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僕らの青春に明日はない (87)
2010.05.29 Sat
「…あと、これ」
「ん?」
「メイク落とすヤツだって。化粧って、こういうの使わないと落ちないの?」
和衣の隣に座った祐介は、愛菜から渡されたクレンジングの入った紙袋を、和衣に見せた。
ファンデーションを落とすクレンジングから、アイメイク、リップ、それぞれに専用のリムーバーがあるとかで、肌が荒れるといけないからと、化粧水やら乳液まで預かってしまった。
「女の子って、大変だよねー」
本番前の打ち合わせでメイクまでした和衣は、1度だけクレンジングも体験しているが、顔を洗うだけなのにこんなに大変なの!? と心底驚いた。
和衣だって出来ればさっさと化粧なんて落としてしまいたいけれど、こんなに面倒くさいと、疎かにしてしまいそう。
しかし愛菜から、メイクしたまま寝ないようにと、キツク言われているのだ。……もう寝てしまったけれど。
「お化粧…落とさなきゃ」
まずはマスカラを落として、それからリップ……和衣は前に教えてもらったクレンジングを思い出しながら、紙袋の中を漁る。
「ん? 祐介?」
コットンにアイメイクのリムーバーを取ろうとしていた和衣は、不意に祐介に腕を掴まれて顔を上げた。
「…お疲れさま。よくがんばったね」
「ぅ、ん」
頭を撫でられ、腕の中に抱き寄せられる。
祐介の胸に頬を押し付けるような格好になって、シャツにメイクが付いちゃう…と思ったが、でもその腕を解けない。
コンテストが終わって、旅行券を分けている辺りから、和衣はずっとホッとしていたけれど、祐介に改めれ言われて、頭を撫でられて、本当に全部終わったんだぁと実感したら、気が抜けていく。
「……俺ね、ホント、女装すんの超嫌で。祐介にはがんばる、て言ったけど、がんばれないかも…とか、思ってたし、ステージの上でも全然ダメダメで……でも、旅行券取れて、愛菜ちゃんたちに怒られなくて、よかった」
「そうだね。てか、あんだけがんばれば、怒られないでしょ。全然ダメじゃなかったよ?」
「そんなことないもん。祐介、優しいから、そんなこと言ってくれるの」
「何で。そんなことないから、2位になったんでしょ」
ちゃんと結果が残せているのに、ダメだったと繰り返す和衣に、笑いながらも祐介は、抱き寄せた背中をポンポンしてあげる。
確かにインタビューにはまともに答えられないし、パフォーマンスも何も出来ていなかったけれど、肝心の見た目は群を抜いていたし、狙ってやっていたわけではないが、観客を惹き付けていたのも事実だ。
恋人としては、妬けないこともなかったけれど。
「俺…ね、愛菜ちゃんたちに怒られたくなくて、旅行券取らなきゃ、て思ってたけどね、でも…」
「ぅん?」
「旅行券取れたら、旅行行ける、し…」
さっき体育館で言えなかったこと。
祐介と一緒に、旅行。
「和衣?」
何も言わなくても、ギュッてしてほしいなぁ、と和衣が思うと、祐介はよくそうしてくれるけれど、祐介は別に魔法使いでもエスパーでもないから、何でも分かってくれるわけではなくて。
「ん?」
「メイク落とすヤツだって。化粧って、こういうの使わないと落ちないの?」
和衣の隣に座った祐介は、愛菜から渡されたクレンジングの入った紙袋を、和衣に見せた。
ファンデーションを落とすクレンジングから、アイメイク、リップ、それぞれに専用のリムーバーがあるとかで、肌が荒れるといけないからと、化粧水やら乳液まで預かってしまった。
「女の子って、大変だよねー」
本番前の打ち合わせでメイクまでした和衣は、1度だけクレンジングも体験しているが、顔を洗うだけなのにこんなに大変なの!? と心底驚いた。
和衣だって出来ればさっさと化粧なんて落としてしまいたいけれど、こんなに面倒くさいと、疎かにしてしまいそう。
しかし愛菜から、メイクしたまま寝ないようにと、キツク言われているのだ。……もう寝てしまったけれど。
「お化粧…落とさなきゃ」
まずはマスカラを落として、それからリップ……和衣は前に教えてもらったクレンジングを思い出しながら、紙袋の中を漁る。
「ん? 祐介?」
コットンにアイメイクのリムーバーを取ろうとしていた和衣は、不意に祐介に腕を掴まれて顔を上げた。
「…お疲れさま。よくがんばったね」
「ぅ、ん」
頭を撫でられ、腕の中に抱き寄せられる。
祐介の胸に頬を押し付けるような格好になって、シャツにメイクが付いちゃう…と思ったが、でもその腕を解けない。
コンテストが終わって、旅行券を分けている辺りから、和衣はずっとホッとしていたけれど、祐介に改めれ言われて、頭を撫でられて、本当に全部終わったんだぁと実感したら、気が抜けていく。
「……俺ね、ホント、女装すんの超嫌で。祐介にはがんばる、て言ったけど、がんばれないかも…とか、思ってたし、ステージの上でも全然ダメダメで……でも、旅行券取れて、愛菜ちゃんたちに怒られなくて、よかった」
「そうだね。てか、あんだけがんばれば、怒られないでしょ。全然ダメじゃなかったよ?」
「そんなことないもん。祐介、優しいから、そんなこと言ってくれるの」
「何で。そんなことないから、2位になったんでしょ」
ちゃんと結果が残せているのに、ダメだったと繰り返す和衣に、笑いながらも祐介は、抱き寄せた背中をポンポンしてあげる。
確かにインタビューにはまともに答えられないし、パフォーマンスも何も出来ていなかったけれど、肝心の見た目は群を抜いていたし、狙ってやっていたわけではないが、観客を惹き付けていたのも事実だ。
恋人としては、妬けないこともなかったけれど。
「俺…ね、愛菜ちゃんたちに怒られたくなくて、旅行券取らなきゃ、て思ってたけどね、でも…」
「ぅん?」
「旅行券取れたら、旅行行ける、し…」
さっき体育館で言えなかったこと。
祐介と一緒に、旅行。
「和衣?」
何も言わなくても、ギュッてしてほしいなぁ、と和衣が思うと、祐介はよくそうしてくれるけれど、祐介は別に魔法使いでもエスパーでもないから、何でも分かってくれるわけではなくて。
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