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世界はやさしい (17)
2010.12.04 Sat
「ただいまー」
「……2人して、何で頭ビッチョビチョなわけ?」
のん気な睦月の声に、テレビから視線を移した亮は、やって来た睦月と和衣の2人が、揃って頭を乾かしていないのを見て、呆れたような声を出した。
睦月だけならそういうことはよくあるが、和衣が一緒に来たのに、まさかこんなとは。
「早くご飯食べようと思って。カズちゃんの荷物これ?」
「ん」
「はい。ね、ホントにご飯食べてかないの?」
「…うん。また今度ね」
睦月から荷物一式を受け取ると、和衣は亮にもう1度だけ謝って、部屋を出ていった。
「そういえばねー、カズちゃん、ジャージの下、何も着てなくて、おもしろかったんだよー。何で亮、中に着るの貸してやんなかったの?」
和衣が出ていった後、睦月は先ほどの脱衣場でのことを思い出して、無邪気に笑った。
素肌にジャージはまぁいいとして、そんな格好をしている自分に、和衣自身が一番ビックリしているから、それが何だか笑えた。
「渡したよ。なのに気が付いたらアイツ、ジャージしか着てねぇんだもん」
和衣が酔っ払ってグズグズになっていたから、今さら中にTシャツを着るように言うのも面倒くさかったので、亮はそのまま放置したのだ。
自分でそんな格好に着替えたことなんて、多分和衣は覚えていないだろうと思っていたが、案の定そうだったらしい。
「むっちゃん、頭拭きなよ。つか、何してんの? メシは?」
お腹が空いたから、頭もロクに拭かずに部屋に戻って来たらしいのに、睦月はベッドの上に放っていた携帯電話を、何やら弄り始めている。
とりあえず床に投げ出されているタオルを拾って、亮は睦月の頭に被せた。
「ゆっちにメールしたら食べるー」
「祐介?」
祐介にメールすることに、(和衣と違って)亮はいちいちヤキモチなんて妬かないが、それにしても祐介は同じ寮の、同じ階に住んでいて、まぁ部屋はいくつか離れてはいるけれど、わざわざメールを送るような距離でもないのだが。
「はい、オッケ」
メールを送信し終えた睦月は、ベッドに携帯電話を放って(大体からして、睦月は物の扱い方がぞんざいだ)ローテーブルの前に座った。
「ねぇねぇ亮ー」
「ぅん?」
「俺もさぁ、カズちゃんを見習って、もうちょっと嫉妬深い子になろうかなぁ」
「は? 何それ」
睦月の向かいに座った亮は、意味が分からない、といった感じに首を傾げる。
箸を手にした睦月は、亮を見て、にっこりと笑った。
「ねぇ亮。昨日会ったとき、一緒にいた子、誰ー? 何で腕組まれてたのぉ?」
「えっ? えっ!?」
思い掛けない睦月からの質問に、一瞬にして亮の顔が焦りの表情に変わる。
その話なら、夕べ酔っ払った和衣に絡まれたときに散々説明したが、断じて何の疾しいことのある関係ではない。
しかしそれを和衣に言ったのと同じように睦月に話して、果たしてそれは苦し紛れの言い訳に聞こえないだろうか。
亮の背中に冷や汗が伝った。
だって今まで、睦月にこの手の話を追及されたことなんて、1度もない。
「亮、しっかり言い訳考えてね。いただきまーす」
まさか睦月にからかわれているだなんて思ってもいない亮は、必死になって言葉を探していて。
そんな亮を見ながら睦月は、(たまにはヤキモチ妬くのもいいな)などと、全然見当違いの楽しみを見つけ出していた。
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「……2人して、何で頭ビッチョビチョなわけ?」
のん気な睦月の声に、テレビから視線を移した亮は、やって来た睦月と和衣の2人が、揃って頭を乾かしていないのを見て、呆れたような声を出した。
睦月だけならそういうことはよくあるが、和衣が一緒に来たのに、まさかこんなとは。
「早くご飯食べようと思って。カズちゃんの荷物これ?」
「ん」
「はい。ね、ホントにご飯食べてかないの?」
