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キャンディじゃなくてキスが欲しいよ (14)
2011.03.19 Sat
「あのさ…祐介、えっと…ホワイトデーだから、――――はい」
「え?」
和衣は、睦月に渡されてから、ずっと隠すように手の中で弄んでいた包みを、祐介のももの上にさっと乗せた。
もう全然うまいタイミングなんか見つけられなくて、唐突に話題を変えてしまったせいか、祐介がポカンとしているのが分かって、和衣は視線を彷徨わせてしまう。
「祐介はいいお兄ちゃんだけど、俺は弟じゃなくて……その、恋人…だから。バレンタインのときの、その…お返し」
あ、角が潰れてる。
何言ってんだろう…と恥ずかしくなって俯いた和衣の視線の先、祐介に渡した包みの、角の部分が潰れてしまっている。
(しかも、何かリボンも変になってるし…)
渡してから気が付いたけれど、何だか全体的にヨレヨレで、プレゼントとして、これってちょっと…。
まぁ、問題は外見じゃなくて中身だよね! …と和衣は思ったが、祐介は、ひどく驚いた顔で受け取った後、優しく笑ってお礼を言ったものの、すぐにはその包みを開けてくれない。
(やっぱこんなじゃ…。つか、それ以前に、バレンタインにチョコ贈り合ったのにホワイトデーもなんて、やっぱ鬱陶しかったかな…)
祐介の反応に、ついまたネガティブ和衣が発動してしまい、勝手にどんどん落ちて行ってしまう。
和衣が密かに落ち込んでいるとも知らず、祐介は「ちょっと待って、和衣」と、貰った包みをテーブルに乗せ、自分のカバンを引っ張って来て、中を探り始めた。
「…はい、これ」
「え?」
祐介が、カバンから取り出したものを、和衣のほうへと差し出した。
薄いピンク色をしたシフォン素材の袋の口を、リボンで絞った包み。かわいい形のキャンディが、透けて見える。
和衣はパチパチと何度か瞬きしたけれど、脳が機能停止状態からうまく復旧していないのか、何だかよく分からなくて、呆然と祐介を見つめてしまう。
「え?」
「え、ホワイトデー…」
何度も和衣が聞き返すものだから、祐介のほうも不思議そうな顔になって、「えっと、ホワイトデーだから…」と繰り返した。
「え、え? 俺に? え、俺にっ!?」
「うん」
ようやく祐介の言葉が脳に行き渡ったのか、和衣は目を真ん丸に見開いた。
先にお返しを渡したのは和衣のほうなんだから、そんなに驚かなくてもいいのに…と、祐介は和衣の驚き方に、少し笑ってしまう。
「え…俺に…?」
「そうだってば。何でそんなに疑うの?」
「だっ…だって…ホワイトデー…。だって、祐介…」
どうしても信じられないらしい和衣に、とうとう祐介は声を上げて笑い出す。
戸惑いながらも和衣は、祐介の手から、そのかわいい包みを受け取った。
「俺に…。祐介、ありがと…。俺、貰えるとか思ってなかったから…」
自己満足かもしれないけれど、和衣は、祐介に渡せたらいいと思っていただけで、そりゃ貰えたら嬉しいけれど、祐介がホワイトデー忘れていたとしても、それは仕方がないと思っていたから。
ビックリしたのと嬉しいのとで、気持ちがフワフワしてくる。
「まぁ…あの…、…うん。由里が…」
「え?」
「いや…、何か今日買い物してたら、由里が買ったほうがいいって。俺、どうしようか悩んでたんだけど…」
祐介は、少し気まずそうにモゴモゴしながらも、素直にそう打ち明けた。
先ほどの由里の雰囲気からして、『買ったほうがいいに決まってんじゃんっ!』と、祐介を押し切ったに違いない。
でもそれでも、祐介は、そこまでするのを面倒くさいとか、ウザいとか思わないでいてくれたんだ。
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「え?」
和衣は、睦月に渡されてから、ずっと隠すように手の中で弄んでいた包みを、祐介のももの上にさっと乗せた。
もう全然うまいタイミングなんか見つけられなくて、唐突に話題を変えてしまったせいか、祐介がポカンとしているのが分かって、和衣は視線を彷徨わせてしまう。
「祐介はいいお兄ちゃんだけど、俺は弟じゃなくて……その、恋人…だから。バレンタインのときの、その…お返し」
あ、角が潰れてる。
