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僕らの青春に明日はない (91)
2010.06.02 Wed
「はい、タオル」
「ありがとー。…………ん? 何?」
祐介から借りたタオルで顔を拭いていたら、何だか祐介の視線を感じて、和衣はタオルから顔を上げた。
「いや…化粧した顔もかわいかったけど、やっぱ何も付けてないほうがいいよね」
「…………」
俄かに熱くなった頬をごまかそうと、和衣はもう濡れてはいない顔を、もう1度タオルでこすってみる。
だって絶対に顔が赤い。
常々、無意識に祐介の心を打ち抜くような行動や言動の多い和衣だが、同じように祐介だって、自覚なしに殺し文句を吐くのである。
(もぉ…祐介のバカ…!)
そう言いつつ、こんなことでいちいち照れている和衣も、相当バカかも…とは思うが。
「ねぇ祐介」
自分だっていつも祐介を惑わしていることを棚に上げ、こんなにもドキドキさせた祐介に、ちょっと仕返しをしたくなって。
「お化粧、ちゃんと落ちたから…」
「ぅん?」
「グロスの付かないキス、しよっか?」
予想外の和衣の言葉に頬を染めた祐介の返事を待たず、和衣はチュッとその唇を奪った。
*****
「イェ~イ、旅行け~~~んっ!」
ジャーン! と、いつぞやを思い出させる間抜けな効果音を自分で言いながら、真大は女装コンテストの商品である旅行券を、大きく掲げて翔真の前に登場した。
ちなみに本日は、女子高生姿ではない。
何しろ真大が元気よく飛び込んで来たのは、自宅アパートの部屋ではなく、寮の一室である、翔真の部屋だったからだ。
ノックすることの意味を本当に理解しているのか、相変わらず真大はノックとほぼ同時にドアを開けるので、まったく油断していた翔真は、驚いた弾みに机の角に足の小指をぶつけてしまった。
「翔真くん、翔真くん、賞品の旅行券だよ~!」
「いや真大、ちょっと待て…」
痛みに蹲る翔真は、はっきり言ってそれどころではない。
学園祭での女装コンテストで優勝し、見事10万円分の旅行券を獲得した真大の喜びは分かるが、今は少し待ってくれ。
「翔真くん大丈夫? だよね」
「軽っ! しかも何も答えてないのに、大丈夫とか決め付けられたし」
ようやく痛みから解放されつつある翔真は、すかさず突っ込む。
全面的に真大が悪いとは言わないが、責任の一端ならあるような気がする。
「もぉー、じゃあどうすればいいの? 舐めたげよっか?」
「アホか! イッテー…」
本気で心配する気あるのか? と訝しんでいる翔真には絶対に言えないが、痛みに堪えて、しかもちょっと涙目になっている翔真を見て、真大は内心、
(翔真くん、かわいい…)
とか思ってしまった。
もちろん、"あの"ときを想像して、である。
「ありがとー。…………ん? 何?」
祐介から借りたタオルで顔を拭いていたら、何だか祐介の視線を感じて、和衣はタオルから顔を上げた。
「いや…化粧した顔もかわいかったけど、やっぱ何も付けてないほうがいいよね」
「…………」
俄かに熱くなった頬をごまかそうと、和衣はもう濡れてはいない顔を、もう1度タオルでこすってみる。
だって絶対に顔が赤い。
常々、無意識に祐介の心を打ち抜くような行動や言動の多い和衣だが、同じように祐介だって、自覚なしに殺し文句を吐くのである。
(もぉ…祐介のバカ…!)
そう言いつつ、こんなことでいちいち照れている和衣も、相当バカかも…とは思うが。
「ねぇ祐介」
自分だっていつも祐介を惑わしていることを棚に上げ、こんなにもドキドキさせた祐介に、ちょっと仕返しをしたくなって。
「お化粧、ちゃんと落ちたから…」
「ぅん?」
「グロスの付かないキス、しよっか?」
予想外の和衣の言葉に頬を染めた祐介の返事を待たず、和衣はチュッとその唇を奪った。
*****
「イェ~イ、旅行け~~~んっ!」
ジャーン! と、いつぞやを思い出させる間抜けな効果音を自分で言いながら、真大は女装コンテストの商品である旅行券を、大きく掲げて翔真の前に登場した。
ちなみに本日は、女子高生姿ではない。
何しろ真大が元気よく飛び込んで来たのは、自宅アパートの部屋ではなく、寮の一室である、翔真の部屋だったからだ。
ノックすることの意味を本当に理解しているのか、相変わらず真大はノックとほぼ同時にドアを開けるので、まったく油断していた翔真は、驚いた弾みに机の角に足の小指をぶつけてしまった。
「翔真くん、翔真くん、賞品の旅行券だよ~!」
「いや真大、ちょっと待て…」
痛みに蹲る翔真は、はっきり言ってそれどころではない。
学園祭での女装コンテストで優勝し、見事10万円分の旅行券を獲得した真大の喜びは分かるが、今は少し待ってくれ。
「翔真くん大丈夫? だよね」
「軽っ! しかも何も答えてないのに、大丈夫とか決め付けられたし」
ようやく痛みから解放されつつある翔真は、すかさず突っ込む。
全面的に真大が悪いとは言わないが、責任の一端ならあるような気がする。
「もぉー、じゃあどうすればいいの? 舐めたげよっか?」
「アホか! イッテー…」
本気で心配する気あるのか? と訝しんでいる翔真には絶対に言えないが、痛みに堪えて、しかもちょっと涙目になっている翔真を見て、真大は内心、
(翔真くん、かわいい…)
とか思ってしまった。
もちろん、"あの"ときを想像して、である。
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