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ホラー映画にはご用心 (9)
2011.03.02 Wed
一方祐介はといえば、泣きじゃくっている和衣を抱き締めてやりたいと思いつつ、へたったまま少しも動けない。
だって、怖いのは苦手なのだ。
怖いものは怖いし、見たくないものは見たくない。絶対に見ない。生まれてからの20余年、そういうものには極力近寄らない人生を送って来たのに。
なのに、どうしてこんなことに……とは、まだ放心状態の祐介は考えられずにいた。
「翔真くん、大丈夫?」
睦月と和衣に気を取られていて、結局ラストを見逃してしまった真大は、何となくまだ顔色の悪い翔真に声を掛けた。
怖がった翔真に抱き付かれる作戦は成功しなかったが、いつもとは違って余裕のない翔真を見ることが出来たから、まぁよしとするか。
「つかカズちゃん、俺もう部屋戻るからね。バイバイ」
「えっ!? ちょ、むっちゃん、待っ…」
「待たない。怖いんだったら、ゆっちんトコ行って寝て」
和衣は力なく睦月のほうへ腕を伸ばしたが、睦月は空になったポテトチップスの袋を、雑にゴミ箱に押し込めると、コーラとカピバラさんを持って、さっさと翔真の部屋を出ていった。
「ゆ…ゆぅ…一緒に部屋行こ? ねっ? ねっ!?」
「う、うん、分かっ…」
和衣は逃がすまいと祐介の腕にしがみ付く。
祐介だって、あんな怖いものを見た後、出来れば1人で部屋に戻りたくないし、ここは翔真の部屋で、彼の恋人である真大もいるから、早く出ていきたいけれど。
(こ…腰が…)
立とうと思っても、足に力が入らない。
冗談でなく、腰が抜けたかもしれない。
……今回のホラー映画騒ぎの、一番の被害者は、彼だったのかもしれない。
*****
ちなみに、睦月が部屋に戻ると、亮はのん気にバラエティ番組を見ていた。
「お帰りむっちゃん。映画、どうだった?」
「…………。内容、知りたいの?」
「いや、それは…」
単に、『おもしろかったよー』とか『超怖かったよー』とか、そのくらいに感想を期待していた亮は、人の悪そうな顔で聞き返して来た睦月にハッとし、慌てて首を振った。
けれど睦月は、逃げられないように亮のももの上に向かい合うよう座ると、耳を塞ごうとする亮の両手を押さえ付け、にっこりとかわいらしく笑った。
「何かね、いろいろ……頭吹っ飛んだり、血がぶわぁーてなったりしてね、グチャグチャーてなって、最後は…」
「…」
「みんな死んじゃった♪ えへ」
「………………」
いやそれ、笑顔で言うことじゃなくね!? と亮は蒼褪めながら口元を引き攣らせたが、睦月は亮を怖がらせるだけ怖がらせて気が済んだのか、「お風呂行ってくるねー」と部屋を出ていった。
今日は、和衣を誘うと面倒くさそうだから、1人でお風呂に行くことにしよう。
1人、部屋に残された亮は、ふとテレビが消えていることに気付く。
実はこっそり睦月が消していったのだが、そんなことを知らない亮は、何で!? 何で!? と焦りまくっている。
――――二次被害、拡大中。
*END*
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だって、怖いのは苦手なのだ。
怖いものは怖いし、見たくないものは見たくない。絶対に見ない。生まれてからの20余年、そういうものには極力近寄らない人生を送って来たのに。
なのに、どうしてこんなことに……とは、まだ放心状態の祐介は考えられずにいた。
「翔真くん、大丈夫?」
睦月と和衣に気を取られていて、結局ラストを見逃してしまった真大は、何となくまだ顔色の悪い翔真に声を掛けた。
怖がった翔真に抱き付かれる作戦は成功しなかったが、いつもとは違って余裕のない翔真を見ることが出来たから、まぁよしとするか。
「つかカズちゃん、俺もう部屋戻るからね。バイバイ」
「えっ!? ちょ、むっちゃん、待っ…」
「待たない。怖いんだったら、ゆっちんトコ行って寝て」
和衣は力なく睦月のほうへ腕を伸ばしたが、睦月は空になったポテトチップスの袋を、雑にゴミ箱に押し込めると、コーラとカピバラさんを持って、さっさと翔真の部屋を出ていった。
「ゆ…ゆぅ…一緒に部屋行こ? ねっ? ねっ!?」
「う、うん、分かっ…」
和衣は逃がすまいと祐介の腕にしがみ付く。
祐介だって、あんな怖いものを見た後、出来れば1人で部屋に戻りたくないし、ここは翔真の部屋で、彼の恋人である真大もいるから、早く出ていきたいけれど。
(こ…腰が…)
立とうと思っても、足に力が入らない。
冗談でなく、腰が抜けたかもしれない。
……今回のホラー映画騒ぎの、一番の被害者は、彼だったのかもしれない。
*****
ちなみに、睦月が部屋に戻ると、亮はのん気にバラエティ番組を見ていた。
「お帰りむっちゃん。映画、どうだった?」
「…………。内容、知りたいの?」
「いや、それは…」
単に、『おもしろかったよー』とか『超怖かったよー』とか、そのくらいに感想を期待していた亮は、人の悪そうな顔で聞き返して来た睦月にハッとし、慌てて首を振った。
けれど睦月は、逃げられないように亮のももの上に向かい合うよう座ると、耳を塞ごうとする亮の両手を押さえ付け、にっこりとかわいらしく笑った。
「何かね、いろいろ……頭吹っ飛んだり、血がぶわぁーてなったりしてね、グチャグチャーてなって、最後は…」
「…」
「みんな死んじゃった♪ えへ」
「………………」
いやそれ、笑顔で言うことじゃなくね!? と亮は蒼褪めながら口元を引き攣らせたが、睦月は亮を怖がらせるだけ怖がらせて気が済んだのか、「お風呂行ってくるねー」と部屋を出ていった。
今日は、和衣を誘うと面倒くさそうだから、1人でお風呂に行くことにしよう。
1人、部屋に残された亮は、ふとテレビが消えていることに気付く。
実はこっそり睦月が消していったのだが、そんなことを知らない亮は、何で!? 何で!? と焦りまくっている。
――――二次被害、拡大中。
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