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one night in heaven (7)
2011.04.25 Mon
「ね、ね、あそこ観覧車あるー。乗ろ? ね、亮、観覧車ー」
ミートパイをボロボロ零しながら食べていた睦月は、窓の向こうに観覧車を見つけ、目を輝かせながら指差す。
亮は、睦月の口元に付いているパイ生地の欠けらを取ってあげてから、指差す方向に視線を向ければ、ビルの向こうに観覧車の一部が見えた。
「いいけど……観覧車だけだよ?」
亮は念のために、そう付け加える。
高所恐怖症ではないので観覧車は平気だが、睦月が大好きな絶叫系のアトラクションは、残念ながら何をどうがんばっても、亮は無理だ。
観覧車に乗りに行ったら、それ以外にもいろいろ乗りたくなって、睦月が絶叫系に乗りたいと言い出したら困るので、亮は先手を打った。
「他のには乗らないの? 亮?」
「乗らないの」
「分かった、今日は観覧車だけにする。絶叫系はまた今度行ったときね?」
「…まぁ、……ん」
出来れば、その『また今度』が来ないことを願いつつ、亮は曖昧に頷いた。
「じゃ行こ、亮」
「はいはい」
食べ終わると早速、睦月はコートを手にして立ち上がった。
今日のホテルに、宿泊をお断りされるほどのドレスコードはないけれど、睦月はやはり気になるのか、和衣のように服選びに迷わない睦月が、珍しく考え抜いて選んだコート。
カジュアル過ぎず、堅苦し過ぎないシャツとパンツ姿の睦月は、クールな印象を受けないでもないが、襟元と袖口にふわふわのファーが付いた白いコートを羽織ると、一気にかわいい感じになる。
『亮ー、ねぇねぇ亮ー、このカッコで大丈夫ー?』
『大丈夫だよ、かわいい、かわいい』
出掛ける直前まで、クロゼットの扉の内側に貼り付けてある鏡を、いつもより入念に覗き込みながら心配げに尋ねる睦月に、亮は頬を緩めながら、つい本音を漏らしてしまった。
『…かわい?』
『かわいくて、格好いい』
"かわいい"という言葉に、振り返った睦月の眉が少し寄っていたので、亮は笑いながら付け加えた。
睦月に"かわいい"は禁句だけれど、でもかわいいんだから、仕方がない。
「あ、睦月、それ」
先に準備を整えた睦月が、会計伝票を持って、さっさとレジへ向かってしまう。
亮としては、ランチくらい奢るか、少なくとも半分は出すつもりだったのに、睦月は亮の呼びかけに気付かないのか、もしかして分かっていて無視したのか、亮が追い付いたときには会計を済ませていた。
「睦月、会計早いよ。いくらだった?」
「教えない」
「何で」
「亮が旅行連れて来てくれてるから、先取りでお礼なの」
財布を出そうとする亮を制して、睦月はそう言った。
しかし、亮が睦月を旅行に連れて行っていることになってはいるが、交通費や旅行券をオーバーした分の旅行代は折半しているので、お礼をされる覚えはないのだが。
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ミートパイをボロボロ零しながら食べていた睦月は、窓の向こうに観覧車を見つけ、目を輝かせながら指差す。
亮は、睦月の口元に付いているパイ生地の欠けらを取ってあげてから、指差す方向に視線を向ければ、ビルの向こうに観覧車の一部が見えた。
「いいけど……観覧車だけだよ?」
亮は念のために、そう付け加える。
高所恐怖症ではないので観覧車は平気だが、睦月が大好きな絶叫系のアトラクションは、残念ながら何をどうがんばっても、亮は無理だ。
観覧車に乗りに行ったら、それ以外にもいろいろ乗りたくなって、睦月が絶叫系に乗りたいと言い出したら困るので、亮は先手を打った。
「他のには乗らないの? 亮?」
「乗らないの」
「分かった、今日は観覧車だけにする。絶叫系はまた今度行ったときね?」
「…まぁ、……ん」
出来れば、その『また今度』が来ないことを願いつつ、亮は曖昧に頷いた。
「じゃ行こ、亮」
「はいはい」
食べ終わると早速、睦月はコートを手にして立ち上がった。
今日のホテルに、宿泊をお断りされるほどのドレスコードはないけれど、睦月はやはり気になるのか、和衣のように服選びに迷わない睦月が、珍しく考え抜いて選んだコート。
カジュアル過ぎず、堅苦し過ぎないシャツとパンツ姿の睦月は、クールな印象を受けないでもないが、襟元と袖口にふわふわのファーが付いた白いコートを羽織ると、一気にかわいい感じになる。
『亮ー、ねぇねぇ亮ー、このカッコで大丈夫ー?』
『大丈夫だよ、かわいい、かわいい』
出掛ける直前まで、クロゼットの扉の内側に貼り付けてある鏡を、いつもより入念に覗き込みながら心配げに尋ねる睦月に、亮は頬を緩めながら、つい本音を漏らしてしまった。
『…かわい?』
『かわいくて、格好いい』
"かわいい"という言葉に、振り返った睦月の眉が少し寄っていたので、亮は笑いながら付け加えた。
睦月に"かわいい"は禁句だけれど、でもかわいいんだから、仕方がない。
「あ、睦月、それ」
先に準備を整えた睦月が、会計伝票を持って、さっさとレジへ向かってしまう。
亮としては、ランチくらい奢るか、少なくとも半分は出すつもりだったのに、睦月は亮の呼びかけに気付かないのか、もしかして分かっていて無視したのか、亮が追い付いたときには会計を済ませていた。
「睦月、会計早いよ。いくらだった?」
「教えない」
「何で」
「亮が旅行連れて来てくれてるから、先取りでお礼なの」
財布を出そうとする亮を制して、睦月はそう言った。
しかし、亮が睦月を旅行に連れて行っていることになってはいるが、交通費や旅行券をオーバーした分の旅行代は折半しているので、お礼をされる覚えはないのだが。
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