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世界はやさしい (8)
2010.11.25 Thu
「俺さぁ…亮が女の子に腕組まれて、むっちゃんはそういうの、あんま気にしない人だけど…、もしあれが祐介で、そしたら俺、めっちゃヤダけど、でも俺もむっちゃんと手…」
何とか上下ジャージに着替えたところで、和衣は再びベッドの上に頭だけ乗せた。
睦月の服を着せている亮が、和衣の話をちゃんと聞いてくれているのか分からないが、その様子をぼんやりと眺めながら、和衣は言葉を続ける。
「むっちゃんがね、酔っ払っちゃって危なかったから、手繋いで……俺、祐介ともそんな繋いだこと、人前で…」
何とか睦月を着替えさせ終えて、亮は甲斐甲斐しくふとんまで掛けてやる。
…と、ちょうど和衣がベッドに頭を乗せていたものだから、思い切り和衣の頭に被さってしまった。
「ぅんー…!」
「何してんだ、酔っ払い」
「亮のバカー」
和衣はぐすりながらも、ふとんの中から頭を出した。
「ねぇ亮、女の子…」
「あれは友だち」
「別に…」
そういうことを聞きたいんじゃなくて、あれを浮気だと言いたいわけでもないし、そうだとしてもそれは亮と睦月の問題で、和衣の出る幕ではない。
でも、他意がないにしても、恋人が自分以外の人と手を繋いだり腕を組んだりなんて、和衣は考えただけでも嫌だ。
「でも俺も、むっちゃんと手…繋いじゃった…」
「睦月が酔っ払ってたからだろ? 分かってるから」
「でも、でもでも!」
「何だよ」
何だと問われて、しかし和衣は何と言葉を返していいか分からない。
亮は和衣の恋人ではないけれど、女の子に腕を組まれている亮を見て、何だか嫌な気持ちになって、でも自分は睦月と手を繋いでいて。
先ほどから延々と繰り返している、和衣の思考ループ。
「つーか、お前、それ…」
グズるように和衣は、手の中のものをクシャクシャに丸めているが、よく見ればそれは、亮が和衣に渡したTシャツだ。
和衣はすでにジャージを上下着込んでいるのに、Tシャツを手に持っているということは、直にジャージを着たということか。だって、和衣がもともと着ていた服は、全部投げ出してある。
ちゃんと着ろと言ったところで、この酔っ払いをどうにか出来そうもないので、亮は溜め息混じりにTシャツを取り返して、クロゼットに放った。
「カズ、ホラ水。飲みな?」
「ん…これ、むっちゃんに…」
「睦月はもう寝たから」
先ほど睦月に飲ませた残りのペットボトルを渡される。
睦月には水を飲んだほうがいいと言った和衣だが、自分では一口も飲んでいなかったのだ。
「亮ー…」
「もう寝ようぜ? 明日また聞いてやるから」
「んー…」
普段は酔っ払っても絡まない和衣が、今日に限ってこんなにしつこいのは、単に絡みたいのではなくて、やはり今日のことをいろいろ気にしているのだろ。
けれど酔っ払い相手に何か言っても無駄だし、亮ももう眠いし、話なら明日聞いてやるからと和衣を説得する。
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何とか上下ジャージに着替えたところで、和衣は再びベッドの上に頭だけ乗せた。
睦月の服を着せている亮が、和衣の話をちゃんと聞いてくれているのか分からないが、その様子をぼんやりと眺めながら、和衣は言葉を続ける。
「むっちゃんがね、酔っ払っちゃって危なかったから、手繋いで……俺、祐介ともそんな繋いだこと、人前で…」
何とか睦月を着替えさせ終えて、亮は甲斐甲斐しくふとんまで掛けてやる。
…と、ちょうど和衣がベッドに頭を乗せていたものだから、思い切り和衣の頭に被さってしまった。
「ぅんー…!」
「何してんだ、酔っ払い」
「亮のバカー」
和衣はぐすりながらも、ふとんの中から頭を出した。
「ねぇ亮、女の子…」
「あれは友だち」
「別に…」
そういうことを聞きたいんじゃなくて、あれを浮気だと言いたいわけでもないし、そうだとしてもそれは亮と睦月の問題で、和衣の出る幕ではない。
でも、他意がないにしても、恋人が自分以外の人と手を繋いだり腕を組んだりなんて、和衣は考えただけでも嫌だ。
「でも俺も、むっちゃんと手…繋いじゃった…」
「睦月が酔っ払ってたからだろ? 分かってるから」
「でも、でもでも!」
「何だよ」
何だと問われて、しかし和衣は何と言葉を返していいか分からない。
亮は和衣の恋人ではないけれど、女の子に腕を組まれている亮を見て、何だか嫌な気持ちになって、でも自分は睦月と手を繋いでいて。
先ほどから延々と繰り返している、和衣の思考ループ。
「つーか、お前、それ…」
グズるように和衣は、手の中のものをクシャクシャに丸めているが、よく見ればそれは、亮が和衣に渡したTシャツだ。
和衣はすでにジャージを上下着込んでいるのに、Tシャツを手に持っているということは、直にジャージを着たということか。だって、和衣がもともと着ていた服は、全部投げ出してある。
ちゃんと着ろと言ったところで、この酔っ払いをどうにか出来そうもないので、亮は溜め息混じりにTシャツを取り返して、クロゼットに放った。
「カズ、ホラ水。飲みな?」
「ん…これ、むっちゃんに…」
「睦月はもう寝たから」
先ほど睦月に飲ませた残りのペットボトルを渡される。
睦月には水を飲んだほうがいいと言った和衣だが、自分では一口も飲んでいなかったのだ。
「亮ー…」
「もう寝ようぜ? 明日また聞いてやるから」
「んー…」
普段は酔っ払っても絡まない和衣が、今日に限ってこんなにしつこいのは、単に絡みたいのではなくて、やはり今日のことをいろいろ気にしているのだろ。
けれど酔っ払い相手に何か言っても無駄だし、亮ももう眠いし、話なら明日聞いてやるからと和衣を説得する。
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