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touch me! (前編)
2010.11.09 Tue
まったくもって、上原睦月という人間は、不思議な子である。
それは恋人である亮も、長年一緒にいる幼馴染み(兼 保護者)も常々思っていることだが、本人にそんな気はまったくないのか、今日も今日で妙なことを口走っていた。
「ねぇねぇカズちゃん、お腹触ってー?」
「は?」
次の授業までの間、カフェテリアで時間を潰していたところ、突如発せられた睦月の謎の言葉に、声を掛けられた和衣だけでなく、一緒にいた亮も祐介も翔真も『はぁ?』という顔をした。
しかし睦月は、自分が変なことを言ったとは、もちろん思っておらず、「ねぇねぇ触って?」と、和衣の手首を掴む。
妙なことは言われたが、和衣は言われたとおり、自分のお腹に手を当てようとしたら、なぜか掴まれた手を睦月のお腹のほうへ導かれる。
どうやら自分の腹でなく、睦月の腹に触れということらしい――――しかも、服の上からでなく、直に。
「むっちゃん! 何してんの!?」
「お腹」
慌てる和衣をよそに、睦月はのん気にお腹を丸出しにして、和衣に触らせている。
周りには恋人の亮だけでなく祐介や翔真もいるし、隣のテーブルには他の学部の学生たちもいるのに。
「お腹しまって! しまって、むっちゃん!」
「俺のお腹冷たくない?」
「はぁ!?」
一体何を言い出すんだろう、この子は。
和衣はポカンとなったまま固まってしまった。もちろん亮も、祐介も、翔真も。
恋人であるはずの亮も、『何、他の男に触らせてんだ!』と怒りたいところだが、それ以前に、睦月の行動に唖然としてしまって、言葉が出て来ない。
「冷たいでしょ? 俺のお腹」
「…………」
和衣は何度か瞬きをした後、ゆっくりと顔を上げて、同じテーブルを囲む恋人及び友人たちの顔を見回したが、誰も何か言えるような状態ではなくて、仕方なく和衣は睦月に視線を戻した。
「何かね、お腹冷たいなぁ、て思って」
「そ…それって、お腹冷えたんじゃなくて?」
「そうなの?」
「むっちゃん、お腹痛くない?」
「痛くない」
和衣は、捲れ上がったシャツを元に戻してあげるが、睦月はまだシャツの中に手を突っ込んで、お腹を触りながら小首を傾げている。
「むっちゃん、いつまでお腹触ってんの!」
「だって冷たいんだもん」
「えー…いつもそんななんじゃないの?」
「違う! 今日は冷たいの!」
和衣の否定的な言葉に、睦月はムキになって反論する。
まさか毎日お腹の温度を確認しているわけでもあるまいに。
「とにかく! もう触るのやめなよ」
「むー…」
誰も分かってくれないのがおもしろくないのか、睦月はむくれた顔でペットボトルに手を伸ばした。
睦月にしか分からない温度差だが、お腹が冷たくなっていると言うのだから、温かいものを飲めばいいのに、睦月の手にしているのは冷え冷えのコーラ。
この矛盾に、果たして気付かないのだろうか。
「むっちゃん、余計お腹冷たくなんない?」
「だってコーラ飲みたいんだもん」
「お腹痛くなっても、知らないよ?」
「あむ…」
和衣にそう言われて、睦月は口を付け掛けたペットボトルをテーブルに戻した。
「ホットコーラてあるよね。あっためて飲めば?」
「何それ、まずそう…」
今はコーラを飲みたい気分だけど、お腹が冷たくても、何だかそんなの飲みたくはない。
もしかしたらおいしいのかもしれないけれど、睦月の性にはちょっと合わない感じ…。
「むっちゃん、お腹出して寝てんじゃないの~?」
「えー? そうかな…」
ようやく睦月の言動と行動の意味を理解した翔真が、爆笑しながらそう言えば、睦月は眉を寄せた。
腹を出して寝ている自覚はないが、睦月は翔真の言葉ならわりと何でも(明らかな冗談でも)、真に受けてしまうタチなのだ。
「亮に腹巻買ってもらったら?」
「腹巻て、あれだよね。バカボンのパパがしてるヤツでしょ?」
「そうそう。でもあんなふうに、服の上から着けなくていいんだからね」
腹巻でなぜかバカボンのパパを思い出してしまった睦月は、思いの外それがツボに嵌まったらしく、取り出したノートの端っこのほうに、下手くそなバカボンのパパを書き始める。
「むっちゃん。何かそれ、ちょっと違うよ。バカボンと、バカボンのパパが混じってるよ」
一生懸命書いている睦月には悪いが、何だかそれって微妙に違う…と、和衣が隣に書いてあげるが、それもやっぱりちょっとどうかと思う仕上がり。
じゃあ亮書いてみて、と亮にノートを差し出せば、それよりうまく俺のほうが書けると翔真がノートを取る。
最後には、誰が一番うまくバカボンのパパを書けるか選手権みたくなって、睦月のノートの余白がバカボンのパパだらけになったところで、チャイムが鳴った。
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それは恋人である亮も、長年一緒にいる幼馴染み(兼 保護者)も常々思っていることだが、本人にそんな気はまったくないのか、今日も今日で妙なことを口走っていた。
「ねぇねぇカズちゃん、お腹触ってー?」
「は?」
次の授業までの間、カフェテリアで時間を潰していたところ、突如発せられた睦月の謎の言葉に、声を掛けられた和衣だけでなく、一緒にいた亮も祐介も翔真も『はぁ?』という顔をした。
