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明日死んでもいいなんて、嘘 (5)
2015.05.14 Thu
「じゃあ、隼人くん、この傘持ってってください」
「はっ? 何でだよ」
「俺んち、駅からだったら7, 8分なんですよ。隼人くんちのほうが遠いでしょ? だから…」
「………………」
いや、その優しさは嬉しいんだけれど、そんなふうに天然でボケられると、突っ込み方に困る。
これが翔真なら、『アホか!』と怒鳴って、1発ド突けばいいのだが、相手が湊となると、そうもいかない。なので隼人は、何の面白味もない、真面目な説明をしてやるはめになる。
「あ…あのな、湊」
「はい?」
隼人は、差し出された傘を湊のほうに押し返す。
コテンと首を横に倒す湊は、やはり分かっていないのだろう。
「10分掛かんねぇのと、7, 8分て…………殆ど同じだと思わねぇ?」
「………………。あっ」
隼人に指摘され、ようやく湊は隼人が傘を受け取ろうとしなかった理由に気が付いたらしく、「そうですねぇ」なんて照れ笑いを浮かべる。
その笑顔に、隼人はまた心臓を鷲掴みにされるわけで…。
「ま、ととにかく、俺はいいわ、降ってたら傘買って帰るしっ…」
「そうですか?」
「もとはお前の傘だっ。おっ…お前こそ濡れて風邪引かねぇようにしろよっ」
「はい、ありがとうございますっ」
動揺を悟られたくなくて、随分とぶっきら棒な言い方になってしまったが、湊は気にしたふうもなく笑顔のままだ。
そもそも、このスーパー鈍感な湊が、隼人の繊細な心の動きまで感じ取れるはずもないのだ。
「じゃあ、お疲れ様でした」
「お、おぅ、じゃあなっ」
隼人は最後まで、傘に入れてもらったことに対して『ありがとう』を言えないまま(むしろ湊のほうが言ったくらいだ…)、2人は改札を抜けて、それぞれのホームへと向かった。
それにしても、相合傘とはすごくいいものだけれど、大変疲れるものだということが、よく分かった。心臓がいくつあっても足りない。
(でも、いい…! すごく…!)
隼人は今日の幸せを噛み締めながら、やって来た電車に乗り込む。
まだ恋人同士でも何でもないのに、相合傘をさせてもらって、こんな幸せなことがあっていいのだろうか。もうこのまま死んでしまっても悔いがないくらいの幸せだ。
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「はっ? 何でだよ」
「俺んち、駅からだったら7, 8分なんですよ。隼人くんちのほうが遠いでしょ? だから…」
「………………」
いや、その優しさは嬉しいんだけれど、そんなふうに天然でボケられると、突っ込み方に困る。
これが翔真なら、『アホか!』と怒鳴って、1発ド突けばいいのだが、相手が湊となると、そうもいかない。なので隼人は、何の面白味もない、真面目な説明をしてやるはめになる。
「あ…あのな、湊」
「はい?」
隼人は、差し出された傘を湊のほうに押し返す。
コテンと首を横に倒す湊は、やはり分かっていないのだろう。
「10分掛かんねぇのと、7, 8分て…………殆ど同じだと思わねぇ?」
「………………。あっ」
隼人に指摘され、ようやく湊は隼人が傘を受け取ろうとしなかった理由に気が付いたらしく、「そうですねぇ」なんて照れ笑いを浮かべる。
その笑顔に、隼人はまた心臓を鷲掴みにされるわけで…。
「ま、ととにかく、俺はいいわ、降ってたら傘買って帰るしっ…」
「そうですか?」
「もとはお前の傘だっ。おっ…お前こそ濡れて風邪引かねぇようにしろよっ」
「はい、ありがとうございますっ」
動揺を悟られたくなくて、随分とぶっきら棒な言い方になってしまったが、湊は気にしたふうもなく笑顔のままだ。
そもそも、このスーパー鈍感な湊が、隼人の繊細な心の動きまで感じ取れるはずもないのだ。
「じゃあ、お疲れ様でした」
「お、おぅ、じゃあなっ」
隼人は最後まで、傘に入れてもらったことに対して『ありがとう』を言えないまま(むしろ湊のほうが言ったくらいだ…)、2人は改札を抜けて、それぞれのホームへと向かった。
それにしても、相合傘とはすごくいいものだけれど、大変疲れるものだということが、よく分かった。心臓がいくつあっても足りない。
(でも、いい…! すごく…!)
隼人は今日の幸せを噛み締めながら、やって来た電車に乗り込む。
まだ恋人同士でも何でもないのに、相合傘をさせてもらって、こんな幸せなことがあっていいのだろうか。もうこのまま死んでしまっても悔いがないくらいの幸せだ。
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