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心臓だけを狙っている (33)
2015.06.18 Thu
*****
祐介に壁ドンされたい! と騒いでいた和衣が、あれから一向に何も言って来ないので、結局それはまだ叶わぬ願いのままなのだと、亮も睦月も翔真も思っている。
和衣のことだから、もし実現されたら、聞きもしないのにぺらぺらと喋って来るに違いないから。
ただ、実際のところ、その後どうなったのかを和衣に聞いたものはいない。聞けば、『どうしたらいいと思う!?』と泣き付かれることは目に見えていて、そんな面倒くさいことに誰も巻き込まれたくないのだ。
まぁ壁ドンなんて、されなかったからといって人生が終わるほどのものでもないし、何より和衣はすでに経験済みなのだから、そんなに拘ることはないと思う。
次に和衣の口から壁ドンの話題が出たら、そう言ってやろうとみんな何となく心に思っていたが、それは和衣自身がもうすでに何度も思っていることだった。
(だからっ…、いいんだもんっ、今さら壁ドンされなくたって!)
寮の自室でオムライスを頬張りながら、和衣は何度も自分に言い聞かせた。
ちなみに、その向かいには恋人である祐介が座っていて、和衣の食べっぷりに、そんなにお腹空いてたのかな…? と見当違いなことを思っていたが、それは和衣の知らないところである。
「和衣…、俺のも食べる?」
「ふぇっ?」
祐介に声を掛けられ、和衣は変な声を上げて、顔を起こした。
食べるのが遅くて、いつも睦月に早くしろと急かされている和衣が、今日はもう、あっという間に3分の2ほど食べ終わっている。まだ食べ始めて数分も経っていないのに。
「あ、え? …おいしくなかった?」
「そうじゃなくて。すごいガツガツ食べてるから、お腹空いてんのかと思って」
オムライスの作者は和衣だ。
今日は和衣の部屋の同室者が、彼女の家に泊まりに行っているので、祐介を呼んで一緒にご飯を食べているんだけれど、まだ半分どころか、3分の1も食べていない祐介がそんなことを言い出したので、和衣の作ったオムライスが口に合わなかったのかと心配したが、そうではなかったらしい。
「ガツガツ…」
手料理の味についてはただの杞憂だったが、和衣は、自分の皿と祐介の皿を見比べ、何とも言えない表情で祐介を見た。
「いや、別にガツガツ食べたっていいけど…………え、食べ方気にしてる?」
「だって…」
デリカシーはないよりあったほうがいいし、がさつよりは淑やかなほうがいいかもしれないが、そこまで気にするほどの食べ方でもない。大学生男子として、ごく普通のものだ。
しかし、相手が何かにつけて気にしやすいタチの和衣だったことを思うと、わざわざ口に出したのは失敗だった、と言った後になって祐介は思った。
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祐介に壁ドンされたい! と騒いでいた和衣が、あれから一向に何も言って来ないので、結局それはまだ叶わぬ願いのままなのだと、亮も睦月も翔真も思っている。
和衣のことだから、もし実現されたら、聞きもしないのにぺらぺらと喋って来るに違いないから。
ただ、実際のところ、その後どうなったのかを和衣に聞いたものはいない。聞けば、『どうしたらいいと思う!?』と泣き付かれることは目に見えていて、そんな面倒くさいことに誰も巻き込まれたくないのだ。
まぁ壁ドンなんて、されなかったからといって人生が終わるほどのものでもないし、何より和衣はすでに経験済みなのだから、そんなに拘ることはないと思う。
次に和衣の口から壁ドンの話題が出たら、そう言ってやろうとみんな何となく心に思っていたが、それは和衣自身がもうすでに何度も思っていることだった。
(だからっ…、いいんだもんっ、今さら壁ドンされなくたって!)
寮の自室でオムライスを頬張りながら、和衣は何度も自分に言い聞かせた。
ちなみに、その向かいには恋人である祐介が座っていて、和衣の食べっぷりに、そんなにお腹空いてたのかな…? と見当違いなことを思っていたが、それは和衣の知らないところである。
「和衣…、俺のも食べる?」
「ふぇっ?」
祐介に声を掛けられ、和衣は変な声を上げて、顔を起こした。
食べるのが遅くて、いつも睦月に早くしろと急かされている和衣が、今日はもう、あっという間に3分の2ほど食べ終わっている。まだ食べ始めて数分も経っていないのに。
「あ、え? …おいしくなかった?」
「そうじゃなくて。すごいガツガツ食べてるから、お腹空いてんのかと思って」
オムライスの作者は和衣だ。
今日は和衣の部屋の同室者が、彼女の家に泊まりに行っているので、祐介を呼んで一緒にご飯を食べているんだけれど、まだ半分どころか、3分の1も食べていない祐介がそんなことを言い出したので、和衣の作ったオムライスが口に合わなかったのかと心配したが、そうではなかったらしい。
「ガツガツ…」
手料理の味についてはただの杞憂だったが、和衣は、自分の皿と祐介の皿を見比べ、何とも言えない表情で祐介を見た。
「いや、別にガツガツ食べたっていいけど…………え、食べ方気にしてる?」
「だって…」
デリカシーはないよりあったほうがいいし、がさつよりは淑やかなほうがいいかもしれないが、そこまで気にするほどの食べ方でもない。大学生男子として、ごく普通のものだ。
しかし、相手が何かにつけて気にしやすいタチの和衣だったことを思うと、わざわざ口に出したのは失敗だった、と言った後になって祐介は思った。
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