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ホラー映画にはご用心 (5)
2011.02.26 Sat
「何すんのっ…むっちゃんっ」
「いた、い…。何…?」
「むっちゃんが頭突きして来たんじゃんっ」
和衣もまったくわけが分からないが、自分から頭突きをしたとはいえ、何の意図も意識もなかった睦月も、わけが分からない。
2人してポカンと見つめ合っていたら、「むっちゃん、眠くて頭フラフラしてたよ」と翔真が教えてくれた(映画に集中していたとはいえ、こんなにそばで睦月が眠そうにしていたら、それは気が付く)。
「むっちゃん、眠いの?」
「んー…」
和衣の問いに、睦月は目をこすりながら首を振る。眠いことは眠いが、ここまで見たからには、最後まで映画を見たい。
眠気覚ましにと、睦月は和衣に寄り掛かりながら、コーラのペットボトルを開けた。
「…ねぇむっちゃん」
テレビが再びCMになったところで、和衣が睦月のニットの裾を引っ張った。
「俺、トイレ行きたい」
「は? 行けば?」
まだ眠そうな顔で、睦月が和衣のほうを向く。
一体どうしてそんな報告を睦月に?
「トイレ」
「だから、行って来ればいいじゃん。今CMなんだし」
「むっちゃん、一緒に行こ?」
「何で」
「だって1人で行くの怖いっ」
若干涙目になりながら、和衣は必死に訴えるが、睦月の視線は冷ややかだ。
1人でトイレに行けないくらいホラー映画が苦手なら、最初から見なければいいのに。
「むっちゃぁんっ!」
「ちょっ…」
睦月が嫌そうにしているのは分かるが、和衣にしたら、それどころではない。
無理やり腕を引っ張って、睦月を立たせた。
「もぉー。俺、おしっこしたくないよぉ」
「いいからぁっ」
子どもがぐずるみたいな声を上げつつも、睦月は和衣に引っ張られるがまま、部屋を出て行った。
「…カズくん、あそこまで怖がるなら、見なきゃいいのに」
バタバタと遠ざかっていく足音を聞きながら、真大が至極当然のことを言った。
見始めてから、怖いと思って見るのをやめたからといって、何かあるわけではない。1人でトイレに行けないくらい怖いなら、もうここで見るのをやめたらいいのでは?
「翔真くん、カズくんがホントにトイレ行ったと思う? 怖くて逃げたんじゃない?」
「いや、アイツのことだから、また来るよ。そんでめっちゃ怖がって、うるさくすると思う」
普通に考えたら、真大の言い分が正しいだろうが、しかし相手は、人の想像の遥か彼方を行く思考をしてしまう和衣だ。
きっと翔真の言うように、怖い怖いと言いながら、睦月と一緒に戻ってくるだろう。
「ホラ、来た」
また、ドアの向こうが騒がしくなってくる(それにしても、翔真たちと違い、事情を知らない他の部屋の住人は、一体何事かと思っているに違いない)。
真大は、本当に和衣がまたこの部屋に戻って来るのだろうかと、ドアを見つめていれば、ドアが開いて睦月が姿を現した。
「もぉーカズちゃん、部屋戻りなよ」
「何でむっちゃん、そんなこと言うの!?」
「だって怖いんでしょ? もう見なきゃいいじゃん」
先ほど真大が口にしたのと同じことを言いながら、まずは睦月が入って来る。
睦月は和衣を自分の部屋に帰らせようとしているが、それに反して、和衣はまだ映画の続きを見るつもりか、翔真の部屋に上がり込もうとしている。
やはり翔真の正解だった。
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「いた、い…。何…?」
「むっちゃんが頭突きして来たんじゃんっ」
和衣もまったくわけが分からないが、自分から頭突きをしたとはいえ、何の意図も意識もなかった睦月も、わけが分からない。
2人してポカンと見つめ合っていたら、「むっちゃん、眠くて頭フラフラしてたよ」と翔真が教えてくれた(映画に集中していたとはいえ、こんなにそばで睦月が眠そうにしていたら、それは気が付く)。
「むっちゃん、眠いの?」
「んー…」
和衣の問いに、睦月は目をこすりながら首を振る。眠いことは眠いが、ここまで見たからには、最後まで映画を見たい。
眠気覚ましにと、睦月は和衣に寄り掛かりながら、コーラのペットボトルを開けた。
「…ねぇむっちゃん」
テレビが再びCMになったところで、和衣が睦月のニットの裾を引っ張った。
「俺、トイレ行きたい」
「は? 行けば?」
まだ眠そうな顔で、睦月が和衣のほうを向く。
一体どうしてそんな報告を睦月に?
