スポンサーサイト
--.--.-- --
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
- BL小説ランキング参加中です。クリックいただけたら嬉しいです。
- コメントや拍手、ありがとうございます。拍手の公開コメントへのお返事はこちらから。それ以外は、コメントをいただいた記事に返信いたします。
- お題配布サイト「明日」はひっそりまったり更新中です。毎日更新しない日誌「遊び心がない」もよろしくね。
カテゴリー:スポンサー広告
世界はやさしい (19)
2010.12.06 Mon
和衣に声を掛けてきた主は祐介で、持ち主である和衣がこんなに嫌そうに、渋々荷物を拾い集めているにもかかわらず、少しも嫌がる素振りを見せずに、拾うのを手伝ってくれる。
何となく情けない気持ちになりながら、和衣は大人しく、祐介が拾ってくれたペンを缶ペンケースの中にしまった。
「何かね、鍵出そうとしたらね、カバン落っことしちゃってね、」
言っても仕方のないことをボヤキながら、テキパキと動いている祐介にすべてを任せてしまっては悪いと、和衣もさっさと荷物を拾い上げた。
「…………。てか祐介、どうしたの? 何で…」
さっさとカバンの中身を拾わなきゃ…と思っていたせいで気付くのが遅れたが、そういえば、一体どうして祐介はいきなり登場したのだろう。
和衣が困っているのを察してくれたの?
それとも、「もぉ~!」とか1人で言っていた声が大きすぎて、部屋の中にいても聞こえたとか? (だとしたら、祐介の部屋はもっと向こうだから、それ以外の部屋の人にも聞こえていたはずで……恥ずかしい…)
「いや、えっと…」
すべての荷物を拾い終え(ちゃんとキレイにしまえばいいものを、とりあえずと適当にカバンに詰め込んだだけだが)、和衣が立ち上がろうとすれば、祐介がさり気なく手を貸してくれるから、今さらながら、キュンとかしてしまう。
「てか和衣、部屋、誰もいないの? 行ってもいい?」
「…ん」
和衣はドアを開けて、祐介を中に通すと、土間のところに設置してある洗濯機に、手にしていた亮のジャージと昨日着ていた自分の服を放り込んだ。
「洗濯機、新しくなったら、よく分かんないんだよね」
洗濯槽の中ぶたに手を掛けたまま、和衣は並んだたくさんのボタンとランプを見つめている。
和衣は入学して以来ずっと、以前のこの部屋の住人が置いていった洗濯機を使っていたのだが、先日とうとう寿命を迎えてしまったので、同室者と折半して新しい洗濯機を購入したのだ。
自分がここまで機械に疎いとは思っていなかったが、洗濯機なんてみんな同じじゃないの? というレベルの和衣は、なかなかその使い方を覚えられない。
「全自動じゃないの?」
「分かんない。でも最新型て言ってたから、多分、全自動…」
「最新型なら、余計そんなに悩まなくていいと思うんだけど…」
祐介も、親元を離れてから積極的に家事をするようになっただけで、それまでは洗濯だって親任せだったから、そんなに洗濯機の操作に詳しいわけではないが、新しい機種なら、そこまで頭を悩ませなくてもいいような気がする。
「んー…何か特別なヤツ入れないんだったら、スタートを押せばいいだけ、て言われたんだけど……でも反応がない…」
ボタンやランプはいろいろあるけれど、とりあえずスタートボタンを押して洗剤を入れれば、後は洗濯機がみんなやってくれるはずなのだ。
なのに、いくら和衣がスタートボタンを押しても、洗濯機はまったく反応してくれなくて、和衣は「うむぅ~」と無意識に唇を突き出した。
back next
何となく情けない気持ちになりながら、和衣は大人しく、祐介が拾ってくれたペンを缶ペンケースの中にしまった。
「何かね、鍵出そうとしたらね、カバン落っことしちゃってね、」
言っても仕方のないことをボヤキながら、テキパキと動いている祐介にすべてを任せてしまっては悪いと、和衣もさっさと荷物を拾い上げた。
「…………。てか祐介、どうしたの? 何で…」
さっさとカバンの中身を拾わなきゃ…と思っていたせいで気付くのが遅れたが、そういえば、一体どうして祐介はいきなり登場したのだろう。
和衣が困っているのを察してくれたの?
それとも、「もぉ~!」とか1人で言っていた声が大きすぎて、部屋の中にいても聞こえたとか? (だとしたら、祐介の部屋はもっと向こうだから、それ以外の部屋の人にも聞こえていたはずで……恥ずかしい…)
「いや、えっと…」
すべての荷物を拾い終え(ちゃんとキレイにしまえばいいものを、とりあえずと適当にカバンに詰め込んだだけだが)、和衣が立ち上がろうとすれば、祐介がさり気なく手を貸してくれるから、今さらながら、キュンとかしてしまう。
「てか和衣、部屋、誰もいないの? 行ってもいい?」
「…ん」
和衣はドアを開けて、祐介を中に通すと、土間のところに設置してある洗濯機に、手にしていた亮のジャージと昨日着ていた自分の服を放り込んだ。
「洗濯機、新しくなったら、よく分かんないんだよね」
洗濯槽の中ぶたに手を掛けたまま、和衣は並んだたくさんのボタンとランプを見つめている。
和衣は入学して以来ずっと、以前のこの部屋の住人が置いていった洗濯機を使っていたのだが、先日とうとう寿命を迎えてしまったので、同室者と折半して新しい洗濯機を購入したのだ。
自分がここまで機械に疎いとは思っていなかったが、洗濯機なんてみんな同じじゃないの? というレベルの和衣は、なかなかその使い方を覚えられない。
「全自動じゃないの?」
「分かんない。でも最新型て言ってたから、多分、全自動…」
「最新型なら、余計そんなに悩まなくていいと思うんだけど…」
祐介も、親元を離れてから積極的に家事をするようになっただけで、それまでは洗濯だって親任せだったから、そんなに洗濯機の操作に詳しいわけではないが、新しい機種なら、そこまで頭を悩ませなくてもいいような気がする。
「んー…何か特別なヤツ入れないんだったら、スタートを押せばいいだけ、て言われたんだけど……でも反応がない…」
ボタンやランプはいろいろあるけれど、とりあえずスタートボタンを押して洗剤を入れれば、後は洗濯機がみんなやってくれるはずなのだ。
なのに、いくら和衣がスタートボタンを押しても、洗濯機はまったく反応してくれなくて、和衣は「うむぅ~」と無意識に唇を突き出した。
back next
- 関連記事
-
- 世界はやさしい (20) (2010/12/07)
- 世界はやさしい (19) (2010/12/06)
- 世界はやさしい (18) (2010/12/05)
- BL小説ランキング参加中です。クリックいただけたら嬉しいです。
- コメントや拍手、ありがとうございます。拍手の公開コメントへのお返事はこちらから。それ以外は、コメントをいただいた記事に返信いたします。
- お題配布サイト「明日」はひっそりまったり更新中です。毎日更新しない日誌「遊び心がない」もよろしくね。
カテゴリー:Baby Baby Baby Love
テーマ:自作BL小説 ジャンル:小説・文学