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もうさようならの時間 (11)
2011.06.03 Fri
「三郎さーん、いないのー…?」
「わぅ?」
「あっ、三郎さんっ」
睦月の声に反応して、犬小屋の中からのそのそと三郎さんが顔を覗かせた。
それだけで睦月はホッとして、屈んで、そばに寄って来た三郎さんの頭を撫でた。
「ねぇ三郎さん、おばあちゃんどうしたの? 誰か来てんの?」
「わふ?」
睦月が小首を傾げれば、三郎さんも同じほうに首を捻る。
どうやら分からないらしい。
ゴメン、と三郎さんは少し情けない顔をした。
「三郎さん、お散歩行くー? でもおばあちゃんに言わないとだよねぇ?」
「わふわふっ」
睦月の『お散歩』という言葉に反応して、三郎さんが睦月にじゃれ付いて来た。
雨が続いたせいで、ずっと散歩していなかったから、行きたくて仕方ないのだろう。
「やっぱじゃあ、ちょっと言ってくるね?」
ドアを開けて知らない人が出てきたらどうしよう…とは思ったが、これも三郎さんのためだ。
睦月は、三郎さんのためなら、人見知りだって克服する意気込みなのだ。
「――――あの…どちら様ですか?」
「ひぅっ…!」
三郎さんに語り掛けていた睦月は、おばあさんの家から人が出て来たことに少しも気付かなかったから、急に声を掛けられて、ビックリして竦み上がった拍子にバランスを崩し、尻餅をついてしまった。
「あ…大丈夫? ゴメンなさいね、驚かせちゃって」
睦月に声を掛けてきたのは、ちょうど睦月の母親くらいの年齢の女性だった。
当然ながら女性は、睦月に対して不審げな態度を取ったが、親切にも、尻餅をついた睦月に手を差し伸べてくれたので、慌てて立ち上がった。
「えと、俺…」
さっきまで、知らない人が出てきても、ちゃんと話をする! と思っていたのに、逆に相手のほうから先に登場され、すっかり動揺してしまった睦月は、うまく口が回らない。
これじゃあ、ますます不審者だ。
「わぅ」
「あ…三郎さん…」
どうしていいか分からずにいる睦月の手を、三郎さんがペロッと舐めた。
ちゃんとしなきゃ、と睦月は気を取り直す。
「あの、俺、」
「あなた、もしかして…」
睦月が自分の素性を話そうとすると、女性はハッとした顔で話を遮った。
「三郎さんのこと、散歩……あなたが? いつも散歩に…」
「あ、はい! 俺、あの、睦月です、上原睦月!」
「そう、睦月さん…。あなただったの…」
どうしてこの女性が、三郎さんの散歩のことを知っているのかは分からないが、少なくともこれで不審者とは思われないだろうと思って、今の勢いで睦月は自分の名前を名乗った。
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「わぅ?」
「あっ、三郎さんっ」
睦月の声に反応して、犬小屋の中からのそのそと三郎さんが顔を覗かせた。
それだけで睦月はホッとして、屈んで、そばに寄って来た三郎さんの頭を撫でた。
「ねぇ三郎さん、おばあちゃんどうしたの? 誰か来てんの?」
「わふ?」
睦月が小首を傾げれば、三郎さんも同じほうに首を捻る。
どうやら分からないらしい。
ゴメン、と三郎さんは少し情けない顔をした。
「三郎さん、お散歩行くー? でもおばあちゃんに言わないとだよねぇ?」
「わふわふっ」
睦月の『お散歩』という言葉に反応して、三郎さんが睦月にじゃれ付いて来た。
雨が続いたせいで、ずっと散歩していなかったから、行きたくて仕方ないのだろう。
「やっぱじゃあ、ちょっと言ってくるね?」
ドアを開けて知らない人が出てきたらどうしよう…とは思ったが、これも三郎さんのためだ。
睦月は、三郎さんのためなら、人見知りだって克服する意気込みなのだ。
「――――あの…どちら様ですか?」
「ひぅっ…!」
三郎さんに語り掛けていた睦月は、おばあさんの家から人が出て来たことに少しも気付かなかったから、急に声を掛けられて、ビックリして竦み上がった拍子にバランスを崩し、尻餅をついてしまった。
「あ…大丈夫? ゴメンなさいね、驚かせちゃって」
睦月に声を掛けてきたのは、ちょうど睦月の母親くらいの年齢の女性だった。
当然ながら女性は、睦月に対して不審げな態度を取ったが、親切にも、尻餅をついた睦月に手を差し伸べてくれたので、慌てて立ち上がった。
「えと、俺…」
さっきまで、知らない人が出てきても、ちゃんと話をする! と思っていたのに、逆に相手のほうから先に登場され、すっかり動揺してしまった睦月は、うまく口が回らない。
これじゃあ、ますます不審者だ。
「わぅ」
「あ…三郎さん…」
どうしていいか分からずにいる睦月の手を、三郎さんがペロッと舐めた。
ちゃんとしなきゃ、と睦月は気を取り直す。
「あの、俺、」
「あなた、もしかして…」
睦月が自分の素性を話そうとすると、女性はハッとした顔で話を遮った。
「三郎さんのこと、散歩……あなたが? いつも散歩に…」
「あ、はい! 俺、あの、睦月です、上原睦月!」
「そう、睦月さん…。あなただったの…」
どうしてこの女性が、三郎さんの散歩のことを知っているのかは分からないが、少なくともこれで不審者とは思われないだろうと思って、今の勢いで睦月は自分の名前を名乗った。
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けいったん ⇒ No title
むっちゃん、エライ! ちゃんと名前を言えた!