「トイレ」
「だから、行って来ればいいじゃん。今CMなんだし」
「むっちゃん、一緒に行こ?」
「何で」
「だって1人で行くの怖いっ」
若干涙目になりながら、和衣は必死に訴えるが、睦月の視線は冷ややかだ。
1人でトイレに行けないくらいホラー映画が苦手なら、最初から見なければいいのに。
「むっちゃぁんっ!」
「ちょっ…」
睦月が嫌そうにしているのは分かるが、和衣にしたら、それどころではない。
無理やり腕を引っ張って、睦月を立たせた。
「もぉー。俺、おしっこしたくないよぉ」
「いいからぁっ」
子どもがぐずるみたいな声を上げつつも、睦月は和衣に引っ張られるがまま、部屋を出て行った。
「…カズくん、あそこまで怖がるなら、見なきゃいいのに」
バタバタと遠ざかっていく足音を聞きながら、真大が至極当然のことを言った。
見始めてから、怖いと思って見るのをやめたからといって、何かあるわけではない。1人でトイレに行けないくらい怖いなら、もうここで見るのをやめたらいいのでは?
「翔真くん、カズくんがホントにトイレ行ったと思う? 怖くて逃げたんじゃない?」
「いや、アイツのことだから、また来るよ。そんでめっちゃ怖がって、うるさくすると思う」
普通に考えたら、真大の言い分が正しいだろうが、しかし相手は、人の想像の遥か彼方を行く思考をしてしまう和衣だ。
きっと翔真の言うように、怖い怖いと言いながら、睦月と一緒に戻ってくるだろう。
「ホラ、来た」
また、ドアの向こうが騒がしくなってくる(それにしても、翔真たちと違い、事情を知らない他の部屋の住人は、一体何事かと思っているに違いない)。
真大は、本当に和衣がまたこの部屋に戻って来るのだろうかと、ドアを見つめていれば、ドアが開いて睦月が姿を現した。
「もぉーカズちゃん、部屋戻りなよ」
「何でむっちゃん、そんなこと言うの!?」
「だって怖いんでしょ? もう見なきゃいいじゃん」
先ほど真大が口にしたのと同じことを言いながら、まずは睦月が入って来る。
睦月は和衣を自分の部屋に帰らせようとしているが、それに反して、和衣はまだ映画の続きを見るつもりか、翔真の部屋に上がり込もうとしている。
やはり翔真の正解だった。
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テーマ:自作BL小説 ジャンル:小説・文学
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柚子季 杏 ⇒
っとにwww 和ちゃんwwwww
昨日のゴッツンコも大笑いしましたがwww
にしても翔ちゃんさすが!
長年の付き合いだけありますね~読みがバッチリ♪
昨日のゴッツンコも大笑いしましたがwww
にしても翔ちゃんさすが!
長年の付き合いだけありますね~読みがバッチリ♪
如月久美子 ⇒ >柚子季さん
> っとにwww 和ちゃんwwwww
まったくですww
みんなが、そんなに怖いなら見なきゃいいのに…と思っているのに、また戻って来てるという。。。
でもこういうのって、途中まで見ると、怖いもの見たさで見ちゃうんですよね。
カズちゃん、それで済むのか…ていう感じなんですが(^_^;)
むっちゃんにとっての大迷惑は、まだまだ続きますww
コメントありがとうございました!
まったくですww
みんなが、そんなに怖いなら見なきゃいいのに…と思っているのに、また戻って来てるという。。。
でもこういうのって、途中まで見ると、怖いもの見たさで見ちゃうんですよね。
カズちゃん、それで済むのか…ていう感じなんですが(^_^;)
むっちゃんにとっての大迷惑は、まだまだ続きますww
コメントありがとうございました!