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部屋でまったり (5)
2010.12.27 Mon
「「ジャーンケーン、ポン!」」
仰々しく振り被って(狭いのに…)行ったジャンケンの結果は、意外にもあっさりと勝負がついた。
差し出した手は、郁雅がグー、蒼一郎がパー。
「おっしゃーーーー!!!」
蒼一郎は勝利の雄叫びを上げ、ガッツポーズを決める。
負けた郁雅は、さぞかし悔しがっているだろうと思いきや、しかしなぜかそれほど嫌がる素振りも見せず、「じゃあこれ見ようぜ」と、DVDの1枚を手に取った。
「あ、蒼」
DVDを手にコタツを出た郁雅が、クルリとコタツのほうを振り返った。
「俺DVDセットするから、蒼、飲み物用意して?」
「…………。…えっ!?」
肩までふとんを引っ張り上げて、コタツに潜り込んでいる蒼一郎に、郁雅はそう言ってにんまりと笑った。
のん気にぬくぬくしていた蒼一郎は、一瞬思考が付いていかなかったが、その言葉の意味が分かった瞬間、素っ頓狂な声を上げた。
「えっ、ちょっ、えっ!? え、イク、えっ!?」
「だって映画館行ったって、見るとき飲み物くらい買うだろー。つか、ポップコーンだけとか、ぜってぇ喉乾くし! 蒼、飲み物ー」
「えぇ~~~~!!!???」
ものすごい顔でビックリしている蒼一郎に、郁雅は思わず吹き出してしまいそうだけれど、そこは我慢して、意地悪そうな笑顔を作り続ける。
先ほど素直に、蒼一郎の提案したジャンケンに乗ったのは、負けてもこう切り返すつもりだったからだ。
「ちょっ、そ…イク…!」
そんなのひどい! と蒼一郎は泣きそうな顔で、恨めしげに郁雅を見るが、郁雅は「早くー」と急かす。
「早くしないと、映画始まるぞー」
「イク~~~~」
笑いながらも、DVDをセットしようとしている郁雅に、蒼一郎は慌ててコタツを抜け出した。
どうせなら、最初から2人で一緒に見たい。
飲み物の準備をしていて、最初を見逃したとか、そんなの、絶対に嫌だ!
「ねぇねぇイクー、氷ないよー?」
「はぁ? 氷?」
この寒いのに、何で氷? と思って、郁雅は、コタツに戻ろうとしていた足でキッチンに向ってみれば、蒼一郎が冷凍庫の扉を開けて、中を覗き込んでいた。
「え、何で氷?」
「だって、コーラ…」
冷凍庫から振り返った蒼一郎は、まるでマンガのように眉を下げている。
先に用意したのであろう、グラスとコーラのペットボトルがシンクの脇に上がっている。
恐らく蒼一郎の中では、ポップコーンにはコーラ、コーラの中には氷が浮いていて……という発想だったのだろう。
しかし残念ながら、この真冬に、郁雅は氷など常備していない。
「氷はいいじゃん、別に暑いわけじゃないんだし」
郁雅がDVD、蒼一郎が飲み物を準備するはずが、結局、郁雅までキッチンに来てしまい、しかも最終的にグラスにコーラも注いでしまって。
これではすべての用意を郁雅がしたも同然だ。
「ホント、お前って…」
呆れながらも郁雅がグラスを2つ持って戻ってくれば、DVDは自動再生ですでに始まっていて、さらにガックリくる。
溜め息混じりに郁雅がもそもそとコタツに潜り込めば、狭いというのに蒼一郎は、やはり郁雅の隣に無理やり体を滑り込ませてくる。
「おま…ホント、マジ狭い…」
「いいから、いいから。リモコンは? 始まっちゃってんじゃん」
郁雅の不満の声は聞こえないふりで、蒼一郎は郁雅の肩を抱きつつ、もう片方の手でリモコンを探る。
テレビの画面が、映画の配給会社のロゴマークに切り替わる。
郁雅がコテンと蒼一郎の肩に頭を乗せれば、さらにキュッと肩を抱き寄せてくれる。
確かにこんなこと、いくら暗い映画館の中とはいえ、出来っこない。
(あーあ、これじゃ、ますます好きになっちゃうじゃん…)
果たしてあと2時間、最後まで映画に集中していられるだろうかと、郁雅は密かに思った。
*end*
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仰々しく振り被って(狭いのに…)行ったジャンケンの結果は、意外にもあっさりと勝負がついた。
差し出した手は、郁雅がグー、蒼一郎がパー。
「おっしゃーーーー!!!」
蒼一郎は勝利の雄叫びを上げ、ガッツポーズを決める。
負けた郁雅は、さぞかし悔しがっているだろうと思いきや、しかしなぜかそれほど嫌がる素振りも見せず、「じゃあこれ見ようぜ」と、DVDの1枚を手に取った。
「あ、蒼」
DVDを手にコタツを出た郁雅が、クルリとコタツのほうを振り返った。
「俺DVDセットするから、蒼、飲み物用意して?」
「…………。…えっ!?」
肩までふとんを引っ張り上げて、コタツに潜り込んでいる蒼一郎に、郁雅はそう言ってにんまりと笑った。
のん気にぬくぬくしていた蒼一郎は、一瞬思考が付いていかなかったが、その言葉の意味が分かった瞬間、素っ頓狂な声を上げた。
「えっ、ちょっ、えっ!? え、イク、えっ!?」
「だって映画館行ったって、見るとき飲み物くらい買うだろー。つか、ポップコーンだけとか、ぜってぇ喉乾くし! 蒼、飲み物ー」
「えぇ~~~~!!!???」
ものすごい顔でビックリしている蒼一郎に、郁雅は思わず吹き出してしまいそうだけれど、そこは我慢して、意地悪そうな笑顔を作り続ける。
先ほど素直に、蒼一郎の提案したジャンケンに乗ったのは、負けてもこう切り返すつもりだったからだ。
「ちょっ、そ…イク…!」
そんなのひどい! と蒼一郎は泣きそうな顔で、恨めしげに郁雅を見るが、郁雅は「早くー」と急かす。
「早くしないと、映画始まるぞー」
「イク~~~~」
笑いながらも、DVDをセットしようとしている郁雅に、蒼一郎は慌ててコタツを抜け出した。
どうせなら、最初から2人で一緒に見たい。
飲み物の準備をしていて、最初を見逃したとか、そんなの、絶対に嫌だ!
