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落下星 (11)
2009.09.15 Tue
睦月の思っていることは何でも知りたいと思ったし、だいたいは分かっているつもりでいたけれど、さすがにこんなことを考えているとは、ゆめゆめ思わなかった。
睦月に、気持ちを分かってないと言われても、まったく仕方なかった。
亮は、何度も瞬きをしながら、睦月を見つめた。
「ねぇ睦月」
「何?」
腕の中の睦月を、抱き直す。
扇風機が静かに回るだけの部屋の中は少し蒸し暑くて、抱き合うには向いていないけれど、睦月は嫌がることなく抱かれている。
「じゃあさ、睦月は俺が何考えてたか、分かる?」
「ぅ?」
「俺は確かに睦月の気持ち全然分かってなかったけどさ、…睦月は、俺がどんなこと考えてたか、分かる?」
「……」
その顔を覗き込めば、睦月は考え込むように視線を逸らした。
やはり亮も男同士のセックスは気持ち悪いと思っていて、だから睦月とそういうことをしないのだと思っているのだろうか。愛し合っている者同士なのに。
「睦月?」
「…分かんない」
睦月は困ったように、亮を見た。
「俺はね、睦月のことを、傷付けたくないんだよ」
分かんない、亮の考えてることなんか分かんない、と困惑気味の顔をしていた睦月は、亮のその言葉を聞いてもまだ、首を傾げている。
「睦月はさ、何で祐介が怒ったり不機嫌になったりしたかは、分かってる?」
「んー…うん。まぁ…」
睦月は少し考えてから曖昧に頷いたけれど、やはりいまいち分かってないらしい。
祐介は、睦月のだらしないところとか、いい加減なことをしてしまう部分を咎めることはあっても、むやみに相手の考えを否定したり、不機嫌になって話を聞くこと自体を拒んだりすることはまずない。
だから、祐介が自分のことを心配して、気に掛けてくれているのは分かっても、なぜその話題になると機嫌が悪くなるのか、睦月には理解できなかった。
自分は変かもしれないと言う友人に、そうだと肯定する輩はいないだろうが、何も怒らなくても、という思いだった。
「睦月が、傷付くと思ったからだよ」
「ぅー…うん」
たとえあのときのクラスメイトたちが、睦月のことを知っていて、わざとそんな話題を上らせたり、ひどい言葉を口にしたりしたのではないにしても、不可抗力で男と経験してしまった睦月が傷付かないわけがない。
いや、不可抗力だからこそ、望んでやったセックスではないからこそ、睦月の傷は深まると思ったから。
けれど睦月は、傷付きはしなかったけれど、自分の思っていたことは間違いであり、人とは違う考えを持っている自分はおかしいのだと思い込んでしまった。
祐介がどんなに否定しても、睦月にそれは伝わらない。
だったらいっそ、そんな話題に近づけないほうがいい――――まさかその後、睦月に男の恋人が出来るだなんて予想もしていなかった祐介は、2人の間でその話題が上らないようにしていた。
その方法が正しかったのかなんて、誰にも分からないことだけれど、祐介が睦月のことを大切に思い、守ろうとしたことは確かで。
それと同じように、亮も睦月を傷付けるあらゆるものから、睦月のことを守ってやりたいと思うのだ。
睦月に、気持ちを分かってないと言われても、まったく仕方なかった。
亮は、何度も瞬きをしながら、睦月を見つめた。
「ねぇ睦月」
「何?」
腕の中の睦月を、抱き直す。
扇風機が静かに回るだけの部屋の中は少し蒸し暑くて、抱き合うには向いていないけれど、睦月は嫌がることなく抱かれている。
「じゃあさ、睦月は俺が何考えてたか、分かる?」
「ぅ?」
「俺は確かに睦月の気持ち全然分かってなかったけどさ、…睦月は、俺がどんなこと考えてたか、分かる?」
「……」
その顔を覗き込めば、睦月は考え込むように視線を逸らした。
やはり亮も男同士のセックスは気持ち悪いと思っていて、だから睦月とそういうことをしないのだと思っているのだろうか。愛し合っている者同士なのに。
「睦月?」
「…分かんない」
睦月は困ったように、亮を見た。
「俺はね、睦月のことを、傷付けたくないんだよ」
分かんない、亮の考えてることなんか分かんない、と困惑気味の顔をしていた睦月は、亮のその言葉を聞いてもまだ、首を傾げている。
「睦月はさ、何で祐介が怒ったり不機嫌になったりしたかは、分かってる?」
「んー…うん。まぁ…」
睦月は少し考えてから曖昧に頷いたけれど、やはりいまいち分かってないらしい。
祐介は、睦月のだらしないところとか、いい加減なことをしてしまう部分を咎めることはあっても、むやみに相手の考えを否定したり、不機嫌になって話を聞くこと自体を拒んだりすることはまずない。