何言ってんだろう…と恥ずかしくなって俯いた和衣の視線の先、祐介に渡した包みの、角の部分が潰れてしまっている。
(しかも、何かリボンも変になってるし…)
渡してから気が付いたけれど、何だか全体的にヨレヨレで、プレゼントとして、これってちょっと…。
まぁ、問題は外見じゃなくて中身だよね! …と和衣は思ったが、祐介は、ひどく驚いた顔で受け取った後、優しく笑ってお礼を言ったものの、すぐにはその包みを開けてくれない。
(やっぱこんなじゃ…。つか、それ以前に、バレンタインにチョコ贈り合ったのにホワイトデーもなんて、やっぱ鬱陶しかったかな…)
祐介の反応に、ついまたネガティブ和衣が発動してしまい、勝手にどんどん落ちて行ってしまう。
和衣が密かに落ち込んでいるとも知らず、祐介は「ちょっと待って、和衣」と、貰った包みをテーブルに乗せ、自分のカバンを引っ張って来て、中を探り始めた。
「…はい、これ」
「え?」
祐介が、カバンから取り出したものを、和衣のほうへと差し出した。
薄いピンク色をしたシフォン素材の袋の口を、リボンで絞った包み。かわいい形のキャンディが、透けて見える。
和衣はパチパチと何度か瞬きしたけれど、脳が機能停止状態からうまく復旧していないのか、何だかよく分からなくて、呆然と祐介を見つめてしまう。
「え?」
「え、ホワイトデー…」
何度も和衣が聞き返すものだから、祐介のほうも不思議そうな顔になって、「えっと、ホワイトデーだから…」と繰り返した。
「え、え? 俺に? え、俺にっ!?」
「うん」
ようやく祐介の言葉が脳に行き渡ったのか、和衣は目を真ん丸に見開いた。
先にお返しを渡したのは和衣のほうなんだから、そんなに驚かなくてもいいのに…と、祐介は和衣の驚き方に、少し笑ってしまう。
「え…俺に…?」
「そうだってば。何でそんなに疑うの?」
「だっ…だって…ホワイトデー…。だって、祐介…」
どうしても信じられないらしい和衣に、とうとう祐介は声を上げて笑い出す。
戸惑いながらも和衣は、祐介の手から、そのかわいい包みを受け取った。
「俺に…。祐介、ありがと…。俺、貰えるとか思ってなかったから…」
自己満足かもしれないけれど、和衣は、祐介に渡せたらいいと思っていただけで、そりゃ貰えたら嬉しいけれど、祐介がホワイトデー忘れていたとしても、それは仕方がないと思っていたから。
ビックリしたのと嬉しいのとで、気持ちがフワフワしてくる。
「まぁ…あの…、…うん。由里が…」
「え?」
「いや…、何か今日買い物してたら、由里が買ったほうがいいって。俺、どうしようか悩んでたんだけど…」
祐介は、少し気まずそうにモゴモゴしながらも、素直にそう打ち明けた。
先ほどの由里の雰囲気からして、『買ったほうがいいに決まってんじゃんっ!』と、祐介を押し切ったに違いない。
でもそれでも、祐介は、そこまでするのを面倒くさいとか、ウザいとか思わないでいてくれたんだ。
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カテゴリー:Baby Baby Baby Love
テーマ:自作BL小説 ジャンル:小説・文学
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うに ⇒
如月久美子 ⇒ >うにさん
ようやく少し自分の時間が持てるようになって来ました。
でも、被害に遭われている方のことを思うと、こんなにのん気にしてていいのかな、とも感じるのですが、喜んでくださる方がいると、更新してて良かったなと思えます。
こちらこそありがとうございます。
カズちゃんは相変わらず乙女真っ只中なわけで。
ちょっと女子として負けてるかな、と思う私です(^_^;)
でも、うにさんをメロメロにしちゃって、罪な男でもありますね(笑)
コメントありがとうございました!
でも、被害に遭われている方のことを思うと、こんなにのん気にしてていいのかな、とも感じるのですが、喜んでくださる方がいると、更新してて良かったなと思えます。
こちらこそありがとうございます。
カズちゃんは相変わらず乙女真っ只中なわけで。
ちょっと女子として負けてるかな、と思う私です(^_^;)
でも、うにさんをメロメロにしちゃって、罪な男でもありますね(笑)
コメントありがとうございました!