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one night in heaven (13)
2011.05.01 Sun
こんなすてきな夜景を前にして、外に出られるようにバルコニーまであったら、亮だってもちろん出てみたいとは思うけれど、そうでなくて、今は冬で、夜で……
「むっちゃん、お外は寒いんだよ? 外出て平気?」
つまり、亮が思っていたのは、そういうこと。
バルコニーに出るのはいいけれど、冬の夜は、考えるまでもなく寒いに決まっている。
睦月は寒いのが大嫌いなはずなのに、外に出たがっているなんて、もしかして外が寒いってこと、忘れてるんじゃ?
「んー…でもちょっとだけなら平気でしょ?」
「…そう?」
たぶん絶対に大丈夫ではないと思うけれど、ここで押し問答を繰り返して睦月の機嫌を損ねるよりは…と、亮はコートの前を直してあげて(そういえば、まだコートも着たままだった)、掃き出し窓を開けた。
「んっ…ッッ」
程よく暖房の効いた室内に、冷たい風が流れ込んでくる。
天気がいい分、空気が冷たい。
睦月は、自分で平気と言った手前、思わず口を突いて出そうになった『寒い』を、声にする前に何とか押し止めた。
亮は少しだけ苦笑して、緩んでいた睦月のマフラーを口元まで引き上げてあげた。
「んふふ、すごい景色ね、ね」
「うん」
ありきたりな言葉だけれど、まるで宝石箱を引っ繰り返したよう、眩い光に満ちた街が広がっている。
寒いし、少しの腹の足しにもならないけれど、2人でこうやってキレイな景色を眺めるのも悪くない。
「亮?」
子どもみたいに「わー」とか「すごーい」とか言いながら、しばし夜景を堪能していたが、いくらコートを着ていても、やはり外の空気は冷たい。
しかし、どうでもいいところで素直になれない性格だから、睦月は『やっぱ寒い』と伝えられずに、小さく震える指先をキュッと握っていたら、後ろから亮に抱き締められた。
「手、冷たくない? んー…むっちゃんのほうが冷たいかな?」
バルコニーの手摺りを掴んでいた睦月の手に、亮が自分の手を重ねて来る。
ほんの少しだけ亮の手のほうが温かい気もするけれど、同じだけの時間、外にいたのだから、亮の手だって冷たい。
「寒いから部屋戻ろ? カーテン開けとけば、中からでも見えるよ」
「…ん」
ひどく甘やかされていると思いつつ、睦月は冷たい手を繋ぎ合って、部屋の中に戻った。
窓を閉めて冷たい風をシャットアウトすれば、睦月は詰めていた息を吐き出した。
*****
ホテルの中にはいくつかレストランがあったけれど、2人とも、もう部屋の外に出たい気分ではなかったから、結局ルームサービスをオーダーすることにした。
それに、ホテルにチェックインするだけでも、あんなに緊張していた睦月だ。これ以上肩肘を張るような場所は、きっと気乗りしないだろうし。
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「むっちゃん、お外は寒いんだよ? 外出て平気?」
つまり、亮が思っていたのは、そういうこと。
バルコニーに出るのはいいけれど、冬の夜は、考えるまでもなく寒いに決まっている。
睦月は寒いのが大嫌いなはずなのに、外に出たがっているなんて、もしかして外が寒いってこと、忘れてるんじゃ?
「んー…でもちょっとだけなら平気でしょ?」
「…そう?」
たぶん絶対に大丈夫ではないと思うけれど、ここで押し問答を繰り返して睦月の機嫌を損ねるよりは…と、亮はコートの前を直してあげて(そういえば、まだコートも着たままだった)、掃き出し窓を開けた。
「んっ…ッッ」
程よく暖房の効いた室内に、冷たい風が流れ込んでくる。
天気がいい分、空気が冷たい。
睦月は、自分で平気と言った手前、思わず口を突いて出そうになった『寒い』を、声にする前に何とか押し止めた。
亮は少しだけ苦笑して、緩んでいた睦月のマフラーを口元まで引き上げてあげた。
「んふふ、すごい景色ね、ね」
「うん」
ありきたりな言葉だけれど、まるで宝石箱を引っ繰り返したよう、眩い光に満ちた街が広がっている。
寒いし、少しの腹の足しにもならないけれど、2人でこうやってキレイな景色を眺めるのも悪くない。
「亮?」
子どもみたいに「わー」とか「すごーい」とか言いながら、しばし夜景を堪能していたが、いくらコートを着ていても、やはり外の空気は冷たい。
しかし、どうでもいいところで素直になれない性格だから、睦月は『やっぱ寒い』と伝えられずに、小さく震える指先をキュッと握っていたら、後ろから亮に抱き締められた。
「手、冷たくない? んー…むっちゃんのほうが冷たいかな?」
バルコニーの手摺りを掴んでいた睦月の手に、亮が自分の手を重ねて来る。
ほんの少しだけ亮の手のほうが温かい気もするけれど、同じだけの時間、外にいたのだから、亮の手だって冷たい。
「寒いから部屋戻ろ? カーテン開けとけば、中からでも見えるよ」
「…ん」
ひどく甘やかされていると思いつつ、睦月は冷たい手を繋ぎ合って、部屋の中に戻った。
窓を閉めて冷たい風をシャットアウトすれば、睦月は詰めていた息を吐き出した。
*****
ホテルの中にはいくつかレストランがあったけれど、2人とも、もう部屋の外に出たい気分ではなかったから、結局ルームサービスをオーダーすることにした。
それに、ホテルにチェックインするだけでも、あんなに緊張していた睦月だ。これ以上肩肘を張るような場所は、きっと気乗りしないだろうし。
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けいったん ⇒
亮じゃないけど むっちゃんは ほんと 何を言っても 何をしても可愛いなぁ~*゚'。・メンコィ(*`゚ω^人)ネェエ。'゚*
ヤバイ ”可愛い”なんて言ったら むっちゃんに 怒られちゃうーー!Σ(●゚д゚●)
お子ちゃまな むっちゃんが、ちょっぴり大人に変貌する 「one night in heaven」は もう そこまで!!
ワクワクq(。・ω・q)(p・ω・。)pドキドキ...byebye☆
ヤバイ ”可愛い”なんて言ったら むっちゃんに 怒られちゃうーー!Σ(●゚д゚●)
お子ちゃまな むっちゃんが、ちょっぴり大人に変貌する 「one night in heaven」は もう そこまで!!
ワクワクq(。・ω・q)(p・ω・。)pドキドキ...byebye☆
- |2011.05.01
- |Sun
- |15:09
- |URL
- |EDIT|
如月久美子 ⇒ >けいったんさん
実際にむっちゃんがいたら、その行動がいちいちかわいすぎて、目が離せないんじゃないかなぁ~、という腐女子心。
でも実際に「かわいい」て言ったら、容赦なく鉄拳が飛んできそうですが(^_^;)
お楽しみの夜まで焦らし焦らしですみません。
自分自身にも、セルフ焦らしプレイです(笑)
コメントありがとうございました!
でも実際に「かわいい」て言ったら、容赦なく鉄拳が飛んできそうですが(^_^;)
お楽しみの夜まで焦らし焦らしですみません。
自分自身にも、セルフ焦らしプレイです(笑)
コメントありがとうございました!