しかし睦月は、自分が変なことを言ったとは、もちろん思っておらず、「ねぇねぇ触って?」と、和衣の手首を掴む。
妙なことは言われたが、和衣は言われたとおり、自分のお腹に手を当てようとしたら、なぜか掴まれた手を睦月のお腹のほうへ導かれる。
どうやら自分の腹でなく、睦月の腹に触れということらしい――――しかも、服の上からでなく、直に。
「むっちゃん! 何してんの!?」
「お腹」
慌てる和衣をよそに、睦月はのん気にお腹を丸出しにして、和衣に触らせている。
周りには恋人の亮だけでなく祐介や翔真もいるし、隣のテーブルには他の学部の学生たちもいるのに。
「お腹しまって! しまって、むっちゃん!」
「俺のお腹冷たくない?」
「はぁ!?」
一体何を言い出すんだろう、この子は。
和衣はポカンとなったまま固まってしまった。もちろん亮も、祐介も、翔真も。
恋人であるはずの亮も、『何、他の男に触らせてんだ!』と怒りたいところだが、それ以前に、睦月の行動に唖然としてしまって、言葉が出て来ない。
「冷たいでしょ? 俺のお腹」
「…………」
和衣は何度か瞬きをした後、ゆっくりと顔を上げて、同じテーブルを囲む恋人及び友人たちの顔を見回したが、誰も何か言えるような状態ではなくて、仕方なく和衣は睦月に視線を戻した。
「何かね、お腹冷たいなぁ、て思って」
「そ…それって、お腹冷えたんじゃなくて?」
「そうなの?」
「むっちゃん、お腹痛くない?」
「痛くない」
和衣は、捲れ上がったシャツを元に戻してあげるが、睦月はまだシャツの中に手を突っ込んで、お腹を触りながら小首を傾げている。
「むっちゃん、いつまでお腹触ってんの!」
「だって冷たいんだもん」
「えー…いつもそんななんじゃないの?」
「違う! 今日は冷たいの!」
和衣の否定的な言葉に、睦月はムキになって反論する。
まさか毎日お腹の温度を確認しているわけでもあるまいに。
「とにかく! もう触るのやめなよ」
「むー…」
誰も分かってくれないのがおもしろくないのか、睦月はむくれた顔でペットボトルに手を伸ばした。
睦月にしか分からない温度差だが、お腹が冷たくなっていると言うのだから、温かいものを飲めばいいのに、睦月の手にしているのは冷え冷えのコーラ。
この矛盾に、果たして気付かないのだろうか。
「むっちゃん、余計お腹冷たくなんない?」
「だってコーラ飲みたいんだもん」
「お腹痛くなっても、知らないよ?」
「あむ…」
和衣にそう言われて、睦月は口を付け掛けたペットボトルをテーブルに戻した。
「ホットコーラてあるよね。あっためて飲めば?」
「何それ、まずそう…」
今はコーラを飲みたい気分だけど、お腹が冷たくても、何だかそんなの飲みたくはない。
もしかしたらおいしいのかもしれないけれど、睦月の性にはちょっと合わない感じ…。
「むっちゃん、お腹出して寝てんじゃないの~?」
「えー? そうかな…」
ようやく睦月の言動と行動の意味を理解した翔真が、爆笑しながらそう言えば、睦月は眉を寄せた。
腹を出して寝ている自覚はないが、睦月は翔真の言葉ならわりと何でも(明らかな冗談でも)、真に受けてしまうタチなのだ。
「亮に腹巻買ってもらったら?」
「腹巻て、あれだよね。バカボンのパパがしてるヤツでしょ?」
「そうそう。でもあんなふうに、服の上から着けなくていいんだからね」
腹巻でなぜかバカボンのパパを思い出してしまった睦月は、思いの外それがツボに嵌まったらしく、取り出したノートの端っこのほうに、下手くそなバカボンのパパを書き始める。
「むっちゃん。何かそれ、ちょっと違うよ。バカボンと、バカボンのパパが混じってるよ」
一生懸命書いている睦月には悪いが、何だかそれって微妙に違う…と、和衣が隣に書いてあげるが、それもやっぱりちょっとどうかと思う仕上がり。
じゃあ亮書いてみて、と亮にノートを差し出せば、それよりうまく俺のほうが書けると翔真がノートを取る。
最後には、誰が一番うまくバカボンのパパを書けるか選手権みたくなって、睦月のノートの余白がバカボンのパパだらけになったところで、チャイムが鳴った。
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カテゴリー:Baby Baby Baby Love
テーマ:自作BL小説 ジャンル:小説・文学
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柚子季 杏 ⇒ No title
如月久美子 ⇒ >柚子季さん
20歳くらいの男の子なら、こんなくだらないことで盛り上がっちゃうんだろうなぁ、と(笑)
で、多分みんな下手くそ(爆)
むっちゃんのノートは落書きだらけだと思います。
あんまり固有名詞を出すのはなぁ~と思ってるんですが、このくだりはどうしても書きたくて、パパさんを出しちゃいました(>_<)
楽しんでもらえて嬉しいです!
コメントありがとうございました!
で、多分みんな下手くそ(爆)
むっちゃんのノートは落書きだらけだと思います。
あんまり固有名詞を出すのはなぁ~と思ってるんですが、このくだりはどうしても書きたくて、パパさんを出しちゃいました(>_<)
楽しんでもらえて嬉しいです!
コメントありがとうございました!