「ねぇねぇイクー、氷ないよー?」
「はぁ? 氷?」
この寒いのに、何で氷? と思って、郁雅は、コタツに戻ろうとしていた足でキッチンに向ってみれば、蒼一郎が冷凍庫の扉を開けて、中を覗き込んでいた。
「え、何で氷?」
「だって、コーラ…」
冷凍庫から振り返った蒼一郎は、まるでマンガのように眉を下げている。
先に用意したのであろう、グラスとコーラのペットボトルがシンクの脇に上がっている。
恐らく蒼一郎の中では、ポップコーンにはコーラ、コーラの中には氷が浮いていて……という発想だったのだろう。
しかし残念ながら、この真冬に、郁雅は氷など常備していない。
「氷はいいじゃん、別に暑いわけじゃないんだし」
郁雅がDVD、蒼一郎が飲み物を準備するはずが、結局、郁雅までキッチンに来てしまい、しかも最終的にグラスにコーラも注いでしまって。
これではすべての用意を郁雅がしたも同然だ。
「ホント、お前って…」
呆れながらも郁雅がグラスを2つ持って戻ってくれば、DVDは自動再生ですでに始まっていて、さらにガックリくる。
溜め息混じりに郁雅がもそもそとコタツに潜り込めば、狭いというのに蒼一郎は、やはり郁雅の隣に無理やり体を滑り込ませてくる。
「おま…ホント、マジ狭い…」
「いいから、いいから。リモコンは? 始まっちゃってんじゃん」
郁雅の不満の声は聞こえないふりで、蒼一郎は郁雅の肩を抱きつつ、もう片方の手でリモコンを探る。
テレビの画面が、映画の配給会社のロゴマークに切り替わる。
郁雅がコテンと蒼一郎の肩に頭を乗せれば、さらにキュッと肩を抱き寄せてくれる。
確かにこんなこと、いくら暗い映画館の中とはいえ、出来っこない。
(あーあ、これじゃ、ますます好きになっちゃうじゃん…)
果たしてあと2時間、最後まで映画に集中していられるだろうかと、郁雅は密かに思った。
*end*
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テーマ:自作BL小説 ジャンル:小説・文学
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柚子季 杏 ⇒ No title
や~~久々の蒼ちゃん、可愛かった!!
この天然ぶりが堪んないッスね( ´艸`)ムププ♪
郁くんがほっとけなくて、好きになっちゃうのも分かるなーww
2人でちゃんとDVD鑑賞が最後まで出来るのか……出来ない方に賭けたいと思います(爆)
この天然ぶりが堪んないッスね( ´艸`)ムププ♪
郁くんがほっとけなくて、好きになっちゃうのも分かるなーww
2人でちゃんとDVD鑑賞が最後まで出来るのか……出来ない方に賭けたいと思います(爆)
如月久美子 ⇒ >柚子季さん
ウチの郁タンは、おとなしめというよりは、突っ込み系の常識人なんで、ガンガン行っちゃってます。
でもやっぱり放っておけない…みたいな。
蒼ちゃんの天然ぶりに付いていけるのは、彼くらいでしょうね(^_^;)
このくらい理解ある人と巡り合えて、ホントよかったな、と…(笑)
> 2人でちゃんとDVD鑑賞が最後まで出来るのか……出来ない方に賭けたいと思います(爆)
ごもっとも!
で、4枚も借りてきたのに、結局1枚もまともに見れなくて、後で郁タンに怒られちゃうんだろうなぁ…。
コメントありがとうございました!
でもやっぱり放っておけない…みたいな。
蒼ちゃんの天然ぶりに付いていけるのは、彼くらいでしょうね(^_^;)
このくらい理解ある人と巡り合えて、ホントよかったな、と…(笑)
> 2人でちゃんとDVD鑑賞が最後まで出来るのか……出来ない方に賭けたいと思います(爆)
ごもっとも!
で、4枚も借りてきたのに、結局1枚もまともに見れなくて、後で郁タンに怒られちゃうんだろうなぁ…。
コメントありがとうございました!