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嬉しいプレゼント (1)
2011.01.06 Thu
オーナー兼フロア係である朋文と調理担当の譲は、いつも大体8時くらいにspicaに出勤しているが、家から徒歩だけで通勤している朋文と、地下鉄を1つ乗り継いで通っている譲とでは、到着する時間が必ずしも一致するわけではないので、どちらが先に着いてもいいように、2人ともがカフェの鍵を持っている。
先に着いたほうが鍵を開けることになっているのだが、今までずっと半々くらいだった『先に到着する率』は、11月に入り、寒さが増した途端、朋文の率が急上昇した。
要は、寒さの苦手な譲の出足が鈍っている、というわけだ。
遅いと言っても、仕事に差し支えるほどではないし、遅刻しているわけでもないので、朋文は何も言わないのだが(どうせ春になれば、またいつもどおりに来るから)。
それなのに。
今日は朋文が出勤すると、すでにカフェspicaの鍵が開いていて、譲が開店準備を始めていたのだ。
室内の暖房の効き具合からして、譲が着いてから結構時間が経っている気がする。
「…」
朋文は思わず腕時計に目をやったが、時計は止まっていない。
つまり自分は、いつもどおり、大体8時くらいに出勤してきたので間違いないわけで。
「え、譲?」
「…ぁんだよ」
驚いて声を掛ければ、譲はひどく面倒くさそうに顔を上げて朋文を見た。
…機嫌はそんなによろしくないらしい。
「いや…おはよ…」
触らぬ神に……朋文は余計なことを言わず、開店準備に加わるため、コートを脱ぎつつバックルームに向かった。
(俺、何かしたっけかなー…?)
まったく自覚はないのだが、朋文はよく譲の地雷を踏むことがあるから、もしかしたらまた何かしてしまったのだろうか。
だとしても、昨日の帰りは普通だったし(方向が同じなので、結局駅までは一緒に行く)、今朝だとしても、譲の機嫌を損ねるほど、朋文はまだ何もしていないはずだが。
ハロウィンが終わると、早々にクリスマスグッズを店頭に並べる雑貨店を見て、spicaでもクリスマスメニューを出すか…と譲は言っていたけれど、もしかしたらまだメニューが決まらなくて、苛々しているのかもしれない。
もともと譲は反骨的というか、世間の流行に流されたくないというか、そんな性格なので、『12月だからクリスマスメニュー』ということ自体、本当は不本意なのに、季節イベントは売り上げに直結しているから無視できないから、余計に苛付いているのかも。
そうはいっても譲だってプロだし、お客さんのことなら誰よりも大事にしているから、開店時間になれば(内心はともかく)きっといつもどおり振る舞ってくれるだろう。
それに、もうそろそろバイトで雇っている子が来るから、そうしたらきっと、この気まずい沈黙も解消されるはず(というか、今まで譲と一緒にいて、沈黙が気まずかったことなんて、1度もなかったのになぁ)。
朋文は着替えて店内に戻ると、せっせと調理の準備をしている譲には声を掛けず、布きんを濡らしてテーブルを拭き始めた。
「…朋文」
「ぅん?」
朋文が一通りテーブルを拭き終えたところでちょうど、譲に声を掛けられて顔を上げた。
譲の表情は、不機嫌そうなままだ。いや、もともと譲は、どちらかというと柔和で優しいというよりは、凄みがある顔立ちなのだが、それにしても今の顔はどう見ても機嫌のいいときのものではない。
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先に着いたほうが鍵を開けることになっているのだが、今までずっと半々くらいだった『先に到着する率』は、11月に入り、寒さが増した途端、朋文の率が急上昇した。
要は、寒さの苦手な譲の出足が鈍っている、というわけだ。
遅いと言っても、仕事に差し支えるほどではないし、遅刻しているわけでもないので、朋文は何も言わないのだが(どうせ春になれば、またいつもどおりに来るから)。
それなのに。
今日は朋文が出勤すると、すでにカフェspicaの鍵が開いていて、譲が開店準備を始めていたのだ。
室内の暖房の効き具合からして、譲が着いてから結構時間が経っている気がする。
「…」
朋文は思わず腕時計に目をやったが、時計は止まっていない。
つまり自分は、いつもどおり、大体8時くらいに出勤してきたので間違いないわけで。
「え、譲?」
「…ぁんだよ」
驚いて声を掛ければ、譲はひどく面倒くさそうに顔を上げて朋文を見た。
…機嫌はそんなによろしくないらしい。
「いや…おはよ…」
触らぬ神に……朋文は余計なことを言わず、開店準備に加わるため、コートを脱ぎつつバックルームに向かった。
(俺、何かしたっけかなー…?)
まったく自覚はないのだが、朋文はよく譲の地雷を踏むことがあるから、もしかしたらまた何かしてしまったのだろうか。
だとしても、昨日の帰りは普通だったし(方向が同じなので、結局駅までは一緒に行く)、今朝だとしても、譲の機嫌を損ねるほど、朋文はまだ何もしていないはずだが。
ハロウィンが終わると、早々にクリスマスグッズを店頭に並べる雑貨店を見て、spicaでもクリスマスメニューを出すか…と譲は言っていたけれど、もしかしたらまだメニューが決まらなくて、苛々しているのかもしれない。
もともと譲は反骨的というか、世間の流行に流されたくないというか、そんな性格なので、『12月だからクリスマスメニュー』ということ自体、本当は不本意なのに、季節イベントは売り上げに直結しているから無視できないから、余計に苛付いているのかも。
そうはいっても譲だってプロだし、お客さんのことなら誰よりも大事にしているから、開店時間になれば(内心はともかく)きっといつもどおり振る舞ってくれるだろう。
それに、もうそろそろバイトで雇っている子が来るから、そうしたらきっと、この気まずい沈黙も解消されるはず(というか、今まで譲と一緒にいて、沈黙が気まずかったことなんて、1度もなかったのになぁ)。
朋文は着替えて店内に戻ると、せっせと調理の準備をしている譲には声を掛けず、布きんを濡らしてテーブルを拭き始めた。
「…朋文」
「ぅん?」
朋文が一通りテーブルを拭き終えたところでちょうど、譲に声を掛けられて顔を上げた。
譲の表情は、不機嫌そうなままだ。いや、もともと譲は、どちらかというと柔和で優しいというよりは、凄みがある顔立ちなのだが、それにしても今の顔はどう見ても機嫌のいいときのものではない。
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