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ホラー映画にはご用心 (7)
2011.02.28 Mon
「最後くらいちゃんと見なよ。カズちゃん、殆ど見てないでしょ?」
睦月は尤もらしいことを言って、和衣をテレビのほうへ集中させようとするが、さっきまで半分寝たようになっていた睦月に言われるのは、何となく理不尽に思えるのは、和衣だけだろうか。
でも、まだ部屋には戻らないと言った手前、静かにテレビに集中しなければ。
画面では、主人公の女の子が、腕から血を流しつつも、先へと歩いて行く。
スプラッタ要素も多いこの映画では、すでに一緒に来ていた友人のうち2人が、ゾンビだか怨霊だかにやられて、血みどろで死んでしまっている。
それでも彼女は、残りの仲間を探すべく、先へと進むのだ。
(こんななったら、お家帰っちゃえばいいのに…。でも友だち置いて帰れないか…。それとも、ちゃんと退治して帰んないと、呪われちゃうのかな…)
睦月のようにのん気に構えることなんて出来ない和衣は、想像力を働かせすぎて、勝手に1人で恐怖を倍増させている。
しかも、いつの間にか、睦月のぬいぐるみクッションをほったらかして、和衣はギュウと睦月に抱き付いている。
しかし睦月にしたら、そんなの苦しいだけで、何のいいこともない。
ショウちゃんヘルプー! と助けを求めようとしても、翔真も真大も、近付くクライマックスに、画面に集中していて、そのサインには気付いてくれないし。
仕方なく睦月は、和衣に抱き付かれているのとは反対側、自由になる左手で携帯電話を開き、そっとメール機能を立ち上げた。
利き手ではないから、文字が打ちづらい…と、睦月がテレビでなく携帯電話に気を取られている間にも、話はどんどんと展開していく。
『イヤーーーーー!!!!!』
激しい効果音とともに、女の子の悲鳴が響く。
彼女の恋人が、無残な姿で殺害され、その死体を数十匹のネズミたちが貪っていたのだ。
そのグロさに、当然和衣は竦み上がって、睦月が嫌がるのも構わず抱き付く腕に力を込めたが、さすがにこの映像には翔真も顔を顰めて、目を逸らした。
よく、こういうものを見た後、しばらく肉料理は食べたくない…なんて言うのを聞くが、その気持ちが今分かった。
「カズちゃん、苦しい…」
「ひぅ…、怖ぃ~…」
もう絶対に、1人で部屋になんて戻れない。
絶対に1人で寝られない。
てか、あと30分も我慢できなぁ~~~~いっっ!!
「もう終わる、もう終わるからっ。ちょっ、カズちゃん、苦しいから力緩めてっ」
「ヤダーーー!! 怖い~っ!!」
睦月が焦りながら和衣の腕をペチペチ叩くが、和衣は全然力を緩めてくれない。
もうテレビに集中しろとは言わないから、とにかく腕を解いてくれ。本気で苦しい。今までからかったのも、謝るから!
しかし睦月の思いとは裏腹に、クライマックスに達した映画では、主人公の女の子の前で次々と人々が殺されていき、和衣ももう見なければいいのに、睦月の声も耳に入らないくらい画面に集中してしまっている。
「苦し…助け…!」
「カズくん、ちょっ…」
「うっわ!」
「ひっ…ギャーーーーー!!!!」
「え、何やって…………うわあぁーーーーー!!!!!」
―――――――暗転。
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睦月は尤もらしいことを言って、和衣をテレビのほうへ集中させようとするが、さっきまで半分寝たようになっていた睦月に言われるのは、何となく理不尽に思えるのは、和衣だけだろうか。
でも、まだ部屋には戻らないと言った手前、静かにテレビに集中しなければ。
画面では、主人公の女の子が、腕から血を流しつつも、先へと歩いて行く。
スプラッタ要素も多いこの映画では、すでに一緒に来ていた友人のうち2人が、ゾンビだか怨霊だかにやられて、血みどろで死んでしまっている。
それでも彼女は、残りの仲間を探すべく、先へと進むのだ。
(こんななったら、お家帰っちゃえばいいのに…。でも友だち置いて帰れないか…。それとも、ちゃんと退治して帰んないと、呪われちゃうのかな…)
睦月のようにのん気に構えることなんて出来ない和衣は、想像力を働かせすぎて、勝手に1人で恐怖を倍増させている。
しかも、いつの間にか、睦月のぬいぐるみクッションをほったらかして、和衣はギュウと睦月に抱き付いている。
しかし睦月にしたら、そんなの苦しいだけで、何のいいこともない。
ショウちゃんヘルプー! と助けを求めようとしても、翔真も真大も、近付くクライマックスに、画面に集中していて、そのサインには気付いてくれないし。
仕方なく睦月は、和衣に抱き付かれているのとは反対側、自由になる左手で携帯電話を開き、そっとメール機能を立ち上げた。
利き手ではないから、文字が打ちづらい…と、睦月がテレビでなく携帯電話に気を取られている間にも、話はどんどんと展開していく。
『イヤーーーーー!!!!!』
激しい効果音とともに、女の子の悲鳴が響く。
彼女の恋人が、無残な姿で殺害され、その死体を数十匹のネズミたちが貪っていたのだ。
そのグロさに、当然和衣は竦み上がって、睦月が嫌がるのも構わず抱き付く腕に力を込めたが、さすがにこの映像には翔真も顔を顰めて、目を逸らした。
よく、こういうものを見た後、しばらく肉料理は食べたくない…なんて言うのを聞くが、その気持ちが今分かった。
「カズちゃん、苦しい…」
「ひぅ…、怖ぃ~…」
もう絶対に、1人で部屋になんて戻れない。
絶対に1人で寝られない。
てか、あと30分も我慢できなぁ~~~~いっっ!!
「もう終わる、もう終わるからっ。ちょっ、カズちゃん、苦しいから力緩めてっ」
「ヤダーーー!! 怖い~っ!!」
睦月が焦りながら和衣の腕をペチペチ叩くが、和衣は全然力を緩めてくれない。
もうテレビに集中しろとは言わないから、とにかく腕を解いてくれ。本気で苦しい。今までからかったのも、謝るから!
しかし睦月の思いとは裏腹に、クライマックスに達した映画では、主人公の女の子の前で次々と人々が殺されていき、和衣ももう見なければいいのに、睦月の声も耳に入らないくらい画面に集中してしまっている。
「苦し…助け…!」
「カズくん、ちょっ…」
「うっわ!」
「ひっ…ギャーーーーー!!!!」
「え、何やって…………うわあぁーーーーー!!!!!」
―――――――暗転。
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