それだけ 三郎さんを お散歩に連れて行きたいんだね♪
でも いつもの おばあさんじゃなくて 知らない おばさんが 出てきたよ~うわぁ(;´∀`)
知らないおばさんに ちゃんと お散歩の話しが 出来るか 心配だなぁ~
私も 亮みたく 過保護になって来てるーー!
~o----oU・ェ・U ワン♪ "ヘ(^ー^*)オイデオイデ♪...byebye☆
それだけ 三郎さんを お散歩に連れて行きたいんだね♪
でも いつもの おばあさんじゃなくて 知らない おばさんが 出てきたよ~うわぁ(;´∀`)
知らないおばさんに ちゃんと お散歩の話しが 出来るか 心配だなぁ~
私も 亮みたく 過保護になって来てるーー!
~o----oU・ェ・U ワン♪ "ヘ(^ー^*)オイデオイデ♪...byebye☆
- |2011.06.03
- |Fri
- |12:23
- |URL
- |EDIT|
ちよ ⇒ よしよし!
むっちゃん、ちゃんと、名乗れましたね。ホントはやればできる男の子です。
(^^)\(゜゜)よしよし!
さてさて無事、三郎さんのお散歩にいけるかな~?
おばあさんは、どうしちゃったのかな?ちょっと心配だなぁ。
最近遭遇したワンコのレインコートファッション。
遠くから見たら背中に肉まんみたいな物が乗っかっているなぁと近づいて見たら、スーパーの白いビニールの底に四脚の穴開けてズボン穿くみたいに装着し、袋の持ち手を背中で結んでいた。
スーパーひとし君級の不思議発見でした~
(^^)\(゜゜)よしよし!
さてさて無事、三郎さんのお散歩にいけるかな~?
おばあさんは、どうしちゃったのかな?ちょっと心配だなぁ。
最近遭遇したワンコのレインコートファッション。
遠くから見たら背中に肉まんみたいな物が乗っかっているなぁと近づいて見たら、スーパーの白いビニールの底に四脚の穴開けてズボン穿くみたいに装着し、袋の持ち手を背中で結んでいた。
スーパーひとし君級の不思議発見でした~
- |2011.06.03
- |Fri
- |17:18
- |URL
- |EDIT|
如月久美子 ⇒ >けいったんさん
けいったんさんも、完全にお母さん目線ですね(笑)
でも、むっちゃん、よくがんばりました!
知らないおばさん相手に、さらにがんばれるでしょうか。
お楽しみにです。
コメントありがとうございました!
でも、むっちゃん、よくがんばりました!
知らないおばさん相手に、さらにがんばれるでしょうか。
お楽しみにです。
コメントありがとうございました!
如月久美子 ⇒ >ちよさん
> むっちゃん、ちゃんと、名乗れましたね。ホントはやればできる男の子です。
> (^^)\(゜゜)よしよし!
むっちゃん、褒められて伸びるタイプなんで(笑)、このお褒めの言葉は効くと思いますよぉ~!
やればできる子なんです。
それにしても、スーパーの袋をレインコート代わりに…!
すさまじい愛犬家根性ですね。
私の知り合いのワンちゃんは、ミニチュアダックスフントのはずが、太りすぎちゃってて、ミニチュアダックスフント用のレインコートだと、お尻の部分が全然隠れなくて、ビショビショになっちゃうみたいです(笑)
コメントありがとうございました!
> (^^)\(゜゜)よしよし!
むっちゃん、褒められて伸びるタイプなんで(笑)、このお褒めの言葉は効くと思いますよぉ~!
やればできる子なんです。
それにしても、スーパーの袋をレインコート代わりに…!
すさまじい愛犬家根性ですね。
私の知り合いのワンちゃんは、ミニチュアダックスフントのはずが、太りすぎちゃってて、ミニチュアダックスフント用のレインコートだと、お尻の部分が全然隠れなくて、ビショビショになっちゃうみたいです(笑)
コメントありがとうございました!