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部屋でまったり (3)
2010.12.25 Sat
「だって寒かったんだもん」
「いや、『だもん』とか、別にかわいくねぇし。つか、え、何?」
蒼一郎が来て、これでようやく出掛けられる、と、郁雅が外に出ようとするのとは反対に、なぜか蒼一郎は郁雅の家に上がろうとしている。
郁雅は訝しむように蒼一郎を見遣るが、蒼一郎はそれに気付かないのか(彼に限っては、"気付かないふり"など、そう出来るものではない)、「寒い寒い~」と言いながら靴を脱ぎ始めている。
「は? ちょっ蒼!」
「ぅん? 何イク、早く戸締めてよ、寒いじゃん」
「いやいやいやいやちょっと待て。お前、何普通に部屋に上がろうとしてんの?」
「え、寒いから」
「…………」
引き止められた蒼一郎は、至極真面目な顔で、そして真面目な気持ちでそう返答したのだが、もちろん郁雅が聞きたかったのは、そんなことではない。
当たり前だが、今日はこれから一緒に映画を見に行くはずなのに、なぜ蒼一郎は部屋に上がろうとしているのか、ということだ。
「いや、だって映画行くんじゃねぇの?」
だが、このくらいのことでいちいちキレていたら、こののん気な男とは付き合っていられないことを、郁雅は長年の経験から熟知している。
郁雅は苛立ちを極力抑えつつ、相手から的確な返事が返ってくるであろう質問をしてみる。
「だって出掛けんの寒いじゃん? 映画見終わった後、どこ行くにしても寒いしさぁ、それならイクんちでイチャイチャしてたほうがよくない? DVDも借りて来たしさぁ」
ジャーン! と間抜けな効果音付きで、蒼一郎はDVDのレンタルショップの袋を掲げ、しかも「ちなみにポップコーンも買ってきましたー」とか言いながら、ポカンとしている郁雅をさて置いて、ポップコーンが入っているらしい袋も見せてくれる。
「は?」
「ん?」
DVD借りて来た?
ポップコーン?
いや確かにそれは映画館の雰囲気だけれど。
「はぁ~~~~~~??」
ついに郁雅は大きな声を上げてしまった。
どうしていつも、蒼一郎の行動は、こうも突拍子もないのだろう。
「え? 何、イク。どうした?」
「どうした、じゃねぇよ! おま…そういうことなら、ちゃんと言えよ、アホ!!」
「え、メールしたじゃん、イクんち行くって」
なぜ郁雅が大きな声を出すのか本気で分かっていないのか、今度は蒼一郎のほうがキョトンとする。
確かに蒼一郎からはメールが来たし、郁雅はそれに了解の返事をした。
しかし蒼一郎からのメールには、『イクんち行くから、そのまま家で待ってて』+家マークの絵文字しか書かれていなかったのだ。それだけの文面で、一体どうやって『郁雅の家でDVD鑑賞』ということを汲み取ればいいというのか。
「おま…ホント…」
「え、何、イク」
「いや、ちゃんと聞かなかった俺が悪かったんだよな…、うん、よく分かった…」
今さら何か言ったところで、蒼一郎のこの性格が変わるとも思えないし、こういうところがなくなったら蒼一郎らしくないと思うし(多分、恋人の欲目だが)、今日はこれ以上、何か言うのはやめよう。
映画は、特別にすごく見たかったものというわけではなく、映画でも見に行く? くらいのノリだったから、蒼一郎の提案する、お家でDVD鑑賞でも別に悪くはない。
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「いや、『だもん』とか、別にかわいくねぇし。つか、え、何?」
蒼一郎が来て、これでようやく出掛けられる、と、郁雅が外に出ようとするのとは反対に、なぜか蒼一郎は郁雅の家に上がろうとしている。
郁雅は訝しむように蒼一郎を見遣るが、蒼一郎はそれに気付かないのか(彼に限っては、"気付かないふり"など、そう出来るものではない)、「寒い寒い~」と言いながら靴を脱ぎ始めている。
「は? ちょっ蒼!」
「ぅん? 何イク、早く戸締めてよ、寒いじゃん」
「いやいやいやいやちょっと待て。お前、何普通に部屋に上がろうとしてんの?」
「え、寒いから」
「…………」
引き止められた蒼一郎は、至極真面目な顔で、そして真面目な気持ちでそう返答したのだが、もちろん郁雅が聞きたかったのは、そんなことではない。
当たり前だが、今日はこれから一緒に映画を見に行くはずなのに、なぜ蒼一郎は部屋に上がろうとしているのか、ということだ。
「いや、だって映画行くんじゃねぇの?」
だが、このくらいのことでいちいちキレていたら、こののん気な男とは付き合っていられないことを、郁雅は長年の経験から熟知している。
郁雅は苛立ちを極力抑えつつ、相手から的確な返事が返ってくるであろう質問をしてみる。
「だって出掛けんの寒いじゃん? 映画見終わった後、どこ行くにしても寒いしさぁ、それならイクんちでイチャイチャしてたほうがよくない? DVDも借りて来たしさぁ」
ジャーン! と間抜けな効果音付きで、蒼一郎はDVDのレンタルショップの袋を掲げ、しかも「ちなみにポップコーンも買ってきましたー」とか言いながら、ポカンとしている郁雅をさて置いて、ポップコーンが入っているらしい袋も見せてくれる。
「は?」
「ん?」
DVD借りて来た?
ポップコーン?
いや確かにそれは映画館の雰囲気だけれど。
「はぁ~~~~~~??」
ついに郁雅は大きな声を上げてしまった。
どうしていつも、蒼一郎の行動は、こうも突拍子もないのだろう。
「え? 何、イク。どうした?」
「どうした、じゃねぇよ! おま…そういうことなら、ちゃんと言えよ、アホ!!」
「え、メールしたじゃん、イクんち行くって」
なぜ郁雅が大きな声を出すのか本気で分かっていないのか、今度は蒼一郎のほうがキョトンとする。
確かに蒼一郎からはメールが来たし、郁雅はそれに了解の返事をした。
しかし蒼一郎からのメールには、『イクんち行くから、そのまま家で待ってて』+家マークの絵文字しか書かれていなかったのだ。それだけの文面で、一体どうやって『郁雅の家でDVD鑑賞』ということを汲み取ればいいというのか。
「おま…ホント…」
「え、何、イク」
「いや、ちゃんと聞かなかった俺が悪かったんだよな…、うん、よく分かった…」
今さら何か言ったところで、蒼一郎のこの性格が変わるとも思えないし、こういうところがなくなったら蒼一郎らしくないと思うし(多分、恋人の欲目だが)、今日はこれ以上、何か言うのはやめよう。
映画は、特別にすごく見たかったものというわけではなく、映画でも見に行く? くらいのノリだったから、蒼一郎の提案する、お家でDVD鑑賞でも別に悪くはない。
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