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おでこ体温計 (前編)
2010.11.04 Thu
「ふ…ふ……ふぇっくしょんっ! …………う゛ー…」
ジュビジュビ。
鼻を啜り上げた睦月が、ティシューへと手を伸ばす。
「…睦月」
睦月の何度目かのくしゃみに、亮は読んでいたマンガ本を閉じて、顔を上げた。
「ハ……ハ…」
「睦月っ」
「…ック…………止まった…」
亮に名前を呼ばれ、そちらに気を取られたら、出掛かっていたくしゃみが止まってしまった。
こういうのって、ちゃんと出ないと、何だか気持ち悪い。
言い掛かりもいいところだが、睦月は、何すんだよ…という顔で、亮を睨んだ。
「むっちゃん、風邪引いたの?」
「引いてない」
「おもっきし鼻声だし」
第一、ゴミ箱から溢れ返らんばかりの、そのティシューの山は一体何だ。
亮が問い詰めるように視線を向ければ、睦月は「知らない」と言いながら、またティシューを引き抜く。
「睦月、風邪引いたんでしょ?」
「引いてない」
「何でそんな嘘つくの」
「だって引いてないもん」
どうやら睦月は、飽くまでもしらばくれるつもりらしい。
花粉の季節でもないのに、これだけ盛大にくしゃみを連発しておいて、風邪を引いていないなんて、絶対に言わせない。
「くしゃみと鼻水以外は?」
「あ゛にが?」
「症状」
「何かボーとなる」
「…………」
もしかして、熱もある?
そこまでの症状が出ているのに、どうして風邪を引いていないとごまかそうとするのか。
体温計なんてあったかなぁ…と思いつつ、亮はひとまず手のひらを睦月の額に当ててみる。
「…熱ある? 俺、熱あるの?」
「んー…分かんねぇな…」
片方の手を睦月の額に、もう一方を自分の額に当ててみるが、これだと何となく分かるような、分からないような…。
亮は首を捻りつつ、今度は額同士をくっ付けてみる。
「おでこ…」
亮に前髪を掻き上げられ、おでこをピトッと合わせられて、何だか顔がとっても近い。
あ…くしゃみ出そう。
(…………、セーフ…)
さすがに亮でも、こんな顔の真ん前でくしゃみをされたら怒るだろう。
何とかくしゃみを堪えた自分を、睦月は心の中で勝手に褒めた。
「亮、熱? ある?」
「んー…」
やっぱりよく分からないのか、亮は額をくっ付けたまま、ウンウン言っている。
何となく目を閉じそびれた睦月は、目を瞑って真剣に熱を測ろうとしている亮の顔を見つめる。
(……亮の顔、近い…)
――――そういえば、この距離って。
「…」
「、ッ、うわっ! 睦月!?」
その瞬間、バチッと目を開けた亮の体が、ピョーンと大きく後ろに飛び退いた。
感触を確かめるように、自分の唇に触れる。
「…むっちゃん、今キスした?」
「した」
だって。
この距離――――いつもキスしてる距離だったから。
next
ジュビジュビ。
鼻を啜り上げた睦月が、ティシューへと手を伸ばす。
「…睦月」
睦月の何度目かのくしゃみに、亮は読んでいたマンガ本を閉じて、顔を上げた。
「ハ……ハ…」
「睦月っ」
「…ック…………止まった…」
亮に名前を呼ばれ、そちらに気を取られたら、出掛かっていたくしゃみが止まってしまった。
こういうのって、ちゃんと出ないと、何だか気持ち悪い。
言い掛かりもいいところだが、睦月は、何すんだよ…という顔で、亮を睨んだ。
「むっちゃん、風邪引いたの?」
「引いてない」
「おもっきし鼻声だし」
第一、ゴミ箱から溢れ返らんばかりの、そのティシューの山は一体何だ。
亮が問い詰めるように視線を向ければ、睦月は「知らない」と言いながら、またティシューを引き抜く。
「睦月、風邪引いたんでしょ?」
「引いてない」
「何でそんな嘘つくの」
「だって引いてないもん」
どうやら睦月は、飽くまでもしらばくれるつもりらしい。
花粉の季節でもないのに、これだけ盛大にくしゃみを連発しておいて、風邪を引いていないなんて、絶対に言わせない。
「くしゃみと鼻水以外は?」
「あ゛にが?」
「症状」
「何かボーとなる」
「…………」
もしかして、熱もある?
そこまでの症状が出ているのに、どうして風邪を引いていないとごまかそうとするのか。
体温計なんてあったかなぁ…と思いつつ、亮はひとまず手のひらを睦月の額に当ててみる。
「…熱ある? 俺、熱あるの?」
「んー…分かんねぇな…」
片方の手を睦月の額に、もう一方を自分の額に当ててみるが、これだと何となく分かるような、分からないような…。
亮は首を捻りつつ、今度は額同士をくっ付けてみる。
「おでこ…」
亮に前髪を掻き上げられ、おでこをピトッと合わせられて、何だか顔がとっても近い。
あ…くしゃみ出そう。
(…………、セーフ…)
さすがに亮でも、こんな顔の真ん前でくしゃみをされたら怒るだろう。
何とかくしゃみを堪えた自分を、睦月は心の中で勝手に褒めた。
「亮、熱? ある?」
「んー…」
やっぱりよく分からないのか、亮は額をくっ付けたまま、ウンウン言っている。
何となく目を閉じそびれた睦月は、目を瞑って真剣に熱を測ろうとしている亮の顔を見つめる。
(……亮の顔、近い…)
――――そういえば、この距離って。
「…」
「、ッ、うわっ! 睦月!?」
その瞬間、バチッと目を開けた亮の体が、ピョーンと大きく後ろに飛び退いた。
感触を確かめるように、自分の唇に触れる。
「…むっちゃん、今キスした?」
「した」
だって。
この距離――――いつもキスしてる距離だったから。
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柚子季 杏 ⇒ No title
むっちゃぁぁああんwwwwww
いやもう、ほんと、いつもいつでもむっちゃんはむっちゃんだ!
そんなむっちゃんが好きさ~!!ww
風邪は大丈夫かな?
亮たん、看病したげてね~!
いやもう、ほんと、いつもいつでもむっちゃんはむっちゃんだ!
そんなむっちゃんが好きさ~!!ww
風邪は大丈夫かな?
亮たん、看病したげてね~!
如月久美子 ⇒ >柚子季さん
確実に風邪を引いているのに、なぜかごまかそうとするむっちゃん。
病は気から、の信念に基づいて生きてます。
そして天然でこのかわいさ。
誰も太刀打ちできませんて!
むっちゃん、早く風邪引きを認めて、亮タンに看病されてください(笑)
コメントありがとうございました!
病は気から、の信念に基づいて生きてます。
そして天然でこのかわいさ。
誰も太刀打ちできませんて!
むっちゃん、早く風邪引きを認めて、亮タンに看病されてください(笑)
コメントありがとうございました!