だから、祐介が自分のことを心配して、気に掛けてくれているのは分かっても、なぜその話題になると機嫌が悪くなるのか、睦月には理解できなかった。
自分は変かもしれないと言う友人に、そうだと肯定する輩はいないだろうが、何も怒らなくても、という思いだった。
「睦月が、傷付くと思ったからだよ」
「ぅー…うん」
たとえあのときのクラスメイトたちが、睦月のことを知っていて、わざとそんな話題を上らせたり、ひどい言葉を口にしたりしたのではないにしても、不可抗力で男と経験してしまった睦月が傷付かないわけがない。
いや、不可抗力だからこそ、望んでやったセックスではないからこそ、睦月の傷は深まると思ったから。
けれど睦月は、傷付きはしなかったけれど、自分の思っていたことは間違いであり、人とは違う考えを持っている自分はおかしいのだと思い込んでしまった。
祐介がどんなに否定しても、睦月にそれは伝わらない。
だったらいっそ、そんな話題に近づけないほうがいい――――まさかその後、睦月に男の恋人が出来るだなんて予想もしていなかった祐介は、2人の間でその話題が上らないようにしていた。
その方法が正しかったのかなんて、誰にも分からないことだけれど、祐介が睦月のことを大切に思い、守ろうとしたことは確かで。
それと同じように、亮も睦月を傷付けるあらゆるものから、睦月のことを守ってやりたいと思うのだ。
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柚子季杏 ⇒ ゆっちも亮たんも
ついでにカズちゃんもww
本当、むっちゃんが好きですよね(*´∀`*)
友達として、幼馴染として、そして恋人として。
大切な存在だからこそ守ってあげたいし、傷付くような事態に陥って欲しくない。
友情と愛情、まさに友愛に包まれてるむっちゃん。
むっちゃんも周りの気持ちにはイマイチ気付いて無かったようですが、亮たんと話した事で少しは理解出来たかな?
皆に愛されてる、それってとても幸せな事ですよね。
へたれ気味だった亮たん、やっぱ本質はカコイイ男だーウン゚.+:。(*-ω-)(-ω-*)゚.+:。ウン
本当、むっちゃんが好きですよね(*´∀`*)
友達として、幼馴染として、そして恋人として。
大切な存在だからこそ守ってあげたいし、傷付くような事態に陥って欲しくない。
友情と愛情、まさに友愛に包まれてるむっちゃん。
むっちゃんも周りの気持ちにはイマイチ気付いて無かったようですが、亮たんと話した事で少しは理解出来たかな?
皆に愛されてる、それってとても幸せな事ですよね。
へたれ気味だった亮たん、やっぱ本質はカコイイ男だーウン゚.+:。(*-ω-)(-ω-*)゚.+:。ウン
如月久美子 ⇒ >柚子季さん
> 本当、むっちゃんが好きですよね(*´∀`*)
> 友達として、幼馴染として、そして恋人として。
> 大切な存在だからこそ守ってあげたいし、傷付くような事態に陥って欲しくない。
> 友情と愛情、まさに友愛に包まれてるむっちゃん。
> むっちゃんも周りの気持ちにはイマイチ気付いて無かったようですが、亮たんと話した事で少しは理解出来たかな?
むっちゃん自身はそんなに気が付いてないですけど、めっちゃ愛されてる子ですよね。
今回のことを通して、少しは気付いてくれればいいんですが(苦笑)
でも、こうやって媚びない感じが、みんなに愛されてる理由なのかも。
今のむっちゃんの自由な雰囲気が、魅力でもありますからね。
> へたれ気味だった亮たん、やっぱ本質はカコイイ男だーウン゚.+:。(*-ω-)(-ω-*)゚.+:。ウン
ようやぁ~く亮タンのかっこいい部分を見せられるようになりました。
単なるご飯係じゃないってところを、これからアピールさせないとですね(笑)
コメントありがとうございました!
> 友達として、幼馴染として、そして恋人として。
> 大切な存在だからこそ守ってあげたいし、傷付くような事態に陥って欲しくない。
> 友情と愛情、まさに友愛に包まれてるむっちゃん。
> むっちゃんも周りの気持ちにはイマイチ気付いて無かったようですが、亮たんと話した事で少しは理解出来たかな?
むっちゃん自身はそんなに気が付いてないですけど、めっちゃ愛されてる子ですよね。
今回のことを通して、少しは気付いてくれればいいんですが(苦笑)
でも、こうやって媚びない感じが、みんなに愛されてる理由なのかも。
今のむっちゃんの自由な雰囲気が、魅力でもありますからね。
> へたれ気味だった亮たん、やっぱ本質はカコイイ男だーウン゚.+:。(*-ω-)(-ω-*)゚.+:。ウン
ようやぁ~く亮タンのかっこいい部分を見せられるようになりました。
単なるご飯係じゃないってところを、これからアピールさせないとですね(笑)
コメントありがとうございました!