが、やはり祐介も睦月もいなかった。
残るは翔真の部屋。
しかし今日、翔真はバイトのはずだが。
「睦月ー、いるー?」
『いないー』
「……」
亮も一応大人だし、いくら翔真の部屋とはいっても、勝手にドアは開けずにノックくらいはする。
入室の返事を貰う前に、睦月がいるかどうかドア越しに尋ねてみたら、不在の返事が返って来る――――睦月の声で。
「むっちゃん!」
亮が、今度こそ躊躇わずにドアを開けて部屋の中に踏み込めば、頭からすっぽり毛布を被った睦月が、部屋の真ん中に置いてあるストーブの前を陣取っていた。
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