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チェックメイトで逃げられない (後編)
2014.01.28 Tue
「おま……何してんだよ」
改札の通り抜けの邪魔にならないところで、柵越しに朋文に声を掛ける。
朋文とは、カフェSpicaを出て、この駅前で別れたのだ。電車で帰らなければならない譲と違って、朋文は徒歩で通勤しているのだ。足元に注意しなければならないが、この雪の影響で帰れない、という事態はないのに。
「いや、譲は大丈夫て言ってたけど、電車停まってるみたいだったし…。ホントに大丈夫? てメールしたのに返事来ないから、戻って来ちゃった」
「メール? そんなの来てない…………あ、受信できてなかった」
ずっとスマホを見ていたから、メールが来ればすぐ分かったはずなのに、電波の影響か何かで受信できていなかったらしく、問い合わせてみたら、今ごろ朋文からのメールを受信した。
「つか…、俺がここにいたからいいけど、もしいなかったらどうする気だったんだよ」
電車が動いていないとしても、タクシーで帰ったとか、ここじゃなくてホームにいたとかだったら、朋文は譲を見つけることなんか出来なかったのに。
「いやぁ、いなかったらいなかったで、しょうがないかな、て思って。でもいたじゃん?」
「そうだけど…」
「やっぱり運命かな? 俺たちは、出会うべくして出会った……」
「ぶっ飛ばすぞ、てめぇ」
ただでさえ譲は今日、いろいろとイラついているのだ。
下手なことを言おうものなら、人前だろうと何だろうと、手を上げてしまいそうだ。
「ゴメンなさい…」
いくら朋文がピントのずれた空気の読めない男でも、譲の苛立ちを感じ取ることは出来たのだろう、情けなく眉を下げて、素直に謝った。
「とりあえず譲、早く改札出て?」
「は?」
「あ、入った駅で出るには、駅員さんに言わないとダメなのかな?」
「おい、何言ってんだ」
わけが分からずにいる譲を無視して、朋文は勝手にベラベラ喋っている。
やはり、1発殴ってやろうか。
「だって、電車動かないんでしょ?」
「お、おぅ…」
「じゃ、ウチにおいでよ?」
「はぁ~?」
まるで、そうすることが当然だとばかりに言ってくる朋文に、譲はポカンとなるが、朋文はただニコニコしているだけだ。
「俺んちなら、歩いて行けるし」
「そうだけど…」
「こんなトコで、いつ動くか分かんない電車待ってるより、そのほうが、よくない?」
「………………」
そうだ。
電車はいつ動くか分からないし、タクシーだって金が掛かるし。だから、朋文の家に行くんだ。それ以上の意味はない。朋文の家に行くことを嬉しいだなんて、思っちゃいない。
誰も何も言っていないのに、譲は心の中でそう言い訳しながら、再び改札の外に出る。
朋文の意のままに行動している自分に嫌気が差すより先に、譲は朋文の手を取った。
*END*
back
タイトルはoperetta様からお借りしました。ありがとう!