「…うん。また今度ね」
睦月から荷物一式を受け取ると、和衣は亮にもう1度だけ謝って、部屋を出ていった。
「そういえばねー、カズちゃん、ジャージの下、何も着てなくて、おもしろかったんだよー。何で亮、中に着るの貸してやんなかったの?」
和衣が出ていった後、睦月は先ほどの脱衣場でのことを思い出して、無邪気に笑った。
素肌にジャージはまぁいいとして、そんな格好をしている自分に、和衣自身が一番ビックリしているから、それが何だか笑えた。
「渡したよ。なのに気が付いたらアイツ、ジャージしか着てねぇんだもん」
和衣が酔っ払ってグズグズになっていたから、今さら中にTシャツを着るように言うのも面倒くさかったので、亮はそのまま放置したのだ。
自分でそんな格好に着替えたことなんて、多分和衣は覚えていないだろうと思っていたが、案の定そうだったらしい。
「むっちゃん、頭拭きなよ。つか、何してんの? メシは?」
お腹が空いたから、頭もロクに拭かずに部屋に戻って来たらしいのに、睦月はベッドの上に放っていた携帯電話を、何やら弄り始めている。
とりあえず床に投げ出されているタオルを拾って、亮は睦月の頭に被せた。
「ゆっちにメールしたら食べるー」
「祐介?」
祐介にメールすることに、(和衣と違って)亮はいちいちヤキモチなんて妬かないが、それにしても祐介は同じ寮の、同じ階に住んでいて、まぁ部屋はいくつか離れてはいるけれど、わざわざメールを送るような距離でもないのだが。
「はい、オッケ」
メールを送信し終えた睦月は、ベッドに携帯電話を放って(大体からして、睦月は物の扱い方がぞんざいだ)ローテーブルの前に座った。
「ねぇねぇ亮ー」
「ぅん?」
「俺もさぁ、カズちゃんを見習って、もうちょっと嫉妬深い子になろうかなぁ」
「は? 何それ」
睦月の向かいに座った亮は、意味が分からない、といった感じに首を傾げる。
箸を手にした睦月は、亮を見て、にっこりと笑った。
「ねぇ亮。昨日会ったとき、一緒にいた子、誰ー? 何で腕組まれてたのぉ?」
「えっ? えっ!?」
思い掛けない睦月からの質問に、一瞬にして亮の顔が焦りの表情に変わる。
その話なら、夕べ酔っ払った和衣に絡まれたときに散々説明したが、断じて何の疾しいことのある関係ではない。
しかしそれを和衣に言ったのと同じように睦月に話して、果たしてそれは苦し紛れの言い訳に聞こえないだろうか。
亮の背中に冷や汗が伝った。
だって今まで、睦月にこの手の話を追及されたことなんて、1度もない。
「亮、しっかり言い訳考えてね。いただきまーす」
まさか睦月にからかわれているだなんて思ってもいない亮は、必死になって言葉を探していて。
そんな亮を見ながら睦月は、(たまにはヤキモチ妬くのもいいな)などと、全然見当違いの楽しみを見つけ出していた。
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カテゴリー:Baby Baby Baby Love
テーマ:自作BL小説 ジャンル:小説・文学
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柚子季 杏 ⇒
如月久美子 ⇒ >柚子季さん
むっちゃん、小悪魔です(笑)
普段、そんなこと言う子ではないので、亮タン、焦り具合はきっと半端ではないはず。
その間にむっちゃんは、おいしくご飯をいただいちゃってるんでしょうね。
でも、単に人をからかったりするだけでないのがむっちゃんです。
ゆっちさんへのメール、果たして一体何なのか、どうぞお楽しみに!
コメントありがとうございました!
普段、そんなこと言う子ではないので、亮タン、焦り具合はきっと半端ではないはず。
その間にむっちゃんは、おいしくご飯をいただいちゃってるんでしょうね。
でも、単に人をからかったりするだけでないのがむっちゃんです。
ゆっちさんへのメール、果たして一体何なのか、どうぞお楽しみに!
コメントありがとうございました!