改札の通り抜けの邪魔にならないところで、柵越しに朋文に声を掛ける。
朋文とは、カフェSpicaを出て、この駅前で別れたのだ。電車で帰らなければならない譲と違って、朋文は徒歩で通勤しているのだ。足元に注意しなければならないが、この雪の影響で帰れない、という事態はないのに。
「いや、譲は大丈夫て言ってたけど、電車停まってるみたいだったし…。ホントに大丈夫? てメールしたのに返事来ないから、戻って来ちゃった」
「メール? そんなの来てない…………あ、受信できてなかった」
ずっとスマホを見ていたから、メールが来ればすぐ分かったはずなのに、電波の影響か何かで受信できていなかったらしく、問い合わせてみたら、今ごろ朋文からのメールを受信した。
「つか…、俺がここにいたからいいけど、もしいなかったらどうする気だったんだよ」
電車が動いていないとしても、タクシーで帰ったとか、ここじゃなくてホームにいたとかだったら、朋文は譲を見つけることなんか出来なかったのに。
「いやぁ、いなかったらいなかったで、しょうがないかな、て思って。でもいたじゃん?」
「そうだけど…」
「やっぱり運命かな? 俺たちは、出会うべくして出会った……」
「ぶっ飛ばすぞ、てめぇ」
ただでさえ譲は今日、いろいろとイラついているのだ。
下手なことを言おうものなら、人前だろうと何だろうと、手を上げてしまいそうだ。
「ゴメンなさい…」
いくら朋文がピントのずれた空気の読めない男でも、譲の苛立ちを感じ取ることは出来たのだろう、情けなく眉を下げて、素直に謝った。
「とりあえず譲、早く改札出て?」
「は?」
「あ、入った駅で出るには、駅員さんに言わないとダメなのかな?」
「おい、何言ってんだ」
わけが分からずにいる譲を無視して、朋文は勝手にベラベラ喋っている。
やはり、1発殴ってやろうか。
「だって、電車動かないんでしょ?」
「お、おぅ…」
「じゃ、ウチにおいでよ?」
「はぁ~?」
まるで、そうすることが当然だとばかりに言ってくる朋文に、譲はポカンとなるが、朋文はただニコニコしているだけだ。
「俺んちなら、歩いて行けるし」
「そうだけど…」
「こんなトコで、いつ動くか分かんない電車待ってるより、そのほうが、よくない?」
「………………」
そうだ。
電車はいつ動くか分からないし、タクシーだって金が掛かるし。だから、朋文の家に行くんだ。それ以上の意味はない。朋文の家に行くことを嬉しいだなんて、思っちゃいない。
誰も何も言っていないのに、譲は心の中でそう言い訳しながら、再び改札の外に出る。
朋文の意のままに行動している自分に嫌気が差すより先に、譲は朋文の手を取った。
*END*
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タイトルはoperetta様からお借りしました。ありがとう!
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ちよ ⇒
きゃ~!!
とうとう、譲さんが手を出した!!
スゴイ進展です~ ҉٩(*´︶`*)۶҉
チェックメイトされたのは、どちらなんでしょう!?
亜沙美ちゃん、きっとどこかの柱の影から
覗き見しているんでしょうね…
壁|ョ・ω・`) 見逃す訳にはいかないんですー
とうとう、譲さんが手を出した!!
スゴイ進展です~ ҉٩(*´︶`*)۶҉
チェックメイトされたのは、どちらなんでしょう!?
亜沙美ちゃん、きっとどこかの柱の影から
覗き見しているんでしょうね…
壁|ョ・ω・`) 見逃す訳にはいかないんですー
- |2014.01.28
- |Tue
- |21:29
- |URL
- |EDIT|
如月久美子 ⇒ >ちよさん
大人の両片想い!
私が思うに、譲さんはむっちゃん以上のツンデレさんかと…(笑)
一応、ちょっとは進展した……かな!?
> 壁|ョ・ω・`) 見逃す訳にはいかないんですー
キャー! 亜沙美ちゃーん!!
こんな決定的瞬間を見逃すはずがありませんね。
きっと心のアルバムにしっかりと貼り付けていると思います!
あ、いつものことながら、教えていただいて、ありがとうございます。
早速修正しました。
コメントありがとうございました!
私が思うに、譲さんはむっちゃん以上のツンデレさんかと…(笑)
一応、ちょっとは進展した……かな!?
> 壁|ョ・ω・`) 見逃す訳にはいかないんですー
キャー! 亜沙美ちゃーん!!
こんな決定的瞬間を見逃すはずがありませんね。
きっと心のアルバムにしっかりと貼り付けていると思います!
あ、いつものことながら、教えていただいて、ありがとうございます。
早速修正しました。
コメントありがとうございました!
- |2014.01.28
- |Tue
- |23:07
- |URL
- |EDIT|